この主演4人の女優。特にJ・フォンダ、D・キートン、C・バーゲンは欧米映画の旗手となって映画船団を曳航していた、わが青春のアルバムでもあった。そんな彼女たちが一堂に会する映画とは、、。
ところが何とも軽い艶笑喜劇ときた。あまりに無難すぎるのでこちとらとても驚いた。でも彼女たちの今を見たいというミーハーな思いで忙しい年末に映画館に足を運んだ吾輩。彼女たちが選んだ脚本をあまり責められない。
なかで . . . 本文を読む
フセインが出てくるからそう遠くではない時代の話だ。ロシアから高齢者二人が夢をもってイスラエルに入国。そこでの生活を待ち受けていたものは、、。
適度に散らばめた映画愛を下敷きに、もう決して後戻りのできない二人は新たな希望を探し求める。現実という壁が二人を待ち受けるが、それでも明日を求めて生き続けるしかない。
何か、どこの世界にも通じる話だが、今時こんなテレフォンセックスなんかあるのかいな、と思い . . . 本文を読む
一応本格物なんだけど、こういう超次元ものって最近多いですよね。でもこういうものも読んでいかないと、最近のミステリーに置いてけぼりを食っちゃう、かな。もう子供時代からミステリーをむさぼり読んでいる吾輩としては、追随していくしかないわけです。
とはいっても、それほど長くない本篇ですが、なんだか読みづらいですなあ。本格としては、読者への伏線もかなり不足してるし、納得できるものではない。でもこういう傾向 . . . 本文を読む
劇作家を目指す人たち12名による短編劇。3時間ほど。
前半の劇は少々おとなしめで、それほど個性を感じなかったが、午後になり俄然面白くなる。目を見開くとはこのことで、10分程度の短編の終わりが惜しくなるほど。やはり劇は脚本がすべてとは言えないが、いいも悪いもホンが基本的に決めるのではないか。
敢えて1本を挙げれば、葉兜ハルカ脚本、サリngROCK演出の「枯れ尾花」か。人の情念が凝縮していて、実に . . . 本文を読む
ずいぶん昔からの再演らしい。一家離散した家族が12年ぶりに再会したそのきっかけとは次男の葬式だった、
彼の死因が自殺だったのか、何故この家族は離散したのか、そういう具体的なことは触れずに物語は通夜・葬式とそれぞれの人間の思惑を抱えながら時間だけが過ぎてゆく。
家族のそれぞれがどろどろの思いを持ち続けているはずなのに、この物語は随分と透き通っているように思える。達観しているともいえる。家族のつな . . . 本文を読む
青春の墓碑銘と言えようか。みんなが同じ方向を見つめていたそのまなざし。喜びも哀しみも苛立ちも不安もみんなで分かち合う、そんな”とき”の共有こそがそれぞれのその後の人生に確たる沈殿を残すのだ。
17歳、22歳、27歳、歳月は過ぎても人は変わりぬ。恐らくそれ以降もね。彼らにとっては17歳が決定的な年齢だった。ひとそれぞれそういう”とき”があるのだと思う . . . 本文を読む
芦沢は短編の名手でもあったのか。5編とも、読みやすく、鋭い展開。現代のトルソーを構築し、これでもかこれでもかと全編終局に進んでゆく。
これは拾い物の作品だ。彼の才覚がきらりと光る。僕は最後の「ミモザ」が好きだ。 . . . 本文を読む
最近珍しい本格ミステリーです。しかも、真相が二転三転どころか、六転七転してそして最後にどんでん返し。これほどミステリーファンに愛を持った作家も珍しいでしょう。
最近、あり得ないほどの何でもありのミステリーが多すぎるので、こういう本格物はほんと嬉しい限りだ。ただそれほど重要でもない書簡の一部を太字で読者に再読させるのは、いかがなものか、と思われた。そこが惜しいね。
他の作品も読みたくなりました。 . . . 本文を読む
お気に入り中山の新作だ。けれどいつものシリーズものではなく、主人公が公安のエリート刑事だ。そして家族にも及んで行くその展開が手に汗を握るようでさすが中山の筆力だ。面白い。
けれど、真犯人がいつもの中山らしくなく、凡庸で、えっ、あれっ、と思ってしまう。これで終わるのだろうかと思いきや、最後のどんでん返しがあり、まあ一応ほっとするというか、こんな終わりでいいのかと思ったり、いつものようにどうもすがす . . . 本文を読む
本格では神髄を極める大山の新作です。ところが意外や本格ではあるものの、軽妙な短編集と来た。しかも主人公はワトソン力とやらを持っている刑事であります。
この力というのがミステリーでは初めてといってもいいほどユニークな能力なのです。まずこんな力を思いついたなと思わず驚きもし、ニヤリとさせられます。
7編だが、どれを取っても読みやすいし、トリックも驚くほどではないものの、まあまあの出来。あっという間 . . . 本文を読む
お気に入り監督ロイ・アンダーソンの新作です。彼の作品は一言でいうと「侏儒の言葉」いわばアフォリズム集のようなものだと僕は思っている。屈託のないさりげない人生のカット集には今回も強く惹かれる。
そして本作、いつもより毒が少なくなっているように思える。その分親近感が増すが、作品としてはいつもより平板に見えぬこともない。しかし、そこはアンダーソン、ただではころばぬ。むしろ普通の人々にこそ、人生の真実が . . . 本文を読む