思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

たけしのIQ200~世界の天才が日本を救う~・相撲八百長問題(2)・サンデル教授の授業

2011年02月24日 | 哲学

 今朝は昨日の続きとなります。

大切な家族を守る嘘は許されるのか?
【サンデル教授】
 みなさんちょっと想像してみてください。あなたの兄弟が大学の入学試験でカンニングをしました。そして、あなたはそれを知ってしまった。

 その場合大学に通報するという方手を挙げてください?

 通報すると当然合格は取り消しになりますよ。

 難しい問題ですよね。
<結果>
 真っ二つに分かれましたね。

 では茉奈さん佳奈さん、二人はしまいですよね。

【佳奈・茉奈】
 双子です。

【サンデル教授】
 双子ですか、それでは佳奈さんに聞きましょう。
 茉奈さんがカンニングしたのではないか? と先生があなたの尋ねたとします。
 何と答えましか?

【佳奈】
 私は茉奈がカンニングしているのを知りませんと答えます。

【サンデル教授】
 でも知っているんですよね? 正直に言わないんですか?

【佳奈】
 やっぱり大学の入試というと、本当に人生の大きな試験じゃないですか、隣で頑張っている姿を見ているとなると隠してしまうのではないかと・・・・・。

【サンデル教授】
 嘘をつくんですね? 大切な姉妹を守るために。

【佳奈】
 はい。そうですね。その場合は。

【サンデル教授】
 なるほど。・・・。あなたはどうですか?

【久保純子】
 私はこれまで同じ人生を家族として歩んできて、その家族の一員として社会に背くようなことをしてしまったのは責任が大きいと思うので、本当に心を鬼にして一生それを背負って行くという思いで、お伝えしてしまうと思います。

【サンデル教授】
 これは非常に興味深い結果です。いま二人は反対の意見を持っていました。

 正直に告げるか。
 それとも嘘をつくのか。
 
 でも理由は同じでした。二人とも兄弟のためを思って出した結論だということです。

 大相撲の八百長のケースでは、ほとんどの人が良くないと答えました。でも親子の腕相撲の例やカンニングの例では必ずしも嘘は間違いではないという意見が出ましたよね。

 本当に許される嘘はあるんでしょうか?・・・・・我々は答えに近づきつつあります。

<たけしに究極の状況を!>

【サンデル教授】
 これは究極の質問です。ここにいるたけしさんの映画が、とてもつまらなかったとします。そして皆さんは、その映画を見た後でたけしさんに感想を聞かれました。

 面白かったかどうだったかです。たけしさん? 感想を聞きたいですよね?

 Yes! (厳しいでですね・・の声)


 
 みなさん、たけしさんの友人ですよね? どう答えますか?

【たけし】
 そりゃー・・・結論は・・・・マズイだろう・・・。(爆笑)

【サンデル教授】
 なぜですか? これはあくまでもたとえ話です。それともまさか実際にそんな事があったんですか?

【たけし】
 今までそういう設定はかなりありましたが、だれも本心を言った人は一人もいません。(大爆笑)

【サンデル教授】
 そうだったんですか。それは失礼しました。でもこれはあくまでも、たとえ話です。
 もう一度言いますよ。

 たけしさんの映画がつまらなかった。そしてあなたはたけしさん本人に感想を聞かれた。 さあー正直に答えるのか? それともたけしさんを思いやって嘘を言うのか?

 では聞いてみましょう。まずは正直に答えるという人?

 まあーお兄さんなら当然ですよね。7人の方が正直に答えるんですね?

 ではそうではなく、たけしさんを思いやって嘘をつくという人?

 ではあなたから聞きましょう。お名前は?

【カンニング竹山】
 こんな時に言うのも何ですけどカンニング竹山と申します。(爆笑)

【サンデル教授】
 じゃあ-実際にやってみましょう。たけしさん彼に感想を聞いてみてください。

【たけし】
 オレの映画、この間見た?

【カンニング竹山】
 はい。見させていただきました。

【たけし】
 どうだった? よかっただろう? 絶対いいよな?

【カンニング竹山】
 お客さんすごく盛り上がっていました。言っておきます、周りにも。

【たけし】
 本当のことだよね?

【カンニング竹山】
 当然です。

【サンデル教授】
 ありがとうございました。
 今度は正直に答えるといった人。たけしさんを傷つけても良いんですね?
 どうですか?

【荻原博子】
 言い方というものがあると思うんです。言い方。

【サンデル教授】
 彼(カニング竹山)とは違う? 

【荻原博子】
 彼のは、本当の嘘! 

【サンデル教授】
 では実際にやってみてください。

【たけし】
 オレの映画のことばっかり・・・・・。妙な設定になちゃった。

【たけし】
 オレの映画見てくれました。良かったでしょう?

【荻原博子】
 良かったですけど、だけど今回配役が無理なさいました? (爆笑)
 まとまりがちょっとね。大変だったでしょ?
 あれだけまとめるのは?

【たけし】
 まあーそれなりに苦労しましたけど。

【荻原博子】
 苦労の跡がすごくよく解りました。

【たけし】
 それは楽しんだんですか?

【荻原博子】
 いや・・個人的には面白かったですよ。

【たけし】
 個人的には・・・。ありがとうございました。

【サンデル教授】
 ありがとうございました。あなたは外交官になれますよ。非常に社交辞令がお上手です。

 今のは正直な言い方というより、オブラートに包んだ言い方だったですよね。では私もやってみましょう。絶対に嘘は言いません。

【たけし】
 映画見て見てくれました?

【サンデル教授】
 もちろんです。

【たけし】
 どうでした?

