鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

チャーリーとチョコレート工場

2006-02-28 16:31:54 | 映画(洋画)

「チャーリーとチョコレート工場」 年
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、ジュリア・ウィンター、
   アナソフィア・ロブ、ジョーダン・フライ、フィリップ・ウィーグラッツ

チャーリーとチョコレート工場
読み込み重いので注意。

***

「チャーリーとチョコレート工場」というより
「ウォンカのチョコレート工場」て感じでしたね。主役誰だ(笑)
なにしろウォンカの変人っぷりが素晴らしく、登場シーンの「人形焼」で既に掴みは完璧。
ついでに渋い顔で踊り狂うウンパルンパが実に良くて。うちにも一人欲しい(笑)

===

誰も雇わず、中でどんな風に工場が動いているのか誰も知らない、ウォンカのチョコレート工場。その工場を見学できるたった金色のチケットが、板チョコに紛れて売られることになった。
その枚数はたったの5枚。
一枚は一日中お菓子を食べ続ける少年、オーガスタスに。一枚は頭のいい少年マイクに。
一枚は我儘娘のベルーカに。一枚は野心家の少女バイオレットに。
そして最後の一枚は、町のあばら屋に住む貧乏な少年、チャーリーに。

5人の少年少女たちは、それぞれの期待を胸に工場の門をくぐる。
そこに待っていたのは、奇妙な格好と言動を持つ工場主、ウォンカと、彼の工場で働く風変わりな従業員たちだった。

===

もともとあんまりウラのある話じゃないですからー、
素直に映像の綺麗さと、有り得ない物語を楽しめば良いのではないでしょうかね。
変に可愛くない子供達が痛い目に遭うところなんか、なかなか気分爽快です。

に、しても…向こうのお菓子って、どうしてこう皆毒々しいんでしょうね。
真っ赤、真っ黄、真緑~って感じだもんなぁ。
昔、グアムのお土産に貰ったゼリービンズは、食い物とは思えない見た目でしたよ…。
紺色とか江戸紫の菓子作るか普通。

ついでに…海外チョコは味もあんまり好きじゃない…

妖怪大戦争

2006-02-28 15:57:11 | 映画(邦画)

「妖怪大戦争」 2005年
監督:三池祟史
出演:神木隆之介、菅原文太、宮迫博之、豊川悦司、栗山千明、高橋真唯、阿部サダヲ
特別出演:荒俣宏、京極夏彦、水木しげる、宮部みゆき

妖怪大戦争 公式サイト

***

見たあと、この感覚はどこかで…と思いました。
そして辿りついたのは「ジュブナイル」。香取くんの出てた児童向けSF映画ですね。
映像や物語を、子供向けに故意に甘~くしてるところが似ているような気が。
冒頭に出てきた妖怪「件(くだん)」(人間の顔を持つ牛の妖怪。生まれてすぐに未来を予言して死ぬ)
の映像の怖さを考えれば、もっとリアルにもできるんだろうけど、あえてニセモノ臭くしてある感じ?
とりあえず、リアル嗜好のひとや、子供向け番組が苦手なひとは無理かもしれない。
きっと、最後のところでなんじゃこりゃあーと叫んでしまうだろうから(笑)

ただ、妖怪たち初め、キャストが面白いのは見所のひとつ。
どっかで見たようなひとが、妖怪の特殊メイクで出張る姿は、それだけで楽しい~。

キャストといえば、個人的に注目していた加藤様。
「クロウ」のパクリのようなポージングはさておき、眉毛ソリソリした顔も、
一見柔らかな声と物腰も、思ったより悪くはなかった。
しかし、やはり私の中での、Best of Katouは嶋田久作さんですね。不動なり。

===

十歳の少年タダシは、両親が離婚した為、母親の実家のある鳥取で暮らすことになった。
都会で育ったタダシは、地元の子供達になかなか馴染めず、毎日からかわれる日々。
しかも、仲の良かった姉は父親と東京に残っており、母親は仕事で忙しく、一緒に暮らしている祖父は半分ボケて、タダシを自分の息子アキラと間違える始末。
そんな寂しい日々の中、タダシは地元の神社の祭りで「麒麟送子」に選ばれる。
世界に平和をもたらす英雄として、大天狗から剣を授かるため、一人山に入ったタダシの目の前に現れたのは、恐ろしい化け物の群れと、可愛らしい一匹の動物…すねこすりだった。

出会った妖怪たちと共に、タダシは、人間の世界を壊そうとする魔人・加藤保憲と対決する。

===

…ラストの小豆には泣かされました。か、加藤様が…加藤様が…(涙)
バックに流れる「あずーきズキズキ♪」という馬鹿みたいな歌が涙を誘うーぅーー。
そして原作本を見てみれば、冒頭のページには小豆の説明が…なんか悲しいぞぅ!

