セントの最新映画・小演劇 

観賞数 2023年 映画 13本 演劇 18本

波紋 (2022/日) (荻上直子) 75点

2023-06-01 20:41:53 | 映画遍歴
結局「かもめ食堂」の荻上なんだよね、と言われ続け奮起、17年ぶり、荻上が本気で力を込めて作った作品なんだと思います。今までの作品とのイメージの違いにおののきます。なんたって、ブラックグラデーションの波紋なんだから、、。 この映画って、夫婦の嫌なところ、その微妙な空気感が鋭く描かれています。この手法は女性映画って言ってもいいのではないかと思います。あくまで長年夫婦におさまっている絶え絶えの吐息のよ . . . 本文を読む
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劇団未来「梅子の梅根性」(作 南出謙吾・演出 しまよしみち)at 東大阪市文化創造館 80点 

2023-05-28 18:31:12 | 演劇遍歴
女性の生き方を明治の初期から考え通した津田梅子の生涯。いわゆる元祖女性活動家であります。今から150年ほど前。女性は10代で結婚生活に入り、男性の添え物だった時代に、自ら女性には教育そのものが必要だという認識で、2度もアメリカ渡航したダイナミックガールズです。 前半がじっくり彼女の脳裏をめぐる人生を描き、後半はちょっと駆け足気味だが社会システムまでを見つめる展開を伴う。 彼女は自分の人生を10 . . . 本文を読む
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南河内万歳一座「楽園」(作・演出 内藤裕敬) 80点 at一心寺シアター倶楽

2023-05-26 09:58:32 | 演劇遍歴
劇団名ごとくいつも直球で人生の心理を追及しているおなじみ劇団です。追及って言っても、にぎやかでちょっとほろ哀しいところもある親しみやすい内容です。 さて今回は、駅から少し離れた迷い込むような居酒屋に貸し切り状態の14、5名が集まった。そこで繰り広げられる人生の悲喜こもごも。いつものパターンだが、でもだから面白い。 今回は若き新団員も入り、少し色が違って見える。これから楽しみだ。戦士には休息は必 . . . 本文を読む
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MEMORY メモリー (2022/米)(マーティン・キャンベル) 70点

2023-05-21 18:41:00 | 映画遍歴
たまにはニーソンの殺し屋映画もいいかなと鑑賞する。ガイ・ピアースとかお好みモニカ・ベルッチなんかも出てて、楽しみだ、と思ってた。 メキシコの色調がちと暗く、子供売春をチクリと提言した展開。ニーソンは殺しの対象が子供だったので、契約解除を申請するが、、。 まあ、話のテンポは速く、どんどん人も死ぬし、ここは映画の世界だとは言え、ちょっと不思議でございます。ニーソンはアルツハイマーなので記憶が危ない . . . 本文を読む
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銀河鉄道の父 (2023/日)(成島出) 80点

2023-05-15 08:35:13 | 映画遍歴
東北岩手の星、いや日本の星である宮沢賢治の家族の物語である。そこではいわゆる伝記もののスタイルはとってはいない。そこには日本のごく当たり前のどこにでもある家族の思いが凝縮され、みなぎっている。 賢治を才能豊かな芸術家風になぞらえていないところがこの作品の魅力である。ごく普通のでくの坊息子のようにさえ見えるところがほほえましい。そんな語り口がたまらん。 妹トシのはかない終わりのシーンは雪が幻想的 . . . 本文を読む
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劇団グラスホップ『バッドエンドを抱きしめて』(作・演出 カイチヨウ) at布施PEベース 75点

2023-05-06 18:21:32 | 演劇遍歴
若さ溢れる劇団です。やはり見ていて気持ちいい。この出し物も何やらよく分からんが現代人の生き方のもがきが漂っているようだ。 108番居住区へと5人が走る。その5人の内面は、セリフで吐露される。でも設定が、よくわかりませんでした。でもその5人の焦燥感はかなり伝わってきました。 黒い雨が降る108番居住区。ここは人類が最後にたどり着く番地なんだろうか、、。諦観とかすかな明るさがこの劇を救う。 . . . 本文を読む
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パリタクシー (2022/仏)(クリスチャン・カリオン) 75点

2023-05-03 18:10:52 | 映画遍歴
もう寿命が分かっている人。死ぬ前にタクシーでこの映画のように思い出の場所を訪ね廻るっていうのも素敵ですネ。 場所がパリであり、タクシー客が人生の辛酸をなめた人であり、そしてタクシードライバーがまさに今壁に突き当たっている人である、そんなシチュエイションは、ほろ苦く、しかし小さな灯のともる童話をパリから送ってくれたようである。 G/Wアニメばかりの映画の中にふっと湧いてきたような小品です。まさに . . . 本文を読む
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劇団飛煌機大人さ(作・演出 舟木祐人) atフジハラビル 75点

