鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

2007-06-29 11:56:28 | 本(小説)
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
J・K・ローリング  静山社 2006年

*****

ごめん! 読んでなかったんだ!
古本で安く出るのを待とうと思っているうちに、つい忘れて。
とりあえず、もうすぐ次の映画の封切りと、海外ではいよいよ最終巻が発売でしょう?
古本でも売り切れるか、値上がりするかもしれないと思って、急いで購入。

だんだん、敵の攻撃がシビアになってくるにつれ、話が悲しくなってくるのよねぇ。
しかし、これをシリーズ続けて読んでると、この作品を書くことで、
作者のローリングさんも、いろいろあって、成長したんじゃないか~なんて思うのです。

普通の生活してたシングルマザーが、一躍世界中の注目の的。
金と権力のニオイに寄ってくるのは、良い人間ばかりではなかったでしょう。
マスコミの力を濫用するリータ・スキーター。
ハリーの人気を、自分たちの権力の強化に使うことしか頭に無い魔法省。
戦う相手は敵ばかりではなく、時に、親しい友人さえも、ハリーとのあまりの立場の違いに、
変に距離を置いてしまう。
同じような苦労したんじゃないのかなぁ。


えっと、あらすじは…出版されて時間もたってるし、
もう、ここまで来るとネタバレ云々っていうのは、そんなに重視されないとは思うけど。
…シリーズもののあらすじって書きづらいんだよね。前巻からの伏線とかあるから。
てなわけで、今回は無しで。
とりあえず、影の主人公はスネイプかな? 

読んで驚いちゃったのは、ジニーちゃんが魔性の女になってたこと(笑)
嫌いな人間には(かなり)手厳しい、赤毛に恥じない激しくも魅力的な女の子。
女性作家の書く女性キャラって、基本的に強いよね。
なよなよっとしたヒロイン好きなのは、男性視点ですよ。やはり。

で、その強い女の子たちが、今回何をしてるかというと…
本命の男の子にあてつけるために、わざわざ一番イヤがる男をパーティに誘うハーマイオニー(笑)
本命ハリーに距離を置いて、他の男の子と付き合うことで、魅力全開になってしまったジニー(笑)
他にも、ロンと一時期ラブラブになって、ハーマイオニーに嫉妬丸出しなラベンダーとか
(彼女はちょっと気の毒かな。ロンにとっては、ただの練習台とか場繋ぎみたいな扱いで)
ハリーの心を、ホレ薬で強引にモノにしようと図るロミルダとか(考え方がタフだよなぁ)
いや、男の子たちはタジタジです。特にロンは遊ばれちゃってる。

笑っちゃったのは、あのハートフルなほかほか家族、ウィーズリー家においても、
『息子の恋人は気に入らない』という法則が当てはまっちゃうところ。
フラーは、異性に人気があるのに同性に嫌われるタイプって奴なんですかね。
ジニーにヌラーとか呼ばれてるのが、ものすごい可笑しい~。

えーと、ハリーの恋はここに来て、やっと成就しましたが、最後の戦いを前にして、
まだまだ油断はできないところ。
一番大きな庇護を失ったことで、自分の判断で行動する「大人」にならざるを得ないハリー。
親の暖かさ、家庭を知らないハリーが、初めて知った「自分の居場所」が魔法学校だったのですから、
今回の出来事は、本当の意味で巣立ちの時期…ということなのでしょうか。

とはいえ、あのダンブルドアが、自分が亡き後のことを考えていなかったとも思えません。
最終話でも、何か、手助けとなるようなものを遺してくれているんじゃないかなーと思ったり。

とりあえず、次回への謎。R.A.B。
今までのローリングさんの傾向では、容易く読み取れる、親切な伏線の張り方はしない人なので、
次巻でその正体が明かされるのを待とうと思います。

そういえば、ダンブルドアの弟って?


Candybar Doll Maker 3

2007-06-27 18:33:30 | 商業ゲーム(コンシューマ)
あちこちのブログで最近目にするキラキラ画像。
どうやら、Candybar Doll Maker 3、という似顔絵アバター作成ツールらしいー。

で、さっそくやってみました!

