嬉しい賀状が届いた。
文面に「京都におこしやす!」とある。
あまりの懐かしさに思わず
「よし、京都行こう!」と返事してしまった。
まさしくテレビCMのノリだった。
京都市役所の近くにある日本酒の店である。
行きつけの店と言うと口幅ったいが
何かにつけて京都に行く機会があると訪れては
親しい友人と大いに痛飲したものだった。
店の名前は「ごちそう紫陽(しよう)」と言う。
店主は村田加陽子さんは旧姓・梨木加陽子さんと言って
米朝事務所所属の関西タレントさんだった。
テレビの旅番組やバラエティー番組でよくご一緒する仲だった。
そんな加陽子さんが日本酒のお店を開くと聞いて
気ごころの知れた仲だけによく通ったものだ。
彼女自身も酒豪だけに全国の名だたる銘酒が揃っていたが
何よりも手づくりの「おばんざい」が魅力だった。
京都ならでは粋を凝らした料理の数々はのん兵衛たちの
胃袋をがっちりとらえて離さなかった。
そうか、あの彼女の店ももう三十年になるのか・・・
と思うと懐かしくて矢も楯もたまらず
思わず「よし、京都行こう!」と叫んでいたのだった。