鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

エヴェレスト・神々の山嶺

2016-03-31 14:05:05 | 映画(邦画)
「エヴェレスト・神々の山嶺」
2016公開・岡田准一、阿部寛、尾野真千子 ほか
原作・夢枕獏 1997年 集英社

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「水分はどんなに摂っても摂り過ぎるということはない 」
の名文で有名?な、アレを劇場に見に行ってきました。

感想…うーん。
やはりあの密度の濃い小説を、二時間ぽっちに収めるのは、無理があったかなあ。
原作で深く感動した身にとって、映画はやっぱり別モノ感がぬぐえませんねえ。
羽生や、ネパールのお国事情のダークでアウトサイダーな部分も、キレイにカットされてるし。
お国事情についてはいろいろあるにしても、羽生はもっと泥臭くしても良かったな~
それに…そもそも、あんなに根性モノな話でしたかね…;

ああ、でも、活字からは想像のつかない部分…
両手ピッケルで氷壁を上る時の実際の様子や、小さなテントにごうごうと打ち付ける風の音、
一瞬で天候が変わっていく様などは、ああ、こういう感じかーというのがアリアリと伝わりました。
特に、吹雪の勢いが半端ない…!
標高の低い(w)私の住む地域ですら、本気で吹雪いたら、まともに呼吸できません。
特に川の近くとか、障害物のないところは超強風になるので、
口周りを腕で覆ってシェルター作って、ハフハフ言いながら急いで渡る。
なので、吹雪に巻かれる岡田君を見て、こっちまで息苦しくなってしまった。

あと、小説では、へーって気分で読んだけど、
数十キロの荷物付きの成人男性担いで崖登るとか、
実際に映像で見ると人間業じゃありませんわ。山男ってすげえな;


そんなわけで、脚本の短さはともかく、主演のお二人は好演でした。
実際にネパールで撮影したんでしたっけ?
まあ、ほんとのエベレストに登らせるわけにはいかないだろうし、
もっと安全なあたりで撮影してるんでしょうが、
低い場所でもバリバリ富士山越えてる場所でしょ?過酷だったでしょうね~

最後の阿部ちゃん…絶対人形だと思ったんですよ。
へえー、よくできてんな…最近の技術は凄いね、と思ってたら…本人ですと? 
あの「死んで光を失った目」って演技でできるものなの? 
プ…プロすぎる…;
この方、本当に仕事を選ばないし、どんな役でも手を抜きませんね。

岡田君は、良いおっさんになりました…いえ、決して貶してるわけではなく。
良い年の取り方をして、魅力的なおっさんになったなと。
いつまでも若々しいサイボーグみたいなアイドルよりも、
経験を顔に刻んで年を重ねたナイスミドルのほうが、人間らしくて魅力的だと思うんだ。


んで、なんとなく惜しいなあと思ったのは、エベレストそのものの映像について。

以前、地元の大きな山の麓の自然公園に行ったとき、目の前にそそり立つ山の頂の、
すごく大きな存在感、みたいなものに圧倒された記憶がある。
自分がすごく小さく思える、あの感じ。

あれがね、感じられなかったんだあ。
山嶺の美しい映像はたくさん出てきましたが、どれも、富士山の絵葉書みたいな印象で…
いま、その懐にいる、みたいな感覚がなかったの。
やっぱ、映画館のスクリーンを持ってきてもおさまらないくらい、
世界最高峰は、スケールが違うってことでしょうかね~


…羽生のジャケが赤でなかったことと、最後がなぜ第九なのかが、密かに気になる…

「どろろ」

2007-08-04 01:20:53 | 映画(邦画)
「どろろ」
監督:塩田明彦
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、中井貴一ほか

公式ページ
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この映画については、エー? ツマブキにシバサキコウ? と、
キャスト見ただけで半分ヒいていました。
でも、最近すっかり「原作つきは期待せず見ろ」という、自分的解決法を身につけた私。
今回も、全く期待せず見て…

あら…案外…面白い、かも。

舞台・時代設定を、日本に限定しなかったことが、かえって良かったんじゃないかなぁ。
最初見たとき流れる音楽に「…何故ラテンのリズム?」と呆然としてしまいましたが、
後になると、その雰囲気がチープな西部劇みたいでなんかいい感じ。
百鬼丸を助けた医者が、どう考えても錬金術師になってるのには笑った。
うんうん、いくら異世界とはいっても、医者にどうにかできるシロモノではないやね。