うぉー、なんか、選択肢がすごいぞ!
たくさんありすぎ!
しかし、みんな妙にキラキラでテカテカでフリフリで少女趣味!

…げんえきじょしこぉせぇ辺りはいいかもしらんが、
オバサンにはちょっと無理があるかも…(汗)

基本的に、ツヤ消しが好きなのに…
などとブツブツ言いながら出来たのがコレ
いいところ、似ているのは性格悪そなとこだけですかね。

…この画像を、横にぐいーっと引っ張って2倍くらいの太さにすると、
案外実物に近い感じになるやもしれません。

Sigh......

2007-06-27 17:08:38 | 雑事
鳥が死んでしまいました
人間に直すといいかげんイイ年でしたので
いつその時がきてもおかしくないと
ある意味、覚悟はありました

だんだん、目も見えなくなって、
はばたきが弱弱しくなって
かごから出しても、飛び回らず
てのひらに座っている時間が長くなり

よぼよぼだねぇ、年寄りだねぇと言われながらも、
頭をくりくりと撫でられて、
満足そうにふっくりとしていた姿が目に浮かびます

最期もわたしの掌のうえでした

苦しげに吐く息の音に、
もうその時が来たのか、と

だらりと座っていた足に力がこもり、
苦しげにぱたぱたと何度かはばたき、
転げるようにしてカン高い悲鳴をあげ、
つっぱるように足を伸ばして

汗ばむほどの陽気の中、
掌の上にいたその身体はいつまでも温かく
命を失ったばかりの羽毛はふわふわと柔らかく
それなのに
ゆっくりと閉じていく瞼は、もう上がることはなく

11年は、長いようであっという間でした
掌の上の、たった50グラムのぬくもりは
いつも、はかりしれないほどの幸せを
わたしたち家族にくれていました

死は決して、無意味なものではないと
彼は、自分の生を全うしたのだと
そう考えるかたわらで

彼がもう、私たちと同じ場所にいられないことが
悲しくてたまらないのです

悪魔の棲む家(2005年版)

2007-06-25 10:14:04 | 映画(ホラー)
悪魔の棲む家 2005年
監督:アンドリュー・ダグラス
出演:ライアン・レイノルズ、メリッサ・ジョージ、ジェシー・ジェームズ ほか

公式ページ (ムービースキップできなくてうざいー)

*****

79年に映画化されたやつの、リメイク…かな。
ただ、旧版は、幽霊の姿を出さず、雰囲気で怖がらせる感じの強い映画だったにも関わらず
(…ラスト付近だけはちょっとアレなんですが)
今作は最初っから幽霊出まくり。

しかも、物語は、キングの名作「シャイニング」と被る部分がとても多く、
アレを知ってる人は、変なでじゃぶ感を感じてしまうこと間違いなし(笑)

======

ロングアイランド・アミティビル。
そこに立っている一軒の家は、正気を失った長男が、家族6人を惨殺して以来、空き家となっていた。
土地柄と、家の広さや設備を考えても、破格の値段で売りに出されたその家を1年後に買ったのは、
3人の連れ子を持つキャシーと、その恋人ジョージの4人家族だった。
ジョージは家族の良き夫・良き父親となるべく、努力をかかさない良い男だったが、
この家に移り、彼だけが感じる異常な寒さに悩まされるうち、些細なことに苛々を募らせるように
なっていく。

一方、他の家族もそれぞれに、この家に不気味なものを感じていた。
特に末娘のチェルシーは「クローゼットに住んでいる少女」ジョディという、
見えない友人と親しく話をするようになり、ボートハウスで水に落ちそうになったり、
高い屋根に上って歩いたりと、危険な行動を繰り返す、目が離せない状態となってしまう。

どんどん険悪になる家族の状態…特に、すっかりひとが変わってしまったジョージに心を痛め、
キャシーは神父に助けを求める。
だが神父は、この家に来たとたん、蝿の集団に襲われ、恐怖のあまり逃げ帰ってしまう。

