四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その118)

2024年02月07日 05時22分29秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その118) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める河津桜」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏物語の
  内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や自然・地名から
  ヒントをもらい詠みます。今週も源氏物語巻名歌から2首、紫式部集より
  1首の計3首提出しますのでご指導よろしくお願いします。
註)源氏物語巻名歌・3夕顔
  歌の背景
  光源氏十七歳。源氏あてに届けられた、夕顔の花の添えられた扇と歌に、
  心を惹かれます。届けた主を調べさせて、興ざめしそうな境遇の女だろう
  とは思うものの、自分を目指して歌をよこした心のほどは憎からず
  思い歌を返します。
 〇心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花    夕顔
 〇寄りてこそ それかとも見めたそかれに ほのぼの見つる花の夕顔 光源氏
「返歌」
☆白露の 朝の光に 輝いて 風の吹きしく 秋の草原
☆たそがれに 想いは一つ 相ともに 幸せ祈る 穏やかな日々
註)紫式部集・3 
 〇露しげき よもぎが中の 虫の音(ね)を おぼろけにてや 人の尋ねむ
   露いっぱいの蓬の中の虫の音〔演奏〕を いいかげんな気持ちで
   だれが聞きに〔習いに〕くるのでしょうか
「返歌」
☆安曇野の 虫の音響く 草原は 里山育む 豊かな自然
                          浅間山明鏡止水
【解説】
 源氏物語に記されている和歌は、紫式部によって詠まれたものですが、
 大半は
物語の重要な構成要素になっています。従って物語の情景と共に
 歌には機微情報も含まれているため、理解の難しい箇所が多いと感じます。
 作者によって入念な調査がなされていることに敬意を表します。
 貴族の方にとってなじみの薄かった夕顔の花は、源氏物語の「夕顔の巻」に
 よって一挙に「文学の花」となったと言われています。それだけ紫式部の
 ストーリー作りの巧みさと、審美眼が冴えていたのかも知れません。
 宿の主(夕顔)の心づかいのこもる、香りのよい扇の上に載せられた夕顔の
 花と歌。そこに綴られた「白露の光」は光源氏を讃えるものであることから、
 この物語は始まりますが…。「夕顔」の女性はやはり夕顔の花のように儚い
 運命を背負った方でしたね。
 物語の一首目は、「もしや、そのお方ではないかとお見上げします。この
 夕顔の花に白露の光を
添えてくださる貴方さまは…」に対して、
 二首目の歌で「もしや」などと仰しゃらないで、
もっと傍に寄り合って
 確かめてはいかがですか、と返していますが・・・、

 もう一歩進めて光源氏の立場から、返歌を詠んでみました。
【ご参考】
 ★夕顔の花はおぼろにかすめども 君によりゆく想い切なく

 三首目の返歌、「安曇野の 虫の音響く 草原」の場面設定は見事ですね。
 紫式部は箏の琴の名手だったとのことですが、ここでは謙遜して誰が私の
 琴の音などを聞きに来るのでしょうかと詠っていますね。
 草原の虫の音をBGMとして、あなたの奏でる琴の音を肩を並べて共に
 聴きたい、との想いをこめて返歌を詠ってみました。
【ご参考】
 ★安曇野の虫の音響く草原に 君と聴きたし あの琴の音を

【詞書】2台あるPCの1台が故障してwindows11に移行させたことを
  詠ませて頂きました。
☆PCの1台故障 イレブンへ 1日がかりも安心を得る
【詞書】先場所の横綱の活躍を見て詠ませて頂きました。
☆膝に腰 故障抱えた土俵でも 綱の貫禄 見事 賜杯に
【詞書】今年の大河ドラマを見て、ふと思ったことを詠ませて頂きました。
☆平安の世の輝きは如何ばかり かに星雲に想いを馳せる
                          西BOOさん
【解説】
 追加も含めて三首の歌を詠んで頂きました。「windows11への移行」
 「綱の貫禄」「かに星雲」と、異なるテーマを興味分く詠んで頂き
 学びとなります。
 一首目の「windows11への移行」は、windows10からの移行であったと
 思います。従来使えていたアプリが使えなくなったり、使い勝手が
 異なったりと諸々ご苦労なことが多かったと思いますが、無事終えて
 ホッとされたことと思います。「安心を得る」に実感が滲みます。
 三首目の「かに星雲」は、星雲の元となった超新星爆発が1054年に出現
 しましたので、今回の大河ドラマの主人公、紫式部と関わりのあった