ここまできっぱり設定を変えてしまったその度胸には拍手!
これ…そのまま原作を踏襲して作ってたら、オシマイだったんじゃないかと。

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父親である醍醐景光が、魔と契約したその代償として、
身体の48箇所を奪われて産まれてきた赤子。
「それ」は実の母の手によって川に流され、呪医師である寿海に拾われる。
寿海の技術により、死者より作られた身体の部品を身にまとい、成長した若者は、
人間の身体をとりもどすため、腕に仕込んだ二振りの刀を武器に、
倒すべき魔物を求めて旅を続けていた。
魔物を切り伏せ、粉砕するその刀の銘は…百鬼丸。

旅の途中で、若者は、男の成りで泥棒稼業を営む少女と出会う。
自分の名を「どろろ」と決め、若者に「百鬼丸」と勝手に名づけたその少女は、
彼の腕に仕込まれた名刀「百鬼丸」を狙い、彼の旅に同行する。
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キャストについては…最初はやっぱり違和感あったかなぁ。
俺は男だ!って言い張っても、どこから見ても女じゃん…
うん、でも、柴咲コウは男演技を頑張ってたよ。
…と、いうか、この人こんなに綺麗なのに、どうしてこんな無骨な役ばかりを…

ツマブキくんに関しては…今まで、他の映画の役どころの影響で、彼にはどこか
「コドモ」っぽいイメージを持ってたんだけど…今回は何気にカッコ良かった。
まあ、いつもは好青年でふにゃっと笑ってるような役が多いのに、
百鬼丸はほとんど笑わない根暗な役だしね。余計に新鮮だったな(笑)


さて、私の愛する魔物たちですが(笑)
最初に出てきたナイスバディちゃんは、
カニになったらそれまでのセクスィーさの欠片もなくて残念。
胸元だけ人間のまま残すとか、顔の下半分…唇のあたりだけ美女っぽく残すとか、
そういう姿のほうが薄気味悪くて良かったのに。

巨大赤ん坊。 お願いだからもう少し色調を落としてください。
あの鮮やかな肌色は作り物バレバレです。
部分的に、腐肉のように緑とか紫っぽくするとか、血管を浮かせてみるとか!
あと、まばたきさせるとか、表情を変えるとか、少しうごうご動かしてやると、
俄然リアルっぽくなると思うんですが。

鯖目…杉本哲太はともかく、土屋アンナの声が非常に素敵でした。
なので余計に、正体現してからの「吊ってま~す」というアクションが悲しい。
蛾は一直線に飛ばないでしょう…いくらなんでも…

中盤でひたすら殺される雑魚敵は、能面付き大木のビジュアルが好きです。
カラス天狗はショボい。
それにしても、どうして香港のワイヤーアクションなの?
チープな効果を狙うとしても、これがベストだったとは思えないな。

そんなわけで魔物に関しては、怖いとか不気味というより
「ヲイヲイ」と突っ込み満載の仕上がり。
これは、故意に「あまり怖くしない方向で」やってるのかのう。
とりあえず続編が出るらしいので、次からはもう少し、そのへんお金かけて作ってほすぃ。


ラストの醍醐父は、個人的に、もっと悪党にして欲しかったあぁーーーー。
なんでこんなイイ人になってるの?!
最後の魔物も魔物。そんな口先だけの約束に騙されてるんじゃないよっていう…(汗)

「死に花」

2007-07-29 03:14:51 | 映画(邦画)
「死に花」
監督:犬童一心
原作:太田蘭三
出演:山崎努、宇津井健、青島幸男、谷啓、藤岡琢也 ほか
公式ページ 
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超パワフルな年寄りの話。
ていうか、やっぱり世の中、金がないとな!
と見た後思ってしまった私は業が深いか?(笑)

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超豪華な設備を持つ、東京郊外の老人ホーム。
そこで悠々自適の生活を送る老人たちは、生い立ちも、やっていた仕事もそれぞれ。
映画プロデューサー、銀行の支店長、土木建設会社の社長、自称・アルジェリア外人部隊…

その中の一人である、計画を練るのが好きな源さんこと、源田金蔵が、ある日突然亡くなった。
自分の死を意識しての行動だったのか、生前から自分の葬式をプロモートし、
棺や骨壷まで特注した念の入れように、親しかった仲間たちは感心しきり。

そして、彼が遺した「死に花」というノートには、地下に穴を掘って通路を作り、
銀行から金を盗み出そう!という、衝撃的な計画が書かれていた。
その銀行は、もと銀行の支店長だった仲間が、責任を押し付けられてリストラされたという過去を持つ
因縁の銀行であり、その復讐を兼ねた計画に、5人の老人たちはやる気まんまんで立ち上がる。

