市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

アベノミクスよりも安陪晋三首相を争点に

2013-07-09 | 社会
 今度の参議院選挙では、アベノミクスが争点だといわれている。この経済戦略が成功するか失敗するかが、自民党政権の運命を分けるともいわれている。では、アベノミクスの経済戦略が成功すれば、安陪首相の憲法改正を目指す政権を肯定できるのであろうか。むしろ問題は、アベノミクスではなく安陪晋三首相その人が問題であり、争点でなければならない。
 
 安陪首相の特性が、きわめて明快にあらわれているのは、さる6月19日(日本時間20日未明)ロンドンでのG8で行った首相の経済政策講演の要旨(毎日新聞6月21日)である。「日本の雰囲気は、大胆な金融政策とき動的な財政政策という私の射込んだ1本目、2本目の矢で大きく変わった。」で始まる講演 この冒頭のくだりは、きわめて特徴的だ。このフレームの核は、「私が」日本を大きく変えたという宣言なのである。その後、講演は以下のようにつづいていく。
 
 「日本は第一にデフレからの脱却、第二に労働生産性の向上、第三に財政規律の維持という構造課題と同時に解かなくてはならず、それには成長が必要の条件だ。...」これを実現するために、講演はつづけられる。

 「2020年までに、外国企業の対日直接投資残高を今の2倍、35兆円にする。
・・・投資減税を実行する。..3年間で国内民間投資の水準をリーマン危機以前のレベル、70兆円、7000億ドル以上に戻すつもりだ。...医療関連ビジネスの市場規模を同じ期間に1270億ドルから1700億ドル以上に戻すつもりである。・・・国と地方を合わせた基礎的財政収支の対国内総生産(GDP)比を..20年度までには黒字にする。・・帰国するとすぐ、東京都議選と参議院選に走り回らなくてはならない。どちらでも自民党に勝利を与えたい・(消費税の引き上げに関しては)秋に、今年4~6月期の(経済)数値を見ながら総合的に判断する。・・・」と本文を抜書きしてならべてみた。ここですぐに気づかれると思うのだが、日本語には、主語が省かれるのだ。もどすつもりだ、する、与えたい、判断するなどの主体は、だれなのかである。これを英文に翻訳するとなると、絶対に主語が必要になる。それは「I」であり「私」である。そこで、私安陪を入れて、この講演を読み直してみると、実は、現実感がまったくなくなってくるのが、感知される。

 日本ではアメリカの大統領のように、なんでもかんでも自分の意思で政策を実行することは不可能なのである。チェンジを掲げたオバマ大統領でも、私がやるとはいわずに、We Canと言っているのだ。一人ではやれないことが、現実なのである。安陪首相の演説要旨のなかでは、ただ一箇所だけ日本の将来に、どうぞ投資を続けえください。一緒に強い日本をつくっていくことをお願いする。」と自民党への投票依頼の要請があるだけだ。「日本を取り戻す」とは、彼自身のスローガンである。一緒になどとは言ってないのだ。

 かれがテレビで語るのを視聴すると、強い日本とか、世界一とか、世界に勝てるとか、高揚感をあらわす言葉をくりかえしながら、どこか口の中でつばでこねくられたようなもぐもぐした言葉となって、爆発的に飛び出してこない。教祖が信者にもぐもぐと語りつづけるような印象を受ける。いや、教祖というより祈祷師か巫女に近いのかもしれない。なぜなら、かれは自分を押し付ける爆発力ではなくて、(かれは、前に岡本太郎の芸術は爆発だというのを賛美した)前にでるのでなくくぐもるのである。それは神に仕える巫女の舞であり、祈祷師の神仏への起伏である。そこにぼくらが見るのは岡本太郎的な強烈な自我ではなくて、神へ仕える喪失の自我をまず感じるのである。この安陪言語の特性からみていくことで、かれの大衆デマゴギーの方法論もわかりやすくなってくる。

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