素晴らしい映画ポスター。いい題名。コピーは「さあ、人生の旅に出かけよう」。800キロの巡礼の旅。日本だったら東京から岡山ぐらいの距離かなあ。しかも山岳道だ。気の遠くなるほどの巡礼道。
息子をピレネーの嵐で亡くした父親。火葬にした息子の灰を巡礼道にまこうと急遽旅を始める。まさにロードムービー。疎遠だった息子と対話を図る日々。映像に突如息子が出没するシーンが実にいい。息子は父親の心に住んでいる。息子 . . . 本文を読む
あまり読み慣れない種類の本で、少々面食らった。人間を拷問する描写がリアルで、これは読む人を選ぶというより、どんな善な人でも自分の闇の部分を引っ張り出されるそんな強烈な体験をした。
作品的にはその、時代が違うはずの戦時中らしき時間と、現代の仲良し3人高校生仲間とがリンクしてしてしまう不思議な面白い設定でぐんぐん読ませるが、一歳上の高校生と同棲する母親(しかも主人公と同居)するグロテスクな展開がどう . . . 本文を読む
ある高校生の父親は身障者で旅を回るタップダンサーである。母親はフィリピン人で行方知らずである。住んでる所は不法住宅っぽい二階建て長屋風。学校には通っているも口うるさい教師とどこにでもあるようなクラスメートばかり。
これらをベースに彼の日常が始まっていく。ワンドゥギは2世とはいえ(両親と似ても似つかず)韓国人としても鼻が高くハンサムである。ここがちょっと嘘っぽいのであるが、それを言い始めると映画が . . . 本文を読む
何かフランス映画もイギリス映画とかベルギー映画に似て来たなあというのがまず第一印象。生活感がにじみ出ている。不景気、失業、子育て。何より愛こそすべてと言っていた(と思っていた)フランスの現実感。
貧しいながらも誠実に人生を送ってきたミシェル。組合の委員長をしていながらもリストラのくじ引きの際自分も対象にし、見事くじを当ててしまったミシェル。そんな彼が強盗に会い、犯人がリストラ仲間の元同僚だと知っ . . . 本文を読む
確かに鏡さんに「この世で一番美しいのはだーれ」と訊く継母に【シャーリーズ・セロン】の美貌を持ってきたのはこの映画の企画の秀逸なところ。けれど普通美女の【クリステン・スチュワート】がセロンより美しいなんてちょっと違和感が、、。
ごめんなさい、だいたいトワイライトシリーズからクリステンにそれほど食指をそそられない吾輩なんで冒頭の発言はくれぐれもお許しを頂くとして、、(え!ダメだって。それは困った、、 . . . 本文を読む
テレビを見ちゃっているからねえ、どうしても比較するわけではないけれど、気にしちゃうよね。で、今回は同僚の描写が浅い。【尾野真千子】なんか、刺身のつまでした。他の男性たちもただ映っているだけ。これがまず意外。
テレビ版では各人の超クローズアップと、不気味な音楽とのアンサンブルがすこぶる僕を刺激する。なんだかんだ言っても人間の本質に食らい込んでいるのだ。
映画版はそこらをきれいに取り払って、どうい . . . 本文を読む
この映画のみそはラストの「保護者遺棄致死」という罪状だろう。愛する人と長期車上生活をし、病死させたらこういう罪になるらしい。ある意味これが社会的警鐘にはなっているが、この映画のテーマは愛である。男女の愛である。
ある夫婦の話である。しかも実話らしいので、この生き方が正しいかどうか云々、は言えない代物になっている。分かるのは妻が残り少ない人生だと知った時のある夫婦の愛のあり方を見つめた作品だと言う . . . 本文を読む
原作は繰り返し映画化された、恐らく女性の方は少女の時に読破された方も多いのでは、と思われる世界文学である。ただ、「嵐が丘」は読んでいても僕はこの作品は未読でした。
構成としては嵐の中を命からがら逃げて来て九死に一生を得るジェインの劇的な描写から始まっている。なかなかうまいね。この作品の動的な印象を予感する出だしだ。イギリスの膨大な自然の描写も鋭く素晴らしい。
そしてこの世界文学たる所以の、不思 . . . 本文を読む
予告編見てどうしようかなあと思ったけれど、見てよかった。派手なストーリーも展開もないけれどしっとりと心に沁みるいい映画だった。じわじわ来る感動がたまらなくいい。映画の神髄を見せてくれた。
映画を見る時の心境って、今ある現実から逃避しようと痛快アクションを見る人もいれば、じっくりと人間を見つめようと心に触れる映画を見る人もいる。僕は別にジャンルを気にしないでランダムに映画を見る方だったが、最近は作 . . . 本文を読む
命を賭けてやっとのこと脱北してきた青年。しかし、やって来た新天地は最下層でもがく日常の繰り返しで、希望など何も見えない。一体全体何のために逃げて来たのか、、。生きることは何と過酷か!