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一体ここ、いくらなんだろう…と考えてしまうほど、老人ホームが超リッチ!
個室は広いし、設備も綺麗だし、プールやトレーニングルームも完備! すげ!
多分、ここにいる老人たちはみんな、モトはお金にそう不自由しない人種であったんだろね。
そうでなきゃ、退屈が怖いなんて言ってられないだろうし。

とりあえず、老人たちが主人公だってことで「喰わず嫌い」で見られない人もいるかもしれない。
でもねー、けっこう、面白かったですよ! 
同じく山崎努主演の「刑務所の中」もそうですが、自分の知らない世界を垣間見られる物語(笑)
笑える中にも、ほろっとさせる伏線も、ちゃんとウラに張ってあったりして。

景気の問題や、年金問題もいろいろ大変な中、簡単に「老いる」ことも難しくなってきた昨今。
私や、息子の世代には、いったいどんな「老い」のカタチがあるのでしょーか。

深呼吸の必要

2007-06-05 03:18:41 | 映画(邦画)
「深呼吸の必要」
監督:篠原哲雄
出演:香里奈、谷原章介、成宮寛貴、長澤まさみ、金子さやか、久遠さやか、大森南朋

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どんな映画かと聞かれると『癒し系』の一言で済んでしまう感じの映画です。
沖縄好きな人とかにはいいのかなー。(さとうきび畑しか出てこないけど)

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沖縄のさとうきび畑の刈り入れの手伝いとして、一ヶ月間泊まりこみで働く「キビ狩り隊」。
本土からそれに申し込み、やってきた5人の若者たちは、それぞれに悩みや問題を抱えていた。
しかし、今までしたこともない重労働の日々を重ね、様々なトラブルや困難を一緒に乗り越えるうち、
だんだん、それぞれの心境に変化が訪れていく。

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沖縄の魅力を謳いあげるひとは大抵、向こうの人間の人柄の良さを猛烈に神聖視していますが、
本当のところどうなんですかね。
私も北の大地に生まれて、親戚にも農家がいますけど、内地(こっちで言う本州のこと)
でイメージしてるほど、こっちの人間は全員が全員純朴でもないし、心広くもないですよ。
たまに来る人間には、綺麗なとこしか見えませんから…
うん、まぁ、自分の住んでるとこの評判が良いのは、とてもうれしいのだけど、ね。

だから、今回のこの映画を見て、ココロ傷ついた人が「沖縄ってこんな優しいとこなんだー」と
イメージ先行して旅に出たら、かえって落胆して帰って来るんじゃないの?とか、
変な心配しちゃったよよよん。

物語としては、ああ、こうなるんだろうなーそうなんだろうなー、という、そのままのストーリー。
別に悪い意味じゃないヨ。安心して見られるし。
それこそ、学校の授業で見てもいいくらいの、ハートフルな映画でした。

ちょっと疲れたって時、コッテリ系のご飯は胃に重いように、
ハードな物語は心に負担がかかりますから~
サラっと定番の、こういう物語も良いのではないでしょーか。

二日酔いの朝のお茶漬けって感じかな…

親指さがし

2007-04-27 20:00:45 | 映画(邦画)

「親指さがし」
監督:熊澤尚人
出演:三宅 健、伊藤 歩、松山ケンイチ ほか
公式ページ 

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原作があの人だったので、果たしてこれはどうなのかなぁと思ったんですが…
映像がとても美麗でしたねー。
こんなにカラフルかつ光溢れる画面のジャパホラーは始めてじゃないですか?(笑)

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8月13日。お盆に行われた小学校の同窓会。
そこで武は、8年ぶりに当時仲が良かった4人…知恵、智彦、綾、信久と再会する。
だが、そこには一人だけ、欠けている存在があった。

…由美子。
彼女は、8年前の夏に、皆で遊んでいる最中にいなくなり、そのまま行方がわからないのだ。
廃墟となったホテルの屋上で、皆で手を繋ぎ「親指さがし」をしたその日から。

由美子と特に仲の良かったため、いまだにその出来事を忘れられずにいる武は、
同窓会で出会った旧友たちに、もう一度一緒に親指探しをしてほしいと頼むのだった。

同じ頃、ネットには親指探しについての不気味な噂が流れ始める。
「親指探しでいなくなった子は大人になったら帰ってくる。
彼女の呪いを解かないと全員殺される」

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ホラーとしては、癖もなく見やすい、と思います。
こってりした血の匂いもしない。ねっとりした闇の喉越しも無い。
くらくらするような非現実感も、吐き気を感じるような残酷さも無し。
フルーツフレーバーのミネラルウォーターみたいなアッサリ感。
…個人的には、ちと物足りない。(笑)

