四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

咲き初める 河津桜

2022年02月26日 13時07分07秒 | 日々の歩み
 如月も間もなく終焉となり、立春は過ぎたとはいえ春は名のみの寒い日も続きますが、
季節は確かな春への歩みが感じられます。


     「観音崎公園で咲き初める 河津桜」

 緊迫度を増す世界情勢に触れますと…、ウクライナの首都キエフでは、日本時間の26日
朝から断続的に爆発音が聞かれ、地元メディアは、ロシア軍が首都キエフ中心への攻撃を
始したと伝えています。また、首都キエフ市内の西で、ロシア軍とウクライナ軍との間で
激しい戦闘があったと報じています。
 国連憲章、さらに国際法の基本原則に反したロシアの「侵攻」は、侵略行為そのものと
考えます。ウクライナの主権尊重の原則に立った外交・政治的な事態打開の努力を、
国際社会が力を合わせて、最後まで行っていくことが求められており、日本も外交力を
発揮する時と思います。



 本件は、私達自身も状況を見極めつつ、たとえ小さな声でも上げていくことが大切と
思っています。無辜の民を不幸のどん底に突き落とす戦争は、いかなる大義をかざしても
決して許されるものでないことを、改めて確認したいと思います。



 折りから伊豆河津町をはじめ、神奈川県松田町、三浦海岸等でも河津さくらが開花し、
コロナ禍のもと規模を縮小しながらも「河津桜まつり」開催等の便りが届いています。
皆さんもご存知と思いますが、河津桜とは毎年2月上旬から咲き始め、3月上旬までの
約1ヶ月に渡り咲く早咲きの桜です。花が大きくピンク色なのが特徴のこの桜は本州でも
早咲きの種類に分類されています。花はカンヒザクラとオオシマザクラの自然交配と
考えられています。



 毎年、三浦海岸駅周辺の河津さくら見物に行っておりましたが、コロナ禍で「桜まつり」も
中止となり、最近は近くにあります観音崎公園「花の広場」の河津桜を愛でています。
二月にしては、温かな日差しに恵まれた観音崎公園「花の広場」の河津さくらは、
未だ二分咲きと言う状況でした。



 風荒ぶ寒い如月とは言え「光の春」の日差しを浴び、河津さくらは楚々とした風情を
漂わせ、艶やかに輝いていました。 寒風の中で他の花々に先駆けつぼみを育て、
正に春を呼ぶかのように誇らしく凛と咲く河津さくら。この花の姿に秘めた矜持を感じました。




 この早咲きの河津さくらに寄せて何首か短歌を詠んでみました。
    ☆ あえて世にあらがうごとく咲く花よ 河津さくらは凛と際立つ
    ☆ 寒風に紅(べに)際立たすさくら花 先駆け示す己(おの)が使命も
    ☆ 如月に春呼ぶ花かさくら花 酷き季節に凛と真向かう
    ☆ 風荒ぶ むごき季節に花ひらく 河津桜の摂理哀しく
    ☆ 寒風に花蕊揺らす花なれど 凛々しさ秘むる河津さくらよ
    ☆ 風花に真向かい咲ける河津さくら 秘むる矜持か先駆けひらく

                      了
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「口語短歌・水曜サロンの会」(その23)

2022年02月23日 05時44分24秒 | 短歌
口語短歌・水曜サロンの会」(その23)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「観音崎公園の陽だまりに咲き初める 河津桜」

「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

【詞書】BSNHKイタリア紀行で(ベローナ、ロミオとジュリエットの物語場所・
    2月11日~14日愛の祭典が開催)をやっていました。聖バレンタインディーの
    愛の三連発に惹かれ詠って見ました。
☆恋人たち 愛の祭典に 訪れる 愛の都で 愛の誓いを
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】2月10日関東全域雪となり朝からしんしんと細雪、雪が大好きな妻が喜ぶ姿を詠みました。
☆庭に置く 犬の彫刻 雪積り 埋もれる姿に 妻喜ぶも
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】2月11日午後11時45分平野歩夢が人類史上初めてのトリプルコークを、3回目3度飛び
    金メダル獲得、時あたかもアメリカショーンホワイトが引退発表、まさに新しい時代の
    幕開けです。
☆異次元の 大技決めて 金メダル 時代受け継ぐ 歩夢の世界
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 三首目の短歌ですが、競技後ショーンホワイト選手は「次は君の時代だ」と、歩夢選手に
 ハグしつつ告げる場面が印象的でした。正に「勇者は勇者を知る」場面であり、次の時代を
 託すに足りる勇者を見出した瞬間とも言えますね。そんな想いを詠み込んだ歌は、圧巻です。
 なお、ショーンホワイト選手の目指した夢を託された歩夢選手を、具体的に詠んでみましたが、
 いかがでしょうか。
【ご参考】 
 ★異次元の大技決めて金メダル 歩夢は継ぐや ショーンの夢を


【詞書】今私のブログでワクチンのデメリット情報を発信しています。情報の取捨選択など
    時間がかかりますが伝えたい人たちに届けたい思いで書いています。for youの
    気持ちを詠みました
☆伝えたい 思いをここに 書き連ね 君に届けと 願いを込めて
                         さわやか♪さん
【詞書】厚労省の通達で病気で亡くなった方もPCR検査で陽性になれば「コロナ死」とする。
    おそろしい状況にがくぜんとしたことを詠みました。
☆老衰を コロナ死となす 現実よ 検証いかに 未来に託す
                         さわやか♪さん
【詞書】ワクチン接種は 自己責任・自己判断です。マスコミ報道の偏りを感じましたので、
    それを詠みました
☆それぞれに 選びて進む 道がある 悲しきことは 情報操作
                         さわやか♪さん

【解説】
 短歌の世界では「時事問題等を詠む」ことは、山川草木、花鳥風月等の自然を詠みこんだ
 いわゆる自然詠と対照され、「社会詠」と言われています。
 先に「水曜サロン」や、ブログ等でも書かせて頂きましたが、短歌は抒情の文学であると
 ともに、現代と言う時代と歴史の証言者、記録者としての側面を持っていると考えます。
 その意味で「時事問題」へ関与する意味で、自らの想いを短歌に表現していくことは
 「有り」と思っています。

 作者が使命感を持って取り組まれている「ワクチン情報の負の側面」も、マスコミ等で
 意識的にネグレクトされている状況もあり、意味のある活動と思っています。
 作者の想いと叫びが伝わる、意義ある社会詠と思います。