2023-04-30 16:58:10 | 演劇遍歴
若き青年たちによる独特の演劇である。60分と上演時間は短い。大人になること、このまま大人の世界に入ってしまうこと、幼児体験、地震・津波などの災害。様々な厚いイメージが青年たちを立ち止ませる。 よくしゃれた個展などを展覧するこのフジハラビルでやるだなんて、なかなか皆さん乙なもの。センスがいいね。この独特な会場の雰囲気の元、青春前夜の大人への慄き、怖さ、どよどよしたものがセリフを通して、動きを通して . . . 本文を読む
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せかいのおきく (2023/日)(阪本順治) 80点

2023-04-30 09:59:29 | 映画遍歴
阪本の新作だ。この人の作品群がそのまま私の映画歴ともなる。さて、今回は珍しくエコをテーマに、江戸末期の文明砲がとどろく時代の市井の人々を描く。 題名。「おきくのせかい」ではなく、「せかいのおきく」。このことで人が文明を見つめるすべをもつことで、世界の広がりを経験したことを示している。 さてその彼らは一体全体どういう人たちか。糞尿を回収し、それを農家に売りさばく、市井といっても末裔のひとたちだ。 . . . 本文を読む
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あゆみ企画「螢の光」(作・角ひろみ 演出・高橋恵)at総合芸術館 85点

2023-04-23 17:07:12 | 演劇遍歴
何気ない日常が変質するその怖さたらものすごい衝撃。何でもない普通の夫婦がある日、妻が蒸発する。その日からありふれた日常が非日常に変わり、それはホラー感に迫ってくる。 それを90分でしっかりまとめた力量感のある演出はさすが高橋恵氏。ずぶずぶと私の日常感さえ自信がなくなって来たぞ、のし。 目の前に繰り広げられる非日常はいつか、夫の白昼夢のようにも思えてくるし、これはまさに不条理劇とも言えよう。 . . . 本文を読む
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青の帰り道 (2018/日)(藤井道人) 80点

2023-04-22 21:38:38 | 映画遍歴
18歳から23歳に至る若者たちの青春群像。とはいえ、彼らは決して甘い人生をついばんではいなかった、、。 現在の若者を鋭く見つめた作品です。それぞれの生きざまには苦悩以外の何物でもない人生模様がくっきりと陰影を与えている。なかには夢破れ、途上にして死を選ぶ若者もいる。 その若者の死から彼らは苦しみ、もだえ、そして何かをつかんでゆく。そのためにゆうに5年を費やす。人生とは、を、若者のひたむきな視線 . . . 本文を読む
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劇団六風館「ある日、ぼくらは夢の中で出会う」(作・高橋いさお・演出・星美鈴)at阪大学生会館 75点

2023-04-15 20:20:10 | 演劇遍歴
ユニークな演劇だ。何気なく不条理だし、何となくおかしい。それでいて何だか悲しいし、変に楽しい。脚本がとても面白くできていて、観客はそれについていけないほど。 何だか難しいかなと思い始めたら四阿後になって、超どんでん返し劇になりエンド。これはすごい。颯爽感さえある。 ただ、六風館にしては、ちょっとセリフのゆとりがなく、珍しい。学生劇だと言わせない彼らの伝統があるからなあ、、。 でもいい一日だっ . . . 本文を読む
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ロストケア (2023/日)(前田哲) 65点

2023-04-05 08:39:25 | 映画遍歴
高齢化社会における介護について、一考察を提言した作品であります。当然、老人ホーム殺害事件などを連想してしまうが、、。 まず刑務所に入りたがる女性高齢者が執拗に検事に迫るシーンが印象的だ。それは現代社会の過酷さを訴えているのだが、身勝手な人間だと言い切っていいのだろうか、、。 そして、42人もの高齢者を殺戮した松山と実の父親を見殺しにした検事(でも、孤独死のどこが悪いのだろうか? 母親も体よく施 . . . 本文を読む
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名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件(白井智之 著)(新潮社  2022) 80点

2023-04-01 19:46:56 | 映画遍歴
秀作との評判高い本格ミステリー。舞台が外国に移ってから、外国人の名前が出始めてから、スピードが止まる。でも、表紙の裏に登場人物の名が出ているので、何とか読み切る。 りり子さんが素敵で、まさに断然主人公なのだが、まさかあんなことに。この辺りの白井の大胆ぶりに酔ってしまう。 話は二転三転、面白いです。人民教会は当時、世界的に衝撃を与えた事件なので、僕自身気にはなっていました。まあ、詐欺の蘊蓄も興味 . . . 本文を読む
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名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件(白井智之 著)(新潮社  2022) 80点

2023-04-01 19:37:26 | 読書遍歴
秀作との評判高い本格ミステリー。舞台が外国に移ってから、外国人の名前が出始めてから、スピードが止まる。でも、表紙の裏に登場人物の名が出ているので、何とか読み切る。 りり子さんが素敵で、まさに断然主人公なのだが、まさかあんなことに。この辺りの白井の大胆ぶりに酔ってしまう。 話は二転三転、面白いです。人民教会は当時、世界的に衝撃を与えた事件なので、僕自身気にはなっていました。まあ、詐欺の蘊蓄も興味 . . . 本文を読む
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