セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 73本、 演劇 45本

つながりません スクリプター事件File(2020 KADOKAWA)(長岡弘樹 著)  80点

2024-08-13 10:00:10 | 読書遍歴
映画業界内輪ものとしてスクリプターという特殊な仕事を焦点に置いたミステリー。なかなか斬新で面白かった。映画が好きな僕は十分映画製作の裏話を知る思いでページを繰るのが早くなる。 なるほどこういう素材は長岡ミステリーにも合うなあというのが第一印象。いつもの彼らしい強引なところはところどころあれど、まあそこが彼の面白いところでもあるので気にはならない。しかし、映画業界があんなものだと思う人はいないと思 . . . 本文を読む
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きこえる(2023/講談社)( 道尾 秀介  著) 85点

2024-07-21 18:33:23 | 読書遍歴
こういう本は初めてで、驚く。よく映画で、終わった後に座席に残った人にだけ映像を見せるという作品もたまにあるが、だいたいファンサービスのようなものが多い。ところがこの短編5編の最後のQRコードにはどんでん返しがあったり、隠された真相がしっかりと潜んでいるのである。 残念なのは音楽がうるさかったり、人の音声が聞こえづらかったり、そして最後なんかは映像をずっと見ていないと、何のことかわからない仕掛けに . . . 本文を読む
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線の波紋 (小学館文庫 2012) (長岡 弘樹 著)  85点

2024-07-15 10:52:45 | 読書遍歴
初期の作品らしいが、読んでいなかったことに気づく。長岡の作品はほとんど読んでいる。驚くことに、最近の作品より念入りに、そして情感がより強く流れていることに気づく。彼の作品の本流をこの作品でみたように思える。 それほど秀作ぞろいの短編集であります。そしてその短編はそれっぞれ関係しており、一つの長編作品を成している構成も素敵でいい。 最近、SFもどきのミステリーがこの世界を闊歩しているから、こんな . . . 本文を読む
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ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~ (2024 三上 延 (著)メディアワークス文庫)  80点

2024-07-13 10:46:23 | 読書遍歴
うーん、今回は主要軸となる女性たちの歴代話が満載で、ファンとしてはとても楽しく読むことができました。この一冊でビブリアの本道がかなり見えてきた感じです。 なにより登場人物が歴代通り描いているから、とてもファンにはうれしい企画です。そして内容も感動編であり、珍しく涙腺を刺激させられました。 いろんな古本も今まで出てきたけど、やはり夏目漱石のような超名作は今でも再読したい気にさせられました。また次 . . . 本文を読む
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十字路(五十嵐 貴久 著)(双葉社 2024) 80点

2024-07-08 10:38:21 | 読書遍歴
人物の描き方に人間の陰影を鋭く書き込み安心できる。病を持って亡くなる刑事、後を引き継ぐ刑事二人、そして場面ごとそれぞれ登場する関係者たち、うっすら犯人はぼんやりするんだけど、どうも真相につながらないミステリーのわくわく感。ページを繰るのが惜しいほど面白い。 それらをあっという間に結集した最後の2,30ページは予想もつかない内容でした。 でも伏線を全く出さないこのミステリーは本格ものではないのか . . . 本文を読む
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密室法典 (五十嵐 律人  著)‎  (KADOKAWA  2024)) 80点

2024-07-02 11:42:26 | 読書遍歴
ミステリー好きの僕にたまらない法律を駆使した本格短編集です。登場人物が若すぎるので(僕からみて)少々戸惑うが、でも読み過ぎることができた。 思ったよりくだけた短編集で、読みやすく面白い。それで終わりかなと思ったら、このエピローグ、なんと、次回作の期待をぷんぷん匂わせる展開です。いやあ、待てません。困った。 . . . 本文を読む
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そして誰かがいなくなる(下村 敦史)(2024 中央公論新社) 65点

2024-06-18 18:30:20 | 読書遍歴
設定、題名からどんな本格で奇抜なミステリーを読ませてくれるるのかと思っていたら、文章は平易で、展開も目ざといものもなく、平凡なミステリでした。期待外れと言ったら悪いけれど、他の力量のある作家にかなり追いつけなくなりそうですよ、下村さん。ひねりが後、3つ4つほしいところ。 . . . 本文を読む
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アミュレット・ホテル(方丈貴恵 著)(光文社  2023) 80点

2024-06-06 08:47:02 | 読書遍歴
これは面白いです。設定が本格ミステリーファンならではのわくわく感。ありえない話といっても最近はやりのSF的手法ではなく、往年からのミステリーファンでも十分楽しめる著書となっている。 よくこれだけ考えられたなあと感心する内容なので、これぞ本格ミステリーといいたい。シリーズ化されるのを期待したい。 . . . 本文を読む
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十戒 (夕木 春央 (著) (2023 講談社) 80点