 藤原道長、頼通親子らの摂関政治の時代に眺められたことと思います。
 後に藤原定家も「明月記」に記していますね。星雲の出現に想いを
 馳せる浪漫に満ちた歌と考えます。
 なお、お尋ねになった「口語自由律短歌」件については、
 【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】で触れさせて頂きます…。

【詞書】「春を待つ景色」で三首詠んでみました。
☆山道をゆけばリュックのちさき鈴 春を待つやに ちりりと鳴りぬ
☆君とゆく いつもの店の テラス席 春待つ人で満席なりき
☆地震(ない)の地に春待つ心 ひとしほに 瓦礫の地にも ちさき芽吹きが
                         みっちっちさん
【解説】
 いずれの歌も、「春を待つ景色」を心を籠めて詠って頂きました。
 一首目は、春の訪れを待ちわびる心情を、山道を歩くリュックの
 鈴の音に重ねて表現した爽やかな歌となっています。
 鈴の音は、春の風や鳥の声といった自然の音と対比され人の存在感を
 強調しています。また、これによって冬の寒さや孤独という想いも
 感じさせ、春の到来を願う心境をより強調する優れた歌と感じます。
 三首目は、「ちさき芽吹き」が双葉となり、やがて繁る青葉となることを
 祈りたいと思います。そして一日も早い日常が戻ることを・・・。

【詞書】“天界“という言葉に思い起こされた記憶がありまして、母の郷里
  安来市に「天界酒造」という酒造会社がありまし。もうずっと前に廃業
  されたということは知ってました。そこがどうなってるかがふっと気に
  なって検索して調べてみると、改装された酒蔵が「寛のくら」という貸し
  スペースになって活用されているのだそうです。入口の外観の写真を
  見ると、かなり前にこの酒蔵に寄り、私と祖父が車の中で待っていた…
  そんな些細な記憶に何となく残っていた入口の面影がありました。
  “天界”という言葉でこんな記憶が浮かんできた訳で…。
☆“天界”と聞いて記憶に浮かぶのは
     今無き酒蔵の名酒の名前よ
【詞書】茶処宇治に住んでますが、初めて聞きました。夕方のABC朝日放送
  テレビ(大阪)のニュースワイド番組で、“抹茶の日”だから…、と
  アナウンサーさんが抹茶を立てる体験をする、という企画をやって
  ました。何故2月6日かというのは、茶道において釜を掛けて湯を沸かす
  「風炉(ふろ)」から、ふ(2)ろ(6)の語呂合わせなんだとか。
☆ついさっきTV見てたら言っていた
     2月6日て“抹茶の日”なんや!
【詞書】また月面の“SLIM”ネタです。2月6日現在、新月に向かって
  明けがたに三日月の形で登る月に「あー、あの影になっている部分に
  “SLIM”さんがひっくり返ったまま居てるんやなあ」と思うと…。
  そのうちまた陽は当たるから頑張りやー、って感じです。月に地球から、
  日本から行った探査機たち“SLIM”、“LEV-1”、“LEV-2(SORA-Q)”が
  居ると思うと、今まで以上に月が愛おしい…。
☆如月の“明けの三日月”影の中
       ひっくり返りて“SLIM”佇む
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目で詠われた「天界」について、少し調べさせて頂きましたが、
 銘酒「天界」の特長は、吟醸香が豊かで濃厚な味わいとのこと。
 このような、美味しいお酒を造る酒蔵は続いて欲しいですね。
 「天界」も、時を経てなお心を篭めて歌で表現して頂けて「酒冥利」
 かも知れません。
 おっしゃるように音数的にも「酒蔵(しゅぞう)」の方が良いと考えます。
 銘酒をイメージし少し添削させてさせて頂きましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★「天界」と聞いて瞼に浮かぶのは
        今無き酒蔵の吟醸の酒
 二首目は「抹茶の日」について詠んで頂きましたが、2月6日が茶道に
 おいて湯を沸かす「風炉(ふろ)」からの語呂合わせからとは、私も初めて
 知りました。「抹茶の日」の謂れを知り、驚きとともに納得した様子が
 そのまま詠まれ、分かりやすい素直な歌と思います。
 三首目は、如月の新月、「明けの三日月」の光ではなく、その影の中に
 たたずむ探索機「SLIM」の存在に想いを馳せる。作者の科学者として、
 また詩人としての優しい眼差しの感じる良い歌と考えます。
 「ひっくり返りて」の表現にユーモアを感じます。