【サンデル教授】
 知りたいですか? 私は、こんな映画見たことないと思いました。

【久保純子】(外野から)
 最大のの褒め言葉。

【たけし】
 こんな映画見たことない・・・・。
 
【サンデル教授】
 人生初です。

【たけし】
 良かった? ヒドかった? どっちですか?
 あまりにもすごい映画なのか? こんなにひどい映画見たことない、どちらでしょうか?

【サンデル教授】
 信じられない様な映画でした。
 
<全員から「ホー」という声が上がりました。>

 まず竹山さんは、真っ赤な嘘をつきました。たけしさんを傷つけないためにです。一方博子さんは、真っ赤な嘘ではないけれど社交辞令を言いました。

 そして私は、たけしさんに誤解を与えたかもしれませんが、一切嘘はつきませんでした。

 これはある偉大な哲学者の考え方なんです。18世紀の哲学者イマニュエル・カントはこのように考えました。

 嘘は絶対にいけない。しかし嘘をつくという事と誤解を与える言い方は大きな違いがある。

と。これまで学んだ通り、時には本当のことを言わない方がよいケースもあります。それでも注意深く言葉を選んで、嘘をつかずに思いやるべきだというのが、カントの考え方なんです。

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以上が大相撲の八百長問題に関しての講義でした。この阿多の北朝鮮の拉致問題がありますが、今回は2回に分けこの問題を紹介しています。

 さてこの議題に対しては、「いかに考えれば解決方法が導き出せるのか?」という課題が課せられていました。最終的にはカントの相手を傷つけない言い方という哲学的な考え方の紹介で終わってしまいました。

 相撲協会の、相撲自体の存亡危機に対する方法についての議論ではありませんが、課題に対する答えであるのか疑問に思ってしまします。と考えてしまうのが一般的なのかも知れません。

 答えが出ているのか、出ていないのか、理解できないからと早計に茶番劇と結論してしまいますが、そもそも哲学とは考えぬくことです。

 「いかに考えれば・・・・」とは思考を重ねる方法、過程を見るということです。今回の場合は、そして「解決方法が導き出せるのか?」という問いですから、このままでは大相撲そのものがなくなってしまうという懸念をどう払拭するかにあります。

 答えは、自分なりに考えてみましょうということになります。

 今朝はこれまでの私自身の大相撲八百長問題についての見解である「ほどほどに」という結論になってしまいますが、今回の講義内容も含めまた自分なりに考えてみる必要がありそうです。

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 相手を思いやる心。相手を傷つけない言い方、相手を傷つけないやり方。

 八百長の行為者は、嘘をついた方、すなわち力士ということです。

 嘘をついたことには理由があったわけです。

 十両幕下の関係者、個人的なブログにお書きましたが彼らには経済的な問題、待遇的な問題から経済的な困窮という悲しい事情があるようです。

 また一方週刊誌では過去においては横綱までもその噂が立ったことがあります。これは経済的な困窮問題ではなく、興行的な問題、個人のプライド・・・等がそこに横たわっています。

 仲間同士のなれ合いの中で、相手の真の困窮を知っているとき7勝7敗の状況、連絡も取らずに負け試合をしたもの側を非難できるでしょうか。

 そういう問題と横綱の名誉、興行収入の増収狙いのための懈怠相撲を同列にみることができるでしょうか。

 本来フェアな相撲であるべきならば、その環境を整える方が先決のように思います。いつまでも力士を絶体絶命の状態におくことは・・・・もういいのではないかと思います。

 もう追及は不可能として、環境づくりと相撲組織の改革をはかることを先決としてもらいたいと個人的に思います。

 解決方法は、それでいいのではないでしょうか。力士全員が絶体絶命の窮地に立たされたのですから、もう二度と同じ過ちはないと思います。思いやりをもって救ってあげるがよいと思います。

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 仏教のことばに「嘘も方便」という言葉があります。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には、「方便」の原書的な意味として、

方便(ほうべん、サンスクリット:upaya ウパーヤ)は仏教用語であり、悟りへ近づく方法、あるいは悟りに近づかせる方法のことである。方便の意味は仏教の歴史とともに分化・深化した。

と書かれていて、またとても細かく説明されています。今回の相撲の八百長問題に重ねるつもりはありません。

今現在の『ウィキペディア(Wikipedia)』は、「最終更新 2011年2月23日 (水) 01:08 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。となっています。実はこのこの更新前までは「鳩山元首相の普天間基地移転に伴う、”方便 ”発言」に関して一番最後に、

 鳩山元総理が普天間問題で述べた「海兵隊は抑止力というのは方便だ」というのは、「方便」ではなく「詭弁だ」と書かれていました。

 検索用語は当初「嘘も方便」という言葉で検索でき、今は「方便」のみとなり上記内容は削除されています。

 『ウィキペディア(Wikipedia)』にしては鋭い解説を載せ、「公」が薄れると思ったのですが、やはりそうなりました。

 ※「詭弁」とほぼ同じ意味で用いられることもある。

とも説明され「詭弁」にアクセスできるようにしてありますが、上記の話はもちろん出てきません。

いろんな人がいろんなことを考える。

公(おおやけ)的に良いのか・・・・、自分の思いとは異なる考えに遭遇する。

そのときに一つ進歩したということです。

 自分の思いだけではなく、思いやりの心で少々考えてみる。五感で観てみる、そんな時に来ているように思います。

最後に番組の終わりにサンデル教授がこのように言っていました。

【サンデル教授
 哲学的な議論や思想は、我々の普段の生活にも深くかかわっているんです。日常様々な問題に対して、我々は常に考えます。

 何が正しいのかを?

家族のこと、仕事のこと、政治のこと

それこそが哲学なんです。

つまり皆さん全員が哲学者だということです。

<以上>

とても素晴らしいことばだと思います。詭弁ではありません。私はそう思います。

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