【詞書】昨日2月16日は、4年前に亡くなった母の命日でした。
    お墓参りをし、ゆっくりと母を偲ぶ一日を過ごしました。
    あの朝、最期の朝になるとは知らず、母にアイスクリームを少しだけ口に
    含ませました。母はありがとうと言うように少し微笑み、でも笑みを残したまま
    目を瞑ってしまいました。その後、呼吸はゆっくりになり、夕方止まりました。
    安らかな最期でした。私はずっと母の顔を見守り続けたのです。
☆母の忌の朝はあの朝偲ばるる 最期と知らず笑みし吾(あ)と母
☆父母の墓を参れど現身(うつしみ)のそばにゐるやにいつもゐるやに
☆亡き母は山の端(は)にある朧(おぼろ)月 亡き父春の大海原や

                         みっちっちさん

【解説】
 「親思う心にまさる親心」ではありませんが、お母様との濃密な3か月は、なにものにも
 代えがたい日々であったことと思います。お母様にとっても…。
 お母様の忌日に「お墓参りをし、ゆっくりと母を偲ぶ一日」を過ごされた故、娘として、
 何よりの親孝行と思います。娘にとって母の存在は、逝って後さらに大きな存在として
 残るものと思います。
 折に触れ母との日々が偲ばれ、「母恋」にも似た想いが湧くものと思います。そんな想いを
 詠み、作者の切々とした想いの籠る、味わい深い詠歌は泪を誘います。


☆言い訳をせずに現役貫いたそんな貴方は誇らし愛し
☆良い方を君にあげよう焼きすぎたニ枚のパンにバター塗りつつ

                         リコさん
【短歌説明】リコさんご自身の説明です。
 30年前に「きんは100歳、ぎんも100歳」と言うテレビコマーシャルを当時、50歳の主人が、
 「100歳なんて凄い、自分は80歳も無理かも知れない」と言ったので、リコは主人の体調を
 ずっと気にかけてきました。
 主人はこれまでに心筋梗塞、糖尿病、胃腸炎で3回、入院し、毎日、朝晩で10錠の薬を
 飲んでいますが見た目はとても元気です。1月に主人が80歳に成った時は本当に嬉しかったです。
 こんな思いを詠んでみました。

【解説】
 ご主人は「心筋梗塞、糖尿病、胃腸炎で3回、入院し・・・」とは、ご本人もさることながら、
 作者も大変な想いをされてこられたものと思います。でも、見た目はとても元気で過ごされて
 いるご様子で、作者のフォローのたまものと拝察しています。
 二首の短歌は、そんな思いを抱きつつも、共に歩まれた足跡が偲ばれる確かな詠歌と思います。
  特に「良い方を君にあげよう」から、作者の優しさと、深い愛情が感じられます。
 また、この短歌は文語(歴史的仮名遣)を専門とされる作者の、「口語短歌」分野で示された
 豊饒さの証明とも考えます。

 文語(歴史的仮名遣)での短歌の詠みは、雅な世界を表現するには適していますが、時事詠等、
 今日的な課題を詠む場合にもどかしさを感じます。自閑さんのように口語・文語・自由律を
 自在に行き来できる表現力を身に着けるのが理想ですが…、中々難しいですね。
 でも、詠う内容で表現形式を変えるのも有りと思っていますので、実験の場として、この
 「水曜サロン」が役立てれば幸いと思っています。

【詞書】コロナ禍の下、近くの広場へ散歩した時に沢山のアイスキャンドルを観て日常を感じ
    詠みました。
☆この街の暮らしが灯る雪広場四方八方アイスキャンドル
                         『楕円と円』さん

【解説】
 広場一面を埋め、灯る「アイスキャンドル」は、雪国の冬の風物詩であり幻想的な世界への
 いざないでもあります。
 また、雪に閉ざされた街の人々の心意気も感じられる、アイスキャンドルの群れでもありますね。
 そんな光景を喚起させる素敵な短歌と思います。「暮らしが灯る」の句が秀逸と思います。


【詞書】繰り返す ラベルのボレロを聴いて
☆奏でるものは違っていても何時も繰り返す永遠にボレロよ
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeの映像音楽を聴いて、短歌を作っております。
 ラベルのボレロのバレエ映像のイメージで、クラリネットやオーボエ、トロンボーンなどが、
 同じ曲をそれぞれ奏で、その繰り返しに、バレエダンサーのJorge Itovich Donnが自分の解釈で
 踊って行くと言うものです。このJorge Itovich Donnのバレエを見ると、芸術だよねと思います。
 自分の解釈では、漢詩の
 年年歳歳花相似 年年歳歳花あい似たり
 歳歳年年人不同 歳歳年年人同じからず
 のイメージです。
 以下URLに映像を貼付しておりますので、愚詠とともにご覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/482d0d174045a37d9dfb3fce0319a22b
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 口語と文語を自在とか畏れ多い事です。新古今和歌集は、短歌の感性、技法を学ぶ為。そうしたら、
 伊勢物語、源氏物語、無名抄の歌論を学ぶ必要があっただけです。まだまだ勉強途中です。

【解説】
 ボレロは、モーリス・ラヴェルによってバレエ曲として作曲されましたが、世界中の多くの方に
 愛されている曲と思っています。
 直近では、宇野昌磨選手が北京オリンピックのフリーの際に、この曲で演技していたと記憶しています。
 その曲で、バレエダンサーのJorge Itovich Donnが自分の解釈で踊るとは、それだけでワクワクします。
 このユーチューブを視聴させて頂きましたが「舞い」はまさに「芸術」ですね。
 なお、『愛と哀しみのボレロ』 での彼のイメージが未だ新鮮です。
 「歳歳年年人同じからず」ですが、色あせない記憶もあろうかと思っています。
 なお、作者の短歌への探求心には、常々学ばせて頂いています。




☆コロナ禍のさなか行くのに最適の人の少なき能勢町に行く
☆わが夫(つま)は積み木で遊ぶ幼子のやうに小屋を建てるを楽しむ
☆わたくしはいつも田舎の能勢町を散歩するなり楽しみながら

                         びこさん

【解説】
 能勢町で、山荘を手作りされているご主人の、楽しそうな様子が思い浮かぶ短歌と思っています。
 いくつになってもロマンを胸に、挑戦する具題的なものを持っている方は、精神的にも瑞々しく、
 感性も若々しい方と思っています。
 ご主人は、まさに、ウルマンの詩をそのまま実践している方とも思っています。
 お互いに、それぞれの目指すものを持ちながら、深いところで相手を認められる関係性こそ、
 これから私たちが目指すべき道とも考えます。
 そのような想いにさせられる、三首の短歌と思っています。


