市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

ランチパスポート

2014-11-01 | 社会
  ランチがすべて500円になるとうランチパスポートが、7月25日に登場、10月24日で一回目を終わった。ランチパスポートというのは、ここ宮崎市近郊のレストラン、カフェ、居酒屋などで700円以上のランチが500円でたべられるという本(定価926円+税)である。店はパスポートに無料掲載できる。その代わり3ヶ月は700円以上のランチを提供、ランチタイム(12~14時)もちろん、定休を除く日は必ずランパスを利用できるようにしなければならないということになる。全国27都道府県・35エリアで発行中で、メディアも取り上げ、新規来客の空席の活用、知名度のUP、売り上げUPと、その実績が喧伝された。

 ランチタイムでも、ガランとしたカフェ、レストランの空しさと不安を解決する具体的方法として、輝くオーナの活動場を生み出せるグッドアイデアとして、店主たちにアッピールしていったのだ。

 オーナー夫婦二人が働くある小さなレストランで、7月25日、常連の一人が、今日は御免ねえとランチパスポートで500円を恥じらいながら差し出したという。毎日何人か、そういう客があり、新しい客も確実に増えてきた日々がつづくようになった。空席も埋まりだし、長年味わなかって平和な満たされた店の活気に癒されるようになった。しかし、急変が起きてきた。いきなり子連れの主婦たちが、グループとなって大挙押しかけるようになったのだ。八月は、夏休みの盛夏であったのだ。これをきっかけに店内は、来店者でごったがえす毎日になってきわわけだ。

 4人の主婦がこどもづれで、10席を占有、ぎゃーぎゃーと騒ぐこどもたち、ジュース、ジュースとねだるのを無視、彼女らはおしゃべりに夢中、ランチが終わっても、おしゃべりは長々とつづく。そして、こどもにジュースはなく、2000円を払ってやっと4人組はでていった。窓の外には順番を待つ来店者たちの行列。またすぐに別グループ、女たちの一人は、コーヒーはつかないのと、あきれたような顔をする。店の電話は予約でなり続ける。やっと一組が出て行くと、ただちに席は埋まる。息をつくどころか、常連と挨拶をかわす暇もない。

 やがておばさんグループが、やってくるようになる。一家族が夫婦子供を交えて、各人がランパスを持って、一家で日曜のランチする。なかには、世間話のつもりが、朝から、あちこちを回ってやっとここでみつけましたと、3時間の苦闘を告げる主婦たち、わずか200円でここまでやるかと、あきれかえるオーナー夫婦の反応も気づけない。この満席状態が、連日、つづくようになっていったのだ。やがて、午前7時には、予約電話がなりっぱなしになるようになった。午前10時開店まえには、行列ができる。

 店はごった返している。来客のほとんどが、席に着くなり、スマホを取り出して、一秒をも惜しんで、予約電話をパスポートをみながらかけ始めるのだ。おそらく予約がどこも困難らしい。しかし、どこまでも、探し求めて、予約にありつこうと、スマホに魅せられたように
電話をかけづつける来店者たち。ここでは、予約を断ると、激怒男が予約可能と書いてあるじゃないか、うそをつくのか。なに満席だ、ふざけるな、15分後にくるから用意しとけと、どなりつける。またもやこどもづれ4人組み、ランチ代2000円をランパス挟んで差出す、一言も言わずに。二人組みの中年女性、ランチが終わると、保険の契約書類の説明・記入がスタートする。どれほど、席順を待つ客が居ようとまったく気にもかけない。ランチタイム終わりのぎりぎりまで粘った一家は、午後5時まで予約可能な店に電話を掛け捲っていく。聞けば夕食を、そこで済ますのだというのだ。

 こうして、連日、開店前から行列ができ、予約電話は午前7時からなりっぱなし、昼間だけはもう線を抜くしかなかったという。そして、毎日信じられないようなお客に一件は当面するということになる。それはわずか200円の値下げのためにである。
 
 ランチパスポートをもって大型の自家用車でやってくる。年寄り連もやってきだした。あと一ヶ月がんばらなくちゃならないと、夫婦は、言う。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内と外 テント劇 | トップ | 晩秋とランチパス »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事