90分、ジョージアという見知らぬ国の、神秘に出会う旅を体験した思いがする。映像は恐ろしいほど美しい。音も極端にまで制限し、しばらくは人の声さえ聞こえなかったぐらいだ。
敬虔な思いを心に秘めている人たちはその地で静かに自然と共に生きてゆくことができる。けれども、人間は文明を創り出す。便利を得る代わりに人間本来の大切なものを失ってゆく。行き着く先が現代の我々である。
ザザ・ハルバシは急速に変貌する . . . 本文を読む
年末(でもないか)恒例の一人芝居フェス。いつも僕は一日通し券を購入。つまり、8時間ほど途中休憩はあるものの、ぶっ通しで見ることになる。30分の短編、一人芝居なので、それほど意外と疲れない。1年に一度の楽しみである。
僕は最終日、11芝居を見る。みんなすごくて、それぞれ個性があり、全力投球。それがガンガンこちらに伝わり頭が下がる思い。一体感もあり、来てよかったなあと思う。
すべて素晴らしいが、あ . . . 本文を読む
珍しい古書店(神保町)と戦後の混乱期に一つの着想を得た一応ミステリーであります。まあ、あまりに突飛すぎるので歴史的には決して褒められたものではないが、この大胆な発想力だけは面白いと思う。
肝心の殺人トリックがあれでは、通常のミステリー通は承知しないであろう。けれど作者が書きたかったのはこれではないからね、、。良くも悪くも一気読み本ではあります。 . . . 本文を読む
この色彩、閉塞感、奥底に流れる哀しみ、、まるで佐藤泰志原作の映画群(海炭市叙景他)を見ているようだ。群像劇の舞台が古びた団地というのもキャシロフスキの「デカローグ」を思い起こさせる。すこぶる私の好みである。
冒頭からしばらくは何が起こっているのかわからない。そのうち、この団地に住む4人の、パズルがばらばらになっていたのが、少しずつはめられていくと4人の人生がくっきりと見えてくる仕掛けである。見事 . . . 本文を読む
2時間を超える作品だけど、あの一つのテーマだけで最後まで持って行かせる演出力は大したもの。それには俳優陣の演技力に負うところも多いけれど、、
子供たちを守るために夫を殺害してしまう、そんな子供たちから母親を見つめた映画です。彼女がした行為は本当に子供たちを守ったのか、という大きなテーマが本流で流れています。
けれども最後まで不可解だったのはどんな理由にせよ人を殺めた一個の人間から殺人を犯したこ . . . 本文を読む
読みやすいし、1編がとても短い短編集。石持お得意の日常推理もの。ただ、読んでいると、何かなあ、あれだけのデータでそう導かれるはずがないだろうと思うのだが、まあ面白いから許してしまう。
ストーリーを知っている作者(当たり前だが)が実に見事に推理していくが、客観的に何のデータも伏線として提出されない読者が真実を解き明かすのは100%無理である。
誰も指摘しないが。それがこのようないま誰もが書いてい . . . 本文を読む
またも大竹野作品。実は個人的には食傷気味。でも好きなグランドロマンなので、見ないでどうする。ということで、鑑賞。
さすがの4人劇。特に、出本氏と関角さんが出色の演技、で全然退屈しなかった。また、大竹野でも実録事件ものでないのか、不条理的な雰囲気がむんむんして、ちょっと別役実風劇を醸し出し、なかなか見られた。ストーリー・展開自体は少々ベタな感じも漂うので、4人の演技がすこぶるよかったので、興味もそ . . . 本文を読む
4年ぶりの劇場公演。前作「漏れて100年」は確か東京まで見に行きました。待ちに待った新作です。
サリngROCKさんのここ最近の作品はとても暗い。その暗闇の中からほのかに灯る明かりを見るイメージが彼女の作品の特徴です。今回もまさにその通り。素晴らしい美術。見捨てられたかのような山の奥にぽつんと建てられた小屋。ここが舞台である。
話は見てない人がいるので省略するが、何か童話風である。グリム童話の . . . 本文を読む
本の腰巻通り、まさに行方不明児童を追う刑事とその家族の人間模様が辛辣に描かれる。小説的ではなく、まさに現実だったらこうなんだろうなあと思わせるリアリズムすぎる叙述で、驚かされる。
よくある、ストーリーのポイントだけを描くという方法を取っていないので、換言すれば、無駄なものもじっくり描くというリアリズム方法は、あまり他に類を見ない書き方ではないか、と思われます。
まあ、要するに、この小説はミステ . . . 本文を読む
「12人の怒れる男」の韓国バージョン。この手の裁判映画はめっきり面白いはずなのに、館内がぎっしり女性で覆われているからだろうか、ちょっといつもと雰囲気が違う。チケットも取りづらかったのだ、、。
で、本篇はというと、そりゃあ、やはり面白いです。演劇でも映画でもかなり亜流バージョンは出ていますし、みな秀作ぞろいです。見ていて面白くないわけがない。でも、ちょっと演出にB級感が漂い、主役のパク・ヒョンシ . . . 本文を読む
WEAVECUBEと崖淵五次元って共演も多く、最初違いが分からなかった時代もあったっけ。ところが今回が初めてのコラボだという。何だか不思議です。
出し物は「本能寺の変」前後の戦国絵巻。でも、全然難しくはありません。なんと、信長が愛に生きる話って、それだけで十分驚きませんか?
俳優陣は僕の好きな人ばっかりで、みんな芸達者。しかも魅力的な人ばっかり。これを見ないでどうするかい!
2時間の時代劇は . . . 本文を読む
旗揚げ公演以来ずっと見ているお気に入り劇団です。今回は架空の星の争乱劇なのだが、こういうストーリーは演劇を見ているとよく出会う。でも一味違うハコボレだから、見どころは十分あるはず。
劇場に入ると、そこはうーんとうなるぐらいぜいたくで丁寧な美術が目の前に。もうそれだけで魅せてくれる。そして中盤、この大道具が急速にパタパタと組み立てられ戦車となるい一瞬。ああ、今回は前田はこれをやりたかったんだなあと . . . 本文を読む
うーん、これは秀作。見事、文章もすこぶる練られており非の打ちどころがない。おそらくこの本を出すにあたってはかなりの労力と時間が費やされたのではないか。
ただ、これはミステリーなんだろうか、と訝る。確かに一人の男の謎を究明するストーリーではあるが、、。読んでいる間は純文学を読んでいるような錯覚に陥ったり、ものすごく読みごたえがあります。5章につづられた人物像もそれぞれ実に人の造形が秀逸で、読ませま . . . 本文を読む
女性劇である。3人は仲良し。高校時代はチアリーダー。そのまま大学に進学し寮生活。そして社会に出てそれぞれ実人生を歩んで久々に再会することに、、。その10年間を綴ってゆく。
観客席はほぼ女性で占める。18歳から22歳までの1幕・2幕は男性たる吾輩からすれば饒舌なセリフの応酬で女性ほど楽しめない。でも女性たちには逆にぐんぐん乗れる何かがあるに違いない。女性ならではのセリフがガンガン噴き出てる。ちょっ . . . 本文を読む
原作「カラフル」のアニメ版は見たけど、かなり号泣したことだけ覚えている。日本でなく、タイで制作された実写版。見た実感はアニメ版とはかなり違うかなといった印象を持ちました。
こういう青春映画って僕は大好きで、というか、一方では僕の泣き所でもあります。無条件に許しちゃうところがあります。どうも僕の心の映画風景はこういうところを今でも彷徨っている感じがします。映画を見ていてこの時代にストーンと戻ってし . . . 本文を読む