…とはいえ、原作本と映画では、内容が随分違いました。
原作の方が「真っ白い嘘」に説得力があった。そして、何よりアギが可愛い。
映画版・アギは、派手な衣装に比べ、思ったより人間臭く感じましたね。
キル・ビルのゴーゴー夕張や6番目の小夜子の小夜子のほうが、ずっと化け物じみていた気が。

そして主人公の見所ですが、これは怯える演技と悲鳴につきます。
「わあぁあぁあぁぁぁ!!」とか
「うえぇっ、あっ、うぇっ」とか
「おぉぉおぅ、おぅおぉぅ」とか。
確かに、人間本気で怯えたら「ぎゃー!」なんて言えないかもしれない(笑)

そして子供に付き合うお父さん達には、もうひとつ。川姫のフトモモでしょう。
水に濡れた感じがなんかえっちぃーーーと思いつつ見ておりました。
つか、フトモモ強調アングル多すぎだってばよ(笑)

さて、タイトルは「妖怪大戦争」となっておりますが、実際は戦争じゃないのですよね。
ゲゲゲの鬼太郎の昔のオープニングに「お化けにゃ学校も~試験もなんにもナイ!」と
いうのがありましたが、妖怪の辞書には「戦い」や「憎しみ」という言葉もナイのです。

川姫のセリフ「復讐は人間の証。私はそこまで堕ちたくない」
この言葉で、スネコスリを失って復讐のために剣を振るっていたタダシが我にかえる様子、
「麒麟送子」…決して他者の命を奪わない慈悲の神獣「麒麟」の申し子という寓意。
さらに、原作版では、最後に加藤を滅ぼしたのはアギの愛情であること。
「妖怪大戦争」と銘打ってあるものの、実のところは「戦争なんかくだらない」というメッセージ満載でした。
『怒ったり、憎んだりする暇があったら、馬鹿みたいに踊って騒いで忘れようぜ!』て感じ?

シメは映画の最後のセリフ「戦争はいけません。腹が減るだけです」
この役をやった水木しげるさんは、戦時中にラバウルに出兵し、その際に片腕を失っています。
そういった方の言葉だと思うと、ものすごく説得力があるような気がしてきませんか?

ところで、話はかわりますが。
私が小学校のころに初めて自分で選んで買った本は、水木しげるさんの「妖怪大図鑑」です。
本自体はさすがにもう残って無いのですが、当事は熟読しましたからねー。
今でもけっこう妖怪名覚えてますよ。イラスト見れば、大概名前も当てられる自信アリ(笑)
一体どうして妖怪なんだ、もっと女の子らしい本じゃなくていいのか、と家族にさんざん言われた覚えがありますが、「私、これで勉強して妖怪博士になるの!」とか言ってたらしい…
一体どういうお子様だったのでしょうかね…

とりあえず、この映画を見たら、鳥取に行きたくなりました…
もちろん、メインは水木しげる記念館で。

水木しげる記念館

水木しげるの妖怪ワールド

奇妙で可愛いデザインサイト

2006-02-16 08:58:09 | 雑事

ちょっと面白いデザイン&ゲーム&写真サイト。

イーブル・デザイン

メニューの類がなく、ページを更新するたびにランダムでゲームや写真集へのリンクが出ます。
もともと「FORGET」というゲームの紹介で知った場所なのですが、
白黒の線画で描かれる妙なキャラクターたちは、なんとなく魅力的。
UGP(アンダー・グラウンド・プール)という名前(個人名? 集団名? 会社名?)
も「無意識下の海」という意味にもとれて、面白い。

いちいちクリックするのが面倒なアナタには、私のわかる範囲で親切リンク。
でも、新しいリンクが出てこないかカチカチ探すのも面白いっすよん。

「赤東京」
ランダムで山手線11駅を回る写真集。

「FORGET」クリックゲーム。
説明をよく読んでからはじめよう。けっこうムズ。 

「FORGET 2」 クリックゲーム。
前作よりは簡単。終わると、オマケ「宇宙の神秘・救済装置」へ行けますよん。

無個性タイピング
タイピングで画面の彼等に個性を与えよう!
つかすごく難しいんですけど…(汗)

コトバの教育式
こういうジャンルはなんていうのかな? デザイン作品?