原因は、本当に、1年前の一家惨殺事件なのか?
惨殺事件の犯人、長男のロニーがジョージと同じ行動をし、神父に相談しに来ていたことを知り、
キャシーは図書館で、あの家の歴史を調べ始める。
そこには、更に恐ろしい、ある秘密が隠されていた。

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つくりが古いぶん、なんか安心して見られるかなー。
幽霊の出方も、そんな怖いって感じじゃないカモ。
ただ、私、一応親ですんで(笑)
ちっこい子供が親のピリピリ感に怯えたり、夜の寝室で恐怖を感じたり、そういうの好きじゃないー。
なんか可哀想になっちゃってね。
最初に怯えながら殺されてしまった「ジョディ」が、ちょーちんあんこうの触手よろしく、
呪いの手先として使われるのも、見ていてムっとする。
何故6人も殺されてるのに、この子だけ家に捕まっているのだ。

狂いゆくジョージは、まさしくシャイニングの、狂いゆく父親と同じ世界。
実際は、自分が単にイライラして八つ当たってるだけなんですが、そこを、
自分は正しいのに、あいつらは全然それを認めないしわかっちゃいない。
馬鹿なやつらだ。だから罰してもいいのだ、と正当化していく感じがコワイ。
(狂っていなくても、こういう摩り替えは日常にあるでしょ。たいていの人、経験あるんじゃない?)
人間を殺すのは人間だ、という言葉が映画の最初のほうに出てくるのですが、
本当に気の利いた名セリフだと思います。

ラストでは、決して愛する人を見捨てないキャシーの行動によって、ジョージは助かるわけですが…
ボートで湖に逃げる、なんて、無茶な選択するなぁ、と思っちゃったよ。
陸路より、短時間で「家」の影響範囲から逃げられると思ったんだろうけど…
ジョージがまだおかしいままだったら、3人子供連れて、水の上であんたたちどうすんの?と。
(ついでに言えば、キャシーが家の歴史を調べたときに、湖の底から死体が山ほど出てきた、
 という話があったので、最後に<b>ガバーッ! と来るかと思ったよ/笑)
 

検索したとき、面白いレビューがあったので、ここでひとつご紹介っ。
すごい面白い。笑える~
「幸福犬の幸せ日記。 悪魔の棲む家」(人気があるのか、ちょっと繋がりづらいみたい)

しんぐるもると

2007-06-19 12:51:53 | 雑事
先日、北原尚彦の「首吊少女亭」を読んだら、俄然、シングルモルトが呑みたくなってしまった。
おりしもその頃、世間は父の日セール中。
普段は焼酎やビールばかりしか置かない店でも、一時的に高級感漂う壜が置かれていたりして!

シングルモルト・ウィスキー(スコッチって言うのかな?)は、高いものはかなーり高い!
ツウでも無い私が気紛れに買うには、そーゆーのは相応しくないので…
(というか、そういうのに万単位でかけるような余裕も無いので/汗)
世界中で一番飲まれている、一般的なシングルモルト「グレンフィディック」に挑戦してみました。
庶民派スコッチは、お値段も、とっても良心的! (山崎の半分以下の値段だったよ~)

さてさて、さっそくお味見をば♪

ショットグラスなんて洒落たもんはうちにないので、デュアレックスの100ccグラス
(落としても割れないくらい丈夫で、持ちやすく実用的。おまけに安価でお気に入り)
に4分の一くらい注いでみます。
いきなりロックにしては勿体無いので、とりあえず室温でストレート。
チェイサーは準備してないので、浄水器通しただけの水道水で。
大丈夫、そこまで舌は肥えてない!(威張るな!)
行きますよー、とくとくとく…っとね。

見た目、ふつーのウィスキー? よりも若干薄い色です。
年数が進んだ高いヤツは、そこそこ茶色っぽくなるらしいんですが。
でも、香りが物凄い!
グラスに顔を入れたらむせてしまいそうな、そりゃ火もつくだろうよ、って感じの揮発度合い。

一口、口に含んで… おおー、きついーー。 
ごっくんと飲み込んで…喉がじわーっと熱くなって、口の中に残る香りがまた凄い。
んーっ、これは…
雪山とか秋キャンプとか、寒いとこでフラスクに入れて、ちびちび飲んだら最高ねー!
フラスクは、ヒップフラスクの薄べったいステンレスのやつがいいな~。
…って、私はオヤジですか?

