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31年目の夫婦げんか


監督 デヴィッド・フランケル
出演 メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ

 ケイとアーノルドの夫婦は結婚31年。別に波乱はないようだ。夫のアーノルドは毎日会社に行ってる。無職のクズ男では決してない。会社ではそれなりの地位らしい。家の外で浮気など決してしてない。妻のケイも不倫してるわけでもない。生活も平穏で中流の上といったところ。
 朝、ケイがベーコンエッグを焼く。ベーコンはカリカリ。アーノルド、新聞を読みつつコーヒーを飲みベーコンエッグを食べる。食べ終わると、会社へ行く。夜はゴルフ番組を見つつ寝てしまう。
 この熟年夫婦、ずいぶんあっちはごぶさた。寝室も別らしい。最近、ケイは夫が不満。さわってくれない。こっちを向いてくれない。ケイはとうとうがまんできなくなり夫婦生活カウンセリングを受けるという。アーノルドはそんなもんいらん。ワシはそんなとこ行かんぞ。結局、ケイはへそくりから4000ドルひねり出して申し込む。1週間ほどカウンセラーのもとに滞在してアドバイスを受ける。嫌がってたアーノルドもいっしょに行く。カウンセラーから毎日課題を出され、ケイは喜んで、アーノルドは嫌々ながら課題をこなす。そしてカウンセリングが終了。家に帰る。ベーコンエッグの日々がまた始まる。
 この邦題は適当ではない。原題の「HOPE  SPRINGS」は夫婦が滞在したメイン州の町の名前だが、映画の中では、この夫婦別にケンカをしてるわけではない。二人の関係はある意味ケンカよりも深刻かもしれない。ケンカするということは、お互い関心をもっているということ。関心がないから困っているのだ。特に妻のケイが危機感を抱いている。夫のアーノルドはなぜケイが不満なのか理解できない。邦題をつけるのなら「31年目の結婚」としたほうがいいだろう。
 アーノルドも別にケイに不満があるわけでない。他の女に目が行くこともない。アーノルドにとって、ケイがそこにいるのはあたりまえ。いてあたりまえ。空気のような存在なのだ。31年も夫婦をやってりゃこんなもんだろう。ところがケイにとっては自分が空気であったら困るのだ。自分は「空気」ではなく、まだまだ「女」なのだ。
 ま、ようするにこれは、おのろけ映画なのである。べたべたおのろけ映画でも、メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズという芸達者が夫婦役をやると面白い映画となるのである。それにしても、あれで4000ドルは高い。
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新潟タレカツ丼


 小生はカツ丼が好物である。三宮で昼食を食べるときは、吉兵衛に足を向けることが多い。自宅でも自分でよく作って食べる。いままで、いろんなカツ丼を作って食べてきたが、今回は新潟でよく食べられているカツ丼を作ってみよう。
 ごはんの上にのせるトンカツは普通に揚げる。このトンカツを卵でとじないウスターソースみそドミグラスソースをかけない。醤油、酒、味醂、ダシでつくったタレにトンカツをくぐらせて、ごはんの上にのっける。なかなかさっぱりとしたカツ丼にしあがった。
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牛肉の粕漬け


 この時買った酒粕が200ccほど残っている。さて、この酒粕をどうしよう。甘酒粕汁酒まんじゅう?う~む。冷蔵庫をのぞく。おや、こんなところに牛肉が。うん、この牛肉を粕漬けにしてやろう。
 酒粕に味噌を混ぜる。これを日本酒で溶いてやわらかくする。牛肉になすりつける。一晩置く。これをフライパンで焼く。強火で表面をさっと焼いて焦げ目をつける。裏返して中火で肉の中まで火を通す。
 焼けたら皿に盛る。和食なので箸で食べのだから先に食べやすいように切っておく。フライパンに残った肉汁にお酒と醬油を少し入れて加熱してソースを作る。ソースをかけて、塩炒めした小松菜の茎を添えた。うまい。今年の酒粕の最終メニューにふさわしい料理になった。
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ヒストリア


