セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 56本、 演劇 37本

オーケストラ・クラス (2017/仏)(ラシド・アミ) 80点

2018-08-30 20:23:45 | 映画遍歴
音楽を極めるプロも、まったく楽器を知らなかった子供たちも、音楽という力で真実の人生を知り始める。 音楽は手段ではなく、名前の通り、音を楽しむものなのだ。だからこそ、人生の真理を知ることも可能で、人は音楽を通して、人と解り合える。 それにしても、フランス映画って、こういう教育的な移民問題に対して常に熱心である。それは、ただ政治的な理由ではなく、背景に、人間への自由に対する深い、強い思いがそこに存 . . . 本文を読む
コメント

>キラメキ~私はトビウオ、あなたは太陽~(脚本・演出 オカモト國ヒコ)(於・HEP) 75点 

2018-08-30 20:07:01 | 演劇遍歴
シンクロナイズで明日を目指す女性たちの物語です。話はクラブ活動なんかでよくあることかなと思ったが、次に丁寧に描いています。合間にはシンクロの実演もあり見て飽きさせない演出である。 女性しか出てこない劇であり、男性である吾輩としては、女性の園に突入しているものと錯覚することもあり、何やら微妙な雰囲気になっている。観客は女性も多く、恐らくこれらの話は日常茶飯事なのだろうが、男たちはどうなんだろうなあ . . . 本文を読む
コメント

ポストカプセル(光文社) (2018 折原一 著)  80点

2018-08-29 20:28:38 | 読書遍歴
折原一の作品はほんと久しぶり。初期の作品に繻子あくが多いと思ったが、その後、どれを読んでも気に入らず、そして今回なのであった。 ところがどっこい、本作がかなりいい出来だったのだ。倒叙物は彼の作品では当たり前だが、ひねっていて、最後にあっと驚く仕掛けだ。これはミステリーではこたえられない喜びを呼ぶ。 彼の再評価を皆さんに問いたい! . . . 本文を読む
コメント

検察側の罪人 (2018/日)(原田眞人) 75点

2018-08-27 18:42:59 | 映画遍歴
日本映画もこの手で後れを取っていた韓流の域に達したということでしょうか。検事を描いてこれほどエンタメに徹している本作をその意味で高く評価する。 キムタクとニノミヤとの共演は見事キムタクに打ち負かされてしまった感もあるが、それはそれで違和感なく演技に徹している彼らを見ることができた。これも収穫である。 そもそものキムタクの動機付けインパール作戦の白骨街道やら、政治疑獄とか他にもいろいろピント外れ . . . 本文を読む
コメント

悲しみに、こんにちは (2017/スペイン)(カルラ・シモン) 80点

2018-08-27 18:26:48 | 映画遍歴
二人の幼女の全く自然な演技で、どうやって撮ったのかと考えながら映画を見る。演技指導はあまりせず、スナップでで撮ったような映像を重ねたものではないだろうか。だからこそ、僕らも映像に入り込めるし、感動も一味違うものが出現したと思う。 何といっても、普通この手の映画は、肉親でも叔父叔母の継子いじめが入りがち。この夫婦は全くそんなことはなく、むしろこの女の子の方がちょっと悪いぐらい。それらが自然に描かれ . . . 本文を読む
コメント

猟奇的ピンク『be myself』(作・演出 鶴山聖)(於・ステージプラス) 80点

2018-08-26 20:07:35 | 演劇遍歴
現代を生きゆく女性たちの等身大の思い、希望、哀しみが舞台に投影される。 そう、無理に演劇を作る必要はないんだよね。つぶやきのように発露するかのようなセリフが心地よい。柔らかい。空気感が鋭い。いいね。 でも、necoさんのいない猟奇的ピンクって、全然違う劇団みたいです。最初、間違えたかなあと思ってしまったほどです。作風が全然違う。こういうのもありなんだなあ、、。 最後、モデルで大成した女性に、 . . . 本文を読む
コメント

匿名劇壇「笑う茶化師と事情女子」(作・演出 福谷圭祐)(於・in→dependent 1st) 80点

2018-08-26 19:45:36 | 演劇遍歴
原点に戻ったのであろうか、小さなin→dependent1ST劇場での上演だ。Hepなんかでも十分通用する劇団になってしまった、福谷率いるこの美女イケメン揃いの関西を代表する待望の新作である。 客演がないからいつもトーンが整っている。だから完成度も高い。ホンはシニカル十分で、うまい面白い哀しい恐い。言うことがない。 冒頭、福谷の斜め前に東がストーンと立っている。彫像のように。まるで人 . . . 本文を読む
コメント

「ハナタカ」(作・演出:林慎一郎) (於・山本能楽堂) 85点

2018-08-19 19:47:49 | 演劇遍歴
前半30分は能の「善界」。いつ見ても能は難しい。セリフ(謡曲)が分からない。舞も分からない。せめて、映像で文字で映し出してくれたらなあと思う。東京では一部、文字での上映もあるらしいが、、。で、今回も、意味は分からないが、笛、鼓の音楽は最高だし、それなりに見れるのだ。 30分過ぎていよいよ演劇。冒頭からセリフが全くなく、これは大変だなあと思う。マイムでの演劇は慣れていないから、ちょっときついかなと . . . 本文を読む
コメント

