J・ムーアの演技だけを見る映画ではない。どこの誰をも他人事と思えないアルツハイマーについて、じっくりとこの際考える映画なのである。
アルツが家族病なる遺伝的のものは進行が速いということ初めて知る。不幸にしてアリスは50歳にしてそれを発症してしまう。病気だから原因はあるはずで、原因究明できれば治療は出来るはずと最初考える。しかしALSしかり、現代においても治療不可能な難病は数多く存在する。
若年 . . . 本文を読む
監督マッカーシー、主演サンドラーの名に魅せられて見ました。最初はそれなりにいい映画だなあと予感させる映像だったが、、。
マッカーシーにしては全体に緩急がなかったような気がする。
例のシーンからは俄然心が沸き立ちましたが、それも長続きせず(ちょっと展開が強引なのかなあ)意外と長く感じられた映画で、いかにもアメリカ人の好きそうなハッピー風ファンタジーでした。
ホフマンも出ているが、ちょっと印象が . . . 本文を読む
冒頭意外な展開で盛り上がり、しかしその後単調、しかし探偵役が弁護士から劇団員に変わったところで思いもかけない第二の盛り上がり。このままラストへ向かうかなあと思ったが、ものすごい貧しい解決篇でげんなり。あんなつじつま合わせはいかんよ。
あれだけ面白くさせておいて、自ら沈没したようなミステリーです。恩田さん、反省しなさい!
、 . . . 本文を読む
珍しく素敵な題名ですね。俳優陣からも旭川の清廉な空気感が伝わってくる。この手の話にしては樋口が半分ほど出てくれているのが嬉しく、結構バランス的にも話が流れず重心がしっかりしている。
きれいな話です。俳優陣もみんないい人たちばかりです。北海道の自然も美しい。特にヒロインの樋口は凛とした美しさが際立っている。しゃんとした姿勢を常に感じるというか、愛らしい強さを感じる。
だからこそ彼女が出す手紙が観 . . . 本文を読む
海と空と人間が、そして宇宙までもが粒子となり混然と溶け合うターナーの絵。大気と光、そのダイナミズムを通して人間を描く。その素晴らしさに眩暈を感じるほど好きな画家である。その彼の生涯をかのマイク・リーが描く。
そして期待を十分裏切らないリーの会心作である。
どちらかというと、脚本も自由であり、映像もそれほど決めたがらなかった(「ヴェラ・ドレイク」はそうでもないが)リーがどういう心境の変化か、今ま . . . 本文を読む
海外旅行に限らず毎日どこかでとほほを経験している僕でありますが、言葉の通じないところに行くと人間がどうも矮小になるのです。そもそも小心の僕が矮小になるということはもうガリバーの世界に小人が紛れ込んだようなもんです。
道すがら何か言われても「オーノー」とかいうわけの分からない言語で拒絶する。それだからこちらから話すことはまずない。でもそれだからと言って故国恋しいなんて言う気持ちにはならない。それな . . . 本文を読む
前回がものすごい盛り上がりを見せた「悪い芝居」の新作。期待は高まる。舞台も同じヘップ。
でもだいぶ違うんだよね。何かってはっきり言えないけど、僕自身「悪い芝居」の初期の芝居はどうもとっつき悪く、しばらく見ていない時もあった。ここ4,5作はとても感心して、安心して芝居を見ていられる。たまたま僕の感性に合っていたためかもしれないが、、。
そして、本作。最初、どうも何かなじめない。愛の概念をあらゆる . . . 本文を読む
見てみるととてもいい映画だ。黒澤の「生きる」の現代版ではあるが、なかなかいい。
何かを求めて生きてきた青年が、夢破れ、淡々と日常を過ごしている。こういう若者は現代に多いはず。そういう意味でも親近感はある。その彼が突然癌で余命3か月と告げられる。
もしそれが自分自身だったら、さて、みんな、どうする? という映画である。
宏はあまりわめくことも、苦悩することもなくただ時間が過ぎる。入院しているの . . . 本文を読む
どういうドラマなのかわからないまま見続けたが、後半からこの映画はかなり優れたミステリーだということに気付く。
そう、徐々に重ね合わせて作り上げていく秀逸ミステリーがそこにあった。ラストの、思いがけないどんでん返しのような結末も見事であった。
途中ずっとキモイなあと思いながら見ていた観客たる僕も完全にはめられていたのだ。
なんと彼こそは頭脳明晰、まったく病人でも何でもなかったのだ。母親を見殺し . . . 本文を読む
孤島に流れ着いた瓶詰めの手紙が呼び起こす、記憶と出発の物語。まさにそうです。少々別役的不条理の世界が蔓延するも、やはり違うかな。この作品は詩情が全編に漂っている。相手を意識しない未来へ放つ瓶詰の手紙とはそもそも何なんだろう。
何とも面白い。ある意味本当に演劇らしい演劇である。演劇でないと表現できない演劇なのである。放たれるセリフが全編ポエムである。
ひとときの至福の時間の連続感。素晴らしい、、 . . . 本文を読む
常に是枝の映画を見続けてきた僕だが、どうも乗れなかったかなあ。今までの作品群から比べると失礼な言い方だが、少々浅いと思う。
原作が漫画だから、なんてつまらないことを言っているわけではない。彼女たちの人生はまあそれなりに大変なんだろうが、でもそう大変でもない。大変ではない人生にも心に訴える映画も実際ある。でもこの映画、時間がたつほど僕から離れていくのだ。
ドラマらしい大きなものがないからというこ . . . 本文を読む
ごたごた長い題名でよほど出来に自信がないのかなあと思ってしまう。マネとモリゾの間に恋愛関係が、なんて思わせる内容ですが、、。
ところがこちとらが思ったような展開にならないので少々苛々しちゃうんですよな。まあこれを下種の勘繰りなんていう言葉で表しちゃえばもうそれで終わりですが、どうにも恋愛的には肩透かしの感あり。(実際は分からんけどね)
ということで、あの敬愛するマネの描き方も思ったより風評を気 . . . 本文を読む
原作は教科書にも載っているという題材らしい。昔日本映画に「母もの」というジャンルがあった。貧乏が大部分を占めていた時代の家族の絆を描いたものである。現代はその時代に近づいているというのだろうか、、。
反戦映画である。けれども、例えば新藤の「一枚のハガキ」のような人間の存在、政治、権力を厳しく見つめた映画ではない。母親の産んだ7人の息子が次々と徴兵され、そして死んでゆく。世の中は当時の思想教育で国 . . . 本文を読む
2014年のミステリー年間ランキングで3冠に輝いたという触れ込みで気になっていた作品。米澤穂信は3作ほど読んでいたが、それほど気になる作家ではなかった。そして、、、
短編集だということに本を取って気づく。6作中、冒頭の「夜警」が抜けている。確かに力強く、人間の心理の綾も十分書き込まれている。素晴らしい作品だ。今まであまり読んでいなかったっことを後悔。
「死人宿」「柘榴」も秀作。ミステリーとして . . . 本文を読む
初めてトライアウトなる演劇を見る。試演といっても、劇自体は完成体ではある。秋までにこの後多少手直しをするのであろうが、一観客である僕からすればそんなことは関係ない。面白ければそれでいいのである。
で、この演劇、70分の短いものであったが、実になかなかいっぱいいいものが入っている。単純そうで複雑で、どうなっていくかわからない展開で、しかも実にシュールでさえある。これは演じている俳優たちは結構こたえ . . . 本文を読む