セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 73本、 演劇 45本

壁の花団「代数学」(作・演出 水沼 健) 於CUBE02 80点

2024-09-06 21:41:18 | 演劇遍歴
困惑する題名。難しそうな気配。翻訳劇だろうなあと思ってみてみると、雰囲気はまさにそうで、けれどとても面白く作ってある。戦争という極限にいる者たちの平和と不安と時間のリフレイン。これはなかなかすごい! 衣装を風のたなびきに任せた演技が印象に残る。このシーンが中盤と終盤に2度あり、閉塞感の永遠性が示される。面白い。感動的。人間の営みの悲しさをよく表していた。 俳優陣は匿名劇団のお二人がやはりセリフ . . . 本文を読む
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復讐の十字架(2017英 ルドウィグ・シャマジアン・ポール・シャマジアン) 75点

2024-09-02 11:20:10 | 映画遍歴
題名の十字架を象徴する真面目作。O・ブルームが自分の演技力に新たな挑戦を試みた問題作ともいえる。 題名の通り、十字架が基本テーマです。信仰とは何か、人間と信仰との距離、関わり合い、生きることと信仰すること、それらを寓話のような事件から解きほどこそうとしているように思えます。 ブルームが最後にたどり着いた罪人を赦すということ、それはすなわち赦された方は神との対峙をせざるを得なくなることを意味する . . . 本文を読む
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壁越しの彼女 (2023/韓国)(イ・ウチョル) 70点

2024-08-31 19:58:16 | 映画遍歴
韓流の流れをくむ本格的ハートフル恋愛映画です。隣の部屋との壁越しの愛だから、もちろん純愛です。この手の映画はもはや韓国でないと作れないのではないか、と思われるほど素敵だ。映像を見てるだけで即感情移入ができるのだ。 日本映画だったら、こうはいかない。嘘っぽくなり、見られない。そういう純粋で不思議なものを韓流は持っている。でも、昔はこういう韓流を見、感動し、涙した吾輩も、そうはならない。もう心も枯れ . . . 本文を読む
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アンダーカレント (2023/日)(今泉力哉) 90点

2024-08-28 20:21:01 | 映画遍歴
心の内側に流れる澱んでいるけれども、かすかにたなびくその響き、、。誰もが抱える心の襞を包み隠さず現代人に投げかけた問題作だと思います。 友人であれ、親子であれ、夫婦もしくは恋人たちであれ、本当のことは言えないものなのです。言葉に出たそれが嘘かどうかは明確ではないけれども、、、。 誰にもある密やかに流れる心のうごめきを映像化した繊細な秀作だと思いますこの作品、冒頭の2,3分でぐいぐい画面に入り込 . . . 本文を読む
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HUNT ハント (2022/韓国)(イ・ジョンジェ) 70点

2024-08-28 10:43:25 | 映画遍歴
北朝鮮とのスリリングな闘いをエンタメ風に何でもあり風にやってのけたイ・ジョンジェ監督作品です。こんなのを作ってみたかったんだろうなあ、アクション部分も水準なのでどうなるかわからない展開も面白く2時間とても楽しく見られました。ラストもなかなか冴えてます。 . . . 本文を読む
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箱男 (2024/日)(石井岳龍) 80点

2024-08-27 18:46:09 | 映画遍歴
阿部公房の50年前ほどの名作の映画化。知ってはいたが、未読の作品だ。意外と前衛とか実験とか形而上学的とかそんな表現はこの映画にはそぐわない。 現代に生きている我々は箱男の心情はわかる気もするから、それほど難しい映画だとは思わなかった。ストーリーを探ろうとすると阿部公房の迷宮にはまりそうなので、なるべく距離を置いて客観的に映像を眺めることにした。 とすると、1人の男の人格分散のような気もするし、 . . . 本文を読む
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演劇ユニット衝空観「雨ざらし満月」(作・演出 銭山伊織)  於indeependent1st 75点

2024-08-25 17:53:29 | 演劇遍歴
太陽ではなく月が全体のモチーフとなっているのがみそです。 登場人物はみんな繊細な神経を持った優しい人たち。どこにでもあるような、どこにでもいるような人たちが繰り広げるストーリーなんだが、逆にこういう設定の演劇が珍しいのか、本質の展開に入っていくのに時間がかかった。 中盤からは彼らの気持ちは手に取るようにわかるが、でも自分の気持ちがそこまで浸透できない何かを感じてしまっている。なぜだかわからない . . . 本文を読む
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Masui Studio「アビゲイルのパーティ―」(作 マイク・リー・演出 桝井智英) at聖天通劇場 85点