  池上永一   角川書店

 うおおお。面白い。痛快爽快愉快。600頁を超す長編を一気読みさせる駆動力を備えた小説である。ともかく、この作品の有するトルクははんぱじゃない。強力なトルクでグイグイ読者を引っ張る。
 主人公である。だれが主人公か判らぬ小説もあるが、この作品は、作品中のベクトルはすべて主人公の知花煉に向いている。そして、すべてのエピソード、サイドストーリー、脇役、悪役、登場するキャラクター全員は知花煉と有機的に繋がっている。
 ともかく知花煉が魅力的。これぞヒロイン。強気。絶対に弱音をはかない。何ごとも一歩も引かない。プロレスラー相手にリングに立って、ジャーマン・スープレックスをしかける。元ナチスのエージェント相手に決死の戦いを挑む。商売を始めて巨万の富を築く。為替相場の変動で無一文に。開拓地で農業を始めるが川が洪水。作物が全滅。伝染病に罹って死にかける。だれにも/なににも、知花煉は絶対に負けない。強い。きれい。頭いい。商売上手。
 知花煉。太平洋戦争末期。沖縄。沖縄生まれの煉は沖縄で死ぬはずだった。空からは爆弾と機銃掃射、海からは艦砲射撃、陸からは火炎放射。死ねなかった。そのかわり彼女は魂を落とす。
 アメリカ軍のおたずね者になった煉は沖縄を脱出。南米はボリビアに渡る。そこで、日系ボリビア人のイノウエ兄弟と友だちに。リングで闘った人気プロレスラーのカルメンとも大親友になる。この3人とは終生友だち。
 ボリビアの都会では商売。開拓地で農業。イノウエ兄弟が手に入れた飛行機で空賊稼業。南米を放浪する若い医師エルネスト・ゲバラと恋仲になったりして。革命動乱のキューバに渡り葉巻の密輸で大もうけ。
 波瀾万丈。驚天動地。猪突猛進。不撓不屈ヒロイン知花煉の生き様に酔いしれるべし。買うべし。読むべし。
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長い春闘の思い出

 もうすぐ春である。春といえば、最近、存在感はうすれたが、春闘である。小生、以前いたK電気では、労働組合の副委員長をやっていた。いつの春闘だったかな。93春闘だったかな。ずいぶん長期の春闘をやったことがあった。3月に要求書を会社に提出し、それから毎日のように団交を重ねるが、なかなか妥結にいたらない。6月になってやっと妥結した。
 組合側の主席交渉委員は副委員長の小生。会社側の主席交渉委員は常務。K電気の春闘はいつも主席交渉委員は副委員長と常務が務める。委員長と社長は、最終局面になってトップ交渉が必要になった時に出てくる。
 なにでそんなにもめたのか、さだかな記憶がない。たいへんであったことは鮮明に覚えている。毎日深夜までの団交であった。団交が終わるとすぐ、ビラの原稿を書く。原稿は小生が書いていた。それが終わって帰宅は深夜になることも。電車がなくなることもあるので車で通勤してた。翌日、昼休みにプリントゴッコでビラを印刷。終業後、組合集会でビラを配り昨夜の団交の報告。それから団交。これが毎日。日中は通常の業務をしながらである。さすがに、これではあまりにたいへんということで、組合の執行委員は春闘中は休職扱いとし、組合専従としようかという意見も出た。そうなると給料は会社からではなく組合から出る。
 5月になってなんとか妥結の方向が見えてきた。このころ副委員長の小生と常務は主席交渉委員どうし、二人だけでたびたび会っていた。会社からも組合からも秘密の会合である。いわゆる水面下の交渉というやつである。ここで二人で組合会社双方とも歩み寄れる線を見出した。
 問題は、この線をどういうタイミングで双方に切り出して、一気に妥結に持っていくかだ。最終的には双方のトップ委員長と社長のOKが必要。社長は無能で無責任な人物で、常務が責任を持って説得する。問題は委員長。この時の委員長は石頭で頑固な人物であった。無能と石頭の間に入って小生と常務は苦労したわけ。
 委員長が1日だけ出張した。委員長不在。宿泊先のホテルに、こういう内容で妥結しますよと電話。委員長のOKを取った。直ちに会社に団交を要求。妥結となった。小生と常務が握手したのは深夜の1時ごろであった。
 深夜の阪神高速を神戸に向けて走らすインテグラのドライバーズシートで、大きな仕事を成し遂げた満足感に浸っていたのである。この時のドライブは実に爽快なドライブであった。
 この時に春闘はさすがに小生にとって大きなストレスとなっていたらしい。妥結して通常の日々となったある日。とつぜんの下血。胃から出血である。ストレスは小生の胃に大きな穴を開けた。中央市民病院に入院した。
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本日はばれんたいんとか

