ここ5,6年ぐらい花粉症が長引いている。昨年は梅雨明け近くまでおさまらなかった。
今年は季節が来る前はかなりひどい花粉の量だといわれていたらしいが、実際は見込みよりかなり少なかったらしい。
それはそれで結構なのだが、僕の場合、1月の下旬からおかしくなりはじめ、世間ではマスクさえ付けている人をあまり見なくなったのにまだ付けて街中を歩いている。いやなものである。ちょっと前は連休前には完治していたのに最 . . . 本文を読む
イーストウッドの個人的遺書というべき映画といっていいのではないだろうか。
シンプルな作りで余分なものはそぎ落とされている。まさに一人の男の遺書である。
妻に先立たれた葬式から始まるファーストシーン。どこにでもいそうな頑固爺さん。家族とも妥協しない。孫さえ拒否する。自分でさえ東欧系のアメリカ人なのに、ブラック、イエローを忌み嫌う。恐らくアメリカでも多数を占める頭の固そうな老人の一人だ。
彼が愛そ . . . 本文を読む
ゆるゆる系の脱力犯罪映画といえようか、肝心のCIAもホントこんなにゆるーくなってしまっているんでしょうか、くすっと笑えるシーンも多いけれどもそんなにおかしくはない。
それはお笑い芸人であまり面白くないけど笑ってあげないといけないのかなあ、という微妙な空気にも似ている。コーエンって、考えたらコメディがお好きで初期の作品(「バートンフィンク」等)以外はほとんどその系譜に立っている。前作の「ノーカント . . . 本文を読む
韓国映画お得意のホラー映画なんだが、全般にもたもたしていてもうひとつかな、、。
だいたい堂々と双眼鏡で向かいの部屋を覗く女性が主人公なんて、とちょっと驚いていたら、同時間になると向かいのアパートでは人が自殺を続けているのに住民の表情が見えなかったり、警察が何ら捜査をしない、というあまりに荒唐無稽な展開にそのうち見ている方もだらけてきた感じがした。
登場人物は女性がかなりきれい目で楽しませてくれ . . . 本文を読む
いつものごとくミステリーを読んでいるつもりがなんと青春恋愛ものでした。雫井脩介って、こんな本も書くんだと思いながら、でも、なかなかいい。
1ページを送るのに大切な気持ちがする、あの、いい小説を読むときに出てくるいとおしい気持ち。
中盤でネタはすぐ割れるんだけれど、それでもその清冽な青春特有のほとばしる気持ちと人生の真実を言葉の端々から感じ、久々に恋愛小説を読んでいることに気づく。
ラストは生憎 . . . 本文を読む
この映画の感覚を共有するにはちと年齢が離れすぎているワイ、と映像を見ていたが、この青い果実の、熟する前にはじけるその初々しさと不安、そして通過する哀しみをわれながら感得している自分に気付くのであった。
思春期の女の子が心の秘密を語る、まるで日記のような淡いパステル画のような映画であったが、男性には恐らく理解しにくい種類の心象風景だと思う。そして、現代の女性がこんな繊細な気持ちを有していること自体 . . . 本文を読む
40年近く前、ロンドンで実際起こった貸金庫強盗事件をベースにさまざまな人間群像を絡ませた面白且つ秀作イギリス映画。
この映画のポイントは貸金庫を題材にしているということだろう。秘密主義が徹底しているので盗まれても公に届けることが出来ない。それよりも王室スキャンダル写真、政府高官秘密クラブ写真、汚職警官賄賂ノートを入手してしまった犯人たちの開き直り捨て身行動が秀逸で面白い。
これが事実に基づいて . . . 本文を読む
とはいっても、2ヶ月ぶりなんですが、東京は桜もほとんど終っていました。
僕自身桜は俄然好きというほどではないが、日本国民がいつもこの季節になると一斉にさくらさくらと騒ぎ出すので、何でこのときだけ花を愛でるの?とこの時期の日本人は好きではない。と、同時に桜自体も花から先に咲き出すという不思議さがなじめず、特に好んでいるというわけではない。
まあ、どうでもいいことですなあ。
昼ごろには羽田に着き、即 . . . 本文を読む
久々の下北沢。この町は好きだ。若者が多いけれど、気さくであまりファッショナブルな人がいないのがいい。小さな店が多く、何でも揃っている感じ。
東京に来ると時間があればここで演劇を見ることにしている。OFFOFFで9ーstates。いい名前だなあと思ったら九州出身だからこの名前だという。うーん、単純!!
出だしは結構シュールかなあと思ったら、意外や演劇版「シックス・センス」をやってのけた。登場人物 . . . 本文を読む
有名な三国志を材料に多少主役を変え人間味豊かな、且つ手作り娯楽作に徹した大作だ。
この映画のミソは今まであまり歴史に登場しなかったトニー・レオンとその妻リン・チーリンの抜擢であろう。この二人が脚光を浴びることにより赤壁の戦いがフィクションとしてジョン・ウーの独自性を発揮することになる。
しかし、まあトニー・レオンと金城武の2大スターの出番が多いのは仕方がないが、レオンの主君チャン・チェンが全く . . . 本文を読む
館内はほとんど女性が群がりひょっとして間違ったところに来たのでは、と一瞬後悔の念もする。夫から見放される女性の話だけれど、観客はとっかえひっかえきらびやかにたなびく豪華な衣装や装飾品に目を移しているようでもあった。
だが、男性たる我はもち、そんなところには関心はなく、セレブの女性のお嬢さんぶりに苛立つも、意外や自由を満喫するその快活ぶりに女性の強さを感じる場面もあり。
恐らくこの映画はイギリス . . . 本文を読む
映画ってどんな手法で、どんなテーマでも何かを描くのは自由だけれど、この映画は何か、映画を製作する側の悪意とまでは行かないが、人間をテーマにしている割に人間を材料にした計算高い何かを感じてしまうのである。
究極の人間の生存への選択をテーマにしたものは過去限りなくある。「生と死」をかけた二択選一の映画では、少し前にナチス収容所で自分の息子と娘を選択させられた母親の悲劇を鋭く掘り下げた「ソフィーの選択 . . . 本文を読む
借金に負われ家族と別居し睡眠時間もなく働くおじさんと、心の不安を抱えながら、それでも明日への足取りを歩もうとする韓国女子大生との心の交流を描いた小品です。
題材が地味で、通常ならば映画化しにくい作品だと思われるが、それだけに逆に新鮮でもある。市川染五郎と相変わらずの竹中直人以外は著名な俳優はいないが、いかにも手作りの作風で好感が持てる。
撮影場所が松本で自然に恵まれた所であることも好印象だが、 . . . 本文を読む
お気にいり中村義洋の新作、しかも伊坂原作もの、ワクワクする気持ちは止められない。
映像がざら目で粒子感が出ており、好きな色調ではなかったこと、また挿話が5編に分かれており、最後には一つに繋がるのだけれど漫画チックに描かれている部分が多く、それほど映画センスを感じられなかったこと、などからいつもの中村ではない気がした。
良かったのはやはり「フィッシュストーリー」の音楽そのものだろうか。何回聴いて . . . 本文を読む
ページ数も200ページと短く、まともに読めばあっという間に終わってしまう。しかし、4つの短編は珠玉のごとく、ページを繰るのがもったいないぐらいでした。
それぞれの主人公の職業は公務員的な職業だが、地味で庶民にとっては灯りとなるような人たちである。さりげない日常を何気ない角度から掘り下げ純粋ミステリーとしている。かなり能力がありと見た。
次作が楽しみだ。 . . . 本文を読む