     「陽だまりに咲く 紅梅」

【詞書】親しい友人と安・近・短の温泉へ出かけました。久しぶりに会う
  友は食欲旺盛で楽しい再会となりました。
☆山の湯は骨の中まで巡り行き邪気も溶かすや 心を放つ
☆温泉の冷めぬ身体を投げ出して星座を見上ぐ 簡素に生きねば
☆旅の日もはや過去となり日常のリズムにかえる のど飴なめつつ
                         夕庵さん
【解説】
 温泉で親しいご友人と女子会なんていいですね。一首目、二首目の
 いずれの歌にも、心から寛ぎの様子が溢れています。
 とくに、二首目の歌は、温泉の温かさと、その温かさに解放された
 心地よさを、端的に表現した上の句が印象的です。
 そして、宏大な宇宙に思いを馳せている様子を、星座を通して
 表現した下の句のフレーズが、作者の心模様をも示しています。
 さらに、結句では星座を見つめつつ、簡素な暮らしの大切さを
 再認識した旨を表現し、生き方への決意をさりげなく示しています。
 温泉で心地よく心身ともに温まった中で見上げた星座。宏大な星空と
 比較するまでもなくささやかであっても、何物にも代えがたい自分
 という愛おしい存在を改めて実感されたことと思います。そんな想い
 にさせてくれる味わいのある歌と考えます。
 三首目の「日常」の「のど飴なめつつ」の締めもいいですね。