本日は、ばれんたいんとか申す南蛮の行事だそうな。拙者、かような紅毛碧眼の行事はよく判らぬが、なんでも女人が殿御にちょこれーとなる南蛮の菓 子を贈るのが慣わしだとか。拙者もひとりの女人から、れおにだすのちょこれーとをいただいた。ありがたくいただく。
 拙者のいただいたちょこれーとはそうではないが、世に義理ちょこなるものに、毎年頭を悩ませているお女中もおられるとか。かような風潮をかんがみて、ごでぃばなるちょこれーと屋が「義理ちょこはやめよう」なる思いを瓦版にて表明いたした。まったく、大きなお世話、ほっとけとは思うが、かような慣わしは早々に止めたがいいという意見は拙者も同感。女人が殿御に想いを伝えるのは別に2月14日に限定しなくてもいいのではないか。また、ちょこれーとでもなくてもいいのでは。いつでも、好きなときに好きなように好きなモノを好きな殿御に贈ればいい。かようなちょこれーと屋の企てにのせられることはあるまい。とはいいつつも拙者、女人からのちょこれーとはうれしく思うのは正直なところである。

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池田の落語ミュージアムへ行ってきました

 
昨日は、池田の落語ミュージアムへ行って来ました。上方落語ファンとして一度は行きたいと思ってました。
午前中は例によって休日出勤。10時まで会社で仕事をしました。三宮で地下鉄から阪急に乗りえ替え。十三で宝塚線の普通で池田まで。各駅停車で行ったのですが、池田までけっこう時間がかかります。落語「池田のしし買い」は大阪から池田まで行く噺ですが、あの噺のルートと阪急宝塚線、それに国道176号線がほぼ並行してますが、歩いていくにはたいへんだと思います。昔の人はよく歩いたのですね。
さて池田に着きました。駅前商店街を5分ほど歩くと、そこが落語ミュージアムです。こじんまりした建物です。向かい側にビリケンさんがおります。
「池田のしし買い」それに「牛ほめ」この噺の舞台が池田なんですね。このミュージアムの名誉館長が6代桂文枝会長。文枝会長は池田の住民だそうです。そういうわけで池田が上方落語と縁が深い土地ということで、この地に落語ミュージアムができました。池田市立の施設です。正式名称を「池田市立上方落語資料展示館」といいます。
 1階はパネル展示と、落語家の楽屋があります。パネル展示は「牛ほめ」のコーナーと「しし買い」のコーナーです。「しし買い」のコーナーには「十三の渡しから三国の渡し、服部の天神さんをしりめにころし、岡町から池田」のルートがパネルで展示してあります。どれも阪急の駅があるんですね。こんど阪急電車に乗ったときに想い起こしていただくと興味深いです。映画にもなった有川浩の「阪急電車」は今津線ですが、だれか宝塚線で上方落語バージョン「阪急電車」を書いてもらえないでしょうか。宝塚在住で上方落語にも造詣が深い田中啓文氏が適役だと思うのですが。田中さんお願い。
 写真にあるように1階の正面に高座があります。ここで落語会が催されます。プロの噺家の落語会もありますが、アマチュア落語家の発表会もあります。機会があればのぞいて見たいですね。
 2階には落語に関する書籍とDVDがたくさんあります。閲覧視聴ができます。
こじんまりしたミュージアムでしたが、なかなか興味深かったです。帰りは「しし買い」ルートとは逆コースで阪急で梅田まで行きました。かっぱ横丁の「古譚」でラーメン炒飯定食を食べ、紀伊国屋で本を3冊買って帰りました。
  
