Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

やさしい音楽を

2006-09-13 19:58:41 | 音楽療法
認知症のS子さんは不穏、独語・・・と問題行動が多い。毎朝の申し送りで名前の出ない日はないほどで、またなかなか会話も成立しない。

でもそのS子さんは音楽が聴こえると顔つきも動きも変わる、それは本当に別人のよう。そこでお試し、音楽療法セッションでピアノの横に車椅子を移動してみたら、なんと音楽にあわせて身体や指を動かし、ときに楽しそうに歌っているではないか。1時間の集中力もすごい。それからピアノの横が指定席になった。

昨日は覚醒がよかったので、セッション終了後「S子さんはどんな歌がすきなの?」と聞いてみた。「童謡が好き。今日の赤とんぼもよかったね」とはっきり答え、<ゆうや~けこやけ~の・・・>と歌い始めた。そばでやりとりをみていた介護主任が驚きながら「やっぱり音楽をかけてみようかな。試してみようかな」というので、ソク協力。とりあえず30分テープ(しかなかった  )を作成しフロアに戻る。早速ベッド脇でテープを流す。ハッとしたような表情をみせ、それから静かに耳を傾けている。

そして今朝、「先生、昨夜は音楽が流れている間は問題なかった」と報告を受けた。まさに《音楽療法効果》 夜勤スタッフは目が覚めている間に何度もテープをひっくり返したらしい。その働きも頭が下がる。「もっと長いテープ作ってください。15分毎の交換は大変」ということで、今このブログのBGMは120分テープ作成のために童謡が流れている。CDはさだまさしが歌っているイージーリスニングのやわらかい雰囲気のもの。

S子さんはこの歌を聴きながら何を思っているのか・・・、と聴きながら考える。このCDはやさしい音色で心地よい世界に誘われる。安心してゆっくり落ち着けるような歌声とシンプルな音づくり、語りかけるようなやわらかな日本語。<ゆりかごの・・・ね~んね~こ~ ね~んね~こ~よ>と歌われたら気持ちよく眠りに誘われそう