鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

Psychological Diving

2016-11-21 16:39:24 | フリーゲーム(SF)
Psychological Diving」 
制作者:村人A様(RPG作る人のブログ

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自分の体を小さくして、病気の人の体の中に入り込み、
物理的に病気と戦って治す…なんて設定は昔よく見かけましたが、
こちらはそれのココロ版。
精神を病んでしまった人の心に侵入し、
本人も気づいていない過去や手がかりを見つけ出して、
希望と、勇気とを取り戻してもらうお話です。

一応、ファンタジーの体裁で進む話ではあるんですが…
投薬治療とカウンセリング治療の間の壁であるとか、
鬱状態に陥る過程であるとか、
内容は私たちの「今」に通じる部分も多く、
半ばリアルな印象も受けました。

…ついこの間も、いきすぎた労働時間と、上司の叱責で
自殺しちゃった女の子がいたことですし…
いろんな意味で考えさせられるシナリオですね~


主人公は「心癒師」のルクス先生。投薬もするけれど、
主にカウンセリングを用いた治療を行う、心のお医者様です。
ルクス先生は、日々、力を尽くして治療にあたっていましたが、
病も傷も、すべては見えぬ心の中のこと。
患者さんの中には、救えないまま、命を絶ってしまうケースもあり、
心を痛めておりました。
そして、今もまた、その危機にある患者がひとり…

自分の無力に悩むルクス先生の前に、突然現れた深緋色の瞳の女性。
彼女…ユエルは、自分が人の心の中に侵入できる力を持つことを明かし、
この能力を、ルクス先生の治療に役立ててほしいと願います。

追い詰められ、一刻も猶予もない患者…
セリオの心の中に降り立った、ルクス先生とユエル。
果たして、闇に囚われた彼女の心を救うことはできるのでしょうか…



なんとなく、全体に解像度がボケて感じるのは…わざとなのかな?
「心の中」の世界では、それがいい感じの効果になってます。
壁面を覆う本棚と、ばらばらに散らばり乱れる本は、
脳や思考や記憶のイメージとぴったり。
そこにぼんやり灯る光や、隅にわだかまる闇、
一つ謎解きしたあと、部屋が整頓されたり、窓から光がさしたり、
映像や演出面もとてもキレイで、見ていて楽しかった~

そしてシナリオ…
セリオちゃんに起こる物事は、そのまま、現実でもよくある?感じで、
それでどんどん、気持ちが追い込まれていく様子が見ていてつらい…

いやー…こういう上司、実際いるよね! 
表面淡々と聞きながら、心の中で、この糞死ねや!って思うよね!

陰で「死ね!」って言えるタイプなら、
セリオちゃんも心を壊すまではいかなかったのかもしれませんが…
マジメな人と優しい人ほど、自分を責めてしまうお約束です。
でもまあ、セリオちゃんは最終的にはいい感じで報われますので、
安心してプレイしてくださいね!

それにしても…勇者が魔王を倒した、とか、
魔王は倒されたのに、魔物はいなくならない、とか。
何かこう…意味ありげ~に語られる、世界情勢はなんなんですかね。
ユエルも何か、秘密のありそうなニオイのするキャラですし。
心の中に巣食う「絶望」という名の魔物についても、まだ解き明かされません。

…続編来るのかな? いやどうだろう?
いずれにしても、次も楽しみな作者様です~





命より大事なものはない、なんて言いますが…
こういうのって、逃げるタイミングがすごく難しい、と思う。

というか、きっと、頑張ってるうちに、
本人には引き際が見えなくなっちゃうんじゃないかなぁ。

若い人の自殺は衝撃的だから、クローズアップされやすいけど。
妻子のいるお父さんとかが鬱になった場合、
収入がなくなったら、子供の進路将来、全てが不利になるから…
家族のために、限界まで頑張って、
ブツッと切れて自殺する中年男性も、多いっていうよ~


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