市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

食欲の秋 スタート

2005-11-04 | Weblog
 スタートという店は、喫茶スタート、家庭料理の店スタート、居酒屋スタートと時間によって店名が変わる。そのそれぞれのメニューが、ベニヤ看板で入り口の階段土間に並べられている。店主の客寄せの苦渋が、いっそう店を場末らしくしてしまっている。この必死さが胸を焦がす。あるいはそっぽむかれる・・・。駅前商店街、アーケード西の入り口角のビル2階、階段直下の店である。

 写真は、このスタートのランチである。大根葉、里芋、隠し味に牛蒡の具に入った味噌汁である。ご飯は土鍋で炊かれ、望めばおこげもよそってもらえる。里芋の煮ころがし、茶碗むし、つけものがメインのとんかつの周りを囲む。とんかつにそえられたキャベツは新鮮。そして、かつは、やわらかく、衣は歯切れがいい。お茶は急須で出され、食後はコーヒーもつく。食欲あればご飯もお変わり自由である。この春までは600円だったが、今は700円である。なぜこんなに安い。時代がこんな手作りの価値を否定しているからである。時代に背を向ける客とお店に幸いあれである。

 街は花壇で標準化され、料理は味の素と工業産品で標準化され、人はそれに吸い寄せられる昆虫と標準化されていく時代で、この階段下の「スタート」は、ぼくを癒してくれる。それに偏食の是正もしてくれる。
 
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