本年屈指の問題作という触れ込みは変なんだけど、でもまさしくこれは映画なんだよね。敢えて言うと最近こういう映画ってなかったんだよね。それこそ2,30年前だったらごろごろそこらへんに転んでいるかのような映画でもある。
難しくないんだけれど、ある意味、こういう哲学的映画(?)って最近はやってなかったのかなあ。それを若い人が作った、しかも女性監督である。僕にとっては無名の【横浜聡子】さんだけど、俄然うれ . . . 本文を読む
お父さん、頑張ってるぜ!と言わんばかりの人生直視映画と言おうか、日本人向き、男のエレジー映画である。
めずらしくプロレスを題材にしているが、そこにあるのはスポーツ映画独特の青春のかけらもない。光と影もない。あるのは盛りを過ぎた汗と苦渋と、しかし不思議と居心地のいい蒸れた空気漂うマットである。
人生の峠を過ぎようとしている。或いはとうに過ぎている。全盛期を過ぎた男たちにはもはや行く道もなくなり始 . . . 本文を読む
何故だろう、ターミネーターふぁんのみなさま、ゴメンナサイ。面白いようで、結構退屈してしまいました。2時間、ずっとがんがん続く良質予告編のようで、目は結構ランランだったんですが、何ででしょう、、。
まず6年ぶりのシリーズということで、こちとらほとんど内容を忘れているというのが大きいと思います。だいたい、6年前というと、今ほど映画を見ていない私にとって不遇映画時代です。
アクション部分というか、C . . . 本文を読む
ほぼ原作を辿っているこの映画は綿密な、そして深い陰影のある描写の連続で、映画として実に見ごたえのある作品となっている。少年と、若さにも翳りが見える女性との恋愛は映像化しやすい内容で、切れのある演出を伴ってすこぶる心地よい。
原作との違いはテーマを恋愛1本に絞ったというところでしょうか、、。映画でもホロコーストの恐怖、携わった方の罪悪感についての描写は多少存在したが、それでも希薄な内容であった。や . . . 本文を読む
僕もフランス料理は1年に一度ぐらいしか行かないが、結構料理専門用語が頻繁に出てくる洒落た味わいの小ミステリーである。
殺人事件はないけれど、こういう日常の淡い感動もいいね。人生って、こういうところに真実があるから不思議だ。文章も読みやすく短編集だけれど宝石のような小説だ。あらゆる人に推薦したい。けれど、多少料理が好きな人のほうが読みやすいかな。という僕はまったく料理ダメだけれど、、。 . . . 本文を読む
何十年ぶりの翻訳もの読後感であります。最近はミステリーでも外国ものは読んでいなかったんです。この作品の場合、ほとんど15歳の少年と20歳ほど年上の女性との二人だけの愛の交換記のようなものなので、登場人物の名前を覚えるのが大変ということはない。
シュリンクはミステリー作家らしく急に女性が失踪するなどミステリーとしても本作は楽しめるようになっている。ネタばれになってしまうが今回のネタは「文盲」である . . . 本文を読む
黒船来航から西南戦争まで、さて明治維新とは一体なんだったんだろう、本当に維新だったのだろうか、単なる革命ではないのか、といった視点から25年を直視するその快感と恍惚と、、。
とにかく目からうろこで、面白い。他者にあるような想像で言っていないところがいい。ちゃんと資料でもの語っているから強い。
本当にこの時代は年寄りがあまり出てこないところが本当に革命っぽい。当時活躍した人たちはほとんど20代か . . . 本文を読む
いかにもレトロっぽい、急速に昭和に戻ったようなむんむん匂いのするアクション・激映画であります。
でもなあ、僕のようなレトロな人間にも乗れないテンポの遅さとアクションシーンの稚拙さと、どういったらいいんだろう、懐かしさだけでは表現できないダサさが画面を覆い、でもそれがこの映画の魅力でもあるから不思議なのである。
この映画の場合、ミステリーの謎を解くことがメインではない。題名ほどは実は、この映画は . . . 本文を読む
それにしても、えらくすべて説明不足過ぎる語りではないでしょうか、、。イメージは一つ一つ悪くはないのだが、こう尻切れトンボみたいにカットされてしまうと、こちらとしては映像を見続ける勇気が湧きません。
設定は結構面白いんですよ。近未来の地球の荒廃するシーンから始まる。まあ、一応のお決まりスタート。何か、地球の未来を育む新しい生命体にもなるのかもしれない女の子をニューヨークへ運ぶといった設定はまあいい . . . 本文を読む
道尾 秀介の初短編小説集。それにしても完成度が高く、驚いてしまう。長編も勿論いいが、短編は読ませるなあ。そこらの作家ではない怖さが深深と響いてくる。
ひょっとしたら短編作家ではなかったか、と思われるほどいい。
こういう若手作家の伸びは日本の文壇にも何かしらの影響を与えるだろう、、。 . . . 本文を読む
あ、そうか、これって、キリストの受難のハナシを現代に宿らせることの意味なんでしょうが、それにしても【トラン・アン・ユン】の今までの実績の片鱗も感じないほど雑な展開で驚きましたなあ、、。
こういうテーマは、結構、過去、映画でもあったように思うけれども、あまりに直接的過ぎるのでしょうか、復活を強引に現代に持ってきたことが、あざといというか、宗教的な何かを感じるわけでもなく、かえって安直に感じられてし . . . 本文を読む
淡々としたフランス映画だ。超膨大な敷地を持つブルジョアも、著名な美術品を持つがゆえ、相続税対策とはいえ個人から徐々に所有が離れていく現実。それは家族という愛の崩壊を意味するものでもあった、、。
ある意味、個人で所有する美術品は一定のもの以外はもはや所有できない時代なのかもしれない。現金がなければ肉親の大事なものでさえ放出せざるを得ないのである。まあ、美術品というのはそれだけ公共性の強いものだとい . . . 本文を読む
近藤史恵女史のデビュー作で、鮎川哲也賞受賞作品であるらしい。
孤島に繰り広げられる日本版「そして誰もいなくなった」亜流作品。基調は静かなんだが、殺人が行われてからの激しい展開は、そのギャップに先ず驚くと共に凄惨な殺し方にとても日本人の作家とは思えない何かがあります。
先週読んだ彼女の作品がフランス料理もののセンスある作品だったので、僕はそのギャップにも先ず驚いてしまった。
日本の本格物というより、 . . . 本文を読む
原作のマンガもテレビも見たことのない我輩が映画開始後の5分後から、この異様な情念の世界にどっぷり浸かってしまい、終始号泣する羽目になってしまった曰くつきの映画であります。
全くなあ。考えられなかったです。この感動感というべきか湿っぽさというべきか胸に詰まる何ともいえない若者たちの心情が、この我輩のような年寄りにごっつん勝負でぶつかってくるなんて、誰が考えたであろうか、、。
そりゃあ、一つ一つの . . . 本文を読む
伊坂の作品はほとんど読んでいる。この原作も読んだはず、と思っていた。ところが映画を見ていても全く片鱗も思い出せない。恐らく読んでいなかったのだろう。だから原作との関連性は全く分かりません。
と、どうでもいいことを語っているなあと思っているでしょうが、僕にとっては重要なことなのです。というのも、いつも原作を知っていて映像で違う伊坂を見ているあの擬似感から、今回初めて解放されたわけですから、、。
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