The Jazz Galleryに足を運び、リー・コニッツとダン・テファーとのデュオを観る(2017/9/15)。
Lee Konitz (as, vo)
Dan Tepfer (p, vo)
今年の来日には行けなかったし、健康面でどうなのかなという心配もあって、じっくり観ようと思っていた。
ステージに上がるといきなり「リクエストは受けないぞ!で、誰かリクエストは?(笑)」。客席からは躊躇ってリクエストが出ない。テファーが「ブルース」。そんなわけでブルースを吹き始めた。これがコニッツ節。フレージングが知的で、中間音を使っていて、往年のスピードがない分人間的。エアを含ませつつアンブシュアの外にも漏れていて、それがサウンドと周囲の環境との間をなめらかなものにしている。
「Body and Soul」や「'Round Midnight」を吹くのだが、もちろんそのままではない。また「で、リクエストは?」と訊き、客席から「My Funny Valentine」という声があがるとまったく別の曲を演奏(何だったんだ?)。そして5曲目にスキャットを披露。コニッツのアルトそのものである。これを聴くと、スピーディーに運動神経を効かせてアクロバティックなプレイをすることがひとつの価値に過ぎないことがよくわかる。
「Alone Together」では、テファーは音を選び、それを長く響かせるというプレイをみせた。7曲目にはテファーは内部奏法も行い、コニッツに応じて、ふたりでスキャットも行った。テファーが頑張りすぎてカッコいいスキャットをやってのけると、コニッツは口を歪めてキッと唸り会場爆笑。しかしコニッツのスキャットは相変わらずコニッツ節。
なぜかテファーのピアノソロによるバッハを経て、最後は「Nearness of You」。うう、胸が熱い。
「今日はありがとう。明日もここでやる。まったく同じ曲目を(爆笑)」。
終わってから、せっかくなので、20年ぶりにコニッツにサインをいただいた。
「20年前に東京のDUGで観たんですよ」「お前の言いたいことはわかったがまるで覚えていないな。ところでお前は何かを演奏するのか」「むかしアルトを齧りましたがまあ下手なので」「何言ってんだ、トライは続けなきゃだめだ」
結論、まったく元気で相変わらずカッコよく素敵である。オシャレで、機敏なユーモアも毒気もある。もう嬉しくなってしまった。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4
●リー・コニッツ
リー・コニッツ『Frescalalto』(2015年)
リー・コニッツ+ケニー・ホイーラー『Olden Times - Live at Birdland Neuburg』(1999年)
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、1999年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年)
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』 (1978、83年)
アート・ファーマー+リー・コニッツ『Live in Genoa 1981』(1981年)
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』(1980年)
リー・コニッツ『Spirits』(1971年)
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』(1954、55年)