野良写真
切り取られた細切れの日常。

SIREN2 クリックアドベンチャー

2006-02-12 23:56:09 | 商業ゲーム(コンシューマ)

超怖いゲームでおなじみ、SIREN2のサイトで、
雰囲気だけ楽しめるクリックアドベンチャーがありましたよん♪

いや、これ怖いわー(汗)
前作SIRENも、やたら難易度高いうえ、やってる時の緊張感が凄くて、
結局最後までできなかった覚えが…
映画化もしたようだけど、どんな出来なんだろか。

音量注意ー。
宣伝ゲームなので、最後はやっぱり殺られてしまうのだけどネ。

SIREN2 クリックゲーム
(閲覧にはフラッシュプレイヤー8以上が必要)

SIREN2 公式サイト

樹の海

2006-02-10 11:20:35 | 映画(邦画)

「樹の海」 2004年
監督:瀧本智行
出演:萩原聖人、井川遥、池内博之、津田寛治、塩見三省 他

公式ページ 

***

青木が原樹海の話…といえば、暗く湿った木々の間に張られたロープ、そして、てんてんと転がる
自殺者たちの遺品、といったおどろおどろしいイメージが浮かぶかもしれません。
しかし、この映画はなんと感動系なのですね~
いや、勿論、私の紹介する作品ですから、死体は出ますよ。首吊りして、蛆湧いたりってのが。
でもね…なんていうかなぁ…そう、扱いがね、とても真面目。
生きること、死ぬことを、とても真面目にとらえている。
だから、あんまり怖くは感じないんだな。

===

富士の裾野に広がる、青木が原樹海。
そこは自殺の名所とされ、多くの人間が毎年そこで命を絶っていく。
今も、また、様々な事情を抱えた人々が、その森を彷徨っていた。
樹海に関わる4つの物語が、交錯しつつ、語られていく。

5億円の横領事件を起こした男。朝倉。
彼は、関わっていた暴力団組織の手で口封じのために殺され、富士の樹海に捨てられた。
奇跡的に息をふきかえしたものの、帰る場所も無い。
ただ、森をあてどなく彷徨う彼の前に、やがて、首吊り自殺を試みようとする、一人の男が現れた。
「止めないでください!!」
縄に手をかけ叫ぶ男の異様な姿に、朝倉は一度は逃げ出したものの、道に迷った挙句、
同じ場所に戻ってきてしまう。
そこには…先ほどの男の死体がぶら下がっていた。



悪徳金融業者の若い男、タツヤ。
膨大な借金を抱えて逃げた顧客の北村今日子から、
「死ぬつもりで樹海に来たが、足をくじいてしまった」という電話が入る。
自分でもわからぬ感情に突き動かされて、携帯電話を手に、今日子を求めて樹海に入るタツヤ。
電話で話しつつ、今日子を探すうち、彼の中にあった様々な想いが呼び覚まされていく。
森に迷っているのは、誰か。
探しているのは、今日子なのか、それともタツヤ自身か。



平凡なサラリーマン生活を送る、山田。
彼のもとに、探偵を名乗る男三枝が、突然会いに来る。
一枚の写真を見せ、山田と一緒に映っている女性に心当たりは無いか、と尋ねる三枝。
だが、酒の席で、行きずりに撮られたらしい写真に、山田には全く記憶が無い。
その女性は、富士の樹海で自殺したのだという。彼女が幸福だったころの手紙や写真を携えて。
「彼女が間違いなく生きていた、という事実を集めて遺族に渡したい」
そう言う三枝の真摯さにうたれて、山田は懸命に記憶を辿る。



駅の売店で働く女性。映子。
彼女は過去にストーカー行為を働いたことがあり、そのために職をやめ、地元を離れて暮らしていた。
過去をひきずり、新しい恋愛さえ求められない彼女だったが、ある日、かつてのストーカー相手が売店に現れる。
気付くだろうか、と不安と期待に慄きながら、応対をする映子。
だが、相手はまったく、映子のことを覚えてはいなかった。
自分だけを置き去りにして流れる時間に絶望を覚えた映子は、樹海行きのバスに乗り込む。

