Sightsong

自縄自縛日記

魯迅の家(2) 虎の尾

2007-11-20 23:54:59 | 中国・台湾

北京魯迅博物館の横に、かつて魯迅が住んだ家が保存されている。(いや、逆か。)

不仲な人と喧嘩別れし、母が安心して住める家を探していた魯迅は、1923年にこの家を買った。800元だったようだ(単純にいまのレートでは13,000円ほど)。翌年から魯迅の設計により改修し、庭樹にかこまれた小さな四合院が出来上がった。魯迅が1925年に自ら植えたライラック(白丁香)が、まだ大事に手入れされている。

北側に凸型の棟があり、これを魯迅は「虎の尾」と呼んでいた。ここに母の部屋、妻の部屋、自分の部屋があり、いまでも中には立ち入れないものの、管理人が鍵を開けて覗き込むことができる。当時は電気がひかれていない片田舎で、雨が降るとぬかるむような場所だったが、魯迅が住んでからは客人が増えて付近が一変したらしい。また、魯迅は給料日に必ずフランスパン屋からクリームのいっぱい入ったケーキを買って来て、妻と母に食べさせていたそうだ。

以上の話は、竹中憲一『北京における魯迅』(不二出版、1985年)による。魯迅の足跡をひとつひとつ辿っていて、巻末には大きな「北京における魯迅の足跡」という地図が畳み込まれている。次の機会にはこれをもって北京をうろうろしてくれと言わんばかりだ。小さな楽しみがひとつできた。

 
魯迅博物館のオブジェ Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


小さな四合院 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


虎の尾 Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用


ライラック Leica M4、Zeiss Biogon 35mmF2、TRI-X、フォルテ・ポリウォームトーンプラスRC、3号フィルタ使用