2024-08-24 19:14:10 | 演劇遍歴
小さな劇場公演だが、中身はどっしり演劇臭が詰まっている秀作劇です。夫婦という仮面の中に息づく人間のもろもろの本性を暴いてゆくその手法はやはりアメリカ、イギリスの方が優れていますね。 この種の劇は映画化されているようで、この作品も「地獄のパーティ」として上演されたらしいが見逃している。古くは「ヴァージニアウルフなんか怖くない」など、作家は違えど、名作もあった。この作品のマイク・リーといえばイギリス . . . 本文を読む
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劇団准教授「ラ・メール」(作・藤井美保 演出・劇団准教授) 於インディペンディド1st  70点

2024-08-19 09:34:23 | 映画遍歴
シャンソンが全編流れる。何かノスタルジア多きバーでの出来事。登場人物が13人と多く、観客としてはそれぞれが消化できない感じもする。エピソードの積み重ね風演劇という設定だが、狙いはいいと思う。 でも90分位これだけの話を入れようとしたら、ちょっと詰め込み過ぎ感がないでもない。ラスト近くになってすべての真実がわかる展開だが、なるほどそうであるなら、ランタイムをもっと長くするか、それか敢えて何人かの話 . . . 本文を読む
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 (2023/日) (成田洋一)  80点

2024-08-16 20:55:57 | 映画遍歴
終戦記念日にこの映画を見る。たまたま偶然だ。けれどとても思い入れが入ってくるいい映画だった。 戦後79年。もう戦争を覚えている人はかなり少ない。いやな思いをしてきた人達も戦争を話さない。ましてや戦争にかかわった人たちは尚更だろう。どんどん日本人の記憶から戦争といった実態が薄まり、遠のいてゆく。 そういう意味で、こういう映画を若い人たちが見ることは、どういう形でさえ有意義だと思う。特攻隊員の様々 . . . 本文を読む
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誘惑 Vernissage( パッピ・コルシカト)(2022 伊) 70点

2024-08-16 17:05:04 | 映画遍歴
イタリアのホラーでもサスペンスでもない普通の映画です。人の人生がふとしたことでどんどん変容していくドラマですが、意外と見られるので退屈はしない。俳優陣も美しくさすがイタリア映画ですぞ。クローズアップ多様でそれでうまく逃げてる感じもするが、悪くはない。カロリーナ・サーラが昔のジーン・セバーグ風で記憶にとどめる。     . . . 本文を読む
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2階の悪党 (2010/韓国)(ソン・ジェゴン) 60点

2024-08-15 20:10:57 | 映画遍歴
韓国を代表する二人の俳優がタッグマッチということで楽しく観戦したが、彼らにしてもどうもこの演出では本来の目指すところまでにはいきつかずのあり。とても面白い設定だけに残念ともいえる。スピード感不足は否めず。ただ、二人を楽しく見るという視点であればそれなりに、、。、 . . . 本文を読む
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セールス・ガールの考現学 (2020/モンゴル)(センゲドルジ・ジャンチブドルジ) 75点

2024-08-14 20:52:13 | 映画遍歴
なんと珍しいモンゴル映画。かといって、大平原なんて出てきません。モンゴルでもここまで文明開化したかと戸惑うほどの都会風景が点在する。よくある国柄の文化解説表現もありません。ゆったりとした演出・映像に運転されたある女性の成長話です。モンゴル国の余裕さえ感じる楽しい映画です。 . . . 本文を読む
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つながりません スクリプター事件File(2020 KADOKAWA)(長岡弘樹 著)  80点

2024-08-13 10:00:10 | 読書遍歴
映画業界内輪ものとしてスクリプターという特殊な仕事を焦点に置いたミステリー。なかなか斬新で面白かった。映画が好きな僕は十分映画製作の裏話を知る思いでページを繰るのが早くなる。 なるほどこういう素材は長岡ミステリーにも合うなあというのが第一印象。いつもの彼らしい強引なところはところどころあれど、まあそこが彼の面白いところでもあるので気にはならない。しかし、映画業界があんなものだと思う人はいないと思 . . . 本文を読む
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く (2023/日)(渡辺一貴) 65点

2024-08-13 09:41:28 | 映画遍歴
ルーブルが好きで、今年は行けないので映画で代償策として見た映画です。まあ、モナリザは見られたけどあとはそれほど名画鑑賞にはならず、そして肝心の映画の方はと振り返ると、それなりの雰囲気もあり映像もきれいですが、ハイこんなものでしょうな。カップルでどうぞ。 . . . 本文を読む
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