まさに三寒四温そのままに、寒い日と温かな日が交互に繰り返す日々。過日、比較的温かな日に挙行された地域の公立中学校の卒業式に招かれ出席して参りました。昨年のblogでも触れさせて頂きましたが、この学校にはかねてより学校運営協議会の委員として関わっていることからの招待でした。コロナ禍に続き、インフルエンザが依然広がっている中で、招待者はかなり限定されたとのことでした。
「咲きみつる 河津桜」
この中学校は当市の中でもマンモス校のひとつで、卒業生も200名を遥かに超えています。従って卒業生全員に「卒業証書」を授与するだけでもかなりの時間を要しましたが、それぞれの生徒の、卒業に当たって晴れやかな想いを秘めた表情が垣間見れ、少なからぬ感動を味わいました。
また、校長先生、教育委員会等々からの卒業生への言葉も、心の籠った説得力のあるもので私達まで改めて学ばせて頂きました。校長先生からの言葉は昨年触れさせて頂きましたので、今回は教育委員会からみえた教育委員の方の言葉を紹介させて頂きます。曰く、『今年は清少納言の歿後1,000年の年にあたります。「枕草子」を著わした清少納言の鋭い観察眼と機知に富んだ表現に学び、自ら感じたことを言葉にする表現力を身に付け、コミュニケーション力を磨いてほしい。また、「春はあけぼの…」等の、四季の移ろいに感応する柔らかな感性を身に付け、友との友情を育てていくことを願っています』とのお話は、香り高い文学的な雰囲気を醸し出し、中学生の心にもきっと届いたものと感じました。
想えば、小学生時代から続いた、コロナ禍とインフルエンザ等々による、相次ぐ行事の中止や、学級閉鎖等々の試練を乗り越え無事中学校卒業に漕ぎ着けた卒業生たち。入学時に比べ心身ともに一段と成長し、逞しさを身に着けてきたように見えました。
この中学校とは、子供たちがお世話になっていた関係から、PTAの責任者を担って以降、地域連携の教育力推進委員、技術教育講座の講師、学校評議員、さらに学校運営協議会委員等々、ボランティアの一員として微力ながら関わって参りました。
途中、業務の繁忙さもあり、抜けざるを得ない期間もありましたが、友人たちの助けを借りながら、なんとか繋がりを保ってきました。卒業生の巣立ちの場にも幾たびか立ち会って来ましたが、いつも新たな決意に満ちた生徒たちの凛とした表情に触れ、こちらまで励まされる思いを抱いて参りました。
「咲き初める ラッパ水仙」
今回も在校生の贈る言葉に応えた、卒業生全員による想いのこもった群読と合唱は「素晴らしい」の一語では表現し尽くせない、卒業生の決意と底力を感じるものでした。200名を超える生徒たちが心を一つにして、在校生に、父母に、先生に、さらに地域の人々へ感謝を込めて残す言葉は、一つ一つが心に沁みるものでした。なお、群読は谷川俊太郎氏の詩「だいち」を踏まえたものでした。この選択のセンスも心憎く感じました。
これも、伝統により生徒たちが実行委員会を作り自主的に創り上げたもので、感動を新たにした次第です。地域から巣立ち、地域をさらに日本の未来を託するに足りる子供たちが、育っていると改めて頼もしく感じた瞬間でした。
なお、卒業生たちが「群読と合唱」で選択した詩を参考までに掲載致します。
「だいち」
谷川俊太郎 詩
だいちのうえに くさがはえ だいちのうえに はながさき
だいちのうえに きはしげり だいちのうえに あめはふる
だいちのうえを うまはかけ だいちのうえを とりはとび
だいちのうえを へびははい だいちのうえを かぜがふく
だいちのうえに ひとはたち だいちのうえに たねをまく
だいちのうえに いえをたて だいちのうえの つかのまに
だいちのうえで あいしあい だいちのうえで にくみあい
だいちのうえで たたかって だいちのうえで しんでゆく
了