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バックドラフト


監督 ロン・ハワード
出演 ウィリアム・ボールドウィン、カート・ラッセル、ロバート・デ・ニーロ

 火事の映画である。主人公は消防士である。消防士だから火事と対決するのが仕事。だから、この映画の売りもんは火事シーンである。それは理解できる。サムライが主人公ならチャンバラが売りもん。西部劇なら鉄砲の撃ち合いが売りもん。そういうことなら、この映画は成功作である。火事のシーンはたくさんあるし、けっこうな迫力だ。火事のおそろしさもよく判る。
 ストーリーは偉大な父と、目標とする兄を乗り越えようとする弟ブライアンのお話。マカフレイ兄弟の父は偉大な消防士であった。同僚を助けつつ、父デニスは殉職。兄スティーブンは父のあとを継ぎベテラン消防士となった。主人公である弟ブライアンも消防士を志すが、まだまだひよっこ。女性を救助したが、それがマネキンだったりして。
 で、ブライアンも最終的にいっちょうまえの消防士になるというお話。めでたしめでたし。とはならない。死亡フラグ立ちまくりの人が死んでしまうし。放火犯はうやむやだし。
 だいたいが最初から違和感が。なんで子供を消防車に同乗させて火災現場に連れていく?そんな消防士いるか?消防車の上に彼女とエッチしてる最中に出動。火災現場に急行する消防車の上で服を着る。現場に着いてホースを引っ張り出したらホースにブラジャーがひっかかってる。ありえへんやろ、こんなん。それに、わざわざ火勢の強いところばかり選んで消火活動。もっと安全に消火活動できると思うんだが。と、つっこみどころ満載であるが、娯楽映画としては楽しめた。この映画を観てて「料理の鉄人」を思い出した。
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トリスを飲む


 トリスを飲みます。ジョニ黒オールドパーがセレブな酒だとするのなら、このトリスは庶民の酒といえます。ウィスキー。洋酒。なかなか庶民の手に入らなくて、昔はあこがれのお酒でした。それがトリスの登場によって、一般庶民が日常飲みできるウィスキーとなりました。
 トリスのサントリー。昔は洋酒の寿屋といってたのですね。先週、山崎蒸留所の見学に行った時知ったのですが、「山崎」の独特な毛筆の字は、二代目社長佐治敬三氏の手によるもので、山偏の右のつくりの部分は「奇」ではなく「寿」なんですって。案内のおねえさんがいってました。
 トリスのCMで思い出すのは、柳原良平の書く、アンクルトリス。瓶に描いてあるおじさんですが、CMでアンクルトリスのおじさんがトリスを飲んで、だんだんと顔が下から赤くなってくる。(当時は白黒テレビでしたが)で、「トリスを飲んでハワイへ行こう」なんてキャンペーンを張ってました。このコピーを書いたのは、当時、寿屋宣伝部にいた山口瞳なんです。
 このトリスのCMが流され番組で、私がよく見ていたのは西部劇の「ローハイド」寿屋の一社提供だったと記憶します。
 毎週「ローレン、ローレン」というフランキー・レインの歌声が聞こえると、楽しみでワクワクしたもんです。キャトル・ドライブといって3000頭の牛を陸送する話です。その仕事にたくさんのあらくれカウボーイたちが就いているのですが、ボスがフェイバーさんというおじさん。エリック・フレミングという俳優さんでした。このフェイバーさんを補佐する補佐役がロディという若い男で、演じているのはクリント・イーストウッド。エリック・フレミングは「ローハイド」終了後不慮の死。イーストウッドは大出世。「ローハイド」を観ていた時は、あの頼りなさげなイーストウッドがあんなエライ人になるとは思いませんでした。トリスを飲んでたら、こんなことを想い出しました。
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シーフード筑前煮