【詞書】YouTube短歌:人の本性 ディア・ハンターを聴いて
☆戦争が狂気なのは人の性
  そして美しい曲が好きなのも
【詞書】YouTube短歌:頑張れニッポン、頑張れ能登 ロッキー
☆何度倒されても
     立ち上がれ!
  我々とともに明日へ
        希望へ
          次へ
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 ディア・ハンターは、ベトナム戦争を扱った1978年公開の映画。
 戦争とは、人を殺すと言う罪悪感、戦友の死体が並ぶ明日の我が身を
 見る恐怖が、狂気を帯びる事で、日常化していきます。
 そしてロシアンルーレットと言う、自分か相手かが必ず死ぬゲームと
 言う恐怖を楽しむまでになります。
 人は、狂気の中で自分の存在を認識するのだろうか?
 クラッシックを聴いていたら、この曲がミックスリストに紛れて
 いました。あまりに美しいので、曲を調べたら、ディア・ハンター
 でした。狂気を描くにはあまりに美しい曲。これが人の性(サガ)
 なのだろう?と思いました。
 今日も、誰かが死ぬと言う戦争が、人の本性として続いています。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/7ead1351b720c77be9ee84cf8ebf71c9
 日本は、地震、台風、津波、大火、戦禍と多くの災禍に祖先は遭遇して
 きました。その度毎に、打ちひしがれ、絶望し、そして再建して
 きました。これは事実です。
 能登も、今は絶望かもしれないが、毎回復興してきた日本。
 共に支え合ってきたから、今の日本はあります。
 ロッキー1では、たった独りフィラデルフィアの美術館の階段を登って
 栄光をイメージいましたが、ロッキ3では、多くの人々と共にそれを
 共有しました。頑張れニッポン、頑張れ能登と応援して行きましょう。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/8935139951287e157c628467583e4db6
                         自閑さん
【解説】
 一首目の歌、「ディア・ハンター」は鹿狩を「題」としていますが、
 短歌説明にもありますように「ベトナム戦争」をテーマにしていますね。
 休日には鹿狩りを楽しむ仲間たちが、戦場で捕虜となりお互いの生死を
 賭けた「ロシアンルーレット」を強いられ、その後の人生が大きく
 変わっていくという内容の映画でした。
 この映画は、かつて高倉健さんも衝撃を受けたというぐらいの映画だけ
 あって、見ごたえのある内容であったと記憶しています。
 彼らは平和な時代、ゲーム感覚で鹿の命を奪う狩猟に興じていましたが、
 今度は自分たちがゲーム感覚で命を落とすかもしれない側にまわるという
 恐怖。この対比が鮮やかに描かれ、自らの人生観をも変えられる重い
 テーマが込められていたとも感じます。
 「戦争が、人の本性として続いて」との説明もありました。その説も
 頷けますが、戦争の実態は多くの歴史が示すように、突き詰めれば
 為政者の「利」を図るため始められ、続けられてきたと考えます。
 また、ディア・ハンターの曲は「狂気を描くにはあまりに美しい曲」で
 あり、その美しい曲を好きなのも「人の性」であると詠われていました。
 改めてディア・ハンターの曲を視聴させて頂きましたが、その曲の
 美しい調べの底に流れる哀しみと、希望を同時に感じました。
 この歌は、人の内部に潜む狂気と、そのを内包する性(さが)の持つ
 神秘性、さらに哀しみをも謳っているとも感じました。
 二首目の「何度倒されても 立ち上がれ!」は、厳しい能登地震の
 惨状の中から立ち上がろうとする、多くの被災された方々と共有したい
 想いである旨を再確認したいと思います。

【詞書】初雪になりました。先日、姉と数十年ぶりに二人っきりで
  那須温泉『鹿の湯』に行ってきました🎵お嫁に行く前は
  二人っきりでかたを寄せ合い母ように、面倒をかけた姉です。
☆立春を 過ぎた次の日
   初雪が
  冬の戻りの 暗い朝空
☆野の原の 殺生石に
   囲まれて
  幾千体の 地蔵を拝む
☆姉と行く 那須の鹿の湯
   汗ばんで
  なおも止まない 思い出話
                         クロママさん
【解説】
 お姉様と数十年ぶりに、二人っきりで那須温泉『鹿の湯』に行って
 来られたとの事。
 お母様の役割も果たしてくれた優しいお姉さまとの懐かしい日々。
 そのお話が果てることなく続いた様子が三首目の歌からも偲ばれます。
 一首目の歌は、立春という春の節目を過ぎたにもかかわらず、冬が
 ぶり返して初雪が降るという現象を詠っています。これは、季節の逆行
 とも言えるもので、「冬の戻り」という言葉で、冬の季節が再びやって
 きたことを嘆き、その暗い朝空を見上げる様子が良く表現されています。
 温暖化の影響も背景にはありますが、表現等を少し整理してみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★立春の のちに降りたる 初雪よ
    冬の戻りの 陰鬱の朝