☆如月の 流れる雲と 強い風
      寒の戻りに かさね着のクロ
☆ふきすさぶ 雪間に覗く ふきのとう
      やがて来る春 若き芽ぶき

                         クロママさん

【解説】
 作者は「短歌の奥行きの深さを・・・感じて」と言われていますが、この言葉は、
 短歌に関わる私達共通の想いと考えます。
 それだけ短歌に向き合う作者の、覚悟が深まった表れとも感じます。
 なお、いずれの短歌も、今の季節を詠み込み、共感を誘う短歌と考えます。
 二首目の短歌の下の句の表現を少し変えてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★ふきすさぶ 雪間に覗く ふきのとう
        浅い春告げ 柔らかな芽も


☆プーチンが 欧米向けて 核ボタン 押せば地球の 消滅不安
☆ありがたし 日越離れ 返歌する 天地差ありも 師匠に感謝
☆締切日 和歌を詠み終え 嬉しかな 待ち遠しきは 水曜サロン

                         ベトナムのKenさん

【解説】
 出詠して頂いた6首のうち、上記の三首を選定させて頂きました。
 いずれの短歌も、ベトナムのKenさんのウクライナ情勢への危機感や、ブログ友の優しさ、
 さらには短歌を作り終えた達成感等を素直に詠んで好感が持てます。
 三首目の上の句の「嬉しかな」等の表現を少し変えてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★締切に和歌詠み終えし嬉しさよ 待ち遠しきは水曜サロン


☆枯野にも菜の花ひとつ萌えたつや こぼれ実の意地 示すがに咲く
                         ポエット・M

【解説】
 散歩に行く観音崎公園の一角に、広大な草原が広がっています。今の季節、草も萌えず
 まさに荒れ野の状態ですが、菜の花が一本すっくと立ち、黄色い花を付けています。
 鳥が運んだのか、風が運んだかは定かでありませんが、こぼれ実の意地を示すかに
 咲く、そんな花の姿に寄せて詠んでみました。




「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (24)

6.故里慕情 (1)

    ふる里は遠きにありて思ふもの
          そして悲しくうたふもの
              「室生犀星の詩の一節」
 
 幼日に
   夢遊ばする
     春の野は
    スミレ タンポポ
      鳥のソプラノ

    野の薔薇に
      もみじのごとき 
        手と頬を
       触れしあの日も
         遠きまぼろし

        花嫁の
          金襴緞子の   
            姉さんの
           頬にこぼれし
             かの日の涙

      遠き日の
        晩夏(なつ)の夕暮れ
            カナカナと
          共に泣きしは
            何の哀しみ
  
    野に遊び
      野いちご食べて
         野の花を
        摘みしあの日の
          夕焼け小焼け




【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【「社会詠」等の説明 】
「社会詠」

 人の生活する場である社会と、社会に対する認識等を主題として詠んだ短歌のことをいいます。
 短歌の対象を分類する概念で、山川草木、花鳥風月等の自然を詠みこんだいわゆる自然詠と
 対照される分野であるとされます。
 近代以後、個人の感情生活や心理を掘り下げることが短歌の中心的テーマでしたが、
 実社会への批評精神の欠落を危ぶむ声は古くからありました。
 狭義の社会詠は、インフレやストライキなど社会事象そのものを直接に歌った短歌を言います。
 広義には、素材や詠風の具体性の有無によらず、社会の現実を客観的に見て、問題意識を持ち、
 批判的に表現した作品を社会詠といいます。

「時事詠」
 ときどきの政治的あるいは社会的問題を歌った作品を指しますが、その範囲はかなり
 あいまいであり社会詠と似ています。しかし、社会詠の方が同じ時事問題を捉えても
 批判精神、問題意識をもって詠んでいる点に違いがあると言えます。
                     参考:「岩波現代短歌辞典」(岡井隆監修)



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「天翔ける師へ」

2022年02月19日 13時56分01秒 | 短歌

 (注) 
  この稿はかつて私の所属する短歌会の歌誌に寄稿したものです。
  最近ブログ友の皆さんの挽歌や、追慕の短歌に触発され、かなり前の
  記事で恐縮ですが、私の「振り返り」も籠めて掲載したいと思います。



     「陽だまりに咲き初める 河津桜」

 平成九年の師走は、私の生涯にとって決して忘れることの出来ない悲しい月となりました。慈父とも、生涯の師とも仰ぐ野村泰三先生の突然の訃報に触れ、打ちのめされた思いをかかえ、未だ曳きずりながら今日に至っております。

 先生との邂逅は、伯母の紹介で「短歌周辺」に同人として参加し、鎌倉歌会に出席させて
戴いた昭和57年3月の頃のことだったと記憶しております。その会で先生の説かれた「社会とともに、社会に即した歌を」と言う言葉が、今でも鮮明に蘇って参ります。
 鎌倉建長寺、円覚寺、瑞泉寺、鶴が岡八幡宮等への吟行、歌会さらには、故吉野秀雄氏を
偲ぶ会へのお供等々を通して、短歌のめざすべき道、踏まえなければならない心のありようを、具体的な事例を通して教えられた思いが致します。



 先生とは昭和58年10月から、構想立案に始まり、昭和60年2月の足掛け3年に渡り、「パソコンを用いた短歌の試作」と言う、当時としては「狂気のさた」とも言える野心的なシステム開発を、担わせて戴きました。この開発は私の興味もあり、先生の会社のコンピュータを使用させて頂き、休祭日に仕事を離れてに個人的に取り組みました。

 どの文献を調べても日本語の電子的合成を旨とする、短歌の試作には否定的な見解のみで、不可能なことの証明ばかりが目に付きました。今でこそAI技術を用いた自然文の合成、翻訳等をかなりの精度で行うシステムができていますが、この当時は暗中模索の中でまさに試行錯誤の連続でした。
 当時はAI技術も未だ確立されていない時代でしたので、進化を見せつつあるニューロ技術からのヒントを取り込みつつ、短歌の素材となる五音、七音の語彙で基礎となるデーベースを構築し、新たに入力した言葉と、季節、生活、花、歴史等の変数を加味・混合し、パソコンの確率算定機能を駆使して、自然文の合成を行うという初歩的なロジックのシステムでした。

 この開発に伴うプログラム作成には、仕事の合間の休日等を用いて実質三か月ほどを費やしました。この経緯と結果は、私の短歌の師でもありました野村泰三氏「(株)ヤクルト本社(役員)」との共著論文として、月刊誌「短歌現代」(一九八五年二月号)に発表させて頂きました。歌壇からは少なからぬ好意的な反応もあったものの、大半は激しい批判の嵐に見舞われました。
 曰く「コンピュータなどを使って、伝統のある短歌を制作するとは何事か・・・等々」。
結果的には第二弾のシステム開発は、諸々の経緯の中で断念せざるを得ませんでしたが…。
このシステムの仕様等に付きましては、「短歌現代」に掲載されておりますので、著作権等の機微情報に触れる部分もあり、詳細はそちらに譲りたいと思います。



