鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

親指さがし

2007-04-27 20:00:45 | 映画(邦画)

「親指さがし」
監督:熊澤尚人
出演:三宅 健、伊藤 歩、松山ケンイチ ほか
公式ページ 

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原作があの人だったので、果たしてこれはどうなのかなぁと思ったんですが…
映像がとても美麗でしたねー。
こんなにカラフルかつ光溢れる画面のジャパホラーは始めてじゃないですか?(笑)

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8月13日。お盆に行われた小学校の同窓会。
そこで武は、8年ぶりに当時仲が良かった4人…知恵、智彦、綾、信久と再会する。
だが、そこには一人だけ、欠けている存在があった。

…由美子。
彼女は、8年前の夏に、皆で遊んでいる最中にいなくなり、そのまま行方がわからないのだ。
廃墟となったホテルの屋上で、皆で手を繋ぎ「親指さがし」をしたその日から。

由美子と特に仲の良かったため、いまだにその出来事を忘れられずにいる武は、
同窓会で出会った旧友たちに、もう一度一緒に親指探しをしてほしいと頼むのだった。

同じ頃、ネットには親指探しについての不気味な噂が流れ始める。
「親指探しでいなくなった子は大人になったら帰ってくる。
彼女の呪いを解かないと全員殺される」

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ホラーとしては、癖もなく見やすい、と思います。
こってりした血の匂いもしない。ねっとりした闇の喉越しも無い。
くらくらするような非現実感も、吐き気を感じるような残酷さも無し。
フルーツフレーバーのミネラルウォーターみたいなアッサリ感。
…個人的には、ちと物足りない。(笑)

でも、ホラー慣れしてない人や、ティーンエイジャーの子供が見るには
ちょうどいいんじゃないでしょーか。
わりと感動系だしー。
良くも悪くも、まとまりの良い作品と感じます。

とりあえず、最初にも書きましたが、色彩がとっても美しい。
廃墟のシーンで、からんと乾いた空虚な空間に光が差し込むさまは、とても綺麗だと思いました。


「姉飼」 遠藤徹

2007-04-17 09:42:45 | 本(小説)

「姉飼」 遠藤徹
2003年 角川書店
2006年 角川ホラー文庫

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図書館でハードカバーを借りてきたのですが、
超表紙こわーーーー(汗)
これは人前で読めないな…。
電車の中でこの本を熟読できる人がいたら尊敬します。

内容はインパクト勝ち。
最初の「脂祭り」の時点から既にかなりイケナイ匂いがしてましたが、
「姉」の姿や扱い、それに魅せられるもののイっちゃった感じが、なんともハァ。
読んで不快感を覚えるひとも多いと思うけど、いいにしろ悪いにしろ、
とにかく、一度読んだら印象キツくて忘れられない話。

なんというのでしょう。イケナイ匂いとはいっても、別にエロじゃなくってね。
鬼畜というか倒錯というか、人間としてのタブーに触れるというか。
そういう意味で「人にはお見せできない性向」の感じがある物語。

ロックコンサートなんかで大きな音をガンガン聞かされてると、
最初は苦痛に感じても、だんだん慣れて楽しくなっていくように、
「過ぎた刺激による興奮」を呼び覚ますような…
んー、ある意味悪夢のような。そういう世界です。

表題作が強すぎるためか、一緒に掲載されているほかの作品の印象は薄い感じ。
いまいち、かな。

この本が出版されて4年くらいたってるわけですがー、
その間、他にどんな物語を書いたのか気になって調べてみました。

「弁頭屋」人間の頭を弁当の容器として売っている店の話。
「くくしがるば」寝耳に水でご懐妊? なんやら異次元的な話らしい…
「ケミカル・メタモルフォーシス」沈黙の春の解説本。ほかにもちょっと。 
「プラスチックの文化史」 環境ホルモンの話とか? 
あと音楽関係と資格関係の本が検索されましたが…同姓同名かな…

弁頭屋は、いかにも姉飼の作者らしい物語のようです。読んでみなくちゃ。
ケミカル・メタモルフォーシスは…
「沈黙の春」は、昔、目を通したんですよ…最初の30ページくらいはね(笑)
最初のほうは面白かったんだけど、だんだん飽きてきちゃってさー。
でも、書いてる趣旨は(多分)伝わってるから結果オーライ(←?)
海外ものって、訳にもよるけど読みづらいのよ。
基本的に改行しないからページぎっちぎちの真っ黒だし。

で、それを読みやすく解説(あえて誤読)した…? ってことなのかなぁ。
内容についてあんまりわかりやすいレビューが見つからないのよ。
自分で読めってことかい?
(うちの近くの図書館、品薄なんだよねぇ)

「姉飼」系の話と、現実の問題を、皮肉を交えた視点でブラックに
解説していく系の本? て感じかな…
読んでみないとわかんないけど、ちょっと見、執筆傾向が異色なひとですねぇ。

少しそのへんの本を探してみようと思います。
面白かったらまたなんか書きますね。

ローズ・イン・タイドランド

2007-04-13 10:22:59 | 映画(ホラー)

「ローズ・イン・タイドランド」
監督:テリー・ギリアム
出演:ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジズ、ジェニファー・テイリー
公式ページ 

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いやぁー、これはーーーー……(汗)
少女の危うい魅力満載、好きなひとには堪らないだろうなぁ、とも思いますがー。
ジョデル演じるジェライザ・ローズの空想の世界の、あまりにも儚い美しさと、
現実の世界の醜さとグロテスクさの対比がなんともオソロシイ作品。
でも、この映画を見て一番最初に私が感じたのは、なんて寂しくて悲しい話だろうということでした。

