大晦日に見た映画、恐らく洋画の今年ベスト1。家でもめ事を抱えながら見た映画で、心は映像と自分の気持とがごっちゃになって混濁気味。でもそんな焦燥感が不治の病を抱えた主人公の心象と相重なり、この2時間映画は僕の彷徨い感をググッとえぐる。
主人公と兄、そして民宿の主の男と一人の女の物語。女は北京から理由あってロンドンに移住し、そして柳川にやって来た。柳川は北京語でリウ・チュアンと呼び、女と同じ名前であ . . . 本文を読む
大の大人が子供に戻れるときのような素晴らしい時間を共有できる至福のひと時です。劇場というより狭い小さな空間なので、目の前に俳優たち13人が踊りセリフを吐き、1人それぞれ主役の時が絶対あるのでその時ばかりと自分を売り込む。
俳優陣もみんなそれぞれの劇団の中心メンバーばかりの人でとても楽しめた。中身はほとんどギャグのような筋書きだが、老若限らずみんな(30人ばかり)一体感を持って観客をなす。
それ . . . 本文を読む
かなり好みの大山作品。この人の作品は他のミステリー作家とは一味も二味も違う。とにかく面白い。発想がユニーク。一番の欠点は寡作だということかなあ、、。
本作は5点の短編集。時効を過ぎた犯罪の証拠品を集めた博物館から思いがけない犯人を探ってゆく。ミステリーファンにとってはこの上ない設定であります。
なかにはちょっといくらなんでも、と思われる解決編もあるが、それはご愛敬。ミステリーファンにとっては至 . . . 本文を読む
神をも恐れぬというか、テーマ等、壮大な演劇です。神代の昔のような原始古代から現代にも通じる人間と神と自然との対立、調和を描いていたように思います。
途中キノコ雲の原子爆弾投下の様子が赤裸々に語られるので、わたしたちは神と原爆とも対峙しなければならなくなる。
何はともあれ、ランタイムは80分ほどでそれほど長くはないのだが、あまりに煎じ詰めた内容だけにずっと圧倒されたままの80分だった。
できれ . . . 本文を読む
知らない劇団だと思っていたら、個人ユニットの旗揚げ公演だった。こういう旗揚げ公演は大好きだ。恐らくそこには作者の宇宙観が散らばっているはず。
始まりはスコップで地面を掘っている男。焦っている。そんな焦燥感からこの劇は始まり、二人の対話が3対、交互に現れる。
私にとって彼ら若者たちの語彙、リズムは驚異的である。日常の電車などの物音に近いものから、今日の劇の会話に至るまで、もうその語り口は驚異でし . . . 本文を読む
テーマはあくまで人間平等、という崇高さが底辺に息づきます。それは劇だけでなく、我々観客にも強く感じさせる応対ぶりです。劇の俳優陣には手話をする人も多く、また字幕で聞こえない人にも配慮する。そんなアットホームの劇空間一色です。
ただ、いつもこの劇団からは抽象的な命題を直球でもらってきたと思っていた僕は、今回のテーマのストレートさに少々おののく。ピンク氏、こんなに人道的だったのかなあ、、と。
ラス . . . 本文を読む
これは力作です。現代劇を見慣れている我々からは、こういう時代に生きていた人々がいたことをしかと思い起こさせてくれる。それは現代にも繋がっていると思う。
時代は昭和初期。嫌が応にも日本が暗闇に転がり行く時代であった。そんな時代でも、詩を書くことで生計を立てていた人たちがいたことに驚く。詩集が売れていた時代なのか、、。
16年ずっと愛していた女の夫が亡くなる。男は妻子を捨て女と再婚する。そんな自己 . . . 本文を読む
あまりスリラーが好きでないわたくしがたまたま見てしまった映画です。出だしなんかはそこそこ面白いです。映像も凝ってて美しい。これは期待させるなあ、なんて思っていたら、、。