===

ホラーってのは、結局のところ娯楽です。
だから皆、手を変え品を変え、なんとか怖がらせようと策を練る。
死体はアイテム、幽霊は象徴。そこに人権は無いんですよね。
「それ」がもと一人の人間で、笑ったり泣いたりしていた、ということを語り始めたら、
とてもじゃないけど後味悪くて、恐怖を愉しめないですから。

そういう意味で、これは決してホラーではありません。
なんか、見たあと切なくなっちゃったよ…(ホロリ)

全体として、テーマがテーマだけに「重い」と感じるひとも多そう。
後、登場人物が自分の人生をモノローグで喋ってる部分が多いので、ダルい人はダルいかも。
酔っ払いの愚痴聞いてる気分に近いっす(笑)
ただ、本当に真面目に、「死」を見せることで逆に「生」を際立たせる物語でしたので、
「もう死にたいー」と思ってる時に見ると、いろいろ感じるところが違うかもしれません。

樹海の映像が良かったですね。ナチュラルで。
大概、恐怖特番で樹海が出ても、夜だったり、昼でも褪せた緑色で綺麗じゃないんだけど、
この作品では、深くて綺麗な森でしたよ。

真冬に真夏の風景を…ぼくのなつやすみ美術館

2006-02-08 10:54:00 | 雑事

発作的に買ってしまった本「ぼくのなつやすみ美術館」
アマゾンで見たときは、もっと大判なのかと思っていたら、
攻略本サイズだったのでちょっと驚きましたが、中身の雰囲気はやっぱり良くて、
今、私の気分はかなり夏です(雪祭りの季節だというのに)

コレは何かというと、ゲーム「ぼくのなつやすみ」で使われた風景画集。
絵自体は、ゲームで使われるということもあって、絵画というよりはイラストレーション系かな。
まっさおな空に、まみどりの草、という明るめの原色系の色彩はまさしく夏。

多分、ぼくのなつやすみを知らない…あるいは、やっても「ふぅん?」で済んだひとは、
これを見てもなんとも思わないと思う。
でも、あのゲームに、いまだに大ハマリの私としては、見るだけで嬉しいのだなー。

なんでこんなにハマるのかって…やっぱりそれは、懐かしいから、でしょうね。
多分、私の持つ子供時代の風景と、作中のボクちゃんのいる風景が、すごく似ているからでしょう。

低い視点から見上げる空。近い地面。風の感触、鮮やかな花の彩、鉄サビで茶色くなったブランコ、それを握った手の金臭い匂い。
その風景を見ただけで、ここの感触はこう、ここの空気はこう、と、ありありと想像できてしまいます。
ボクちゃんの思い出は、そのまま、私自身の思い出と重なり、同化し、
忘れた筈のあの夏へ、あっという間に心を連れて行ってしまう。

ぼくのなつやすみには、とにかく根強いファンがいて、
今年の6月にはなんと、ぼくなつ1,2合わせて受注百万枚を達成したそうです。
その数が、評価の高さを現していると、ボクちゃん贔屓の私は思うのですがどうでしょう(笑)

ちなみに、うちのぼくなつソフトは、子鬼がハマりまくったため傷だらけです。
いつ読めなくなるかと気が気でなくて(笑)
自分用に廉価版をもうひとつ買っておこうか、なんて本気で考えていたりします。

ちなみに、背景を担当した会社のサイトはこちら。
他にも、アークザラッド3とか、ハガレン劇場版等、
ゲームやアニメの背景を担当なさってるようですよ。

草薙ウェブサイト

(つか『痕』の背景もここだったのね…ぼそぼそ)

***

最近の映画。
「妖怪大戦争」。借りましたがまだちゃんと見てません。
ちょっと見、やはり川姫がえっちぃ感じに見えてしかたがありません(笑)
「FLY,DADDY,FLY」同じく、まだ見てません。

ちょっと気になってるのは「隣人13号」と「樹の海」。

電車男(映画版)

2006-02-08 10:15:57 | 映画(邦画)

「電車男」 2005年
監督:村上正典
出演:山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、佐々木蔵之介、木村多江 他

公式ページ

***

今更とお思いでしょうが、やっと見ましたよ、映画版!
結果はですね…ドラマよりも、ずっと良かった!!!
ドラマ版がなにやら極端なことになっていたので、半分映画もどうしようか迷うところだったのですが…
借りてみて良かった。損はなかった♪

