セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 73本、 演劇 45本

インランド・エンパイア (2006/米=ポーランド=仏)(デヴィッド・リンチ) 75点

2007-07-31 20:01:13 | 映画遍歴
本年屈指の実験的映像映画です。3時間のリンチ回遊ワールドへようこそといった感じのお楽しみ映画となっている。 リンチの映画でも、今までの形態をこれほどに解体してしまったと言わんばかりに自由な映像に驚いてしまう。それでいて最後はちゃんと回遊魚が帰結するようにまとめているからにやりとさせられる。 カフカ的な深刻さがない分、実存的な重さは感じられないが、それでもこの自由さは最近の映画ではなかったものである . . . 本文を読む
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私たちの幸せな時間 (2006/韓国)(ソン・ヘソン) 70点

2007-07-30 23:16:05 | 映画遍歴
ものすごく映画化しやすく、感銘度も高い原作である。主演にかっこよさではぴか一のカン・ドンウォン。こりゃあ、彼がどこまでまともな演技をできるか、で決まる映画というのはおのずからわかってくる。 で、結果はどうだ。 カン・ドンウォンは丸坊主ではないものの、3部刈りぐらいの美貌をまったく寄せ付けないほどの死刑囚を、恐らく初めてといっていいほどの内面的演技で詰めている。しかし、普通の男を演じているときの颯爽 . . . 本文を読む
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アポカリプト (2006/米)(メル・ギブソン) 80点

2007-07-24 20:16:32 | 映画遍歴
まさにメル・ギブソンの作品だと分かりますね。キリストの受難を描いた「パッション」とタッチはまったく一緒です。 捕虜になってからはテンションが一定に高く見ていて息つぐ暇がないほど。この緊張感の連続は演出のなせるわざと思う。さらに、独特の映像表現(特に生贄にされ皆既日食を迎える辺り)は観客がまさに主人公と同化してしまうぐらい迫力がありました。カメラもパワフルです。 軟弱な映画が多い中、人間本来の生態を . . . 本文を読む
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寂しい時は抱きしめて (2005/米)(クレメント・ヴァーゴ) 40点

2007-07-24 20:15:37 | 映画遍歴
最近こういうセックスものは見たような記憶がないので見てからはかなり驚いたが、まあどちらかというと中途半端ですなあ。 ピンク映画でないのであったら、女性のモノローグを中心に妄想的なオハナシぐらいはいくらでもできたのではないか、、。若いからって、他にやることもあるんではないの、、? . . . 本文を読む
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街のあかり (2006/フィンランド=独=仏)(アキ・カウリスマキ) 80点

2007-07-19 21:41:44 | 映画遍歴
好きです。現代にこそ合うこのテーマ。緻密なプロット。最適な間合いでのカット割の美しさ。音楽の効果的な不使用。 これは、まさに50年前の映画を思い出してしまう。最盛期だった時代の映画の基本だ。 これが現代にあっては逆に新鮮なんだね。人間を描くには基本的な手法が一番なんだ。カウリスマキはそれを知っている。そして、執拗にもそれを繰り返す。 職場にも起きているイジメ。人間不信。孤独。愛の不在。 人間が生き . . . 本文を読む
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (2007/日)(吉田大八) 80点

2007-07-19 21:15:05 | 映画遍歴
恐らく映画的にデフォルメしてるんでしょうけれど、僕は面白かった。最近、映画を見ながら眠くなる病気に喘いでいた僕がしゃきっとしていた。 漫画的展開ではあるものの、むしろ文学的でもあるのだ。4人それぞれがきっちり描かれており、曖昧さはない。 4人の中ではやはり新人の佐津川愛美が一番甘いかな。犠牲者から略奪者へ変質するその瞬間の演技が弱い。でも、それは演出者のせいでもあるかもしれない。 永作博美はこの . . . 本文を読む
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ハリウッドランド (2006/米)(アレン・クルーター) 65点

2007-07-18 21:29:57 | 映画遍歴
アメリカ映画って、こういう内幕暴露ものってっ結構好きなんだよね。今回も、スーパーヒーローの元祖中の元祖スーパーマンの超人気俳優の悩みと野心。 でも、これって、現に今でもこういうことが多いと聞いていますね。ひとつのイメージが強すぎると帰ってやりづらくなるものですよ。俳優でも作家でも、歌手でも、みんなそうですね。 そんな一人の男の死の原因はなんだったんだろうか、、というある意味「藪の中」めいた映画なん . . . 本文を読む
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傷だらけの男たち(2006/香港))(アンドリュー・ラウ) 60点