 
 筑前煮である。ガメ煮ともいう。九州は博多の郷土料理ではあるが、和食の代表的な煮込み料理といえる。主に根菜類と鶏肉を煮るが、今回は鶏肉ではなく海産物を使って筑前煮を作ってみた。
 野菜は里芋、れんこん、ごぼう、しいたけ。で、海産物は、タコとブリだ。
基本的な調理法はこれと同じであるが、今回は出汁は昆布だけの出汁を使った。タコからいい味が出るので鰹節は不要であろう。タコは生タコが欲しかったが、入手できなかったのでゆでタコにした。
 調味料は醬油、味醂、砂糖。醬油はあとから少しづつ入れる。煮上がったら、さましておく。温かく食べたいのなら食べる前に加熱すればいい。きぬさやを飾ってできあがりである。
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作戦終了

「渡辺さん。どうかお元気で」
 これで三人目。渡辺が定年でこの職場を去る。三百人以上いるこの会社の従業員で、声をかけてくれたのはこの三人だけ。
 有志が幹事となって、盛大な送別会を開いて送り出される定年退職者もいる。渡辺の場合、かようなモノはない。ひっそりと会社を去っていく。人望がないわけではない。存在感がないのだ。
 総務部庶務課庶務係主任補佐。渡辺のこの会社での最終肩書きだ。四十年この会社に勤めたが管理職にはなれなかった。直属の上司の係長は十歳以上若い後輩。人事部の会議ではどうも、みんな渡辺のことは忘れがちなようだ。 
渡辺は人よりも三十分早く出勤する。ロッカーを開ける。古びたロッカーだ。中にはボールペン、鉛筆、サインペン、カッター、コピー用紙といった事務用品、文房具が収納されている。このロッカーが渡辺の仕事道具。九時になり朝礼が終わると、何人かがボールペンなどをもらいに来る。手渡す。在庫が少なくなれば出入りの業者に発注する。これが渡辺の仕事だ。四十年この仕事をやってきた。
 会社の門をでる。もう、この門をくぐることはないだろう。通信機器を製造している会社だった。そんなことは渡辺には関係ない。文房具の在庫管理と発注。それだけの四十年であった。
 とことこと十五分ほど歩く。地下鉄の駅。三駅で都心。そこからJRで四十分。郊外の住宅地。駅から自転車で十分。古い賃貸マンション。三階の2DK。ここが渡辺の家だ。
「ピンポン」チャイムを鳴らす。「はあい」
女性の声。ドアが開く。「ただいま」「おかえりなさい」

 敵にはまだ対空レールガン砲塔が五基残っている。攻撃機はあと五機。隊長機は撃墜された。隊長は骨の髄からの軍人。ただでは落とされない。一基の砲塔に激突。地獄への道づれとした。おかげで五対五。互角の勝負となったわけだ。
 独裁者コン・ジュンが支配する惑星ヒタセン。コンは禁断の反物質爆弾を首都に撃ちこむと惑星メリを脅迫。銀河連盟のたびたびの非難決議、経済制裁にかかわらず、コンは反物質爆弾を完成していた。
 惑星メリ絶体絶命の危機に救いの手を差し伸べたのが惑星チキュウ。チキュウは密かに宇宙空母イズモをヒタセン宙域に派遣。ヒタセン静止軌道上でワープから実体化したイズモは艦載機ネオ・ゼロを発進。反物質爆弾ミサイル発射基地を空爆させた。
「こちらワタナベ。ミサイルの破壊に突入する。援護を頼む」
「了解。武運を祈る。理力とともにあらんことを」
 四機のネオ・ゼロが対空砲塔に向かって、三十ミリ機関波動砲を撃ちまくる。レールガンからは対空砲火がシャワーのごとく噴出される。弾幕が張られた。ミサイルが肉眼でも視認できた。ワタナベ機は急速に接近。次ぎのチャンスはない。照準。ロックオン。
「ワタナベ。理力を使え」
 戦死した隊長の残留思念が頭脳に直接届いた。隊長はワタナベの師でもある。師は死の直前、弟子に対するアドバイスを強く念じた。その師の思念が残留思念となり死の直前にいた空間に残った。そこをワタナベ機が通過した瞬間、ワタナベの脳に直接届いた。
 照準器のスイッチをOFF。分子離散空間魚雷ツルギ・クサナギ発射。命中。発射台に設置されたミサイルが一瞬揺らいだ。輪郭がうすれた。次ぎの瞬間ミサイルは消えた。空間魚雷ツルギ・クサナギは爆発力で目標を破壊するのではない。目標に着弾すると、目標物の分子の結合力をゼロにする。分子がバラバラになって目標は消滅する。究極のピンポイント攻撃が可能だ。以前、敵の将軍を暗殺するミッションで、パーティに参加している将軍だけ消して、他の参加者にはキズ一つ負わせなかった。
「作戦終了。帰投する」

