セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 75本、 演劇 47本

十三&梅田映画日記(3/29~3/30)

2010-03-31 15:55:32 | 書きとめ日記
先週はメルヴィルの処女作を見た。そして今週は我が敬愛するロベール・ブレッソンの処女作だ。これはわが映画人生でもうれしいことである。 ブレッソンの今まで見た映画は7本。5点満点を平均すると4.7点になる。それほど僕のブレッソンへの評価はとても高い。 だいたいセリフは演技性がほとんどない。昔、大島渚が良くこの手法を用いていた。だから、セリフ棒読みの横尾忠則もすぐ大島の世界に入っていくことができた。 . . . 本文を読む
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誰かが私にキスをした (2010/日)(ハンス・カノーザ) 70点

2010-03-31 15:14:10 | 映画遍歴
階段から足を踏み外し頭を打って一時記憶喪失。なんて、使い古された設定で現代女子高生(アメリカンスクールだからそうでもないか)の日常は動き始める。この映画は、何か小説というか、ブログをそのまま映像化したという感じもします。 映画としてこの作品を述べ始めると、他愛もない学園生活の叙述が続き、日本離れしているところなんか、どうもしっくりしないという人もいるかもしれませんが、僕は結構ブログ映画として見る . . . 本文を読む
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花のあと (2010/日)(中西健二) 75点

2010-03-31 13:11:07 | 映画遍歴
『青い鳥』で並々ならぬ才能を見せた【中西健二】の2作目。前作が現代のイジメを通して凍れる心を、そして本作は時代劇へと確かな挑戦をしている気になる映画監督だ。 もう映画化では多作過ぎて流したくなる藤沢原作ものである。時代劇だから、まず時代考証、武家の身だしなみ、作法等々、現代では忘れかけている日本文化というものに真正面からぶつかっている。 障子の開け閉めの基本的な作法には少々僕でも驚く。右手左手 . . . 本文を読む
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罪の天使たち (1943/仏)(ロベール・ブレッソン) 75点

2010-03-31 11:06:23 | 映画遍歴
我が敬愛する【ブレッソン】の処女作。一番最初に見たのは『ジャンヌダルク裁判』で、30年以上も前の作品なのだが、今でも画面を覆う人間の苦悩と、そのモノクロなのに究極の映像美に酔ったことを思い出す。 そしてワクワクする処女作。修道院での女性二人の信仰心をじっくりと見つめている。【ブレッソン】にしては、ある程度ストーリーがあり、しかも俳優に演技をさせている。まずそれが面白い。映像も厳しいモノクロの研ぎ . . . 本文を読む
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梅田映画日記(3/22~3/23)

2010-03-28 13:00:27 | 書きとめ日記
今週は秀作を見る機会に恵まれる。映画作品の評価で、だいたい50~90点ぐらいの評価をつけています。85点、90点というのは僕の中では最高級の評価ということになります。 今週は5本見たが、そのうち85点が3作、80点と75点がそれぞれ1作づつ。これはある意味快挙です。今週だけで、今年のベストテンクラスの映画を何本か見たことになります。 「ハート・ロッカー」。今年のアカデミー賞作品賞。やっと見ること . . . 本文を読む
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アイガー北壁 (2008/独=オーストリア=スイス)(フィリップ・シュテルツェル) 85点

2010-03-28 10:16:24 | 映画遍歴
山岳映画には秀作が多い。それは生死を賭けた一瞬が我々に強く人生の意味を教えてくれるからだ。 アイガー北壁に登るまでの二人の男たちと、それを商業ベースに乗せようと画策する新聞社、そしてただ単に興味本位で彼らの登攀を豪華ホテルに滞在しつつ、見物しようとする富豪たち。丹念な演出は濃密な色彩と相まって緊密な映像を我々に提供してくれる。 初登頂がオリンピックの金メダル授与に値すると言われようが、アルピニ . . . 本文を読む
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リスの窒息(2010 石持 浅海著 朝日新聞出版) 65点

2010-03-26 21:52:17 | 読書遍歴
石持作品はずっと読んでいる。何気ない疑問には絶対何かしらの理由がある。そんな不思議なミステリーが多かったのだが、今回は倒叙ものでありしかも誘拐もの。 まったく通常の犯罪小説になりきっているので驚いてしまう。石持らしいところはその女子中学生の両親の死による異常な設定のみで、それが生かされていない。 誘拐が分かっているのに警察に連絡をしない大手新聞社の重鎮たち。苛苛しますね。あり得ない設定が続くと . . . 本文を読む
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マイレージ、マイライフ (2009/米)(ジェイソン・ライトマン) 80点

