セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 62本、 演劇 40本

楽園(宮部みゆき著・文芸春秋)(2007) 70点

2008-03-27 10:34:36 | 読書遍歴
ミステリーという範疇に入るかどうか疑問だと思ったけれど、読み出したら夢中になってしまう小説です。上巻を読んだ時点でまだほとんど物語が進んでいないという不思議な展開でした。 本格ミステリーが好きな僕にとっては犯人探しとは全く縁遠いこの宮部ワ-ルドは少々苛立ちもしましたが、それでも人間が書けているので読んでいくしかない、という使命感も多少感じながらページを繰っていく。 これだけの素材を上下2巻に納め . . . 本文を読む
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映画日記(3/24~3/25)

2008-03-26 16:32:25 | 書きとめ日記
24日は朝から例の天六へ行く。ほんと、よく行きますね。何かやっているさ、という感じの映画館で、いつも娯楽映画をやっています。まず「ホクテン座」で「 88ミニッツ」。 ミステリーなんだけど、世に言う遠隔殺人というやつで、実際にこの世でこのような事件が行われるというのは聞いたことがない。小説での話しなんだろうけれど、最近の説明不能の国内の事件を見ていると、こんなことがあるのかもしれないなあなんて思 . . . 本文を読む
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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 (2007/日)(若松孝二) 85点

2008-03-26 16:04:39 | 映画遍歴
この映画は題名のとおり実録ものです。かなりの書物、書簡からこの映画を構築したと思われる。でも、その時代を生きていた僕でさえ膨大な状況から彼らの行動を理解していたわけではないので、この映画は当時の新左翼という一つの一面ではあれ、まさに整理(総括)されたものになっている。 まず、学生たちの政治闘争を時代を据えて文字で語ってくれるのは分かりやすくて感心した。あれだけ彼らが闘争し、悩んでいた革命ごっこ . . . 本文を読む
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マイ・ブルーベリー・ナイツ (2007/仏=中国=香港)(ウォン・カーウェイ) 65点

2008-03-26 14:22:08 | 映画遍歴
ウォン・カーウァイ、初めての英語圏映画。主演はハリウッドの蒼々たる役者。さて、あのシャープな映像は健在か。 話は彼の原点への復帰映画「恋する惑星」から。どこにでもあるようなカウンターバー。そこで一寸目を引く好青年のジュード・ロウ。いつもと違い眩しいほどの美貌でないのがいい。そこに、どう見ても白人系には見えない普通の女性が、、。 失恋しているらしいが、自分のことで目いっぱいで、ただただそのときに . . . 本文を読む
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魍魎の匣 (2007/日)(原田眞人) 70点

2008-03-26 13:18:36 | 映画遍歴
原作を損なわない台詞の掛け合いの楽しさは十分感じられた。意外と綿密に演出された成果が出ているものと思われるが、各俳優の演技へのこだわりが拍車をかけたものと思う。 さて、映画の方はめくるめく魍魎の世界を現出していたかどうかは疑問ではあるが、そこそこエンターテイメンとして楽しめたのも事実。脚本も丁寧であったし、演出も力量は感じられた。ただ、何と言うか、ラストの匣の城の崩壊シーンはちゃち過ぎるのではな . . . 本文を読む
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88ミニッツ (2007/米)(ジョン・アヴネット) 70点

2008-03-26 11:48:44 | 映画遍歴
俳優陣からするとB級映画たり得ないんだけど、展開、内容とも十分B級を呈している。こういうアメリカではよくありそうなミステリーが原作なんでしょうが、読書でなら受けそうな題材です。 しかし、そもそもこの遠隔殺人というのは映像化しちゃうと嘘っぽく見えるのも事実。やはり小説での中の話なのかなあ、と思ってしまう。それが分かっているんだろう、やたら登場人物が美女ぞろい。アル・パチーノ一人に演技をさせて、観客 . . . 本文を読む
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そして名探偵は生まれた(歌野晶午著/祥伝社2005)  75点

2008-03-22 15:59:44 | 読書遍歴
3つのトリック的ミステリー。実に面白い。 その中でも、もう使い古されている「そして誰もいなくなった」の新解釈が読める「生存者、一名」が実に明快で印象に残った。 何より読者へのミステリーとしてのサービス精神が旺盛で、読むページをめくる時間さえ惜しいぐらいのわくわく感が出没。やはり本格はいいなあ。 . . . 本文を読む
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梅田映画日記(3/20)