「四十年、ご苦労さまでした」
 頭に白いモノが増えた妻が、お酌をしてくれた。
「うん。んまい」
「どうでした。この四十年は」
「うん。作戦は成功やった。地球から惑星ヒタセンまでワープを使っても四十年かかった。これで惑星メリは安泰だ」
「ほんと、たいへんなお仕事ですね」
「なんか夢を見ていたような気がするよ」
「航空宇宙軍のエース渡辺中佐がどんな夢を見ていたの」
「毎日、ボールペンの数を数える夢さ」
 

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とつぜん対談 第109回 プチプチとの対談

 
おさむうございます。早く暖かくなってほしいもんです。さて、今日の対談の相手はこんな寒いときにも役にたってくれるお方です。プチプチさんです。

雫石 
 よくおこしくださいました。

プチプチ
 いやあ。私はちょうど仕事が終わったばかりなんで、いいですよ。

雫石
 あなたのこと、プチプチさんとお呼びしていいんですか。

プチプチ
 私、ほんとは気泡緩衝材というんです。プチプチというのは商品名なんです。

雫石
 へー、そうですか。エアーキャップさんとお呼びしてもいいんですね。

プチプチ
 エアーキャップというのも商品名です。

雫石
 そうですか。では、なんとお呼びすればいいでしょう。気泡緩衝材さんですか。なんかカタイですね。

プチプチ
 プチプチでいいですよ。

雫石
 私、倉庫で仕事することがあるんですが、冬、作業服の下にあなたを巻くとけっこう暖かいですね。

プチプチ
 私は空気を含んでますからね。断熱効果があるのです。私を窓に貼ると部屋が暖かくなって暖房費の節約になりますよ。

雫石
 さきほど、お仕事が終わられたとか、なんのお仕事ですか。

プチプチ
 こんど、この近くの美術館で展覧会があるから陶器を運んでました。

雫石
 運送関係ですね。

プチプチ
 私の本職はモノが痛まないように保護するのが本職なんですよ。

雫石
 ああ、そうですね。私はウィスキーが好きで、ウィスキーを買ったらあなたで包んでくれますね。

プチプチ
 ところで、用がすめば私を捨てないですね。

雫石
 そうですね。よくお判りですね。

プチプチ
 私をそのまま捨てる人は少ないです。あんたはどうしてます。

雫石
 指で押さえてプチプチとつぶしてます。

プチプチ
 そうでしょう。

雫石
 あなたでプチプチしてると気持ちいいです。いつまでもしていたいですね。

プチプチ
 ストレス解消になるでしょう。

雫石
 はい。リストラされて求職活動中はあなたのおかげでだいぶん助かりました。

プチプチ
 私も覚えてます。あの時はだいぶんストレスをためてましたね。

雫石
 はい。胃に穴を開けて入院しました。

プチプチ
 私の力不足です。申し訳なかったです。

雫石
 いやいや。あなたのせいではありません。

プチプチ
 実は私の本職は運送関係といいましたが。それとは別にNPOでボランティア活動もしてるんです。

雫石
 どんな活動ですか。

プチプチ
 わたし、日本ストレス解消連合会の理事長です。この国のストレスを解消するのが私の願いです。

雫石
 そうですね。ストレス解消にはあなたが一番ですからね。

携帯電話
 プチプチプチ。

プチプチ
 あ、私だ。

雫石
 へー、携帯電話の音もプチプチなんですね。

プチプチ
 はい。はい。判りました。すぐ行きます。

プチプチ
 副理事長の紙鉄砲が呼んでますから。これで失礼します。

雫石
 紙鉄砲さんですか。あのお方もストレス解消になりますね。では、きょうはどうもありがとうございました。


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星を継ぐもの


 ジェイムス・P・ホーガン 池央耿訳 東京創元社

 たしか筒井康隆師匠の言だったと記憶する。「SFなんてもんはでかいホラ話なんだ。ハードSFはまじめな顔してヨタ飛ばす。あの面白さだ」さすがは筒井師匠、ええことおっしゃる。
 で、「でかいホラ話」を満喫させてくれるのが本作である。「まじめな顔してヨタ飛ばす」面白さをたっぷりと味あわせてくれる。