でも、ホラー慣れしてない人や、ティーンエイジャーの子供が見るには
ちょうどいいんじゃないでしょーか。
わりと感動系だしー。
良くも悪くも、まとまりの良い作品と感じます。

とりあえず、最初にも書きましたが、色彩がとっても美しい。
廃墟のシーンで、からんと乾いた空虚な空間に光が差し込むさまは、とても綺麗だと思いました。


日本沈没

2007-04-12 02:03:38 | 映画(邦画)

「日本沈没」
監督:樋口真嗣
公式ページ

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原作が古いせいもあるのかもしれませんが…
多分…やっぱり! という感じの「おやくそく」感がある映画。
いっそ愉快なまでにサックリと、日本を破壊しつくしてくれましたねぇ(汗)
日本人の自国へのマゾ体質ここに極まれリ…なんて書くと問題かな?
(パロディの日本以外全て沈没が書かれたのはある意味必然のような気も…)

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海底プレートの調査の結果、科学博士の田所は衝撃の事実を知った。
日本列島は、一年後には沈没する。
その報せを受けて、対策を練ろうとする総理大臣の山本。
しかし、早くも起こり始めた災害に飛行機が巻き込まれ、あえなく最後を迎える。
代わって指揮を取る官房長官は、人民を救済することに意欲の無い人物だった。
地震・噴火・津波…次々と起こる災害に飲み込まれてゆく大都市。
一時は権限を国に奪われていた田所だったが、危機管理担当大臣である元妻の
鷹森とともに、日本を救う最後の計画を実行する。
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久しぶりだから、あらすじ書くの難しいわ…(ボヤキ)
草ナギ君のエピソードをどこに入れていいのかわからん(汗)
映画ではむしろ、そっちが主線なんだけど…
でも、彼と柴咲コウがいる時点で、大体どんな話になるかは…予測がつくよね。

映像は迫力あったわー。
これ、作り方次第ではすごくチャチくなったと思うんだけど、
すごく力入ってるなー(予算も凄いなー)という感じ。
水中に沈んだ繁華街とか、ひとッ風呂浴びてる大仏(笑)とか、
シュールな非日常光景を見るだけでも、なかなか楽しめると思います。


サイレン

2006-12-01 16:06:31 | 映画(邦画)

「サイレン」 2006年
監督:堤 幸彦
出演:市川由衣、森本レオ、田中直樹、西山潤、ほか
公式サイト
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一時期激しくCMしてたんで、ちょっと期待してたんだけど…あの恐怖ゲームも、映画だとこんなもんか、って感じかな。
とりあえず、ゾンビさん達がショボすぎて…んー。

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過去に、全島民がある日突然姿を消すという不思議な事件が起きた夜美島。
それから29年が経ち、今は新しい住民が住み復興したその島に、フリーライターの天本一家が越してくることとなった。
娘の由貴は、閉鎖的な島民と、島にまつわる迷信とを気味悪く思いつつも、病気がちな弟の世話をして日々を過ごしていく。
『サイレンが鳴ったら、外に出てはならない』
その言葉は、一体何を意味するのか。
夜に島民が恐れる鉄塔に調査に出かけ怪我をして以来、
人が変わってゆく父親。いなくなった飼い犬。
そして、由貴の耳には、闇に響くサイレンの音が…
===

堤監督の撮る画面は、ホラー向けだと以前から思っていたんだけれども。実際やってみると、あの色彩のビビッドで濃密な感じがクドいかも。
しかも今回は音に拘ったとのことで、映画全篇通してなにしろウルサイ。
これを映画館で見たひとは、終わったあとも耳ワンワンしてたんじゃなかろーか(汗)
これから借りようって人は、間違っても、夜中に普通の音量で観たりしないように。近所から苦情が山ほど来るぞ。

個人的には、これよりも「輪廻」のほうが好みかなー。
というか、考えてみればもともと、私はケイゾクもトリックも溺れる魚もたいして好きじゃなかった。トリックはともかく、ケイゾクでの彼のギャグはどうも笑えない…。堤監督が好きな人なら、これも面白いのかもしれないけど~。
せっかく舞台が離島なんだから、もう少し密室っぽい追い詰められ感あってもいいカモ。

