月と太陽は対照的だ。明と暗、光と影。月は常に陰を担っている。そしてこの映画はまさにその月から放たれている鈍い光を描いているのである。
アフリカ系黒人の存在。アメリカでも住居を隅に追われ、黒人たち居住地とでもいうべきスラムのような街に、母親からも疎まれ居場所のないシャロンがいる。彼はまだ幼児であったが、差別された黒人の中でも、オカマといわれ、さらに黒人たちからいじめを受けている。
生きる上で過酷 . . . 本文を読む
最初の方は結構映像も面白く、興味深く見れたが、だんだんと、これは、いかがなもんだ、と、、。
どうも、頭でこねて描いたような絵空事的小説を家のソファーで読んでる感じがしますなあ。ハナシがすべて人工的なんです。
だいたい、妻が死んで悲しくならないのはなんでだろう、から始まるんですが、そんなのただ一言、愛してなかったからに決まってるじゃないかい、と僕は言いたいのであります。
別にこの夫を責めるわけ . . . 本文を読む
総勢いったい何人だろう。30名ぐらいはいたのではないだろうか、馬琴と嫁との口述筆記の苦悩。当時の政治改革による芸術への圧力。そして南総里見八犬伝の登場人物が盲目となった馬琴に続きを書いてもらおうと、嫁に近づいてくる。
なんと面白い着想。そしてあのアート館独特の正方形の舞台に八犬士が勇壮に舞い上がる。
有名な芥川の馬琴とは違い、この舞台ではそれほど作品創作への苦悩は描かれないが、それでも2時間で . . . 本文を読む
久しぶりのNyan。今日は2階まで客席があったけど、前からそうだったかな、、。いやあ、全然関係ないけど、面白いカタチの劇場である。
題名は滑稽だが、内容は極めて不条理で、ある意味人を突き放す演劇でさえある。セリフが絶え間なく続き、しかしそこには不思議と詩情というものが湧いては来ない。けれど、詩劇であるはずなのだ。
ストーリーというものを解体するとこういう劇になるんだろうか、普通はこういう劇を見 . . . 本文を読む
これはね、とにかくすごい映画です。韓国って、肉食で、血がたぎっていて、どんどん昇り詰めて、すとーんと落ちる。そんな映画もこれまで見た。でもこの映画は、違う。最後まで昇り詰めて、昇り詰めてそこでEND。僕までどわーと血流を感じる、、。
チョン・ウソンが美男ぶってないのがいいんだよね。というか、むしろその逆を行ってる。最初見たとき、落ちぶれて元気がなく、警官なのにチンピラ風情で「迷える羊」感が漂う。 . . . 本文を読む
予告編が素晴らしかったけど、本篇見るとそういうことだったんだ、と二度楽しめる。誰にでもあるほろ苦い青春の思いをエッセンスに詰め込み、見事冬から始まる人生の季節感を映し出すことに成功。
冬が重要なんです。普通は春か夏。四季だから冬で終わる。こういうところが実にうまい。
冒頭の高速道路の渋滞から始まるミュージカルシーンがまず圧倒的(僕はすぐゴダールの「ウィークエンド」を年齢的に思い起こすが、そのあ . . . 本文を読む
これはもう濃い映画ですなあ。我等日本人たちには血の色まで違うのかなあとまで思わせる韓国映画の凄まじさであります。何が凄まじいかって?
徐々に、ひたひた押し寄せてきた波がファン・ジョンミンが出てすぐこの映画の鼓動が変わる。それはまるで津波のごとく。
冒頭にキリスト教のルカ伝を出しておいてこの映画はキリストを描いているんですよと観客に告げる。そして一連の猟奇事件の描写が続き、いよいよ國村が出現。
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この文化会館って、大きくて広い。何せ、いつも見ている劇場とは桁違い。だからか、この舞台をステタイは総勢29人で猛烈に走り廻っている。駅伝なんかもテーマになってはいるが、本質的にはどこにでもある市井の家庭の悩みが浮き彫りにされる。
お母さんが働き、お父さんは家で家事をするからという理由で学校でイジメに会う少女。母親は結婚せずに男と娘と同居、時どき実の父親と逢瀬をする少女。
かなり忙しい仕事を受け . . . 本文を読む
何かあの僕の好きな初期の「復讐もの」に少し戻ってくれたようなチャヌクの新作である。全体のタッチが熟成しており流麗。音楽もガンガン鳴り響き、あの浮世絵画集の美術もとてもよくできていて、気持ちがそそられる。
話も、ぶっ飛んだような映画の世界に耽溺できる、キワモノすれすれの感覚は映画的にも優れています。北斎の水槽の大蛸まで出てきて、こちとら笑っちゃいました。チャヌク、意外と日本通なんだ。
ところで、 . . . 本文を読む
久々の伊藤えん魔。今回は生バンドが主だとでも言わんべき音楽が響き渡る。ルパン三世、デビルマンなどのアニメキャラなどが総登場だ。しかし、彼らが一人づつ狙われて、いなくなる現象が、、。ルパンはこの謎を解き始め、悪と対決する。
何ともおちゃらけエンタメ全開の展開だが、これがちゃんと劇になっているのだよ。後半には手塚治虫(イトウエリ好演)まで出てきて、いわゆる日本のアニメワールドを総括するのだ。何たる伊 . . . 本文を読む
評判高いミステリー小説だ。だいたい外国で発生する物語はカタカナの人名に弱くパスしていたのだが、今回は米澤穂信の力作との定評があり読破する。
400ページで少し長い。けれども「読ませるなあ」というのがまずの感想。ジャーナリズムの本質をテーマにしてはいるが、仏僧も絡ませて世界の世の中のことについての人生論のようにも思えてくる。
わたしたちが本を何故読んでいるのか、映画を何故見ているのか、なぜ星のこ . . . 本文を読む
僕にとっては久々のそとばこまち。前回は十三だったけど、今回は梅田のHEP。だいたい大勢の役者さんが出る演劇なので、HEPが合うはず。期待する。
前回もそうだったけど、舞台は変われど、ひょっとしたら僕とあまり合わないみたいです。何か、しっくり来ません。物語に入って行きません。役者陣、ものすごくカッコよく、しかも美人揃いで、この上何を言うか、なんですが、心が引き込まれません。
何か話が人工的なのか . . . 本文を読む