 読者は最初にでかいホラをどおーんとかまされる。月で真っ赤な宇宙服を着た死体が発見される。どこの基地の者でもない。どこの国の人間でもない。そいつの死亡推定時刻。5万年前。生物学的には人間とまったく同じ。そいつはチャーリーと名付けられた。
 チャーリーとはだれ。どこの何者?この作品は、ほとんど、このことに費やされる。原子物理学者ヴィクター・ハント博士をまとめ役に、世界中の学者がチャーリーの正体に迫る。ひとつ疑問点が解決されると、大きな矛盾が出てくる。それも解きほぐすと、さらに大きな疑問が。そうこうするうちに木星の衛星ガニメデで異星の宇宙船を発見。それはチャーリーと関連があるのか。
 ひとつの巨大な謎を大勢でよってたかって解明していく。うす皮をむくように。そして最後に座っている椅子をけ飛ばされるような、衝撃的な事実が判明。SFミステリー。あ、いいや。ミステリーSFの大傑作である。
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とつぜんコラム №196 これからの労働組合

 毎日、寒い日が続いている。この寒さが去れば春だ。待ち遠しいことだ。春といえば、労働者にとっては春闘の季節だ。小生も、以前いた会社では労働組合の副委員長の経験もある。いつの春闘だったかな。阪神大震災の前だから、もう20年以上昔のことだ。6月になっても妥結しない超ロングランの春闘をしたことがあった。
 今の会社にも労働組合はある。小生は契約社員となったので組合員ではなくなったが。
 労働組合。このブログをご覧の諸賢で組合員はどれぐらいおられるだろうか。たぶん、たいへんに少ないのではないか。労働組合の組織率。全労働者の中で組合員の占める割合は年々減少している。2017年の統計では組織率は17.1パーセント。ここ6年連続で組織率過去最低を更新している。つまり、組織された労働者は100人中17人しかいないわけ。あとの労働者は組織されていない一匹狼なわけだ。もし、なにかあって会社と事を構えなければならなくなっても、1人で会社と対峙しなければならない。
 ことほど左様に労働組合というものは、希薄な存在となっているわけ。だいたいが、首相が連合をさしおいて、自ら経団連あたりに賃上げを要求する。労働者の賃金を上げること。それは労働組合の最も大切な仕事ではないのか。まったく、労働組合の面目まるつぶれではないのか。このようなことは、ここ数年続いている。今度から、連合がいち早く経団連に要求を出すべきだと思う。
 なぜ、かように労働組合の影が薄くなったのか。労働環境が大きく変わったのが要因ではないだろうか。
 非正規従業員の増加も大きな要因である。そして、終身雇用制の崩壊が大きい。昔は、いったん会社に就職すると、定年までその会社に勤務していた。労働者の一生で勤める会社は一社。1つの会社しか知らないで会社員人生を終わる人がほとんであった。
 それが今はそんなことはない。複数の会社に勤務する人は決してめずらしくない。かくいう小生は今の会社で13社目である。
 今の日本の労働組合は会社単位である。日教組などの例外もあるが、ほとんどの日本の労働組合は、会社ごとに労働組合があって、その会社に入社すれば、その会社の組合に入ることになる。この会社の組合は気に食わないからといって、隣の会社の組合には入れない。
 1つの会社にずっと在籍するのではなく、会社を変わる。こういう状況においては、会社単位の労働組合に入る意味があまり無いのは理解できる。
 現代の労働者は労働組合をさして必要と思わなくなったということだ。しかし、労働組合は必要なモノである。例えば時間外に労働する場合、経営者は労働者の代表と3-6協定というモノを結ばなければならない。労働組合かあるいはそれに替わる組織がなければ、労働者に時間外労働をさせることは労基法違反である。
 労働者にとって必要欠くべからざる組合。日本の労働組合も、会社単位ではなく、西欧のような職種単位の組合に変革しなければいけないだろう。経理ばかり、営業ばかり、溶接工ばかり、販売員ばかり、そういう労働組合がこれからは必要となる。
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サントリー山崎蒸留所の見学に行きました


