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読書と旅行と柴犬のブログ
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書籍「掏摸(スリ)/中村 文則著」スリを生業とする男の運命

2010-03-11 18:13:20 | 読書の時間
書籍「掏摸(スリ)」★★★☆
中村 文則著、175ページ
河出書房新社 (2009/10/10) 発行



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「週刊ブックレビューにゲストとして来た時の
作者本人よりインタビュアーの熱の入った質問に
手応えというか、面白いかもと購入、
芥川賞の「土の中の子供」はつまらなかったけれど、
これはエンターテインメントとして読む分には面白い」



スリを生業とする主人公が
誰にも煩わされずに生きたいと思いつつも、
何かに関わらずにはいられない、
歩いていれば何かが目に入り
中には好むと好まざるに関係なく
それら全てが自分自身でもあることに気づく。


自分らしくとか言いながらも
結局はもっと大きな「力」に
操られているのかもしれないと
ふと考えるとぞっとする。

「土の中の子供」は理屈っぽくて
好きになれなかった、
だからこの作者の作品は「もういいな」と
思っていたが、情報ってスゴイもので
読んでみようかなという気にさせられ、
手に取ると一気読みだった。

スリをする描写は確かにスリリングで
同じ様な映像を自分でも頭のなかに描いて
その時のスリルまで共有した。


母親に見放され、
万引きする少年が出てくるが
子供は自分で環境を選べない、
大人になればまだ何とかはなるが、
そんな環境で育つことが良いわけない。

「社会」と言うと曖昧だけれど、
自分の手を広げた範囲さえままならないのだから
人と関わるということは
大人でも一筋縄ではいかないのだ。


だから毎日は面白くもあり、
そのすぐ裏には怖い部分もはらんでいるのだろう、
スリという行為と主人公に的を絞ったのが
良かったとおもう、
またへんに観念的に入り込み過ぎず
そのバランスも絶妙、面白かった。

次も読みたい。

★100点満点で70点

soramove
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作者はぽっちゃりした人で、繊細というより
ほんわかしていたが、まなざしは時折鋭く感じた。


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