 ただこの開発の過程で花壇の潮流を踏まえ、ともすると躊躇い勝ちとなる私に、先生の説かれた「伝統とは革新と創造、さらには飛躍の繰り返しの中で築かれ創られていくものであり、新たな革新的創造の無い世界は衰退するのみである。まして短歌は若い世代の息吹を、あらゆる試みを通じて吹き込まねば21世紀には生き残れないだろう」との言葉。
これには使命感にも似た先生の思いが込められ、大いに啓発され励みになったことが、昨日のことのように思い出されます。

 また、「短歌周辺」を主宰された冷水茂太師が急逝された後、昭和62年8月にかけて「菁菁」創刊をお手伝いさせて戴き、その後十余年を越える歳月を共に歩ませて戴きました。その歩みの中で「綜合詩歌」誌鑑賞の執筆等を通し、先生の薫陶を身近で受ける幸運に浴して参りました。その間、土岐善麿師の思想であり、哲学でもある「市井に暮らす人々。その生命に寄せる限りない愛しみ」を自らの血肉とした先生の温もりと、慧眼に触れ、さらにその偉大さに圧倒される思いを抱いて参りました。



 いま、天翔ける先生の存在を思うとき、先生の目指された道の、ほんの入り口にも達していない己を知り、愕然とした思いに囚われています。
先生の説かれた「短歌一条の道」の教えを胸に、「人の生きる糧となる、社会と共にある歌」を求めて一歩一歩、弛まず研鑚して行くことが、先生のお心に叶う大道だと考えています。
詠草は野村先生への挽歌をと思い今の心境を詠ってみました。未だ、あまりに生々しく纏まりませんが…。



     「観音崎から房総半島を望む 半島の頂の白亜の像は 富津観音像です」

    なに求め師は旅立つや雲の果て この地で仰ぐ弟子(こ)らをのこして
    果て知らぬこの淋しさよ 翔ける師の影さえ踏めずこの地に立てる
    師と酌みしさかずき残る居酒屋で 今宵は一人盃をかさねる

                     初稿掲載: 平成10年1月15日

コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「口語短歌・水曜サロンの会」(その22)

2022年02月16日 05時46分40秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その22)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。




「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

【詞書】2月3日冬季北京五輪開会式、演出全てにおいてセンス抜群で夏季東京五輪の
    演出より勝っていると思いました。
☆北京五輪 開会式は 鮮やかで 演出効果 夏季よりまさる
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】郷土には大内人形雛があります。漆塗りでとても素敵なお雛様です。
    毎年2月節分を過ぎたら飾り付けしますが、大内雛を出すと二人に自然と
    笑みがこぼれます。
☆大内雛 郷土の人形 飾り付け 節句の準備 笑みこぼれるも
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】BSテレビ番組で「大聖堂のモザイク絵画」の説明がありまして感動しました。
☆一つとして 同じものはない モザイクは 完成すれば 眩い輝き
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 風雅なたたずまいを見せる漆塗りの雛人形。大内人形は「大内の殿様と姫君のむつまじい仲を
 しのぶ一対の内裏雛」とのこと。二首目の歌から、その雛人形を飾りつつほっこりとする、
 作者ご夫妻の様子が偲ばれる温かな詠歌と思います。「自然と笑みがこぼれます」との、素敵な
 ご夫妻の様子を詠み込んでみましたが、いかがでしょうか。
 ★ふるさとの 想い連れ来る大内雛 節句に妻と笑みて飾らん

【詞書】散歩道の白梅が思いのほかたくさん咲いていました。花は小さく蕾と共にとても
    かわいく咲いています。以前見つけた紅梅も、後ろの方に見えたのでそのさまを
    詠みました。
☆白梅が 私を見てと 咲き出した 奥の紅梅 私もここに
                         さわやか♪さん
【詞書】わが家に小鳥のためのエサ台があります。シジュウカラは素早い動きで餌をくわえ
    側の木の枝に止まり、餌をくちばしで枝にたたきつけ一心不乱にヒマワリの皮を
    はがして食べます。その時に聞えるリズミカルな音を詠みました。
☆音させて 餌を食べてる しじゅうから ヒマワリの種 枝にととトン
                         さわやか♪さん
【詞書】広い広い公園。木立の下には冬枯れしない緑の下草が茂っています。太陽の光を受けると
    葉っぱの表面がつやつや光りとても綺麗です。その葉っぱの上にできる木の影もなかなか
    素敵なのでその状況を詠みました。
☆西日受け きらめく緑 広がりて 木の影長く 夕暮れ近し
                         さわやか♪さん

【解説】
 季節の移ろいを映しとる手並みの光る短歌と思います。しかも物語性もあり
 共感も誘われます。三首とも、じっくり味わいたい短歌です。
 三首目の「きらめく緑」は下草と明確にしてみましたが、いかがでしょうか。
 ★夕映えに緑きらめく下草に 木立の影も長く伸びいる

 なお、作者からのコメントに寄せて、少し注釈させて頂きます。
  短歌は、「心に浮かんだ言葉のままを詠む」が、基本と思います。同じ事象を見ても
  「心に浮かぶ言葉」もない場合もありますが、感性が研ぎ澄まされているときは次々と、
  情景が言葉になってあふれ出ることがあります。そんな時は言葉をメモしておき、
  時間のゆとりが出た時に、「自分は何に感動したのか」を振り返ると、感動を芯とした
  歌が生まれることがあります。

  一人の方が感動することは、単にその方のみにとどまらず、多くの方も感じることでもあり、
  共感することであると思います。一人称の文学と言われる短歌が、千年を超える歳月の中でも、
  生きながらえてきた秘密の一端も、そのあたりにあると感じます。


【詞書】短歌は俳句と違い、腹に据えかねる時事問題等を詠み、訴える事もできるのですね。
    国の卑怯な「認諾」に対し「ふざけんな」との魂の慟哭を吐き出した赤木さんの妻に寄り
    添いたい気持ちを詠みました。
☆「認諾」という大鉈(おおなた)で赤木氏の妻と正義を切り捨てた国
☆切り捨てた公僕の血を知れ国よその妻の血の涙を国よ
☆「ふざけんな」正義を捨てた国へ問う私の初の口語短歌で