映画の電車男、なかなかお茶目で可愛い過ぎです。 母性本能くすぐられる感じ。
ドラゴンヘッドのノブオ役でも思いましたが、山田孝之くんは演技が上手ですね。
確かにモトはいいんでしょうが、最初のあのオタク姿が、あんな爽やか青年になるとは~!
ダンナはアレを見て「やっぱり、髪型の印象って大切だよな…」としみじみ言っておりました。
(彼はちょっとだけ頭頂部が危ない/笑)

===

アキバ系オタク、彼女いない暦=年齢、の主人公は、
ある日電車の中で、酔っ払いに絡まれている女性達を見かね、勇気を出して注意する。
その結果は、決して格好いいものではなかった。
が、それが縁となり、後日、一人の女性からお礼の品が送られてきた。
それは…エルメスのティーカップ。

その女性に好意を抱くも、今まで、オタク一本だった彼には、どうしていいのかわからない。
彼はハンドル「電車男」となって、女性「エルメス」とのことを、インターネットの掲示板で相談しはじめた。
名前もわからない、不特定多数の人間の善意に支えられ、服を買い、コンタクトを買い、
お店を下見し…とアドバイスにしたがってイメチェンを計る電車男。

最初は、お礼の電話一本かけるのにも励まされ、叱咤されていた電車男だったが、
やがて、彼は自分への自信と勇気とを得て、本当に変わっていく。

===

いや…今更粗筋なんか必要ないとは思うんだけど(笑)一応ね。

やはり、映画ですから、綺麗~に作られてる部分はあるのですが、
ドラマ版でオタクは珍獣のような扱いだったのに比べ、映画版のほうが向ける視点が優しく、
見ていて気持ちいいと感じました。
ちょっとした仕草とか、一生懸命さとか、ラストの震える手とか、積まれた砂糖とか(笑)
女性なら「なんか電車くん可愛いー」と言いそうなエピソードがテンコ盛り。

また、作中で電車男がエルメスのために、パソコンのカタログ全部に(!)
付箋をビッシリ貼り付けて、詳しい注釈を入れる、という場面は、
非常にオタク「らしい」エピソードで、大爆笑。
オタクっぽいけど、その一生懸命さが微笑ましくて可愛いんだな。
脚本書いたひと、女心がわかってるな~(笑)て感じです。

ドラマ版は「不釣合いなカップルの恋愛」「美女と野獣ならぬ、美女とオタク」
というのに偏りすぎて、見ていて辛かったので、今回は素直に嬉しかった。
ギャグでもなく、奇をてらったわけでもない、フツーのオタクとフツーの女性のラブストーリーが微笑ましいですよん。

実話かネタか、というのは、もうずっと以前に論議されたり書籍も出たりしたようですが、
私はどっちでもいいと思っています。
この原作が、実話でもネタでも、それを読んだり見たりしたときの感動が薄れるわけじゃない。
むしろ、これをネタでやってたとしたら、電車男は凄いな、と素直に脱帽するかも。

「玩具修理者」

2006-02-07 13:48:14 | 映画(邦画)

「玩具修理者」 2002年
製作総指揮: 奥山和由 監督:はくぶん 脚本: 相良敦子
出演:田中麗奈、忍成修吾、麿赤兒、姿月あさと 美輪明宏

「玩具修理者」

***

さっそく見てみました!
うわぁ、原作とは全然解釈が違いますね。これ。
原作では不気味で混沌と汚濁の化身であるかのような「ようぐそうとほうとふ」が、
映像版では、もっと綺麗なもの…存在自体が「上のもの」として描かれているように感じます。
見ていて感じるのは、恐怖じゃないというかー。
だからホラーよりはファンタジーって路線になったのね…。
うん、でも、全体の雰囲気は悪くない。ホラーが嫌いでも見られます。

===

ある日、レトロなおもちゃの修理を扱う岩井の店に、一人の女性が尋ねてきた。
そこでバイトをする高校生、道雄は、おもちゃの説明をするうちに、
その女性の言葉に魅せられていく。
それは、彼女が幼い頃に出会った「玩具修理者」の話だった。
ようぐそうとほうとふ、という奇妙な名前を持つ玩具修理者は、子供達に重宝されていた。
なぜなら、どんなおもちゃでも、彼の手にかかれば直ってしまうから。
ぬいぐるみも、ゲームカセットも…死んでしまった猫でさえ。
彼女は昔、間違って殺してしまった弟を、玩具修理者に「修理」してもらったのだと言うのだ。