ダサい風貌の青年である。しかも非合法のポスター貼りをやらせてもすぐ剥がれ、使いものにならない。同じ脱北者のアパートに居候しているが衣類まで借りている状態である。一方、脱北者にはまともな仕事も紹介してもらえない政治情 . . . 本文を読む
考えたらそんなに見ているわけではない【ソクーロフ】。でも『太陽』の神とも思える俯瞰視、『レーニンの肖像』の雄大なゆったり映像、どちらも映画史に残る傑作であった。そして今回はあの歴史上でも名作と名高い「ファウスト博士」。これは見ざるを得ないと、気持も高ぶる。
映像は確かカラーだと思ったが見終わった後はモノクロの印象が残る。色彩でも薄い色調を何色にも展開していたように思う。そして画面は基本的には今や . . . 本文を読む
こういう社会派映画って、評価が難しい。どうしても映画の作品の出来より、現実の事実に重きが置かれてしまうからだ。強制児童移住という行為が何故大英帝国で行われていたのか、、。
いろんな事由で子供を手放された子供たち(白人の子供)が、親には養子と言いながら、実は遠く離れたオーストラリアについ最近まで移住されていたという事実。そこでのきつい労働と虐待。戦時中の話ではない。つい1970年ごろまで行われてい . . . 本文を読む
何か昔よく見たような古ーいスリリングなB級映画の様相を呈している。それはこの人間実験トリックがあまりにあり得ない調で終始することと、テーマも持たず人間の中身に深く入っていくことをしない【アルモドバル】の愚行にある、と言えるか。
冒頭の映画って例えば『顔のない目』とかそんな古いヨーロッパ映画である。この映画は余りに単式な設定で、例えば古くは手塚治虫の初期のマンガ本を思い出すぐらいだ。
でも、【ア . . . 本文を読む
誰にでも輝く瞬間はある。あった。そしてやはりそれは高校生時代が一番多いのではなかろうか。その時からすでに数十年を過ぎてしまっている僕がまさかこの映画を見て青春を思い起こしてしまうなんて、、。
そう、この映画にはチカラがある。青春を超えあくせく毎日を過ごしている7人のクラスメートたち。彼らは当時みんな同じものを見、同じ方向を見つめていた。そんな経験はやはり若い時にしか訪れない。
25年経っても、 . . . 本文を読む
アメリカといってもハワイだからまた色合いが違うんだよね。まず冒頭の映像のビル群がどことなく違う。どこかホンワカにょきっとビルが建っている、、。そうそこは僕らが見慣れたアメリカではない。自然の臭いが充満する人間臭いハワイのアメリカだ。
この映画はただ単なる女房の浮気から発生する家族の物語を紡いでいく。それは深く、過去のルーツをも考えさせる。単なるハリウッド映画だと思っていた僕は、この映画の伸びやか . . . 本文を読む