意味ありげーに出てくる赤い服の少女の謎が最後まで解けない、と思ったら、どうやらゲームの「SIREN2」とのコラボなんだそうで。
ゲーム版では、この少女の謎が解けるらしいですよ…そういう使い方もちょっと好きじゃないなぁ。広告宣伝扱いしないで、作品単体で普通に勝負できる映画にして欲しいものです。
あと、あのオチは……
ラストを知ってから見なおしても、いろいろ腑に落ちないのですが…
あのノートの断片を手に入れた家にいた男も妄想?
あの家を壊して侵入してきた人たちも妄想? 
どこからどこまで?伏線わかんないっすよ?!(汗)

見る価値があるのは、森本レオの狂いっぷりくらいかな~。
まさかの配役で、なかなか良かったですよ。
あと、嶋田久作演じるお巡りさんの
『射殺…します…』は素敵でしたね。さすがは加藤様(違)

ハサミ男

2006-11-24 23:24:50 | 映画(邦画)

「ハサミ男」 2005年
監督:池田敏春
出演:豊川悦司、麻生久美子、阿部寛、斎藤歩、阪田瑞穂、樋口浩二

公式ページ
***

ホラーじゃないです。猟奇殺人系のミステリー作品。
上映当時はテレビCMも少しやっていたような気がするけど、
あんまり大々的には話題にならなかった…よね?
期待しないで見たせいかもしれないけど、見た感じ、もうちょっと評価高くても良さげ。
話題のアイドルとかではないけれど、実力派で演技のいい俳優もでてるし。

豊川悦司の、聞いてるだけで催眠暗示にかかりそーなあの口調と声がなんかイイ味出してる。
でも残念ながら、彼には、爽やかな笑顔が全然似合わない…かも(汗)

んで、原作も読んでみました!!
これ、作品の中に文章だからこそできるヒッカケがあって、映像化は不可能と言われてたらしいです。
うん、そこを踏まえてみても、映画版はまずまず頑張ったほうじゃないかな。
ただ、原作に比べ、映画はどちらかというと雰囲気が『女性向け』な仕上がり…。
ラストも綺麗に纏まりますし、救いもあるし、ヒロインにちゃんと彼氏(?)もできる。
(これだから、映画版は二時間サスペンスドラマって言われるんだろうなぁ…)
残酷な中にもちょっと癒されたい感じの人は映画のほうがお勧め。

そうそう、これにも阿部寛さんが出てました。…この人、本当に仕事を選びませんよね。
映画にドラマにCMに、かなり売れてて演技派なのに、ホラーや殺人鬼役や、Drイラブのような、突拍子も無い役をやってたりするのがなんかイイ感じ(笑)
というか、もしかして、本人、癖のある役が好きなんでしょうか(汗)
思えばトリックの上田、うぶめの榎木津、奇談の稗田礼二郎…ドラマでも、この間『結婚できない男』で、かなりリアルな独身男の役を演じておりましたっけね。

「隣人13号」

2006-09-27 14:09:27 | 映画(邦画)

「隣人13号」 2004年
原作:井上三太
監督:井上靖雄
出演:中村獅童、小栗旬、吉村由美、新井浩文、三池崇史

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さて、最近人道的な本ばかり読んでいたので、残虐なのを一本!
原作はね、読んでないんですよね。
こと、コアでディープなファンがついている、こういう作品の映画化というのは、
なかなか難しいと思いますが…これ、あんまり酷評されてません。
ファンも納得の出来ということでしょうか。

映画だけ見た印象も、案外良かったですよ(笑)
個人的には、最後がね。ちょっと物足りない(←?)んだけど。

中村獅童の怪演が素晴らしかったです。片白目の不気味な姿もさることながら…
…あの、声がね。かなり素敵でヤられました。ハイ。

===

小学生のころ、酷い苛めを受けていた村崎十三。
彼の中には、13号と名乗るもうひとつの残虐な人格がおり、
苛めを受けた赤井トールへの復讐を狙っていた。
赤井と同じ職場に勤め、同じアパートに住み、ひそかにチャンスを狙う13号。
そんなこととは知らず、赤井は昔のことなど忘れて幸せな家庭を築き、
新入りの十三に対して嫌がらせを繰り返す。

13号の行動は、やがてエスカレートしていき、周囲の無実の人間までも
次々と手にかけるようになっていく。
そして、ついにそれは、赤井の幼い息子に及び…
赤井と13号は、かつて二人が通った小学校の中で対決することになる。