===

もともと、監督の「はくぶん」さんはNHKで映像の仕事をやっていて、この作品が初監督だとか。
映像を専門にしていただけあって、ファンタジックな画面処理が非常に上手いです。
…まぁ…一部の『アルミホイル包み焼き』(笑)にはガックリきたんだけど…(笑)
それ以外は雰囲気良かったですよ。
故意に焦点をボカした感じ、ところどころ、こころもち斜めになった画像もいい。
物語全編、モノローグという作りは、人によって好みが別れそうですが、
なにしろ80分の短編なのでそれほど気になりません。

ただ、既にこれはクトゥルーではないですね。名前を使っただけの別モノです。
最初にも書きましたが「ようぐそうとほうとふ」の解釈が全然違う。
大小の石を寄せ集めた、二件の家の隙間に建つ小屋に、ぬめぬめと脂ぎった手足を持ち、
布切れを巻きつけただけのような衣服を着た原作の「玩具修理者」と、
森の奥の、なにやもわからぬ残骸の中に住み、ゆらゆらと白く発光する、
映像版のそれとは、天地の差がありすぎかと。
いっそ気持ちいいくらい「狂えるアラビア人」的な要素が払拭されていました(笑)
同じ物語を使いながらも、ここまで違う世界観になるんだ、というのに
驚くとともに、面白いなとも思いました。

最後は、クトゥルフの邪神を使った「邪神占い」です(笑)
私はタイプ9のツァトグァ…怠惰なところは当たっている。どうしよう。

「邪神占い」

「姑獲鳥の夏」

2006-02-02 10:32:35 | 映画(邦画)

「姑獲鳥の夏」 2004年
監督:実相寺昭雄
出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世

公式ページ

***

うぶめの夏、を見ました。
んー、んー……ごめん、B級…

いや、B級にはB級の良さもありますし、マイナーな映画でも好きなの一杯ありますが、
この映画は…いわばB’級といいますか。
なんていうかねぇ。作り手の愛が感じられない映画でしたね。
この物語を映画化して、一体何をしたかったんですか?と聞きたい出来でありました。

まず、原作を読んでいないひとには何がなんだかわからないだろう展開。
そして読んでいる人には、耐えられないのではと思われる、映像の軽さとチャチさ。

もともと、京極堂シリーズの一番の見せ所は「言霊の魅力」です。
京極堂の喋りだけではなく、あの本の厚みと同じだけの、膨大な薀蓄(笑)
でも、書き言葉である書籍だからこそ、あの厚みでまだ済むのであって、
あれを喋り言葉で理解できるように変換したら、あの倍では済まないんじゃないかと思うのです。
ふつーに喋ってる時、私たち、そんなに難しい単語を使わないですよね。
しかも、会話の殆どは、「あー、そうそう」「そうかな?」「○○って?」といった、
相槌や、理解を補完する言葉が多いような気がする。
つまり、読んで理解するのと、聞いて理解するのでは、聞くほうがはるかに能率悪くて時間がかかる。

そして、書き言葉でもあの厚みの京極堂を、映画…しかも、2時間くらいのワクに押し込めようというのだから、
無理がかかるのはある意味当然なのかもしれません。
結果、喋り続けて、その言葉を理解するより先に進んでいってしまう物語、って感じになってしまったような。

とはいえ、原作ファンなら、そもそも粗筋を知ってますから、…それでもついていけるでしょうが…
それならそれで、もっと画像をマニア向けにしてくれたら良かったのに(笑)
眩暈坂の夜のシーンなんかは、一昔前の牡丹灯篭もかくやという安っぽい感じで…。
最近は、CGの画像処理も進んでいて、現実に居ない者さえさも居るように見せられる時代です。それなのに、現実にありそうな坂道ひとつでこれなのか、と泣きたい気分になりまする(泣)

キャストについては…頑張ってるだけに、なんだか気の毒に見えました。
あの長いくどい理屈っぽい長セリフを、ロングでえんえん演じ続けた堤さんには素直に拍手。
逆に、役にぴったりじゃないかなーと思っていた阿部さんは、なんというか浮いて、いた、かも(笑)

