Sightsong

自縄自縛日記

富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』

2012-12-26 07:50:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL.1 ソング・オヴ・ソウル』と、『VOL.2 彩られた夢』が、1500円の廉価版で出ている(King Record、1979年)。前から聴きたい盤だったこともあり、入手して聴いている。

富樫雅彦 (perc)
Don Cherry (tp, cor, 竹笛, perc)
Charlie Haden (b)

富樫雅彦 (perc)
Albert Mangelsdorff (tb)
加古隆 (p)
Jenny Clark (b)

第1集は、ドン・チェリー、チャーリー・ヘイデンというオーネット・コールマン人脈とのトリオ。シンプルなだけに、自由を体現したようなチェリーのトランペットと、独特の匂い立つ深い沼のようなヘイデンのベースとが、それぞれ広い空間で演奏していて嬉しい。

第2集は、アルバート・マンゲルスドルフ、加古隆、ジェニー・クラークというヨーロッパ人脈。マンゲルスドルフのトロンボーンは、融通無碍というのか、実に柔軟かつ技巧的で、これがベースと有機体の如く絡み合っている。加古隆はパリでばりばり演奏していたころだ。

これらを聴くと、富樫雅彦のパーカッションが独自のものだったことが痛感される。壁が見えないほど広い音空間のなかで、遠くから、一音一音の音色を異常なほど大事にしたであろう擦音や破裂音が「スパタタタ、すぱたたた」とやってきて、富樫ワールドを創り出す。まるで、脳内の神経細胞ネットワークにおいて信号が縦横無尽に行き来し、あちこちで反応が起きているところを、ミクロな存在になって見渡しているような気がしてくる。

もう亡くなってから5年以上が経つ。最晩年はもう演奏を休止せざるを得ない状況になっていたから、最後に新宿ピットインで観たのはいつのことだったか?

●参照
富樫雅彦が亡くなった
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』


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