===

最後が物足りない、と最初に書きました。
原作知ってる人は、多分、この展開を知ってるんだろうけど、私は知らなかったから…
なんか意外だったな。13号の最後も、なんとなくSFチックな終わり方も。

というのも… だって、どうしてここまでやって、一言謝られたくらいで許しちゃうわけ?
罪も無い子供を殺すことに躊躇わなかった男が、殆ど、復讐の相手を痛めつけることもなく、
謝罪の言葉で納得するのはどうかと思う。
絶対、もっと拷問風の『ただでは死なない』ような方法で殺すと思ってたよ…
生かすにしても、同じように顔焼くとかさ。

そして最後の『過去のやり直し』っぽい異次元ラスト。
見ていて「…アレ? え? オイオイ?!」って感じ…
確かに残虐なシーンは多々あるんだけど、このラストが全てを中和して覆す。
実は、この物語は本当は小学生の十三の……っていう解釈もできるアレが、
それまでのリアルな残酷さを半ば夢のように薄めてしまうのだ~(汗)

あ、いや、物語としては、かなりベストな感じですよ。悪くない。
綺麗に纏まって、見ている視聴者も、あれのお陰で悪夢から日常に帰れるような…
これが無かったら、かなり後味悪い物語だったでしょう。

…でもね、ちょっと期待して見てたもんだからさ。赤井トールの死に様を!(笑)

ええっと、残虐描写は…シチュエーション的にはかなりムゴいんですが、
画像的にはそれほどじゃありません。死体も出るには出るけど…そんな酷くない。
ていうか、あれだけメッタ刺しにされた割には、そんなもんかぁ?って感じ。
これは多分、故意に映像を抑えてるんじゃないかな。
監督がこの映画で見せたいのはそこじゃない、って意図がある…んでしょうかね。
なにしろラストがアレだし。


ところで、この映画、三池監督が特別出演しています。
記者会見の記事を見ると井上監督がこんなことを言っておりました。
「素晴らしい監督さんですので役者としても成立するようなシーンを心がけました。
 やさしい方とお聞きしているのでプレッシャーはありません」
…そして、その役柄は作中思いっきりメッタ刺しなわけです。
こういう吹っ切れ方がとても好き(笑)

この胸いっぱいの愛を

2006-08-13 03:12:29 | 映画(邦画)

「この胸いっぱいの愛を」 2005年
監督:塩田明彦
出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎

公式ページ

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一大ブームを巻き起こした「黄泉がえり」の原作を書いた
カジシンこと梶尾真治の作品の映画化です。

柳の下の2匹めのドジョウは…やっぱりいないかも。
多分こうかな?と先が見えちゃうぶん、感動ウスめなんだな。
黄泉がえりに比べて、話がメロドラマすぎるのもちょっとね。
関係ないけど、ミムラがどうしても管野美穂に見えるのは私だけ?(汗)

===

出張で、自分が子供時代を過ごした北九州の門司を訪れた鈴谷比呂志。
昔と変わらぬ風景を懐かしみ、その頃住んでいた祖母の旅館を尋ねた彼は、
そこで一人の少年に出会う。
見覚えのあるその姿は、20年前の自分自身だった。

混乱して町を彷徨ううち、比呂志は、九州までの飛行機で一緒だった
二人の乗客と出会い、自分たちが確かに、過去の世界にいると確信する。
なんのために、自分たちはここに来たのか。
乗客の一人、臼井は、自分が出会ったもう一人の乗客の、盲目の婦人の例を出し、
何か自分たちがこの時代でやり残したことを、もう一度やりなおすために
来たのではないかという。
そして、比呂志には確かに一つだけ、心残りな思い出があった。

いつも、比呂志を可愛がってくれた「和美姉ちゃん」。
バイオリニストを目指していた彼女は、この頃、難病にかかっており、
絶望のため手術を拒否してこの世を去ってしまうのだ。

今度こそ、和美姉ちゃんを助ける。
比呂志はそのために、実家である旅館に住み込み、昔の自分と共同生活を始める。

===

うーん、黄泉がえりがすごく好きだったひとは、一度見てもいいかもしれない
…て程度かな。
悪くはないんだけど…別にすごく良くもない、ていうか2番煎じの域を超えない。
どうせならもっと原作に近く、SF色を強くすれば良かったのに。
5段階評価で常に真ん中? って感じで心に残らないなぁ。

ただ、黄泉がえりを見なかった人&純愛モノが好きなひとには、
案外ウケるかもしらん。