三澤拓哉、作品は初めてです。19歳ごろの青年たちのモラトリアムというべきか、精神的には少年たちのグダグダ感が全編を覆う。それはある意味、現代の青年の裏返しの世界なのであろう、自分の世界を捉えられないもどかしさを感じる作品であった。 . . . 本文を読む
ジプシー一族の生態を世に知らしめた映画と言っていいのだろうか、アンタッチャブルの実態を切々とモノクロの実に美しい映像で語り上げる一大詩。ポジティブな主張があまり見られなく、背景の困難さが垣間見える。 . . . 本文を読む
米澤の青春ときめきミステリーでございます。今回は文庫本で500P。とても長い。しかも、事件は連続放火であります。
高校の新聞部と妙に連結するその犯人は、動機は、なんて考えるより、この小市民の主人公お二人の、どっぷりつかるその超絶した世界にじんじん浸ることの喜びをこそ堪能すべきです。
米澤ファンにとってはこの思春期ミステリーシリーズは類を呼ぶものがないほど素敵です。ただ、今回は長すぎます。でも今 . . . 本文を読む
『法廷遊戯』でミステリーファンをあっと狂喜させた第2作です。冒頭のショッキングな殺戮光景が印象的で、それが最後に生きて来るんですね。
とはいえ、ミステリー的にはあっと驚くものは今回はなかったが、家庭裁判所調査官という職業に興味を覚える。警察のように証拠を重視するわけでないので、自由に推理できるわけだ。でも、ちょっと俄然引水的なところもあるけど、、。
ストーリーとしては思春期の少年たちの澄み切っ . . . 本文を読む
面白く、ミステリーという魅惑的な読み物をさらに新しく読ませてくれる深木作品。今回もあっと驚く設定で、少々度肝を抜きますが、でも今回だけは現実からかなり遊離してしまっている気がします。ラストに続く下りはちょっとあまりにあまりだ、という印象でした。
深木作品も最初のころに比べると随分と荒くなってきている感じで、忙しいのかな、分からないけど、綿密に作品構成を考えていない気もします。
この主人公、樹来 . . . 本文を読む
何作も深木の作品を読んできて、全く駄作がないのに感心してきていた私ですが、この作品はどうも乗れませんでした。
消人のトリックも、空を飛ぶという人間も全然だめです。そして、殺人を犯す動機が全く持ってダメ。
こんな深木もまた珍しい、、。 . . . 本文を読む
人間がいつかは辿る死。その最終過程の医療では標準治療と在宅医療とがある。本編は在宅医療を通して二人の患者を見つめている。
標準治療を受けない患者が病院側からある意味、差別的な行為を受けていることは知らなかったが、なるほど在宅医療が患者にとっては桃源郷に思えても、実際は家族に膨大な負担をかけ、それは患者のエゴとも取れることを知る。
医者にとっての失敗例と成功例を二人の患者で表しているわけだが、ど . . . 本文を読む