何故かわかりませんが、この映画、登場人物が妙にバラバラに見えたんですよね。
原作では、個性的過ぎる面々を全編に渡って包み込む「同じ空気」みたいなものがあって、
どんな異常な状況も、その「場」の中では普通に有り得ることになってしまうような、
強い雰囲気があるんですが、映画にはそれが無いんだな。
だから、登場人物が全員、ただの変人揃いに見えてしまって(汗)
そう…例えるなら、昼の光の中でお化け屋敷を見ているような、ちぐはぐな感じだった。

うー、もし、今回の映画で京極堂が納得のいく出来なら、
「御手洗潔」映像化もアリかと思ったんですが。
…やっぱりこれは無理かもしれないな…

***

今回、これを書くのに検索したら、田中麗奈主演で、
「玩具修理者」映像化していたのですね!
前に、原作をレビューした時は気付きませんでしたよ…
これは、是非見なくちゃ! ツタ○にあるかな…。

リカ 五十嵐貴久

2006-02-01 10:30:10 | 本(小説)

「リカ」 五十嵐貴久
幻冬舎文庫 平成15年

***

2001年に「第二回ホラーサスペンス大賞」の大賞を受賞した作品です。
怖い、これは怖い。ネットをやる身としては本当に怖い。
女性の私ですらそうなのだから、実際に身に覚えのある(笑)男性には、もっと怖いのでは~。

感覚としては「助平心を持ったオヤジに制裁を」ってな話なんですが、
ネットの文字の向こうにいる人間のことを、本当は何も知らない、という現実を考えると、
妙にうすら寒くなってしまうんだな。
文通相手が殺人鬼!とか…(ないと思うけど)あったら怖いぞー(笑)

===

幸せな家庭を持つごく普通の会社員、本間は、ある日友人に
「出会い系サイト」について教えられ、興味を抱く。
やがて些細な恋心やときめきを楽しむ、メールでの恋愛ゲームにすっかり嵌った本間は、
ある日「リカ」と名乗る女性と知り合った。
臆病で控えめで、感じの良い印象だったリカは、
メールの内容が親密になるにつれ、段々とその様子を変えていく。
その異常性に本間が気付いたときは、すでに遅かった。

異常な行動、ストーキング、そして…身の回りで起こる残虐な殺人。
警察の介入さえも、救いにならない怪物…それが「リカ」。

===

「もしもし、あたしリカちゃん。今、駅にいるの」
「もしもし、あたしリカちゃん。今、あなたのお家の前にいるの」
「もしもし、あたしリカちゃん。今、あなたの後ろにいるの」

そんな有名な都市伝説を髣髴とさせるこの作品。
というか、作者のかたはこれを踏まえたうえで、
新たな「インターネットの都市伝説」を生み出そうとしたんじゃないでしょうかね。
ネットの出会い系サイトに出没する「リカ」には、口裂け女や、
自宅のベッドの下に潜む男と同じ匂いを感じます。
実際にありそうで、それでいて非現実的な存在。ひとの心の闇がそのまま凝ったような。
存在も実体も、生死すらあやふやな、ひとのかたちをした、ひとではないもの。

物語の前半部分は「いかに出会い系で女性をナンパするか」が詳しーく述べられていて(笑)
これを読んだら、みんな出会い系のプロになれそうかも。
…って、やったことないから本当のところは判らないけどね。

ただ、女性の心理分析においては、ああー、そうかもそうかも、という部分が多くて、
信憑性がありましたね~。例えば
「自分のことが好きになれない、というような女性は、
実際にはその正反対で自己愛が強すぎるタイプが多い。
彼女たちが真に恐れているのは、自分自身が周りの人たちから嫌われること、
そして、それによって自我が崩壊することなのだ」
「嫌われるくらいなら、と自分だけの世界に閉じ篭もろうとするが、
それでは生活ができなくなる。
そのジレンマが、彼女達に自分のことが嫌いだ、という発言をさせてしまうのだ」
(本文103ページから引用)
なんて部分は、凄いと思いました。うん、なんか判るな。

一応ホラーなので、殺人方法とかが…まぁ、多少はグロ系?
でも、読みごたえがありましたー。

また系列として、同じかなーと思うのは、栗本薫の「仮面舞踏会」。
こっちは推理小説ですので、グロくない。
この雰囲気を見てみたいけど、ちょっとね、と思うかたにはこちらを。
これに出てくる、精神に難のある女性「ダフネ」は、リカほどでは無いにしろ、同じ系列。

しかし、このニ作品見てると「ネットをやってる女性像」に少々偏見があるような気も…(汗)