あまり怖くないんです。ちょっとキモイ部分もあるけど、これを見せたかったのかなあ、、。だとすればそれに固執していればいいものを、なんて思ったりしてみていると、ハハン、これはこうだぞ、と、このミステリー部分のからくりがそのうち見えて . . . 本文を読む
映画化すれば不思議と秀作となる佐藤泰志原作もの。今回は舞台が函館ではなく、東京。これだけで随分違ってきます。東京ではあの函館の行き(生き)遅れ感が出て来ない気がする。
女に捨てられた男とその女に夫を取られた女との不思議な関係です。ちょっと設定が自然ではないような気がします。
①男の家に女が子供を連れて来て生活をするのだが、これが少し腑に落ちない。別にどこかのアパートでもいいわけだ。この時には二 . . . 本文を読む
看護師学校で学ぶ若人の悩み、喜び、哀しみを描いたハートフルものです。人数がものすごく多く、けれどきっちりそれぞれの役割を描き、これはもう達人だ。
高橋さんのいいところはまじめな内容であるけれど、きっちりと笑いを入れているところ。これは僕は演劇の基本だと思っているのでうれしい限り。
若い人たちの話や展開に軽さも感じてしまうが、これは私のような年寄りがいうべきことではないでしょう。最後の方では感動 . . . 本文を読む
2時間20分。洪水のような人数の俳優陣。話は切り裂きジャックあり、吸血鬼まで出没する派手な設定です。殺陣は実によく練習していたんだろう、さっそうと楽しめました。
ストーリーは3グループに収束するんだけど、どうも集中できなくて、私の脳裏は散漫状態でした。脚本があらゆる方向を狙い過ぎたのではないかな、と勝手に思う。
でも総勢20数名による演劇は実に豪勢で心地よい。若い人を見ているだけで実に楽しいも . . . 本文を読む
若い学生の方たち、卑近で身近な日常の悩み、それは私たち歳月を経て今いる人間からはちっぽけな悩みに思えるが、時を数十年過去に戻せば、いやあ思い出すこと然り。そうそうこんなものだったね、と懐かしくなる。
とそんな拘りなく自由に彼らの悩みをストレートに描いているのが断然いい。若さの特権だ。
最後の方、どこにいても同じ星を見つめることができる。そう、みんなで同じ方向を見ている経験、ありますよね。これこ . . . 本文を読む
60年ほど前は堕胎が法律で禁止されていたフランス。男性である吾輩が見ているとちょっと距離を置いてしまうので、かなりきつい映画です。
60年前とは言え、今でもこの問題がアメリカでも論議されてるように、女性にとっては生きるか死ぬかの必須のテーマです。誰もが身近な問題なのだと思います。
あまりリアルなので、いたたまれない感を強く持つが、胎児を流した時に「ごめんなさい」と謝るシーンは感動的でした。でも . . . 本文を読む
演劇に、和太鼓、バレエなど多彩なパーツをフルに駆使し作り上げた芸術品であります。ストーリーもファンタジック、ミステリーでもあり実に楽しい2時間でした。
演劇の可能性を追求したその野心に拍手。2時間はあっという間でした。これだけ輻輳した構成の演劇なのに、練習たっぷりなのか、俳優陣の演技は無駄が全くなく、完成感も感じられ充実していました。いい演劇日和でした。 . . . 本文を読む
映画の日、小さな劇場、満席の中に男性少々。この経験は「アメリ」以来。内容知らずに見たツケが回ったのかと思い、、、。
ディオールが好きな人はたまらない映画でしょうな。ファッションショーなんかはその時間が長く、退屈。でも女性は恐らく目がぎらぎらでしょう。
話は、出来過ぎの感もあり、ちと鼻白むが、イギリスの若い女優さんにとびきり美しい人が多いので、その分楽しめた。2時間、随分昔の古い映画を見ている感 . . . 本文を読む