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主人公はジャンキーの両親のもとで生まれ、暮らしていたジェライザ・ローズ。
不思議の国のアリスが好きな10歳の女の子。
手馴れた様子で父親の打つ麻薬の用意をし、愛していると言いながら、
自分のチョコレートを子供に分けることもない母親の足を、日々マッサージし。
ローズにとっては、それが当たり前の日常。
ある日、母親が麻薬がもとで急死したのをきっかけに、父親はローズを連れて生まれ故郷のテキサスへ向かう。

だが、そこにはすでに祖母はおらず、広い草原の中に荒れ果てた家がぽつんと建っているばかり。

家につくなり、麻薬で「短い休暇」に旅立ってしまった父親を後に、
ローズは唯一の友人たち、首だけになった人形たちとともに探検に出かける。

幽霊のような不思議な隣人デルや、電車を巨大ザメだと思い込んでいる、知能障害を持つディケンズ。
新しい出会いや発見を、父親に報告しようとするも、なかなか「休暇」から戻ってこない…

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愛しているといいながら、一方的で自分勝手な感情をぶつけるばかりのジャンキーの両親。
首だけの4体の人形だけが、話し相手にして友人。
そんなローズは無邪気でコケティッシュで誘惑的で、その行動は、もし近所にこんな子がいたら、
『絶対あそこの子と遊んじゃいけませんよ!!』と言いたくなるような問題児。

彼女が悪いわけではないだろうけど、やはり育った環境ってオソロシイな。
生まれたときから周りに麻薬が当たり前にある状態であれば、
それがマズいものだという感性は育たないでしょう。
もし、ローズに子供の友人がいたとしたら、かえって好意のつもりで
『そうだ、これ、面白いのよ? パパの大事なものだけど特別』
なんて麻薬を友達に薦めてしまうかもしれません。美味しいお菓子を薦めるのと同じ感覚でね。

でも、それで怒られても、ジェライザ・ローズには何がなんだかわからない。悲劇的だな。

どんなに虐待を受けても、大概の子供はそれでも両親を慕うのですってね。
叩かれたり、殴られたりするのも、それは自分が悪いのだと。
両親は間違っているはずがないと。そう考えてしまうものらしいです。
ローズもまた、生まれたときから与えられた環境を疑うなど思いもよらなかったでしょう。

どうしようもなく歪んだ現実の中で、幼い子供が一生懸命に幸せを空想し、
なんとか順応して生きようとした結果が「ジェライザ・ローズ」のような気がします。
ひろがる光景が幻想的であればあるほど、悼ましく感じてしまうのは、私が母親だからでしょうか。

そして、今は、彼女は問題のある家庭の被害者ですが、成長するにつれいつか、
それはそっくりそのまま「彼女の問題・彼女の責任」になってしまうのかもしれない…なんて考える。

ま、湿気た話はこれくらいにして。

そういえば、これ、原作があるらしいですヨ。
ミッチ・カリン著「タイドランド」角川書店。
レビューでチラ見したところ、隣人が父親の死体をあーしたりこーしたりする場面は、
原作のほうがよりスゴいらしいです。どんなんなのかしら。どきどき。

えー、グロ度は…けっこう高めかも。
血みどろというわけではないのですが…見ていて「うへぇ」という気分になること間違いなし。
しかし、あの、ジョデルの演技力は確かに凄いと思いますが、
サイレント・ヒルといい、この映画といい、こういう悲惨な映画のこういう役ばかりを
演じさせるのは、この子先行き大丈夫かなという気も。
ていうか、自分の出た映画見ても怖くないかキミはー ^^;


日本沈没

2007-04-12 02:03:38 | 映画(邦画)

「日本沈没」
監督:樋口真嗣
公式ページ

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原作が古いせいもあるのかもしれませんが…
多分…やっぱり! という感じの「おやくそく」感がある映画。
いっそ愉快なまでにサックリと、日本を破壊しつくしてくれましたねぇ(汗)
日本人の自国へのマゾ体質ここに極まれリ…なんて書くと問題かな?
(パロディの日本以外全て沈没が書かれたのはある意味必然のような気も…)

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海底プレートの調査の結果、科学博士の田所は衝撃の事実を知った。
日本列島は、一年後には沈没する。
その報せを受けて、対策を練ろうとする総理大臣の山本。
しかし、早くも起こり始めた災害に飛行機が巻き込まれ、あえなく最後を迎える。
代わって指揮を取る官房長官は、人民を救済することに意欲の無い人物だった。
地震・噴火・津波…次々と起こる災害に飲み込まれてゆく大都市。
一時は権限を国に奪われていた田所だったが、危機管理担当大臣である元妻の
鷹森とともに、日本を救う最後の計画を実行する。
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久しぶりだから、あらすじ書くの難しいわ…(ボヤキ)
草ナギ君のエピソードをどこに入れていいのかわからん(汗)
映画ではむしろ、そっちが主線なんだけど…
でも、彼と柴咲コウがいる時点で、大体どんな話になるかは…予測がつくよね。

映像は迫力あったわー。
これ、作り方次第ではすごくチャチくなったと思うんだけど、
すごく力入ってるなー(予算も凄いなー)という感じ。
水中に沈んだ繁華街とか、ひとッ風呂浴びてる大仏(笑)とか、
シュールな非日常光景を見るだけでも、なかなか楽しめると思います。