待ち遠しいこのシリーズもいよいよ終盤近しと思わせる何やら雰囲気。今回はなんと全編太宰治作品の古本調査。これは力が入っとる。
相変わらず頼りなげな二人の関係も少々まともになってきたが、その分、魅力が薄まってきているのも事実かなあ、、。人間って、やはり得恋には評価がきついのだろうか。
ミステリー的にはちょっと不満もあり(あの、盗聴電話はいかにも感が、、)納得できず。
またラスト近くで気になる栞子 . . . 本文を読む
そう言えば最近少なくなった仏前結婚式。多少宗教上の制限はあるにせよ、昔はもっと多かったような気がする。そんな「坊さんは葬式以外何をする?」の解答編なのだが、24歳の青年の人生とリンクさせ、意外といける映画となっている。演出の真壁幸紀は鮮やかでさえある。
幼友達が子供を産み、そのまま脳梗塞で寝たきりになってからの彼の悩みからの結論は安直過ぎる気もしないではないが、彼が伝道者であるからこそ感動を呼ぶ . . . 本文を読む
「鏡の花」が良かっただけに期待したんだが、、。何か昔読んだ「カラスの親指」の二番煎じめいた、またどうもこの恵という女の子が最初から好きくなく、読んでいてそれほどスピード感もないのでちょっと、拍子抜けでした。
最後の最後で今までのドンデン返し風結末に至るんですが、それはそれでとても美しいけれど、ちょっと人工的な気がしないでもない。要するに嘘っぽい。そんな5人組があるバーにたまたま揃うだろうか、とか . . . 本文を読む
題名からは想像出来ないシリアスドラマです。最近あまりまともな(?)演劇を見ていないので意外と新鮮だった。脚本がよくできていて、だんだんと真相に迫ってゆく展開が秀逸で、テンポもよく楽しめる劇となっている。
ある新聞社の日常を描いているのだが、社員それぞれが個性あふれていて、一人一人の書き込みが十分で彼らの社会人としての生き方、すなわち光と影が投影される。面白い。
最後になって真相が告げられ、そし . . . 本文を読む
まあ題名でヒットラー暗殺未遂事件の顛末を描いたものであることは明白なのだが、これをやってのけたのが市井の一家具職人だったということがミソですね。実際他にもいたらしいですが、彼らはすべて組織立ってますからねえ。
普通の人間が、人間が生きてゆく上で障害となるべき存在を抹殺することの意味、実行してそもそも何が悪いのか、そういうことを一人の普通のどこにでもいる人間の眼から問いかけている映画です。
ヒト . . . 本文を読む
言わずと知れた大阪の人情劇団、いやハートフルコメディを主情とする人気劇団「劇団伽羅倶梨」の35周年記念公演である。
一口に演劇で35周年というのは、小劇団ではあるかないかのギネス記録モノではあるまいか、と思われるほど驚異的なことであろうと思う。僕はまだ5,6年ほどしか付き合っていないが、いつもほろりとさせられる大阪の人情喜劇(いやハートフルコメディか)に元気をもらっている。好きな劇団である。
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これはなかなかの掘り出し物。派手な劇場型犯罪、殺戮方法の奇抜さ、過去の誘拐事件の謎解きなどがすべて卓越しており、280ページを繰る動作がとても素早くなる。これはミステリーの娯楽性をすべて備えた秀作であります。
でも、ほんの少しだけ出てくる犯人像は恐らく誰も言い当てられないのではないか。ここだけ麻見氏を憎く思う。あれは無理だろうて、、。
警察小説というジャンルからはかなり逸脱した一気読みミステリ . . . 本文を読む
「オール・イズ・ロスト」で一人、海に放り出された老人の生きるための闘いを独特の映像で描いたチャンダー。今回は大海原から一転して30年ほど前の少々陰惨な色合いのニューヨークを題材にする。
移民で成功した者たちと底辺にうごめく者たちとの描写が見事だ。少々日本人たる僕には分かりそうで分からない彼らの心情ではあるが、移民もあのイタリー系ではなく、ヒスパニック系である。彼らは今や黒人よりも多いと聞く。
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劇場に入ると客席は少々高段に設定されている。そのため舞台は少々俯瞰気味になっている。なかなか面白い位置取りで俄然期待を抱かせる。
そして劇が始まると、やはりこの位置はいい。狭いOVALが立体的で広く感じる。何より、客の頭の間を見るという苦闘を迫られることが全くなく、心地よく舞台を見ることができた。
そして出し物はある国の東と西に分かれた特務部隊の話である。チラシの空色は空を遊撃するときに見える . . . 本文を読む
久々に京都駅の伊勢丹に行く。といっても買い物ではなく、絵画展である。今まで何回行っただろうか、と思われるほどユトリロは好きな画家である。母親のヴァラドンとの同一展示も過去幾回か行っている。それまで大したことないなあと思っていたが、今日じっくり見てお母さんも画家としてはそこそこの腕前だったことが分かる展覧会である。これには少々驚く。
今まで僕の中で彼女を過小評価していた嫌いがありました。作品点数は . . . 本文を読む
確かに死んだ後の夫の3年間の旅先を夫婦で辿る旅というのはかなり異色であった。しかも死んだ夫は生きている自分と全く変わらず息もし、睡眠もとり、食物も食べる。何らこちら側の人間と変わらない。これが一番衝撃であった、、。
黒沢はこの手の話がそもそもお得意である。いわゆる生者と死者との交流といったテーマは彼のファンであればもう「あ、また、あれか」と言わんばかりの類である。でも今回は徹底的にホラー色を避け . . . 本文を読む
昨日見た「マイ・インターン」と同じく、どうってない映画なんだけど、脚本の綿密さ、俳優陣の集中力、演出の鋭さ、それらが一気、たぎるよう煮え燃え盛り、超面白い作品となった。韓国映画の実力をまざまざ見せつける。
話は日本版「張り込み」&名画「第三の男」風である。脚本が光るねえ。しかもチョン・ドヨンの息を飲むのびのびとした演技。この女優は限界といったものを知らないのだねえ。凄い演技でございます。
ドヨ . . . 本文を読む
演劇のエッセンスだけを舞台に昇華させた今時珍しき純演劇(純文学に倣って)である。しかし出し物は私小説ならぬ私演劇でもある。
常識外れの生き方から底辺の生活を強いられる真理。彼女、実質は祖父母に育てられる。母親から捨てられ父親からはカネだけを無心される。そんな真理にも自分の正直な心情を聞いてくれる相方ができる、、。
2月の前作の焼き直しというか、今回はずいぶん具体的で一つ一つの話が僕たちがそのま . . . 本文を読む
何でもない映画なんだけど2時間があっという間で、実はこの2時間に人生の大切なものがぎっしりと入っていることに後で気づく、という宝石のような映画です。
ということはファンには気づかない脚本の作り込みが半端じゃないということなんでしょうな。昔のアメリカ映画って、全体的にこういう作り方をしていた気がするなあ。だから日本映画と違い、僕には魅力的で、明るく素敵だったような気がする。
最後まで実は話がじっ . . . 本文を読む
楽し、おかし、ダンスもあるハチャメチャ親近感のある演劇である。
登場人物が12人程度で多く、それぞれしっかりとした役割と性格付けが彫られていて、なかなかイケる。何よりみんなが演劇というものにまっしぐらに進んでゆく勢いと汗を十分感じ取る。
12人の一体感もあり、わけも分からなく営んできた自分の人生を垣間見る展開はとてもいい。ふと立ち止まる瞬間に人生を感じるんだよね。
狭い舞台だがみんなよく動く . . . 本文を読む