 きのうの日曜日、SFのお仲間と、サントリーの山崎蒸留所の見学に行きました。製造工程が見学できる有料コースにしたかったのですが、だいぶん前から予約がいっぱいで、無料のコースを予約しておきました。
 3時の現地集合です。JR山崎に着いたのが2時半。駅を降りてすぐそこに、千利休が造った茶室があります。国宝だそうです。阪急大山崎組と合流してぶらぶら歩く。この道は西国街道です。短いあいだですが昔の街道筋の雰囲気が残っていていい感じです。道のいたりところに「山崎蒸留所はこちら」と案内標識があるので、私みたいな方向音痴でも安心です。
 駅から10分もあるくと蒸留所に着きました。大阪から京都へ電車で移動しているときに高槻を過ぎたあたりにあるあの「山崎」と書かれてある建物です。JRの踏切を渡るとすぐそこが山崎蒸留所です。
 広々としてて、きれいでたいへんに気持ちの良いところです。玄関を入ったところで待っていると、きれいなお姉さんが出てきました。簡単な説明をしてくれました。この山崎蒸留所は日本最古のウィスキーの蒸留所。なぜこの山崎の地に蒸留所ができたのか。ウィスキーのブレンダーというお仕事のこと。原料の大麦からウィスキーができるまでの簡単な説明。20分ほどの案内でしたが、お姉さんはしばらくその場にいて、質問を受け付けてくれます。私は、なぜシングルモルト山崎など一部の国産ウィスキーが入手困難はなぜなのかを聞きました。
 ウィスキーは造るのにたいへんに時間のかかるお酒です。12年モノなら、その名の通り最低12年はかかるわけです。ですから今市場に流通しているウィスキーは12前に仕込まれたお酒です。NHKの「マッサン」がきっかけとなり、また「山崎」「響」「イチローズ・モルト」など日本産のウィスキーが世界で高い評価を受け、輸出が大きく伸びています。12年前に、こういう日本のウィスキーの状況は予測できなかったわけです。
 さて、あとは各自自由に見て回るわけです。製造工場は無料のコースでは見れませんが、「サントリー山崎ウィスキー館」の中は自由に見れます。私はなによりもまず売店に行きました。探し求めているシングルモルト山崎を買いたいのです。山崎蒸留所限定の山崎を買いました。一人1本です。700mlフルボトル10800円。あとおつまみの燻製とクッキーを買いました。たいへんな散在ですが飲むのが楽しみです。今はトリスを飲んでますが、それが開いたら山崎を飲みましょう。楽しみです。トリスの次は山崎。たいへんな落差です。
 さて、念願の山崎を手に入れました。ここに来たかいがありました。あとはテイスティングコーナーでいろんなウィスキーを飲めます。有料です。ストレートで少しづつ飲めます。私は響の21年、山崎18年、ラフロイグ10年を飲みました。少しづつですがいろんなウィスキーが楽しめます。
 さて、充分たのしみました。なかなかきれいで楽しいところです。ウィスキー好きにとっては極楽です。
 このあとはもちろん酒宴です。高槻に移動。JRから阪急への途中にある居酒屋に入りました。天ぷらと刺身で生ビール飲んで八海山とあとは忘れたけど日本酒を飲みました。ほろ酔い気分でご帰還です。
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