セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 73本、 演劇 45本

壁の花団「代数学」(作・演出 水沼 健) 於CUBE02 80点

2024-09-06 21:41:18 | 演劇遍歴
困惑する題名。難しそうな気配。翻訳劇だろうなあと思ってみてみると、雰囲気はまさにそうで、けれどとても面白く作ってある。戦争という極限にいる者たちの平和と不安と時間のリフレイン。これはなかなかすごい! 衣装を風のたなびきに任せた演技が印象に残る。このシーンが中盤と終盤に2度あり、閉塞感の永遠性が示される。面白い。感動的。人間の営みの悲しさをよく表していた。 俳優陣は匿名劇団のお二人がやはりセリフ . . . 本文を読む
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演劇ユニット衝空観「雨ざらし満月」(作・演出 銭山伊織)  於indeependent1st 75点

2024-08-25 17:53:29 | 演劇遍歴
太陽ではなく月が全体のモチーフとなっているのがみそです。 登場人物はみんな繊細な神経を持った優しい人たち。どこにでもあるような、どこにでもいるような人たちが繰り広げるストーリーなんだが、逆にこういう設定の演劇が珍しいのか、本質の展開に入っていくのに時間がかかった。 中盤からは彼らの気持ちは手に取るようにわかるが、でも自分の気持ちがそこまで浸透できない何かを感じてしまっている。なぜだかわからない . . . 本文を読む
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Masui Studio「アビゲイルのパーティ―」(作 マイク・リー・演出 桝井智英) at聖天通劇場 85点

2024-08-24 19:14:10 | 演劇遍歴
小さな劇場公演だが、中身はどっしり演劇臭が詰まっている秀作劇です。夫婦という仮面の中に息づく人間のもろもろの本性を暴いてゆくその手法はやはりアメリカ、イギリスの方が優れていますね。 この種の劇は映画化されているようで、この作品も「地獄のパーティ」として上演されたらしいが見逃している。古くは「ヴァージニアウルフなんか怖くない」など、作家は違えど、名作もあった。この作品のマイク・リーといえばイギリス . . . 本文を読む
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ピッコロ劇団「さらっていってよピーターパン」(作・別役 実 演出・眞山直則) atピッコロシアター 80点

2024-08-04 19:49:17 | 演劇遍歴
ピーターパンのお話。だが、作が別役実だからまともなわけがないと思って、鑑賞する。そしてそれは当たる。かなりあちこちで別役の一流エスプリが散らべられているのだが、さすがこれは子供向けのミュージカル、それはそれほど目立たず、劇は進行する。 でも、だって、ピーターパンは少年ではなく、初老のおじさんなんですぞ。もうそれだけで、別役の意図がわかるというもの。全般において楽しかったけれど、やはり生きてゆくこ . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン「ヒロッパ」(作・演出 浦部 蒼士) atウイングフィールド 75点

2024-07-27 20:02:35 | 演劇遍歴
ウイングフィールドという小さな劇場だが、さすがグランドロマン、この劇場を使い切っていて、90分あっという間だった。 演劇論に至る結構まじめな試みをこの劇団一流の昭和時代のつぶやき風をぶつぶつ吹き回し、ウフフと笑わせる仕組み。ただ、そんなエスプリも、考えていたら劇はさっさと先を進んでいるので、置いとけぼりに遭ってしまう。 テーマは演劇の8・1/2だと思うんだが、途中で教育現場が入ってきたり私は整 . . . 本文を読む
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でめきん「蕗のしたのクル」(作/演出 葉兜ハルカ)at布施PEベース  75点

2024-07-21 18:50:28 | 演劇遍歴
若い劇団。総勢11人ほどで、小さな舞台を大きく見せるテーマがいいね。 話は、なんとなく途中で分かってしまうが、でも若い人たちが昔物語よろしく日本の伝統の妖怪たちや妖精を現代によみがえらせたのがうれしい。2時間近い劇だが、みんなセリフにとちりもなく、練習十分。主人公の少年も途中までは女性と気づかないほど少年してた。みんなうまいね。 敢えて言えば、あの豪華絢爛な妖怪たち、ダンスでもあればなお良かっ . . . 本文を読む
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大阪放送劇団「その受話器はロバの耳」(作/土田 英生 演出/増田 久美子) 於A&Hホール 80点

2024-07-14 17:34:40 | 演劇遍歴
土田氏の作品だから見ておこうと見た演劇でした。とても卑近な話で、また会社勤めをしたことのある人ならだれもが悩む事柄を、実に等身大の距離感覚を持って演じられました。 登場人物がみんなキラキラ輝いており(それなりにみんな影を持ってはいるが)、2時間強の劇はアッという間に終わってしまう。いい小説を読んだ後に残る読後感もさわやか。素晴らしい演劇でした。 前半からちょっといい加減人間めいた役柄だった人た . . . 本文を読む
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劇団ホリック「廻り巡って蝶を飛ばす」(作・演出 深川大悟) atアトリエS-pace  85点