                         みっちっちさん

【解説】
 短歌は「腹に据えかねる時事問題等を詠み、訴える事もできる」と、私も思っています。
 短歌は抒情の文学と言われますが、同時に歴史の今を詠み、その表現者としての側面もあると
 思っています。短詩型と言う容量の限られたの器ですが、事象に秘められた人の持つ深い想いと
 哀しみ、さらには訴えを感情をこめて「盛る」ことが出来ると思っています。
 その意味で、作者の挑戦と、表現に賛同したいと思います。




☆物置の屋根に降り積む新雪を嬉々として登る 子と降ろし日々
☆窓からの眺めで測る雪の丈この冬もあとひと月と知る

                        『楕円と円』さん

【解説】
 一首目の短歌ですが、雪は降る時も、降り終わった後も諸々の物語を作ってくれますね。
 一夜にして白一色に街並みも野原も染める雪の凄さは、それを味わったものしか解らない厳しさと
 感動があると思います。特にお子さんも幼いころは、作者ご自身も若く元気で雪を楽しむゆとりも
 あったことと思います。
 お子さんと共に、新雪の降り積もる屋根に登った懐かしい思い出は、雪が降るたびに鮮明な記憶と
 なって思い出される物語と思います。作者の良きパパぶりも覗く温かな詠歌と思います。


☆初雪に 目を輝かし クロ散歩
      急ぐ足どり お味見タイム
☆小春空 クロとゴロンの 日向ぼっこ
      腕に顎乗せ 至福の時を

                         クロママさん

【解説】
 いずれの短歌も、愛おしい愛犬クロちゃんとの日々が詠まれていて、ほっこりとする
 詠歌と思います。
 なお、二首目の「小春空」は小春日和の空を表す言葉ですが、秋から冬に移行する時期の、
 まるで春のように穏やかな陽気の空を表しています。この短歌は詩情に溢れ、クロちゃんとの
 ほのぼのとした様子が伺える良い詠歌と思います。
 一首目の「お味見タイム」は、初めてこの短歌に接する方には意味が読み取れない場合があるかと
 思いますので、「雪を味わう」と解釈し次の通りに詠んでみましたが、いかがでしょうか。
 ★初雪に 目を輝かし クロ散歩
       足どり確かに 雪の味見も


【詞書】消えぬ雪 「和奏 戦場のメリークリスマス」を聴いて
☆ふれば消(け)ぬ
    思いし
      雪のことのはも
  つまびく
     たびに庭に落ち
          けり

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeの音楽、映像を見たイメージから短歌を作っております。琴、尺八で、坂本龍一の
 戦場のメリークリスマスを演奏し、満開の桜の中を散策すると言うものです。
 消えぬ雪とは、桜の落花を意味します。新古今和歌集風なので、定型で、降ればと触れば、
 言の葉と琴の弾、妻びくと爪弾くの掛詞にしております。
 魅力的な映像ですので、下記URLを御覧頂くと共に、愚詠も笑覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/45c7b9bb0f5f8f9bd2bca6d1f8022c82/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b

【解説】
 大島渚が監督を務めた『戦場のメリークリスマス』は、1983年に制作された映画ですが、
 坂本龍一は「俳優も初めてなら、映画音楽も初めての素人」として参加したと言われています。
 この映画音楽として使われた曲は、和声進行の動きが多く見受けられ、日本の民謡・演歌などに
 取り入れられている音階も使われたとのこと。その意味で私たちにとってはなぜか懐かしさを
 感じる曲であったとの印象があります。
 YouTubeの曲、琴、尺八での演奏は「和声進行」と相まって曲想に合っていると感じます。
 今回の短歌はまさに「新古今和歌調」で、掛詞を自在に使った技巧も光る詠歌と考えます。
 このような詠歌にも学んで行きたいと思います。


☆歌詠みは 初めてなれど 高揚は 公園超えて 天上までも
☆ 雨上がり 短歌入門 気がつけば はるか道のり 天上にあり
☆むずかしさ 我襲うなり 和歌の道 三日坊主が 脳にきらめく

                         ベトナムのKenさん

【解説】
 作者はベトナム在住の方ですが、短歌を熱心に学ぼうと、びこさんと交流を深めています。
 今回は昨夜・深夜の投稿でしたが、その熱意により今回の分に掲載させて頂きました。
 六首を出詠頂きましたが、内容の良く分かる三首を選ばせて頂きました。
 一首目の「公園超えて」を、「公園の木々を越えて」と少し修正して見ましたが
 いかがでしょうか。引き続き出詠をお待ちしています。
 ★歌詠みは 初めてなれど 高揚は 木々を越えて 天上までも

☆風すさぶ 淡き冬陽に花ひらき 椿一輪 そこのみの春
                         ポエット・M

【解説】
 三浦半島の東端に観音崎と言う景勝地があります。その海沿いの周回道路に藪椿の並木が
 あります。海からの風になぶられながらも、椿が咲き初め、淡い冬陽を受け、紅の花弁と
 黄金色の蕊が耀いています。そんな姿に「そこのみの春」を感じ詠んでみました。



「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (23)

5.再会 (3)
  いやっ!やめてっ!
    甘くとろけし
      君の声
     調べのごとく
       心に響く

   我れならぬ
     我れが夢には
       現われて
      我れの未来の
        運命(さだめ)を告げぬ

         切り取りて
           君に与えん
             どす黒き
            闇に真紅の
              血を流すとも 

     夢の夜の
       哀花は時に
         ワザリング・
        ハイツのヒース
          クリフのごとし

   なにもかも
     捨てて闇路を
        翔けてこい
      めざすは愛の
        炎の地獄     
   

 
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【ブログ友からのコメント】fumiel-shimaさんからのコメント(「水曜サロン」2月9日付けへ)です。
 何事にも行動の早い浅間山明鏡止水(knsw0805)さん。
 ブログ仲間たちの繋がりや拡がりに労を厭わないkenさんの行動力にはいつも驚かされますが、
 経験豊富な思い出からの発想だけではなく、二首目、三首目のように現実の世界の動向にも常に
 目を向け耳を傾け、そこにも大きなアンテナを張る姿に敬服しています。

 さわやか♪さんからはいつも感じる優しさや、温かさが溢れた言葉に誰もがあの幼き日の思い出を
 懐かしく、思い出されるでしょう。

 みっちっちさんの歌によってお母さんへの想いの深さと大きさをあらためて知ることができました。
 そんな瑠璃色の実を作る「竜の玉」を愛したお母さん・・・。宝石にも勝る素晴らしい色と形の玉を
 実らせても目立つことのない竜のひげのように人知れず地道に努力を重ねるお母さんの姿と重ね
 合わせるみっちっちさん・・・。お母さんが編んだセーターを手にした時に思わず零れ落ちた涙が、
 射し込む柔らかい陽射しの下で瑠璃色に光っている映像が浮かびました。

