Sightsong

自縄自縛日記

盧溝橋

2007-11-21 23:59:02 | 中国・台湾

北京では盧溝橋にも行ってきた。1937年、いまだ不明とされる銃声により日中戦争に突入した、その場所である。北京中心部から地下鉄で40分くらい、さらにそこからタクシーで20分以上はかかった。

12世紀、金朝は盧溝河(現在の永定河)の大工事を行った。水運など大規模な都市改造により、北京を全国的な統治の中心都市にしようとしたわけだ。盧溝橋もそのときに建造された。のちの元朝時に庇護されたマルコ・ポーロは、世界一の優れた橋と呼んでいる。

「「盧溝橋の獅子とかけて何と解く?」盧溝橋はまた、欄干の柱の上の千姿万態の獅子像で知られる。柱の上の獅子二八一、その獅子にじゃれつく子獅子など合わせて四九八(文化研究所一九八三年調査)などと答えるのは、野暮というものであろう。謎なぞの答えは「数え切れない」である。」 (倉沢進・李国慶『北京 皇都の歴史と空間』、中公新書、2007年)

夕刻にもかかわらず、橋の上は中国人、欧米人など観光客がとても多かった。もちろん、無数の獅子像はフェンスで保護してある。形が崩れているものもあった。


盧溝橋の獅子 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


永定河 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


盧溝橋の獅子 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


記念写真 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用

橋の東側には、宛平城がある。盧溝橋事件のあと、日本軍が占領したことがあったようだ。城は城壁でぐるりと囲まれており、中に歩いていくと「中国人民抗日戦争記念館」がある。外庭には戦車が展示してある。盧溝橋にいた人たちも来ているのだろうが、若いカップルや軍人らしき人たち、それから日本人もいた。この幅広さはちょっと意外だ。展示は中国語のみでなされていたが、レンタルの音声ガイドは英語も日本語もあった。

展示されているものは多彩だ。ジオラマや、南京大虐殺の場所を光で示すパネルなんかもあった。正視に堪えない写真も多い。私たちから見れば極端だが、これを反日教育とのみとらえることは本質を見失うだろう。この存在と、その背後にある無数の記憶を正視すべきなのだろう。

展示の最後には、村山元首相の「歴史を直視し日中友好永久の平和を祈る」との筆や、鹿児島県高等学校教職員組合による「教え子を再び戦場に送るな!」と書いた寄せ書きがあった。

 
抗日戦争記念館入口のレリーフ Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


西安事件の号外 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


関東軍が使った武器 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


南京大虐殺にはやはり30万人と表示されている Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


化学兵器 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用

「張学良が蒋介石を監禁したという事実は、共産党にとってはまさに青天の霹靂ともいえる出来事であった。 共産党幹部の中には、蒋介石を殺すべきだという強硬意見もあったが、大勢はモスクワの態度を打診すべきだ、当分は張学良と楊虎城の態度を見るべきだといった慎重な意見であった。翌朝、張学良から共産党に、「兵諫の説明、周恩来の招聘、紅軍の南下」を求める電報が届いた。」 (NHK取材班・臼井勝美『張学良の昭和史最後の証言』、角川文庫、1995年)

「三七年七月七日、北平市の西南郊外の豊台に、前年の増兵によって駐屯していた支那駐屯軍歩兵第一連隊第三大隊に属する第八中隊は、盧溝橋の北方の永定河左岸において夜間演習を行っていた。その中隊に属する一人の二等兵の行方不明事件に端を発する、日本軍と中国第二九軍(司令・宋哲元)第三七師との間の日中両軍の偶発的小衝突は、八月一三日、上海の日本租界における市街戦(第二次上海事変)に発展し、全面戦争化した」 (加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』、岩波新書、2007年)

帰り道に、宛平城の城壁にのぼってみた。城壁は相当長く歩くことができ、城内を見下ろすと生活風景があった。


宛平城内 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


宛平城内の女の子 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用