まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

神田日勝という画家

2020年06月06日 | 日記
この絵を見たのは何年前だったか・・・
ギョッとして一瞬立ち尽くしてしまった覚えがある。
ベニヤ板にペインティングナイフで描かれた
その荒々しい筆致がまるで北海道の大地の思わせた。
何より未完成のままの絵だった。



神田日勝の代表作「馬」である。
わずか35歳で亡くなった画家の遺作である。
まるで断ち切ったような馬の半身像。
北海道の代表的な農耕馬である道産子馬の独特の力強さは
画家が生涯を通して追い求めたモチーフだった。
本人は「農民画家」と呼ばれることを嫌ったそうだが
北海道の開拓地で農耕に従事しながら
汗と泥にまみれて絵筆を握り続けた短い生涯は
まさしく農民画家と呼ぶにふさわしい。



数ある馬の絵も充分に魅力的だが
私はこの「室内風景」という作品に激しく心惹かれた。
一枚一枚の新聞がまるで画面に貼りつけられたような空間に
膝をかかえて座り込む作者と思しき青年。
具象と抽象が入り混じったような不思議な世界は
現代人の「孤独」や「苦悩」を見事に活写していて心を揺さぶられた。
担当する美術番組では代表作の「馬」を取り上げたが
私はむしろこの「室内風景」が好きだった。



その神田日勝の作品が東京駅の
ステーションギャラリーにやってきていると言う。
没後50年を記念した遺作展だそうで
東京での展覧会は40年ぶりというから是非ものである。
ただ、この展覧会は完全予約制だそうで
果たしてまだチケットがあるのか大いに心配である。
仕事で日曜しか休みが取れないけれど
果たして日曜なんかにチケットが取れるのだろうか・・・