 自閑(jikan314)さんの短歌からは、過ぎ去った日々が鮮明に甦り、懐かしく思い出される姿は多くの
 人にも共通する想いがあり、共感を呼ぶのではないでしょうか。

 『楕円と円』さん 凍てつくような極寒の中でも期待に羽も夢も膨らませて春を待つ雀の姿に
 『楕円と円』さん自身の自分も・・という力強い意思、意欲を感じました。

 クロママさんの果てしなく広がるような一面の雪の光景を複雑な思いで詠嘆しながらも春の兆しを
 感じながら福寿草に近付き膝を折り曲げる姿が浮かんできます。

【コメントへの返信】ポエット・M
 コメントと言うより、励ましと核心を突いた歌評に学ばせて頂きました。
 特にみっちっちさんの歌に寄せた「お母さんが編んだセーターを手にした時に思わず
                 零れ落ちた涙が、射し込む柔らかい陽射しの下で
                 瑠璃色に光っている映像が浮かびました。」
 の文章は、映像描写の美しさもあり、作者の心象風景も表現しきり圧巻と思います。
 これからも「水曜サロンの友」として、コメント、歌評等お寄せ頂ければ幸いです。



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
コメント (23)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再び燃やす

2022年02月13日 15時08分21秒 | 短歌
 北京オリンピック も佳境に入りつつありますが、スキージャンプ 小林陵侑選手が金メダルに続き
ラージヒルでも銀メダルを獲得し、さらにスピードスケート男子500mで森重航選手が銅と嬉しい
ニュースが届いています。


 一方、緊迫するウクライナ情勢下、バイデン米大統領とプーチン露大統領は12日、ウクライナ情勢に
ついて約1時間、電話で協議しました。
バイデン氏はロシアがウクライナ侵攻に踏み切れば「(戦火で)多くの人々が苦しみ、ロシアは
国際的地位を損なう」と主張し、これに対し、プーチン氏は「ロシア軍の脅威が誇張されている」と
反論しました。


 米露首脳による協議を経ても、依然として緊張緩和に向けた道筋は見えていない状況にあります。
天然ガスの大口顧客として、また、北方領土関連でロシアにも少なからぬパイプと、外交ルートを
持つ日本政府に、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けての独自の外交努力を託したいと思います。
バイデン氏が言われるように、戦火によって多くの無辜の民が傷つき、苦しみ、平和が奪われる
ことは言うまでもないことです。
日本政府には、日ごろ主張されている「外交力」を発揮し、戦争回避に向けての具体的な最大限の
外交努力を望みたいと思います。


 なお、私ごとになりますが、三日ほど前にようやく三回目のワクチン接種を済ませることが
出来ました。一二回と同様にファイザー社製でしたが、今回はわきの下の痛みと発熱が二日間に
わたってあり、副反応は結構きつかったとの実感があります。ワクチン接種は免疫力の低下等
諸々の情報がありますが、引き続き体調管理に努めたいと思います。


     「浦賀湾の渡し船 後方に見える鳥居の奥に 西叶神社があります」

このような徒然に即興で詠んだ短歌を掲載したいと思います。
 ☆身の内についの刻限きざめるも ひと日ひと日を愛おしみつつ
 ☆如月の碧空映し波静か トンガの海の痛み秘めるも
 ☆冬銀河 トンガの空に繋がるや 闇をぬいつつ ひびく潮騒
 ☆紅梅につられて咲くや寒さくら くれない競い北風に向く
 ☆灯もまばら シャッター街に人は無く 北風ぬいて海鳴りもして
 ☆風すさぶ 冬の日差しに花ひらき 椿一輪 そこのみの春
 ☆埋もれ火を 秘めて歩むもひと世なれ 再び燃やすことは無くても

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「口語短歌・水曜サロンの会」(その21)

2022年02月09日 05時34分12秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その21)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

【詞書】好きなアダモの曲「雪が降る」を掛けながら18号線を走る時、雪化粧をした
    浅間山が綺麗で思わず叫びたくなります。浅間山の冬景色が好きです。
☆雪が降る アダモの歌を 聞きながら 朝焼け信濃路 走る喜び
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)
【詞書】1月28日BSNHKで岐阜県関市のモネの池特集をやっていました。
☆水たまる 名もなき池を 手入れして クロード・モネの 春夏秋冬が
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)
【詞書】過日テレビで空飛ぶ自動車の開発特集をやっていました。
☆激烈の 空飛ぶ自動車 開発は 中国企業 一歩リードも
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)

【解説】
 作者の「口語短歌」は詠むたびに、洗練され整いを見せていますが、作者の詩人としての
 感性と、力量が短歌にも活かされていると考えます。
 二首目の「水たまる」は池であれば当然ですので、少し表現を変えてみましたが…。
 「モネの降臨」か、「モネの再現」に悩みましたが、どうでしょうか。
【ご参考】
 ★湧き水に睡蓮浮かぶ「モネの池」 岐阜の関市に モネの降臨

【詞書】こんなに早く咲いているのかと驚いた紅梅の花一輪。次の日に花を見たさに
    再度訪れましたが、見つけることができませんでした。そういえば昨夜吹いた風が
    強風だったことを思い出して詠みました。
☆咲いていた 紅梅いずこ 見あたらぬ 昨夜の風と 共に去りしか
                         さわやか♪さん
【詞書】子供の頃、親戚が集まった冬、木の葉を集め焚火をしました。とても大きな
    焚火でした。その中にサツマイモを入れ、わいわいと焼いたのを思い出して詠みました
☆懐かしい 焚火の香り 漂いて 思いだされる 幼きあの日
                         さわやか♪さん
【詞書】ガラケーからスマホに昨年12月に変えました。試しに目覚ましをセットしてみたのですが、
    止め方がわからなく、あたふたしたことを詠みました。
☆スマホにて 目覚まし利用 デビューする 止め方いかに あれやこれやと
                         さわやか♪さん

【解説】
 いずれの短歌も内容の良く分かる、完成度の高い詠歌と思います。
 作者の感動や、想いが素直に表現されていて、思わず微笑んでしまう短歌は
 素敵と思います。
 一首目の短歌も状況の佳く分かる詠歌ですが、説明調を少し変えてみましたが
 いかがでしょうか。なお、「風と 共に去りしか」は良い表現と思います。
【ご参考】
 ★先がけの紅梅一輪すでになく 昨夜の風と共に去りしか