2010-03-26 14:47:49 | 映画遍歴
出張の多いサラリーマンだったら、結構経験の多いスマートなビジネス便利方法。前半はそんな見せぶりで、軽く受け止めていたら、だんだん分かってくるよ。そう、家族を持たない便利さをのたまっても、リストラ請負人という負いを脳裏から外しまくっても、それは結局は架空の蜃気楼にしか過ぎないってことを、、。 題名からは想像の出来る展開だけれど、ひとつ驚いたのは、女性が実際にその架空の世界を自分の生きる糧にしていた . . . 本文を読む
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海の沈黙(1947/仏) (ジャン・ピエール・メルヴィル) 85点

2010-03-26 11:50:08 | 映画遍歴
冒頭のレジスタンスの行動。秘密裏にバッグの奥深く詰められたものは武器ではなく、一編の小説であった。フランスらしく香しい導入部であり、また何とそれをクレジットタイトルにする極上のセンス。秀作の予感。 海とはフランス語でラ・メール、女性名詞の代表的な基本的な言葉です。すべては海、母親から生まれるといった意味があると聞いたことがあります。その意味ではこの題名は叔父と姪の内、特に姪の方に比重をかけたもの . . . 本文を読む
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ハート・ロッカー (2008/米)(キャスリン・ビグロー) 85点

2010-03-25 14:59:51 | 映画遍歴
冒頭に戦争は麻薬のようなものである、と字幕が出る。さて、何なのかい、と観客は構えてしまう。このことに拘泥してしまう。そのうちそんな言葉の意味も忘れるほどサスペンス(と言っていいのかな?)の連続が続く。目が画面にくぎ付けになる。秀作なのである。 アメリカは今、徴兵制を廃している(兵役登録の義務はあるらしいが)。志願兵が大多数であるらしい。そして最近の不況下で、若者の志願兵は増加の一途であるという。 . . . 本文を読む
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シャーロック・ホームズ (2009/米)(ガイ・リッチー) 75点

2010-03-25 13:19:40 | 映画遍歴
何を隠そう僕は【ガイ・リッチー】の映像、センスのある映画作り等などとても気に入っており、大ファンである。と言っても『リボルバー』一本しか見ていないのだが、、。しかし彼が監督をしているなんて、エンドクレジットまで知らなかった不甲斐ないファンではあります。 映像がいいね。最近見られない背景のエキストラ大勢の贅沢。カラスの思わせぶりな使い方。カットの速さ。特にセリフを読む暇もないほど早く、観客の頭脳を . . . 本文を読む
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追想五断章(2009 米澤 穂信 (著) 集英社) 75点

2010-03-25 11:19:24 | 読書遍歴
同人誌等に投稿した小説からある事件の本質を探るといった、ミステリーファンからすると最上級の期待を持たせるストーリー。しかも5編の散見してしまった小説はリドル小説風。 一ページを繰りながらワクワク感が募るが、そのリドル風小説がどうも読みづらい。難解というのではないが、短編とはいえ人工的だ。この部分が来ると面白みがなくなる。 でも、これはひょっとして僕だけのことなのか。通常のストーリー部分は軽く読み . . . 本文を読む
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「浪花グランドロマン・湯たんぽを持った脱獄囚」(作 別役 実/演出 たまご☆マン) 75点

2010-03-23 19:32:25 | 演劇遍歴
演劇集団の普段使っているアトリエでの公演。狭いのは承知のこと。何より普段彼らがいるところでの演劇公演というのはファンにとっては嬉しいもの。 そして出し物は小劇場の定番ともいえる別役実原作。チケットが恐ろしいほど安い1000円なれど、質はすこぶる高い。 言わずと知れた二人劇だ。普通は女と男の劇だが、今回は女性二人の心理劇だ。舞台を見ていると、停留所の看板と時刻表が空に浮かんでいる。大きなトランクを . . . 本文を読む
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プリズン・トリック(著者・遠藤武文 2009 講談社) 80点

2010-03-21 14:21:39 | 読書遍歴
ミステリーで良くある一気ものでしたね。冒頭からの交通刑務所の描写が緻密で、まるでその場にそこにいる気分にさせられました。まさか、入った経験はないでしょうが、どこからこの知識を仕入れたんでしょうね。読者を最初から乗せてしまいます。 けれど、ミステリーとしたら帯にあるような乱歩賞史上最高のトリックとは到底思えない。どのトリックをさしているんでしょうか。刑務所になりすましで入ってしまうことを言っている . . . 本文を読む
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空晴第五回公演「もう一回の、乾杯。」(作、演出 岡部尚子於ウイングフィールド) 80点

2010-03-18 13:57:38 | 演劇遍歴
劇団員が若干増えたと聞く。そのせいか、劇に広がりと深みが増していることに気づく。 相変わらず小さな会話の取り違えとかの会話の面白さ。脚本が今回も優れている。ぴーんと張りつめた空気にも親しみが感じられる。 観客と劇団が一体となっている証拠。その雰囲気がまるで他の劇団と違う。 何か、家族的なのだ。 いい和やかさ。 ほろりとさせ劇は終わる。荷物を預かってもらっていたので受け取ろうとするともう主役の俳優さ . . . 本文を読む
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