セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 62本、 演劇 40本

デスパレート・ラン (2023/米)(フィリップ・ノイス)  75点

2024-07-28 22:00:32 | 映画遍歴
何気なく見た映画。ナオミ・ワッツまだまだきれいだなあ、なんてそんなファーストシーンから、走る走るワッツの心根が画面を超えて素顔でこちらに飛び込んでくる。完全娯楽作品だが、そこは米映画きれいな紅葉等映像が凝っているので退屈しない。お話は脚本のうまみもあり、二転三転、見せます。カップルでどうぞ。 . . . 本文を読む
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aftersun アフターサン (2022/英=米)(シャーロット・ウェルズ) 80点

2024-07-28 20:40:49 | 映画遍歴
見ている間は親子の普通のバカンスの話かと思っていたら、、 途中でヤングたちから、親子ではなく兄妹かと告げられてから、この映画が深いさまよい、漂う夢幻の世界に入っていることに気づく。 つらそうな男の内面を推し量るに、どんどん深い暗い海の底に入っていくようなこの映画、それでも周囲の世界は普通で、明るいプール面を写すように時間は過ぎてゆく。その断絶感と孤独。 11歳の思い出。恐らくそれが父親との最 . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン「ヒロッパ」(作・演出 浦部 蒼士) atウイングフィールド 75点

2024-07-27 20:02:35 | 演劇遍歴
ウイングフィールドという小さな劇場だが、さすがグランドロマン、この劇場を使い切っていて、90分あっという間だった。 演劇論に至る結構まじめな試みをこの劇団一流の昭和時代のつぶやき風をぶつぶつ吹き回し、ウフフと笑わせる仕組み。ただ、そんなエスプリも、考えていたら劇はさっさと先を進んでいるので、置いとけぼりに遭ってしまう。 テーマは演劇の8・1/2だと思うんだが、途中で教育現場が入ってきたり私は整 . . . 本文を読む
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THE MOON (2023/韓国)(キム・ヨンファ) 80点

2024-07-24 17:45:57 | 映画遍歴
韓国映画で宇宙ものって初めてで、ちょっとどこまでできるんだろうと怪訝めで鑑賞。まあ、ハリウッドと比べては失礼だが、意外とよくできている。感心する。 韓国映画だからか、宇宙映像とともに人間ドラマを十分活用し、かなりの感動作に仕立てた力量はおそらく日本映画ではまねできないものだろうなあと思う。特にラストのラストは思いがけず、大泣きする。まだまだ僕も若いね。恥ずかしい限り。 ということで、拾い物の映 . . . 本文を読む
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でめきん「蕗のしたのクル」(作/演出 葉兜ハルカ)at布施PEベース  75点

2024-07-21 18:50:28 | 演劇遍歴
若い劇団。総勢11人ほどで、小さな舞台を大きく見せるテーマがいいね。 話は、なんとなく途中で分かってしまうが、でも若い人たちが昔物語よろしく日本の伝統の妖怪たちや妖精を現代によみがえらせたのがうれしい。2時間近い劇だが、みんなセリフにとちりもなく、練習十分。主人公の少年も途中までは女性と気づかないほど少年してた。みんなうまいね。 敢えて言えば、あの豪華絢爛な妖怪たち、ダンスでもあればなお良かっ . . . 本文を読む
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きこえる(2023/講談社)( 道尾 秀介  著) 85点

2024-07-21 18:33:23 | 読書遍歴
こういう本は初めてで、驚く。よく映画で、終わった後に座席に残った人にだけ映像を見せるという作品もたまにあるが、だいたいファンサービスのようなものが多い。ところがこの短編5編の最後のQRコードにはどんでん返しがあったり、隠された真相がしっかりと潜んでいるのである。 残念なのは音楽がうるさかったり、人の音声が聞こえづらかったり、そして最後なんかは映像をずっと見ていないと、何のことかわからない仕掛けに . . . 本文を読む
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教授とわたし、そして映画 (2010/韓国)(ホン・サンス) 70点

2024-07-19 20:55:05 | 映画遍歴
またまたサンスの映画。彼の映画は5分見るとすぐわかる。映像、女優、そして内容のない会話の連続。けれどもそこにささやかなつましい人生の事実もある。映画で私小説を書き続けるホンスは実に凛々しい。そして相変わらず女優は美しい。 . . . 本文を読む
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線の波紋 (小学館文庫 2012) (長岡 弘樹 著)  85点

2024-07-15 10:52:45 | 読書遍歴
初期の作品らしいが、読んでいなかったことに気づく。長岡の作品はほとんど読んでいる。驚くことに、最近の作品より念入りに、そして情感がより強く流れていることに気づく。彼の作品の本流をこの作品でみたように思える。 それほど秀作ぞろいの短編集であります。そしてその短編はそれっぞれ関係しており、一つの長編作品を成している構成も素敵でいい。 最近、SFもどきのミステリーがこの世界を闊歩しているから、こんな . . . 本文を読む
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大阪放送劇団「その受話器はロバの耳」(作/土田 英生 演出/増田 久美子) 於A&Hホール 80点