オーシャンズ8 (2018/米)(ゲイリー・ロス) 70点

2018-08-16 20:31:53 | 映画遍歴
あれ、館内が女性陣大勢。男性はカップルの人のみ。うーん、見る前から女性映画なんだね。今までとは180度違う現代版女性映画である。 いやあ、男性である吾輩からしても、マネーランキングに立脚するきらびやかな女優たちを見るのはもうぞっこんの喜びであります。サンドラが目立つ主役で、極みの化粧ぶりで、そりゃあもう美しい。ケイトも抑えた美で対応し、サンドラと拮抗している。そして、豊満(?)な魅力たっぷりのア . . . 本文を読む
コメント

タイトルはそこにある (東京創元社) (2018 堀内 公太郎 著)  80点

2018-08-14 19:53:57 | 読書遍歴
編集者が次々繰り出す難題に4年もかけて作り上げた中編5編。これは珍しい。そしてとっても面白い。何より凝ってる。それぞれ二転三転した個性的な展開。これを読めるなんて、ほんとミステリーファン必見。いや、必読。それほど労作なのである。 5編とも読みやすく、入りやすい。あっという間に一つの話が終わる。贅沢。 その中でも、第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」、第三話「おしゃべりな男たち」が好き。感心 . . . 本文を読む
コメント

カメラを止めるな! (2017/日)(上田慎一郎) 90点

2018-08-13 18:43:03 | 映画遍歴
やっと見ることができた映画だが、想像を超えて面白い。傑作といってもいいだろう、思ったよりきちんと全編計算出来ていて、特に映画ファンにはこたえられない作品となっている。 なんといっても、冒頭の30分ほどのゾンビ映画がワンカットワンシーンで、これまた素晴らしくいい。この監督の力量を感じるところだ。そしてエンドクレジットが始まり、あれ終わりかなあと思っていたら、それからが怒涛のグッドメイキングオンパレ . . . 本文を読む
コメント

パプリカン・ポップ『ミーム』(作・演出 森口直美)(於・ムーブファクトリー) 80点

2018-08-12 20:04:12 | 演劇遍歴
本当に小演劇。ムーブファクトリーって、とても小さい空間ビジョン。ぎっしり30人ぐらい。でもそのため、俳優の息遣い、汗まで後ろまで伝わってくるお得な演劇となった。好きだよ、この劇場。 小さな舞台空間に透明の壁が設立される。この壁が今回のテーマ。町と町との境界とも言えるし、人間の生と死ともいえる。善と悪とも考えられる。それほど考えれば考えるほど、深い内容のファンタジー劇だ。 けれど、女性の感覚豊か . . . 本文を読む
コメント

ミッション:インポッシブル/フォールアウト( クリストファー・マックァリー) 80点

2018-08-04 19:56:15 | 映画遍歴
このシリーズ、まだ6本目なんだ。でも随分長く見てきた感もある。今調べたら20年以上。でも、これほど時間が経つと、うまく言えないけれど自分の人生と、時々交錯してしまうよね。クルーズ君と一緒に僕も年を取ってしまった、、。 そのクルーズ君ももはや56才とやら。でも、56歳でこんなことができるなんて、彼は超人か! それほど今回は2時間半、クルーズ君は飛ぶ、走る、悩む、まさに人間的であり、鳥でもある。あ . . . 本文を読む
コメント

2重螺旋の恋人 (2017/仏)(フランソワ・オゾン) 70点

2018-08-04 19:23:51 | 映画遍歴
冒頭から前半、特に女の心象を表出した美術館の光景は素晴らしい。ぐっと迫るものもある。けれど、、、 それからミステリアスな部分が希薄になり、現実と妄想の区分を確かめるまでもなく、奔放に映像は駆け巡る。今回のキーワード、双子、か。オゾンはこれに変に執着する。その内、男、から自分自身、母親まで二人シンメトリーを描き尽くす。 でも、意外とオゾンにしては野暮ったい。鋭いところがない。あれほど勢いのあった . . . 本文を読む
コメント

機龍警察 狼眼殺手 (2017 早川書房)(月村 了衛 著)  85点

2018-08-03 09:53:59 | 読書遍歴
確かにこの手の小説では一段抜けているスケールの大きな警察小説である。警察小説といっても、ぐんと上層部での政界、産業界を巻き込んだ展開なので、小説とはいえ、エリートたちの心象も見え隠れし、特段面白い作品となっている。 エンタメ部分の描写も精緻で、特に 狼眼殺手を追いかける女性警官など、そこらのエンタメ描写顔負けのまさに今、映画を見ているかのようであり、手に汗を握って頁を繰る。それにしても . . . 本文を読む
コメント