多分、この庶民派スコッチくんは、一番飲みやすいタイプなんだろうなーと思うんですが
私には、これくらいが丁度いいかも。
てか、30ccくらいでもう、充分って感じ。
ひと壜飲みきるまで、いったいどれだけかかることやら…

ふっふっふ。夜中のネットのおともに! 密かな愉しみ~

「エミリー・ローズ」

2007-06-19 12:33:26 | 映画(ホラー)
「エミリー・ローズ」
監督:スコット・デリクソン
出演:ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、ジェニファー・カーペンターほか

公式ページ

******

ホラー版、逆転裁判?! …というのはモチロン冗談ですが。
エクソシストのモデルにもなった、悪魔憑きの少女の実話をもとに作られた映画です。
ビックリ系の場面はそこかしこにあるものの…これね…おっそろしく真面目な話でしたよ。
ホラーではなく、宗教映画に近いと思うなぁ。

悪魔祓いの正当性がどうか、なんて、裁判が成立しませんからね。
(それを争おうと思ったら、悪魔の実在性の問題になってしまう?)
とりあえず裁判の争点は「必要な医療処置を受けさせず、助かるものを見殺しにした」
というところなんですが。

なにしろ、こういう裁判です。確かなものが何も無い。
検事側は、薬の服用をやめさせなければ、彼女は死ななかった(かもしれない)と主張。
対する弁護側は、それまで服んでいた薬こそが、彼女の悪魔祓いを失敗させた原因である
(かもしれない)と主張。
いやー、こういう裁判の陪審員だけにはなりたくないな、と(汗)
日本だったら、こういう裁判って成り立つのかしら(汗)

多分、見えないものは存在しない! と言い切ってしまうには、
あちらの民族性の中での、宗教のウェイトが高すぎるのでしょうかね。
幼い頃から洗礼を受け教会に通い、心の底に『神』を持ち続けてきた人たちだからこそ、
こういう裁判が成り立ってしまうのだし、最後の判決もアリなのだろうな、と…

==========

とあるアメリカの田舎町で、一人の少女が亡くなった。
彼女の名前はエミリー・ローズ。
あまり裕福ではないまでも、信仰心篤い家に生まれ、仲の良い家族に恵まれた彼女は、
奨学金を受けて大学に進む道を選ぶほど、真面目な努力家だった。

そんな彼女が、大学の寮で一人きりで夜を過ごしたとき、恐ろしい出来事に見舞われる。
たちこめる焦げ臭い匂い。そして、見えざるものの恐ろしい暴力。
身体は自分の言うことをきかず、たわみ、反り返り、この世とも思えぬ姿に捻じ曲がる。

その日から、エミリーは、見えない何者かに常におびやかされることになるのだった。
恐ろしい幻覚が彼女を襲い、時として身体が勝手に捻じ曲がる。
口は言いたくもない言葉を吐き、食事を取ることさえできない。
精神病院に入院するも、状態は悪くなるばかり。

エミリーは、これは精神病ではなく、悪魔が取り憑いたのだと信じ、
教会の神父に、最後の願いを託して悪魔祓いを依頼する。
だが、その結果は失敗。
悪魔祓いの儀式で衰弱しきったエミリーは、その後、一週間ほどで死亡してしまうのだった。

この件を知った警察は、事件性を認めて裁判を執り行う。
検事側はエミリーの死の原因は、神父の判断が誤っていたからだと批判。
よほどの腕のたつ弁護人でない限り、裁判に勝つのは不可能と思われた。