2024-07-14 17:34:40 | 演劇遍歴
土田氏の作品だから見ておこうと見た演劇でした。とても卑近な話で、また会社勤めをしたことのある人ならだれもが悩む事柄を、実に等身大の距離感覚を持って演じられました。 登場人物がみんなキラキラ輝いており(それなりにみんな影を持ってはいるが)、2時間強の劇はアッという間に終わってしまう。いい小説を読んだ後に残る読後感もさわやか。素晴らしい演劇でした。 前半からちょっといい加減人間めいた役柄だった人た . . . 本文を読む
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メイ・ディセンバー ゆれる真実 (2023/米) (トッド・ヘインズ) 80点

2024-07-14 08:29:48 | 映画遍歴
アメリカでは有名な事件らしいが、それをベースに人間の本質を探った作品です。2大女優の演技激突とでも言いたげな作品構成で、実に演技的にも見ごたえがありました。どうしても女とはなんと男とは違う生き物なんだろうと思ってしまいます。この映画を見て女性不振に陥らないように、、。 鏡の前の二人。人格が同一化していくシーンはベルイマンの「ペルソナ」を思い起こさせる。センセーショナルなこの事件から、人間を深く掘 . . . 本文を読む
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ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~ (2024 三上 延 (著)メディアワークス文庫)  80点

2024-07-13 10:46:23 | 読書遍歴
うーん、今回は主要軸となる女性たちの歴代話が満載で、ファンとしてはとても楽しく読むことができました。この一冊でビブリアの本道がかなり見えてきた感じです。 なにより登場人物が歴代通り描いているから、とてもファンにはうれしい企画です。そして内容も感動編であり、珍しく涙腺を刺激させられました。 いろんな古本も今まで出てきたけど、やはり夏目漱石のような超名作は今でも再読したい気にさせられました。また次 . . . 本文を読む
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サタデー・フィクション (2019/中国)(ロウ・イエ) 70点

2024-07-11 21:57:55 | 映画遍歴
「シャドウプレイ」のロウ・イエ&久々のコン・リー。もうそれだけでワクワクする。冒頭からの茫漠とした入りからの前半はカメラが主役だと言いたげの揺れるカメラ。見せる。これがロウ・イエの魅力。いいネ。コン・リーもまだまだ美貌。けれど、後半、映画としてはいかにも凡庸臭い。せっかくの舞台設定も生きてない。 . . . 本文を読む
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十字路(五十嵐 貴久 著)(双葉社 2024) 80点

2024-07-08 10:38:21 | 読書遍歴
人物の描き方に人間の陰影を鋭く書き込み安心できる。病を持って亡くなる刑事、後を引き継ぐ刑事二人、そして場面ごとそれぞれ登場する関係者たち、うっすら犯人はぼんやりするんだけど、どうも真相につながらないミステリーのわくわく感。ページを繰るのが惜しいほど面白い。 それらをあっという間に結集した最後の2,30ページは予想もつかない内容でした。 でも伏線を全く出さないこのミステリーは本格ものではないのか . . . 本文を読む
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劇団ホリック「廻り巡って蝶を飛ばす」(作・演出 深川大悟) atアトリエS-pace  85点

2024-07-07 18:06:32 | 演劇遍歴
旗揚げ公演でここまで完成度が高いとまず驚きます。設定は少々異常だが、不気味で哀しい現代をしっかりと描いていると思う。時間も90分越え。立派だねえ。頼もしい劇団が誕生した瞬間をしかと見た。 暗幕が始まる寸前に使用した小道具をすべて大切に堀炬燵のような空間に放り込む。これが面白かった。最後は主人公までも同じく空間に放り込む。これは何を意味するのか不明だが、今まで見てきた劇では皆無の手法だ。次作がもう . . . 本文を読む
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学窓座「てのひらのさかな」(作・中村ケンシ 演出・一湊レナ) at関大凜風館 75点

2024-07-06 19:41:42 | 演劇遍歴
幼稚園の大きなイベントが終わり、後片付けをしている先生たち。何気ない会話がとても高尚で、私には天から聞こえる啓示にも思えるほど、ひとつづつセリフを噛みしめ聞いている。幼児とはいえ、相手をよく見ており、知っている。 途中、バタバタする小事件が続くが、全体として、この劇は一つのポエムだと思えてきた。詩情が流れているのだ。美しい。けれどところどころ怖い。いい劇だ。敢えて言えば、どこかに笑いもあればなお . . . 本文を読む
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