2007-07-18 20:45:47 | 映画遍歴
なんだかなあ、という感じでしょうか、俳優が端役にまで行き届くほどいい布陣なんですが、思っていたより内容が単純でした。 トニー・レオンの方はいかにも作り物くさいし、いろいろつっこみたくなる部分が多い。しんみりしたのは病室での夫婦の最後の会話ぐらいかな。それでも、すでに二人の間には深い溝がくっきりと存在していたけれど、、。 それよりつまらないのは金城武の恋人話。自分をあれほど責めていたことが全 . . . 本文を読む
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ラッキーナンバー7 (2006/米)(ポール・マクギガン) 80点

2007-07-17 19:06:27 | 映画遍歴
これは力作。ミステリーとしての組み立てが弱いことは弱いがジョシュ・ハートネットが画面をぐいぐい引っ張っていく。彼って、こんなに魅力的な俳優だったけ、、、と思われるぐらい、頑張っている。周りの俳優もこれは豪華で、演技が達者な人たちばっかりだが、きっちりと受けており負けてはいない。成長しているね。ルーシー・リューも紅一点で、いい演技だ。彼女はどの映画でも、彼女の100%を発揮できる女優ですね。安心でき . . . 本文を読む
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Gガール 破壊的な彼女 (2006/米)(アイバン・ライトマン) 60点

2007-07-17 18:13:22 | 映画遍歴
こんな映画やってたっけという感じで2本立てで見ました。うーん、スーパーマンの女性版なんですね。 男だったらヒューマンでヒロイックなのに、女だったらスーパーパワーで派手なけんかをしたり、意地悪なことをしてしまうのがちょい驚くが、完全にB級に徹してるんでしょうな。見所は女性二人のお色気にあると思ったら、かなりおとなしめで気力は萎えました。僕はあまり乗れませんでしたなあ。 . . . 本文を読む
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すべてはその朝始まった (2005/米)(ミカエル・ハフストーム) 75点

2007-07-15 22:11:20 | 映画遍歴
何か、途中で見なければ良かったと思い始めたけれども、(こういう話は引いてしまうが、、)ぐいぐい引き込まれていく展開は最近のスリラーでも抜群の出来だと思う。 まず女がジェニファー・アニストン、すばらしい美女で、完全に酔わされる。この作品にはうてっつけの女優で、ラストのあっと驚くからくりも彼女の演技に負うところが多い。 それを上回っているのがあの僕の大嫌いな男優ヴァンサン・カッセルである。この顔を見て . . . 本文を読む
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ロシアン・ドールズ (2005/仏=英)(セドリック・クラピッシュ ) 75点

2007-07-11 21:40:34 | 映画遍歴
何か昔見たような古臭い部分があるような、それでいて現代男性の大人になろうとしないピーターパン現象も垣間見える。でも、さすがフランス映画ですね、くるくる回転するかのような恋愛劇は結構重く、苦しい。 何と言っても、女優陣が美しく、立派だ。別に、構えて見る映画ではないが、人生の真実を伝えており、その描写は粋で、秀逸。 . . . 本文を読む
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ボルベール 帰郷 (2006/スペイン)(ペドロ・アルモドバル) 60点

2007-07-10 20:54:24 | 映画遍歴
うーん、男どもには居場所がないと言うか、これでもか、と言わんばかりに女を見続けさせられる苦痛と言うのも感じてしまうぐらい、アルモドバルという人の常人でないのを今頃になって再確認してしまう。 女どもの映画なのである。強い女の映画なのである。まさにアマゾネスの現代への再来かのように、男の存在が全く見えぬ。 最初の部分だけ夫が登場するが、後は風景でしか男は存在しない。 女のための、女による、女だけの女性 . . . 本文を読む
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ダイ・ハード4.0 (2007/米)(レン・ワイズマン) 75点

2007-07-10 20:25:29 | 映画遍歴
エンターテイントメントとしてはすでに一流としてお墨付きのシリーズ。レベルがシリーズごとにグレードアップしているので、いつまでかさ上げが保持出来るかが問題なのだが、今回は通常のコンピューターハッカー、国務機密(毎度だが)、身内もので攻めてきた。 まあ、2時間強だれるところが全くないのはすばらしい。これは娯楽映画では秀作も基本点。周りの人間模様も魅力的でいい。脚本、演出の勝利。俳優の織り成すアンサンブ . . . 本文を読む
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サイドカーに犬 (2007/日)(根岸吉太郎) 80点

2007-07-09 21:00:39 | 映画遍歴
あまりにあっという間に終わってしまうので、少々驚いてしまったが、小品であることに加え、一瞬の、ときの、思い出を切り取った水彩画のような淡いイメージが残像に残る。 映像カットも良く見ていると、無駄なく計算されており、さすが根岸吉太郎と思う演出ぶりだ。よく出来た短編小説の印象が強く、こういうものはかえって難しいのだ。見終わってから、後々いろいろ考えてしまう何か不思議で素敵な映画でした。 . . . 本文を読む
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