選ばれた弁護人は「殺人者ですら無罪にした」経験を持つ女性弁護士ローラ。
彼女を雇ったローマ・カトリック教会は、どうやら話を大きくしたくない様子だったが、
被告であるムーア神父の真摯さにうたれ、ローラは最後まで戦う決意をするのだった。

しかし、その夜から、ローラの身には不気味な出来事が…

==========

史実に基づくんなら、何か実話な資料は無いのか、と検索しましたが、
日本語ではメボシイところはありませんでした。
どうやら、ドイツのAnneliese Michelという少女がモデルらしく、
彼女の悪魔祓いに関わり、裁判を受けた神父は4人。過失致死で有罪。6ヶ月の保護観察…
と、そのくらい、かな。 映画とちがう部分もけっこうありますね。
映画の最後に読まれ、裁判をひっくり返したローズから神父にあてた手紙、っていうのは、
果たして実在したんでしょうか…

信じない人から見れば、全て、妄想と思い込みで片付いてしまう世界。
そこに神を見るか悪魔を見るかは…その人次第かもしれません。

いや、それにしても…映画とかでは必ずアメリカの弁護士って、超守銭奴ですよね。
アメリカ映画で人の上に立つ偉い人は常に黒人!ていうのと同じくらいセオリーなり。

オトシモノ

2007-06-14 15:00:25 | 映画(ホラー)

「オトシモノ」 2006年
監督:古澤健
出演:沢尻エリカ、若槻千夏、小栗旬、杉本彩、ほか

*****

結構見ごたえありました!
久し振りの正統派~。貞子迦椰子系の怖いオネェさん有り、
俊雄くんばりの妖怪少年有り、来る来る来る来たーーー!なドキドキ感あり。
いや堪能しました。
こういうのほんと久し振り。素敵だ。

キャストがマァいかにも人寄せ!って感じだったので、内容はどうかな?と
思ったんだけど…意外と、引き込まれるように見ちゃった。

幾重かに重なった呪いのベースになる部分が、最後のほうでチラ見できますが、
正体について伏線で出てこないゆえに、「何これ宇宙人?」ていうか…
他レビュで見たら鬼子母神…なんですってよ。
デッサン用牛骨にツノ生えたみたいなアレが? ぴんと来ないなー。
画面で見た時も、恐怖の存在というよりは、コミカルに見えてしまったし。

最後にもしかしたら、もう一つヒネリがあるかと思いましたが…
妹が最後はアレかと思ったんですけど、ふつーに助かりましたねぇ。
でも、感じは悪くないっす。
ハッピーエンドは、ホラーとしてはかえってパターン破りでいいかもしらん。

=======
「僕、死んじゃうんだって。これを拾ったから」
そんな言葉を残し、小学生の男の子…ヒロシは、行方不明になった。
落し物の定期券を駅で拾ったとき、謎の女に言われた言葉だという。

そのヒロシのクラスメイト、範子とその姉である奈々は、病気で入院した母親の
見舞のため、毎日のように、電車を使って病院へ通っていた。
ある日、奈々は、範子のランドセルの中に、見覚えのある定期券を見つける。
「駅で拾ったの。届けてくるの忘れちゃった」
そうして、翌日、範子は「いなくなったヒロシ君を見た」という伝言を最後に
姿を消してしまう。

運転手の久我は、トンネルの中で女の死体の幻覚を見たことをきっかけに、
内勤に移されてしまっていた。
そこは拾得物管理室…オトシモノの集まる場所だった。
先輩の川村の意味深な発言や行動に反感を抱き、運転席に戻りたい一心で、
久我は、自分にひたすら言い聞かせる。「何も見ていない、気のせいだ」と。

そのころ、奈々と同じクラスの香苗は、彼氏の茂が電車で拾ったブレスレットを
身に付けてしまい、それが外れなくなって苦しんでいた。
茂を駅で見つけ、ブレスレットを外すように問い詰めるも、
彼は以前の彼ではなく…

