ラフロイグで初夢

めでたい正月である。
特別の日だから特別なウィスキーを用意してみた。
スコッチの至宝「ラフロイグ」である。

好き嫌いの激しいウイスキーかも知れない。
蒸留所はスコットランドの西海岸沖に浮かぶアイラ島である。
英国王室御用達のシングルモルトウイスキーだが
海底の泥炭を燃やして蒸留するせいか強烈なビート香を発する。
ヨードチンキのようだ顔をそむける人もあり
まるで正露丸を飲んでいるようだと表現する人もいる。
私も最初は「うへっ」と顔をしかめたが
いつの間にかその個性的過ぎる香りの虜になってしまった。
普通のウイスキーはあくまでも日常だが
このラフロイグには「非日常」の味わいが漂っている。
荒ぶるウイスキーなのである。

皆さんは初夢を見られただろうか。
新年になって初めて見る夢を古来「初夢」と言うらしい。
私も昨夜はラフロイグの心地よい酔いで
ぐっすり眠ったのだが夜半にただならぬ夢で目が覚めた。
前後のいきさつは記憶にないが
わが体が果てしなく海底に沈んでいく夢だった。
縁起がいいのか悪いのか・・・
何を示唆している夢なのか・・・
ずっと考えているのだがサッパリわからない。
ラフロイグの強烈な香りが
ひょっとして夢にも「非日常」をもたらしたのだろうか。
茫然自失の正月である。