2024-07-07 18:06:32 | 演劇遍歴
旗揚げ公演でここまで完成度が高いとまず驚きます。設定は少々異常だが、不気味で哀しい現代をしっかりと描いていると思う。時間も90分越え。立派だねえ。頼もしい劇団が誕生した瞬間をしかと見た。 暗幕が始まる寸前に使用した小道具をすべて大切に堀炬燵のような空間に放り込む。これが面白かった。最後は主人公までも同じく空間に放り込む。これは何を意味するのか不明だが、今まで見てきた劇では皆無の手法だ。次作がもう . . . 本文を読む
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学窓座「てのひらのさかな」(作・中村ケンシ 演出・一湊レナ) at関大凜風館 75点

2024-07-06 19:41:42 | 演劇遍歴
幼稚園の大きなイベントが終わり、後片付けをしている先生たち。何気ない会話がとても高尚で、私には天から聞こえる啓示にも思えるほど、ひとつづつセリフを噛みしめ聞いている。幼児とはいえ、相手をよく見ており、知っている。 途中、バタバタする小事件が続くが、全体として、この劇は一つのポエムだと思えてきた。詩情が流れているのだ。美しい。けれどところどころ怖い。いい劇だ。敢えて言えば、どこかに笑いもあればなお . . . 本文を読む
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学園座おぼろ(作・柿ノ木タケヲ 演出・千花)  於KUシンフォニーホール  75点

2024-06-30 17:56:16 | 演劇遍歴
学生演劇、もちろんみんな若い、若いからこそできる芝居もある。ところがこの劇、いたっておじさん風設定の怪盗黒頭巾こと朧小僧のお出ましだ。500年先の月よりの使者も駆けつけ現代風をアピールしているが敢えて昭和風時代劇ともいえる。 でも楽しいのだ。時間はゆうに2時間を超えるが、気にならない。俳優陣も総勢30人ほど。タテも練習十分、気迫がみなぎっている。敢えて言うと、後半がエンタメ十分なのだがが、前半は . . . 本文を読む
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RTC projec「ワールド オブ ビギニング」(作・演出 浜冲 竜生) at芸術創造館 80点

2024-06-23 20:10:54 | 演劇遍歴
総勢18人による架空の国の戦乱もの、というか全編ファンタジーゲームを見ているかのよう、目まぐるしく変わる話が一つ一つ魅力的だ。 私のような老爺からはヤング好みの演劇だが、それがとても分かりやすく見入ってしまった。それはみんなセリフのトチリもなく、練習十分だということ、さらに俳優陣のそれぞれの役割もきちんと描けていて、主役が何人もいるかのように多彩でもあることによる。 主役の3人は言わずもがな、 . . . 本文を読む
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覇王樹座「六月学外公演『死神』」(作・演出:雨蝶天) at布施PEベース 80点

2024-06-15 19:34:56 | 演劇遍歴
学生演劇では既成の脚本を演じる演劇がほとんどだが、今回は立派にちゃんと脚本を書いた劇である。その本もなかなかユニーク。趣向も凝らして見栄えがする舞台である。雨蝶天さんはなかなか才能がありますね。70分、十分緊張感も切れず、いい舞台でした。 セリフ回しは少しぎこちない役者さんもいるけれど、でも聞き苦しくはない。何しろみんな大いに若い。その若さがあ全般的にこの劇のかさ上げをしている。パワーがあるのだ . . . 本文を読む
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兵庫県立ピッコロ劇団「あしあとのおと、ものがたり」(作・山本正典 演出・原 竹志) atピッコロシアター  80点

2024-06-09 20:17:55 | 演劇遍歴
柳田国男の遠野物語を基本イメージに置いた山本ファンタジーというべきか、僕はジブリの映画を見ているような錯覚さえ覚えた。洗練されてる大道具、小道具を多用した視覚的美術、そして何より鍛えられたピッコロ劇団の面々、物静かで悲しいが確かな命のあしおと、それは人間への祝福のエールとなり脈々と続いてゆく、、。もうこの100分は至福の時間でした。 なんだかんだ言っても、この舞台の彩りが若く、透き通り、エレガン . . . 本文を読む
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南河内万歳一座「新・あらし」(作・演出 内藤裕敬) at一心寺シアター 70点

2024-06-09 11:21:37 | 演劇遍歴
以前他劇団で上演したらしい演目です。内藤氏らしいいつものパターンだが、冒頭の水辺での事故もそれほど尾を引かないし、肝心の借金マニアのダメ先生もなんだかなあ、ピンとこないです。 それぞれの役者さんたちの演技はそりゃあよくできてます。でも今回は吾輩に迫ってくるものがちとおとなしかった感がします。テーマ性がいつものように前面に出していないように感じられるのは吾輩だけでしょうか、、? この劇団は事務所 . . . 本文を読む
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突劇金魚「GFT版 贋作・桜の森の満開の下」(脚本 山田蟲男、サリngROCK・演出 山田蟲男) at芸術創造館 85点

2024-06-02 19:46:39 | 演劇遍歴
突撃金魚は好きで、東京にまで遠征したこともあった。そのうちサリngROCKさんが出演しなくなり、山田蟲男さんは大きく変身する。作品も軽妙で少女っぽい軽やかさを持った作品から重く暗いものが多くなっている。でもずっと見ているのだが、、。 今回はなんと出演がかなり遠のいていたサリngROCKさんの久々の出演で、もう見る前から少々精神高揚気味。そしてそれは叶った。それだけで私的には十分なのだが、この作品 . . . 本文を読む
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