「オトシモノ」の意味するものは何か。
それとともに現れる黒衣の女…八重子、とは何者か。
3人の主人公たちは協力しあい、トンネルの中に隠された謎を暴いていく。

=======

ラスト近くの、行方不明の人が山積みになってるシーンが良かったなー。
心に浮かんだのは「堆肥」という言葉。
行方不明になったひとたちは、ここで人間としての命や心をじっくり発酵させて、
人外のものになっていくのかなぁと。

その後の、化け物ワラワラ・電車で轢き潰してGOGO!なシーンも、
ちょっとゾンビテイスト入ってて、ジャパホラーとしては珍しい展開。
それでいてバッタもん臭い感じもなく、うまく物語に取り入れてる感じが良いね♪
ただ、アメリカンホラーならひき潰される瞬間を見せるだろうケド、
この映画ではそこまでしない。
そこをいいと思うか物足りないと思うかは、好みで分かれるところかな。
駅と電車が主体だけあって、けっこう死に方は無残なことになってるんだけど、
絶対そのものズバリを写さない、親切で綺麗な演出になってます。

そのせいもあってか、ホラーのくせに、なんか爽やかなのね(笑)
主人公の女子校生も、後から主人公と友情を結ぶ遊び人風の女の子も、
やけに一途だし。運転手さんも、本質はすごい生真面目だし。
なんていうかな。
この映画の登場人物って、ホラーにあるまじきことに
『可能性を諦めない』んだわ。
大抵、ホラーの登場人物って、常に恐怖と無力感に苛まれてるモノだけど、
女の子たちも、運転手さんも、「自分にも何か出来る!」って考えを絶対捨てない。
人はわらわら死ぬし行方不明になるし、八重子も外見相当怖い話なのに、
不思議と明るいイメージで見られちゃうのは、そのへんに理由がある気がする。

このあいだ見た『隙間』も嫌いではなかったし『稀人』も癖は強いが悪くない。
でも、この映画見ちゃうとね、やっぱり、あれらはレベルとしては一段下かなって。

沢尻エリカファンも、そうでない人も、機会あったら見てみてー。


「精神科に行こう!」

2007-06-14 13:59:30 | 本(その他)
「精神科に行こう!」
大原広軌=著  藤臣柊子=マンガ
文春文庫PLUS 

*******

この本を買ったとき、大型店舗のテナントである行きつけの本屋のオバチャンは、
「カバー、おかけしますか?」と改めて聞いて来た。
私がカバー要らずなことはもう知っているので、普段は、普通の(?)本だと
まず訊かない。
ただ、ホラー文庫などで、表紙が周囲にチョイと憚りそうなモノだと
訊いてくれるのですね。

『なるほど…このテの本はやはり、憚り扱いか』
と妙に納得しつつ、カバーは遠慮。

そうね…大抵こういう本を買う人は、その辺何かイロイロあって、
手に取るのでしょうからね。
私もやはりいろいろ最近考えることもあって、参考に買ったわけですが。
内容は…、本を普段読まないひと向け? って感じの密度でした。
精神科は全然怖くない!我々はこうだった!悩んでる人は早く行って楽になろう!
と、それだけで一冊使ってる感じかなぁ。

あー、うん、でも、この本を書いた動機は多分、まさしくそこを伝えるため
なんだろうから、主目的は達している。間違いない。

んで、私のほうの主目的には、この本は思ったほどの効果はなかったのだけど、
代わりに、長年の謎がひとつ解けました。

うちの母親、私が幼いときからずっと「心臓発作」で悩んでいました。
突然の激しい動悸…胸が苦しくなって、手足が冷たくなって、
もう死ぬかって感じの発作が、時々起こっていたわけです。
母が心臓発作を起こすたびに、幼心に、このまま母ちゃん死んだらどうしよう?
と不安にもなり、いつか突然ポックリいくかもしれないから、自分も常に
心の準備をしておかなくちゃ! という焦りを感じてみたりしたもんですが。