2008-03-21 21:25:41 | 書きとめ日記
私事でものすごく忙しく、ほとんど睡眠も取れない状態でした。 何とか終了したと思ったら東京に出張の日程が入っており、いやもう本当に疲れました。 でもせっかくの休日、世間ではお彼岸です。今年は早めに墓参りもしたので、今日は早朝から梅田に出て梅田TOHOシネマで3本映画を見る。秀作ぞろいなので、いつもやっている目をつむることは絶対避けなければならない。 まず「バンテージポント」。 これが思ったより面白く . . . 本文を読む
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ガチ☆ボーイ (2007/日)(小泉徳宏) 75点

2008-03-21 16:52:38 | 映画遍歴
ガチンコの意味も知らないでこの映画を見ましたが、全くガチンコに画面を見続ける自分に気づきました。 よくある青春スポーツものなんですが、この映画の凄いところはすべてが漫画チックなのに、漫画を読んでいるように感動してしまうというところです。(原作は劇団上演だという) 何が凄いって、そりゃあ、ラストの延々と続く学祭プロレスの涙のタッグマッチでしょう。 分かっているけれども、感動が極まって涙が出放題 . . . 本文を読む
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バンテージ・ポイント (2008/米)(ピート・トラヴィス) 80点

2008-03-21 15:58:48 | 映画遍歴
1時間半。映画にとって最良の上映時間だと実は僕は思っている。昔ゴダールもそう言っていた。人間がダレずに集中できる時間はそんなものだろう。この映画はまさにその90分でスペインでの米大統領暗殺事件の8パターンの「羅生門」をやってのける。 まさに画面に釘付けになってしまった。特に演出に派手さはないのだが、タッチは流麗だ。俳優陣もそこそこ豪華。映画人の野心さえ感じられる秀作でもある。 冒頭の中継車から . . . 本文を読む
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ノーカントリー (2007/米)(コーエン兄弟) 85点

2008-03-21 14:26:08 | 映画遍歴
この映画は玄人好みの映画ですね。何かを吹っ切ったときに出来る素晴らしい飛躍的な広がりと2時間ずっと緊張を強いられる映像の持続性には驚かされます。そしてその計算された映像の隅々からスタッフ・俳優たちの息遣いまで聞こえて来ます。 映画的に完成度は高いというのは言うまでもありませんが、しかしこの映画(コーエン監督のものは総じてこうですが)は観客を選ぶというか、多少観客を突き放したところがあるので、その . . . 本文を読む
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九月が永遠に続けば (沼田まほかる)(新潮社) 70点

2008-03-12 21:26:41 | 読書遍歴
久しぶりに一気読みの本ではある。高校生の息子がごみ出しに行ったまま帰って来ない。主人公である母親は不眠不休で息子を捜すが、、。 何とも、読んでいくうちにあまりに異常な設定に打ちのめされていくので、謎を捜すこちとらの気持ちも萎えていくのだが、それでも息子が生きているのかどこを彷徨っているのかだけでも確かめようとしているうちに思いがけないラストに突入してしまうという、まあそれなりに面白い作品ではありま . . . 本文を読む
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天六から梅田映画日記(3/10~3/11)

2008-03-12 16:59:06 | 書きとめ日記
10日は朝から梅田に出る。一寸家の用事を済ましてからだったから遅い目であります。昼前に梅田に着きまず食事。その後梅田ブルク7で「明日への遺言」。 予想していた通り、平均年齢は高い。女性の方も結構いたのには驚き。まあ、夫婦連れが目立ったが、、。 映画のほうは少々単調なつくりで、映画的効用は少ないものの、題材が題材だけに今でこそ作られるべき映画なのだろう。しかし、演出、その他映画技法については僕なり . . . 本文を読む
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映画 クロサギ (2008/日)(石井康晴) 70点

2008-03-12 16:43:38 | 映画遍歴
テレビは見ていないのですが、見てすぐどういう映画か分かったので、その点は丁寧で好感が持てます。(反対にテレビを見ている人にはしつこいのかなあ。) 冒頭のシェイクスピアの引用はこういう娯楽作品でも作品に重みを持たせるのだと言うことがわかりました。一応内容はマイナーな映画なので、悪くはない。ある意味、カッコイイです。 演技的にも山崎努、竹中直人ががっぷり四つなので、重心がしっかりしている。山下智久 . . . 本文を読む
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明日への遺言 (2007/日)(小泉堯史) 70点

2008-03-12 16:00:16 | 映画遍歴
B級犯罪者の裁判といえば、遠く「私は貝になりたい」という名作があった。南洋で上司の命令で処刑を決行した下司官が死刑になってしまうという悲劇を彼の人生を踏まえ、淡々とある時は憤りを持って平和の意味と理不尽を訴えた作品である。 本作は主題が最初のナレーションで、国際法と無差別攻撃についての矛盾を問い、そのまま名古屋での米兵処刑の法との関係是非に入っていく。映画の中でも述べられていたが、まともに審議を . . . 本文を読む
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