☆凪海に光降らせる落日に己(おのれ)に残る命計りて
                         ポエット・M
【解説】
 能登地震の惨状の中で、圧死という惨い現実に直面した方の無念、
 そして残された多くの方たちの怒りにも似た哀しみと喪失の想いを
 改めて感じました。
 海は、あの酷い惨状をよそに凪いで、落日の光に染まっていました。
 そんな光景を前に、自分に残された命の時間というものを改めて
 考えさせられ、
その想いを詠んで見ました。
 陽は光芒を放ちつつ海に沈んでいきます。不遜かも知れませんが、
 この落日と己の命を対比させ、同時に落日と己の命を重ね合わせて
 みました。言葉の二重性や対照性をつかい、命のイメージを強調して
 詠ってみました。小さくささやか故に尊い命をかかえ、日々の営みの
 大切さを心を込めて、これからも詠っていきたいと思っています。

  
     「咲き初める 熱海桜」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(25)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め、小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。に
     
6.「短歌の章」 家のノラ猫(2)

   猫ごとにみな泣き声は異なれり
           われも聞き分く季陵の声は
            
   炭小屋に寝床しつらへて猫殿を
           妻は抱へて言ひきかせ居り

   季陵の声聞かぬ夜寒は気になりて
           妻と語れり酒食ふべつつ

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 「口語自由律短歌」についてのお訊ねがありましたので、以前にも少し触れ
 ましたが、再度視点を変えて記述してみましたので掲載致します。

 短歌は記紀万葉の時代から五・七・五・七・七の5句31音で、韻律をふまえて
 詠むという形式が確立し、長い伝統的の中で磨かれ受け継がれてきました。
 しかし、字余り、字足らずという32音、あるいは30音等もケースによって
 は許されるとの不文律もありました。

 しかし、時代の変遷の中で文学全般、日常的に使っている言葉(口語)で
 表現しようとした言文一致運動が始まりました。これに呼応し短歌の用語にも
 口語を用いようとする口語歌運動が明治30年代(1897-1906)におこり、
 大正期には歌壇の一部にかなりの隆盛を示しました。
 本来文語によって成りたった5句31音の定型律を,言語組織の異なる口語に
 よって踏むことには多くの困難がありました。そのことから定型を破壊して
 自由律によろうとする動きが,大正末期から現れました。

 この形式は、大正13年(1924年)に石原純が発表した歌が注目を集め、
 その後、自由律短歌論が展開されました。口語自由律短歌は口語短歌運動と
 結びつき、昭和時代には金子薫園、土岐善麿、前田夕暮などが参加し興隆期を
 迎えました。

 特に、前田夕暮は、主宰していた「詩歌」全誌をあげて自由律を提唱し、
 自由律短歌集を次々と刊行して、口語自由律短歌の代表作を残しました。
 敗戦後の1949年に宮崎信義により口語自由律短歌の雑誌「新短歌」が創刊
 され、2002年まで継続されました。「新短歌」廃刊後、光本恵子氏によって
 1989年に創刊されていた「未来山脈」に継承されています。

 口語自由律短歌は、普段使い慣れた現代の言葉(口語)を使って26~38音
 の文字で、分かりやすく韻律に囚われず自在に表現する短歌でもあります。
 この形式は、新しい表現の可能性を追求するためのもので、詩的な表現や
 感情の描写に自由度を持たせています。また、口語自由律短歌は、現代の
 言葉を使うことで、より直接的で自然な表現が可能となり、日常生活や
 現代社会のさまざまなテーマを扱うことができます。
 このように、口語自由律短歌は、短歌の伝統的な形式を超えて、新たな
 表現の可能性を追求する詩的な表現形式と言えます。
 この水曜サロンでは、定型を踏まえた口語短歌を中心に詠んでいますが、
 「口語自由律短歌」も、学びを含めて鑑賞していきたいと思っています。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますので、ご容赦願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了


コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第二部「口語短歌・水曜サロ... | トップ | 気になる食堂 »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
短歌投稿 (knsw0805)
2024-02-07 06:09:27
Shouさん、おはようございます。
浅間山明鏡止水です。
短歌投稿します。