この本読んでわかった。
うちの母親、パニック・ディスオーダーと呼ばれるものだったんだ、と。

そんなん、心臓の検査でわかんないの? って思った人。疑問はごもっとも。
心臓が悪いという割に、古い人間である母は、大きな病院で検査を受けるのを嫌がって、
古くからの爺ちゃん先生のいる個人病院にかかっていました。
普段から血圧も相当高かったしね。
で、発作どめと、普段飲む心臓の薬も貰って、それをずーっと飲んでいたんだよね。
そのうち、母がトシをとるにつれ、何故かその心臓発作も影をひそめ、
いつのまにやら全く発作止めは必要なくなり。

でも、昨年その医者が、ついに老齢のため診療をやめ、
血圧の薬を貰うのに困った母が、別な病院にかかって発覚したのです。
心臓には特に異常なし。
貰った薬は、なんと全て、精神安定剤。

新しい病院では、高血圧のほかに、甲状腺のほうの異常も指摘され、
多分、こっちのせいもあったのかなぁ? と新しい医者は言っているようですが。
(なにしろ、もうずっと発作は起きないので、調べようがない)

当時の母は、確かにストレスの塊だったし、もともとが心配性でもあって、
家族の誰かが旅行にでも行こうものなら、毎日神棚に拝まずにはいられない性格だったし。
爺さん先生は、これが心臓ではなく精神的なものだと知っていたかもしれないなー。
昔は「精神科」と言ったらその…いまほど捌けた時代じゃないからね、
周囲の理解も無かったし、本人に「これは精神化」と言うことさえアレだったかも。

でも結局、私が大人になるまで、その症状は続いていたわけで…
軽く20年を、その「発作」に悩まされて生きたというのは、やはり、
母は人生的に大きな損をしたような気がしてならない。

今回は、いろんなことが腑に落ちました。なるほどなーって。
…もう「発作」の起こらない今、それを知ったところで、
あまり意味が無いかもしれないけど…


「時をかける少女」

2007-06-11 00:02:25 | 映画(アニメ)
「時をかける少女」 2006年
監督:細田 守
公式ページ

*****

いやいや、期待を外さない、超甘酸っぱ~い青春SF映画でした。
私の年齢だと、見ていてすごく、こそばゆいような気恥ずかしいような…って感じですが
リアル青春の人たちが見ると、いろいろ共感するのかな? 多分?

…実は私は実写映画の「時をかける少女」をリアルタイムで知っている世代。
さらに、古~いテレビドラマを小説化した「続・時をかける少女」(石山透著)は、
何故かうちの実家にあって、小学生の時読んだため、なんというか身近なイメージのある話(笑)
(この本、もう手に入らないらしいです~。さすがに今はどこに行ったかわかんないんだよなぁ)

原作つきとはいっても、やはり1960年代の作品をまんま映像化するのには無理があったのか、
(ま、そりゃそーだ)
今作は、原作版の主人公「芳山和子」は映画版の主人公「紺野真琴」の叔母として登場。
真琴のタイム・リープの秘密を唯一知っている相談役として、いろいろ役に立つんだか立たないんだか
わからないアドバイスをくれていました。
和子が出てくるなら、もしかしたら「ケン・ソゴル」も出てくるのか?と、一瞬期待しましたが、
それはナシ。

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紺野真琴は17歳の高校生。
彼女は朝寝坊した日に、最悪なツイてない一日を過ごすことになる。
学校に遅刻しかけ、小テストで失敗し、家庭科で火事を出しかけ、理科室で転び…
そして、帰り道、踏み切りに向かって坂を自転車で下っていく途中、それは起こった。
ブレーキが、効かない。
降りていく遮断機、そこにぶつかる前輪。宙を舞う自分の身体。
死ぬ、と思った瞬間。真琴の身体は時間を飛び越え、事故の起こる前に戻っていた。