☆母の忌の庭に名残の竜の玉育てし母の幾とせをいま
☆母編みしセーターのその瑠璃色は母の遺愛の竜の玉かな
☆竜の玉見れば亡き母偲ばるる父逝きし日の母の落涙

                         みっちっちさん
【短歌説明】みっちっちさんご自身の説明です。
 いずれも母を偲ぶ短歌です。竜の玉は亡き母が庭で大切に育てていました。
 下草に隠れるように佇む可憐な瑠璃色の竜の玉を見つけては母は喜んでいました。
 瑠璃色は母が好きな色で、母が編んでくれた瑠璃色のセーターは今も心まで
 あたたかくしてくれます。

【解説】
 ユリ科の多年草である「竜の玉」は、今は亡きお母様が庭で大切に育てて
 おられたとの事。瑠璃色の美しい果実が印象的でもありますが、お母様の
 思い出に繋がる、果実とセーター。それらを詠み込んだ短歌はいずれも、
 作者の「母恋」とも言える挽歌になっています。
 三首目は、家族の情愛の深さが偲ばれる、目標としたい詠歌でもあります。



【詞書】映画「紅の豚」より『時には昔の話を』を。
☆グラスのワインを一口飲んで
    遠い昔を思ひ出す
        「そうだね」

                         自閑(jikan314)さん
【詞書】『さくらんぼの実る頃』を。
☆そういへばさくらんぼの実る頃恋をした記憶もあったかも
                         自閑(jikan314)さん
【詞書】『帰らざる日々』を。
☆過ぎ去って戻らない日々。
  もう一杯だけ飲んで行かないか?友よ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 スタジオジブリの作品、1992年の紅の豚の3曲からイメージして、それぞれ別の時期に
 自由律短歌を作りました。2曲目のさくらんぼの実る頃は、シャンソン歌手で俳句も
 お作りになってblogに投稿している小國裕美さんのコンサートの模様を彼女の許可を
 得て作っております。学生時代からもう半世紀近く経ち、当時の友も恋も記憶の向こうに
 飛んでしまっていても、何故か懐かしく思ってしまう。
 ※3曲目の久石襄氏のコンサートは、著作権申立で削除されております。残念。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/80ea30d6a00040d70186f286ec73d2fb/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b&st=0
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/08e222ef9226b4d975ee8da4be4cc67d/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b&st=0
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/c4947539e38931e0a20030f81b6b3604/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 皆さん詞書を入れておられるので、私も倣ってみました。古今集の在原業平の詞書は、
 ほぼそのまま伊勢物語に、新古今集の西行の遊女との相聞も謡曲の「江口」に発展しております。

【解説】
 西行法師と遊女との相聞歌は、謡曲の「江口」に昇華され能舞台で長く演じられてきました。
 謡曲では江口の君の幽霊が、江口の君の返歌を取り上げて、西行の「一夜の宿を」との
 頼みを断ったのではなく、娼館であるゆえ、出家の身を思って遠慮したのだと、当時の
 江口の君の心情を語る場面があります。
 相手の立場を、とことん思いやる江口の君の心情が、哀しいまでに響いてきます。
 詞書も、そのまま物語になる査証かも知れません。心して紡いでいきたいと思います。


☆人生は百年と言うコマーシャル
    我の余命は三十年(みそとせ)ほどよ
☆若人のスマホ画面の指使い
    見惚れる程に速いよ速い

                         リコさん

【解説】
 一首目の歌、
  ☆人生は百年と言うコマーシャル
     我の余命は三十年(みそとせ)ほどよ
 は・・・、作者のおっしゃる通りと思います。でも、それも心身ともに
 健康であればこそと思って仕舞います。これからの日々に心を込めて
 愛おしみつつ歩みたいものと思わせる詠歌です。

☆寒の入り樹氷のような檜葉の先羽膨らまし春待つ雀
                        『楕円と円』さん
【短歌説明】『楕円と円』さんご自身の説明です。
 「立春」となりましたが、北海道はこれからが寒さのピークを迎えます。
 寒の入りの頃の朝、庭のヒバの木の枝に積もった雪が凍って樹氷のようでした。
 止まっていた防寒着を纏ったような雀も仲間のように見えました。

【解説】
 南北に伸びた日本列島。その季節の移ろいは南の沖縄と、北の北海道では
 かなりの差異があると感じます。沖縄での桜開花が報じられる一方北海道では
 「ヒバの木の枝に積もった雪が凍って樹氷」と言う状況とのこと。
 私も信州佐久市にて育ちましたので「春待つ」思いは、ことさらに強いと
 感じています。「春待つ雀」は雀ばかりでなく、『楕円と円』さんの想いとも
 感じます。そんな思いを詠み込んだ味わい深い詠歌と考えます。

☆雪だより 屋根も畑も 埋もれしの
          白一色に 化す関ヶ原
☆雲間から 輝く光 うけて咲く
          淡雪残る 福寿草かな

                         クロママさん

【解説】
 いずれも情景の良く分かる素敵な詠歌ですが、二首目の「 輝く光」を「洩れる光を」
 として見たら 、福寿草の雰囲気が引き立つと思います。
 なお、一首目を語句を少し整理してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★降る雪に 屋根も畑も 埋もれゆく
         関ヶ原さえ 白ひと色に 


【詞書】テレビの「徹子の部屋」を視聴して詠める。
☆いもうとのやうな大竹しのぶさんテレビの向かうであれば尚よし
☆だうすればこんなおもろいおばさんになれるか上沼恵美子さん
☆神様のやうになりゆく黒柳徹子嬢には手を合はすべし

                         びこさん

【解説】
 テレビ「徹子の部屋」は人気の長寿番組の一つですが、黒柳徹子さんの
 絶妙の司会とトークで、ゲストの方の本音も含めて人間性が浮き彫りとなる
 見ごたえのある番組ですね。
 この番組の一齣を捉えたびこさんの短歌は、流石にポイントを突いた
 確かな詠歌と思います。「テレビの向かうであれば尚よし」に籠められた
 想いを、視聴者の一人として共感をもって受け止めたいと思います。


☆わが母校の校歌たおやか手弱女の女学校が前身なれば
☆甲子園常連校の松商の校歌石鎚山を歌へる
☆野球好きなれば松山南高校歌より先に松商校歌

                         ベトナムのKenさん

【解説】
 現在、ベトナム在住のKenさんは、18歳まで生まれ育った愛媛県松山市におられたとのことです。
 なお、「媛(姫)を愛する県・愛媛県って名前は恐らく世界で一つだけで、フェミニストとして
 大いに誇りとしている」と、コメントされています。
 母校の松山南高校の校歌よりも早く覚えたのは、甲子園常連校の松山商業高校の校歌とのこと。
 小学生のころから、松山商業高校の野球の応援に出かけておられ、そんな思いを短歌に詠まれて
 います。遠いベトナムからの望郷の思いも籠る短歌を味わいたいと思います。