「詞書」源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週も源氏物語巻名歌から2首、紫式部集より1首の計3首提出しますのでご指導よろしくお願いします。

源氏物語巻名歌・4若紫
歌の背景
光源氏十八歳。北山の行者の許に出かけた際、ふと見かけた藤壺の宮に生き写しの少女。この少女をこれから自分が細やかに仕込んでいけばいいとは思うものの、胸に期待しているよりも劣っているのではないだろうかと、源氏は気掛かりになります。

「手に摘みて いつしかも見む 紫の 根に通ひける 野辺の若草」 光源氏

返歌
「うら若き けがれを知らぬ 若草の 夢にさまよう 愛おしい人」

紫式部集・4
「おぼつかな それかあらぬか あけぐれの そらおぼれする 朝顔の花」

返歌
「美しく 心に咲いた 朝顔を 愛でて君に 笑顔届ける」
返信する
Unknown (西BOO)
2024-02-07 06:10:08
おはようございます。
早速、三首出詠させて頂きたいと思います。

先週、詠ませて頂いたかに星雲の続きを詠まさせて頂きました。

平安のかに星雲より 約1000年 次、何時 爆破 ベテルギウスや

久々に風邪をひいたことを詠ませて頂きました。

のど痛し 20年ぶり風邪をひく 梅の開花を待ち過ぎたかも

昨今の。検察庁に対して詠ませて頂きました。

ひと昔 田中角栄逮捕した 日本の検察 影形なし

よろしくお願い致します。
返信する
Unknown (みっちっち)
2024-02-07 09:26:43
おはようございます。

まだ浅き春ですが、春は確実にやって来ますね。三首出詠いたします。

⭐️紅白の婚の荷がゆく山里は やうやう春の色になりけり

⭐️山里に蕎麦処あり 早春の 水踊らせて 水車廻りぬ

⭐️早春の街はきらめき 水色の パンプス買ひて こころ踊りぬ

よろしくお願いいたします。
返信する
こんばんは (おもいつくままに)
2024-02-07 20:15:12
フォロー頂きましてありがとうございました。
よろしくおねがいします。
返信する
今週の詠草です。 (夕庵)
2024-02-08 09:44:47
おはようございます。

詞書
整枝のためとはいえ、ちょっぴり可愛そうな気もします。

☆盆梅は古武士のごとく洞なして手足もがれつ花咲かせおり

詞書
奈良 石光寺を訪ねたときの歌です。
中将姫伝説があり、曼荼羅を編むときに蓮糸を染めたという井戸や糸を干した「糸かけ桜」がの残っています。大輪の冬牡丹が雪に倒れないようにと、藁で編んだ帽子をかぶっていました。
寒い時期なので訪問者も少なく、門前町でいただいた名産の三輪そうめんと(暖)柿の葉寿司が美味しかったです。
☆雪よけの藁帽子来て染寺に人待ち顔の冬牡丹さく

詞書
佐保は奈良北部の地名で、佐保姫は佐保山にいて春を司る女神です。珍しく関西にも雪が降り、鹿の睫毛に雪が乗っていて印象的でした。

☆佐保姫の目覚め待ちたる寒の日に神鹿(鹿)は睫毛に雪とどめをり

よろしくお願いします。
返信する
Kenさんへ (ポエット・M)
2024-02-09 13:39:33
Kenさん こんにちは。
いつも、早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。

源氏物語や紫式部日記・紫式部集の和歌への返歌も、回を重ねて益々
勢いがついてきましたね。

「返歌」一首目の歌は、光源氏が若紫を「はやく妻にしたい」との意図を
はぐらかしつつ、「愛おしい人」と詠った手並みは見事と考えます。
桐壺、藤壺、さらに紫の上と、三代にわたって母の面影を追った光源氏も
思えば哀しい存在だったと、改めて感じてしまいました。