美術館に勤める叔母に、それはタイム・リープという能力だと教えてもらった真琴は、
そのちからを使って、自分の都合の良いように、日々のできごとをやり直しはじめる。
だが、そうしてやり直しをしたことが、また新たな犠牲や問題を産み、
なかなか真琴の思うように、現実は変わっていかない。
細かな出来事を「修正」するために、ひたすら真琴はタイム・リープを繰り返すのだった。

腕に書かれた文字は、タイム・リープの限度数。
そして、それがゼロになった時、本当の悲劇が…

======

絵柄もキレイ。物語も自然。すごく見やすい仕上がり!
タイプの違う二人の男友達相手に「今のまんまの三角関係」を続けたいと願う主人公には
なかなかそりゃあウマすぎる展開じゃん?と思わないではいられないけどね(笑)
何回もプリン食べに戻ったり、カラオケ10時間ぶっつづけで歌ってみたり、
…主人公、いろんな意味で本能に忠実すぎで面白い(笑)
まぁ、よく言えば自分に素直な子ってとこ?

一回一回タイムリープするたびに、実際にジャンプする!っていうのはちょっと…
その時の画像がいかにも~な演出で、ちょっと引く~。
あと、細かいところに「アレ?」と思う部分多々。タイムパラドックスって何ですか?って感じ。
細かく細かくあっちこっち時間を戻してるから、見ててもわけわからん。
多分、そこが主線じゃないからこうなったんだろうけど~。

うん、でも、最近のアニメでは素直に面白いって思えるものなかったし、
これはこれで良いんじゃないでしょーか。
女性はきっとみんな、自分がこの立場だったら二人の男友達のどっちを選ぶか
意識しながら見てたに違いない(笑)
ちなみに私なら功介がいいな! 外見的に!

ラストは少し、ご都合主義っぽいかなぁ。
すごく綺麗にまとまりすぎちゃって、ええ?て感じ。
最初~中盤まで見たときは、最後はきっと、過去を変えることそれ自体の無意味さに気づき、
真琴は最初の日に戻って、不運な一日をあえて避けずに受け止めるのか、と思ってたンよ。
で、多分、死の運命だけは誰かが助けてくれるのかなって。
そしたら、そのへんは見事にスッコーンと抜かして、他人と自分の恋愛ばかりに
うつつを抜かし始めたもんだから…とほほのほ
いや、そこがいかにも青春映画らしいといえばそのとおりなんだけれども!

ついでにいえば、過去の人間にタイム・リープのことを知られてはいけないってとこで…
「記憶消すのか?」と思ったらそのまんまだしなぁ…
(叔母さんの和子も覚えてるみたいだから、いいのかな?)

母の衝撃

2007-06-07 11:56:20 | 雑事
いや衝撃ってほどのことでもないのだけど。

この間、子鬼の参観日でしたんよ。
科目は子鬼が嫌いな国語。
嫌いな科目でも、わからないなりにふつーに授業を受けてくれてたら、
まだ良かったんだけど。

子鬼はそこで…
1、イスをガタガタ揺らしだした(まだ私的には全然OKレベル)
2、鼻をほじり始めた(ちょっとイヤだが、いつものことだ)
3、その指を口に…(…せめて人前ではやめて欲しい)
4、ジャージのズボンのヒモを引っ張り始めた(鼻から離れてちょっと安堵)
5、そのヒモの先をしゃぶりはじめた(どうして何でも口に入れたがるのだ)
6、ヒモの先を鼻に詰め込み始めた(また何をおっぱじめたんだ!!)
7、引っ張り出したヒモの先を口に…(……ヒィィィィ!!)

子鬼は帰り道にガンガン説教をくらって帰ったとさ。


ええ、子鬼の身になってみればね、嫌いな科目で先生に当てられて、
人前で恥ずかしい思いをしたらどうしよう?! みたいな緊張状態だったのは
わかるんですが。
見てるこっちの心臓に悪すぎです。
ああいう時って、不衛生だとかいうこと以前に、『他人が見たらなんと思うか』
ということだけで頭一杯(汗)

他のお母さんたちが、自分の子供だけを見ていますよーに!!と
心で念じながら後ろに立っていたのでした。