2024-05-24 22:23:04 | 読書遍歴
これは読みやすく、しかも設定がめちゃ面白い。どんどんページを繰る。あっという間にラストまで一気だ。 離島で起こる連続殺人事件。通常は通信機関がオミットされる。しかしこの小説ではそんなことはせず、登場人物たちが身の危険を感じ、警察に連絡できない状態にいる。この設定はユニークだ。そして犯人がいるのを確認しながら行う「こっくりさん」。面白い。才能まで感じるほどだ。 しかし、ラストの叙述トリックは何だ . . . 本文を読む
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螢 (幻冬舎文庫 )(麻耶 雄嵩  著)(2007) 80点

2024-04-29 18:00:09 | 読書遍歴
ミステリーの秀作と誉れ高い本作を見るまで時間がかかる。なんでかな。それほど長くもないし、嵐の中の連続殺人だし、興味深い話であります。 この小説、文庫本をまず読む。最初の登場人物のページを何度見直したか。登場人物が少ないわりに人物描写が深くないのか、よくだれがどうなのかわからないのだ。ラストでキーとなる女子大生にしても、人物欄では完全に女性だと書かれているし、(というのはボクという表現がどうも変な . . . 本文を読む
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一夜:隠蔽捜査10(今野 敏 著)(2024 新潮社) 70点

2024-04-24 21:38:38 | 読書遍歴
このシリーズも10巻。スピンオフも加えると13巻らしい。今回は、あっという間に読み切ったが、それでもいつものさわやかさは残る。でも、ちょっと当たり前すぎたかなあ、、。深さが不足気味。 これだけシリーズ化しているともう書くことにも窮するのかなあ。そんなことを考えてしまう本作だったが、でも骨格の竜崎本人の姿はまごうことなきほんものを持っている。ファンはずっと読み続けることだろう、、。 . . . 本文を読む
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血縁 (集英社文庫)(2019 長岡 弘樹 著)  80点

2024-04-22 11:54:34 | 読書遍歴
短編の名手、長岡による今までの短編をまとめた作品だ。設定が警察関係の学校や刑務所でなくてもまさに同じく面白さが堪能できる秀作ぞろい。 最近、ミステリーを読むと名前だけで違和感があり、どうも人物に入っていけない小説が多い。そんな苦痛もこの作家には全くない。どうやら私も世の中から遠く置き捨てられた人間であるらしい。この小説を読んでそんなことを考えた。 . . . 本文を読む
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密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック (2022 宝島社宝島社文庫) (鴨崎 暖炉) 80点

2024-02-09 21:38:07 | 読書遍歴
文庫本とはいえ、500ページ近くになる長丁場。ありとあらゆる最新の密室トリックが現れる。そりゃあ面白いわけないと言ったら嘘になる。よく、これだけ考えられるなあと思われるほど、もう現代では密室物のネタ切れといわれているのが嘘のよう。読者と一緒に楽しませてくれる。 まあ、こうこういう種のものは楽しむことが一番だ。どんどん人が死んでゆくので、新犯人は限られてくるが、その方面についてはかなりあっけらかん . . . 本文を読む
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クローズドサスペンスヘブン (2023 新潮文庫)(五条 紀夫  著) 80点

2024-01-31 18:33:39 | 読書遍歴
設定がこの世でないあの世の世界、というのがとてもユニーク。登場人物は6人。そして誰が犯人なのか、試行錯誤してゆく、、。 ミステリーって、もうSFを超えて、何でもありだね。これは読まさせられます。面白いです。でも、本格ものではないから、読者に伏線も与えられず、当然真犯人の手がかりもないまま、勝手に謎ときをさせられた感もありますね。 こういうところはアンフェアなんだろうけど、まあ面白ければ何でもあ . . . 本文を読む
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化石少女と七つの冒険(麻耶雄嵩  著)(徳間書店  2023) 85点

2024-01-28 08:41:37 | 読書遍歴
7つの短編集。とは言いながら、それぞれ殺人事件が起こるが、ちゃんと解決しないまま、もう忘れ去られたように次の章に向かう設定。高校生たちが繰り広げられる展開で、いかにも大人のヤングたちで、年齢だけは超大人の吾輩も驚く始末。みんな大人だね。 いや、そんなことを言いたいわけではない。何かいつものミステリーとは違うなあと感じつつ、最後の7章へ。ここで、度肝を抜かれるというか、え、こんなのあり、みたいな終 . . . 本文を読む
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