二首目の紫式部の歌は、
「どうもはっきりしませんね。あなただったのでしょうか。それとも
 違ったのでしょうか。明け方の暗がりのなかで、顔をお見せに
 なりながら誰ともわからぬ振りをされてその翌朝、朝顔の花を
 送るというのは」と解釈されますね。

そんなおぼろげな様子を込めた返歌にしてみましたが、いかがでしょうか。
★爽やかに咲いた朝顔見つめるも 君の想いは未だおぼろに
これからもよろしくお願いします。
返信する
西BOOさんへ (ポエット・M)
2024-02-09 13:40:33
西BOOさん こんにちは。
早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。
「ベテルギウス」「風邪」「日本の検察」と、今回も今日的な
社会詠も含めて、それぞれ手堅く詠んで頂きました。

一首目は、「かに星雲」と同様に、超新星爆発が予想される「ベテルギウス」
について、興味深く詠って頂きました。
「かに星雲」は前回も触れさせて頂きましたが、西暦1054年に観測された
超新星爆発で生成され星雲ですが、オリオン座の上方にオレンジ色に耀く
ベテルギウスも、まもなく超新星爆発を起こして、その一生を終えると
いわれています。この星座を星空のロマンをこめて、韻律も良く詠んで
頂き、私たちにとっても学びになります。

二首目、久しぶりに風邪をひかれたとのこと。それにしても20年ぶりとは
凄いことですね。「梅の開花を」との絡みが見事です。
三首目は、詠まれた通りですね。検察の司法としての気概を望みたいとの
想いにさせられる詠歌です。
これからもよろしくお願いします。
返信する
みっちっちさんへ (ポエット・M)
2024-02-09 13:41:27
みっちっちさん こんにちは。
早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。

早春の浮き立つ景色を爽やかに三首詠んで頂きました。

特に、二首目の歌は、早春という季節を「水踊らせて」水車が回る
という生命力にあふれた情景を描写し、印象深い歌となっています。
水車の回る音や水の流れる音が、静かな山里に響いていることを
想像させますが、そこで蕎麦粉も挽いているのでしょうか。そんな
長閑な日本の原風景を感じさせる味わいのある歌と感じます。

なお、少し用語について触れてみますと…、この歌は、「あり」や
「廻りぬ」は文語的な表現ですが、「水踊らせて」は口語的な表現です。
このように、文語と口語を組み合わせることで、古典的な趣と現代的な
感覚を両立させています。この「水曜サロン」では、この種の技法も
学びとして、取り入れて参りたいと思います。
三首目は「水色の パンプス」の表現が鮮やかに効いています。
これからもよろしくお願いします。
返信する
おもいつくままにさんへ (ポエット・M)
2024-02-09 13:42:59
おもいつくままにさん こんにちは。
ご丁寧なご挨拶を頂き、ありがとうございます。

こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
短歌を中心とした「サロン」ですが、お立ち寄り頂ければ
嬉しいです。
返信する
夕庵さんへ (ポエット・M)
2024-02-09 13:44:12
夕庵さん こんにちは。
早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。
三首の歌、何れも味わいのある歌で、楽しく鑑賞させて頂きました。

特に、二首目の歌の魅力は、冬の寂しさと華やかさを対比させて、
印象深く繊細に描いているところだと思います。

染寺とは、詞書にもありますように奈良県葛城市にある石光寺の通称で、
冬牡丹の名所としても有名で、約200株、約40種類の冬牡丹が咲いている
とのこと。この冬牡丹が「人待ち顔」という表現は、儚げで楚々とした
花の様子を詠み、必ずしも誰かを待っている様子を表していないと解釈
しましたがいかがでしょうか。あるいは、冬牡丹にまつわる、ほのかな
「恋物語」もあったことも偲ばれます。
これからもよろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

短歌」カテゴリの最新記事