☆燃ゆる火を抱えて眠る富士の山 トンガの山と無縁であれよ
                        ポエット・M

【解説】
 南太平洋、トンガ王国の海底火山の爆発により8,000Kmも離れた日本に津波が
 押し寄せ、少なからぬ被害を与えました。この事実に驚かされるとともに、
 トンガと酷似する地勢を持つ日本の火山、特に富士山の大噴火が懸念されています。
 碧空の下白銀をまとい、すっくと立つ富士山を眺めていると、裡にマグマを抱えた
 活火山であることを忘れてしまいますが、そんな富士山に寄せて詠んでみました。



     「三浦半島 諸磯湾から望む 富士山」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (22)

5.再会 (2)

  さよならは
    また会うための
       合言葉
     永遠のさよならよ
       永遠のさよなら

    世に背き
      神に背ける
         君と我れ
       恋の闇路に
          緋の舞扇

      バラ ワイン
          笙子 わたくし
           エトセトラ
         秋の夜長の
            夢のカタログ

     黒髪も
       白き乳房も
          燃え上がれ
        我れこそ愛の
           愛の放火魔

   愛染や
     世界は二人の
        為なりと
      天地の群青
        我れら包む



 
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【ブログ友からのコメント】fumiel-shimaさんから前週の「水曜サロン」へのコメントです。
 何もわからない私がこんなことを書くのは失礼だと思いながらも、やはり心に響くものを
 たくさん感じるこのコーナーにお邪魔するごとに大きく揺り動かされる思いが募り、
 感じたことを書いてみました。
 kenさんの歌からはスポーツ選手の「不撓不屈」の心への感嘆やさらなる期待と、読み手
 にも共にエールを・・という呼びかけのようなものも感じました。

 みっちっちさんからは母と子の言葉にしなくても、できなくても汲み取れる強い愛情と、
 みちっちさんが母から受けた測り知れない愛情を思い出すたびに、それに報いることが
 できたかどうかを自問しながら母に寄り添い、母は娘のその想いや愛情を静かに受けとめて
 静かに穏やかにその命を全うしたという美しい親子の愛情を強く感じました。

 さわやかさんの歌からは明るい性格とおおらかさ、そして夢や希望、期待、意欲などを
 嬉しさで頬を緩めながら静かに表現する姿を・・・ 
 楕円と円さんからは言わずもがなの「動と静」、そして在りし日の自分の姿に重ねた選手た
 ちへの強い思いや眼差しを感じました。
 ポエットMさんの『北条の滅亡の地』という言葉だけで、鎌倉幕府の栄枯盛衰の様子が次々と
 目の前に展開されるようでした。 

 五行詩のメドゥサにも関心がありました。
 綺麗な美少女の姿なのか、醜い姿に変えられてしまい、戦慄の走るような恐い姿なのか・・・
 恍惚地獄とは・・「再会」の意味するものは・・などと考えてみたのですが・・・

【fumiel-shimaさんへの返信コメント】ポエット・M
 「失礼だと思いながらも」のご心配は無しとしましょう。それぞれの短歌への適切にかつ、
 作者の想いに寄り添っての歌評を頂き、嬉しい限りです。改めて感謝申し上げます。
 特に「みっちっちさん」の短歌に対し「美しい親子の愛情」の在り方に触れての
 歌評は、私たちにも及ばない視点を示唆して頂き、学ばせて頂きました。
 これからも、ご遠慮せずに歌評等、コメントをお寄せ頂ければ嬉しい限りです。

 なお、「五行詩のメドゥサ」は、次回の楽しみにして頂ければと思います。
 私は「再会した女性に魅入られて・・・恍惚地獄に落ちた」と解釈しましたが…。
 これからも宜しくお願い致します。


     「熱海桜をついばむ 目白」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。


     「如月の空の下 咲き競う熱海桜」
コメント (19)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「綜合詩歌」誌鑑賞(8) 「白梅の香り」

2022年02月05日 18時05分49秒 | 短歌

 -戦時下、空白の短歌史を掘り起こす  その8-
     「白梅の香り」

 鎌倉由比ガ浜から星の井を経て切通しを登ると、極楽寺の静かなたたずまいが見えてくる。
かつて、七堂伽藍を誇った名刹も、往時をしのぶものは茅葺き屋根の山門一つを残すのみとなった。その山門の脇に、如月の陽光を受け白梅が楚々として咲いている。白梅の微かにではあるが馥郁とした香りは、山門とそれに続く桜並木の老木を縫いながら漂ってくる。切通しを抜ける厳しい北風の中で蕾を育て、他の花々にさきがけて咲く白梅。時代の闇の中で懸命に明日を模索し、自らの志に殉じた志士達。その清々しさ痛ましさが脈絡なく白梅の香りに重なる。

 大化の改新を遡る、弥生時代から戦さの歴史はあった。その歴史に刻まれることもなく、まして語り継がれることもなく消えていった少なからぬ人々がいる。己の愛するものを守るために、また酷い戦さを押し留めるべく、自らの志に生命を賭けて厳しい闘いを余儀なくされたであろう名も無き志士とも言える人々の存在を、今思い起こしている。
 幕末の濁流とも呼べる歴史に棹差し剣で切り開いた志士達とは異なり、言論を武器として戦った戦前、戦中の志士達。歴史の歯車が戦争に向かって大きく軋む時、それを押し留めようとする営みがいかに過酷で命がけであったのか。それは、治安維持法の反対討論を国会で行なった労農党代表・生物学者の暗殺が、不朽の名作「蟹工船」作者の拷問死が、そしてかつて免訴となった「横浜事件」の背景等が如実に物語っている。

 そんな志士達の系譜を数十年前に遡り、戦時下の文学の世界からも探ってみたい。表現の行間から滲んでくる思いの濃さに負けない真剣さをもって・・・。
 内閣発足以来、総理大臣と陸軍大臣を兼務した東条英機は、内務大臣、軍需大臣を次々に兼務していった。さらに、昭和十九年二月には参謀総長をも兼務し、統帥の中心に立った。この東条は日本ファシズムの「人格化」の象徴として、手にした独裁権をふるって戦争指導を一段と強めた。
 この二月、中央太平洋上のクェゼリン・ルオット島の日本軍守備隊は「玉砕」した。日本軍の敗勢が進む中で国民生活は一段と窮迫した。この時期、物資の絶対量そのものが枯渇し、その統制強化も限界に達しつつあった。そして、三月には新聞紙の供給が困難となり夕刊も休止となった。

 このような情勢下で発行された「綜合詩歌」三月号。「撃ちてし止まむ」の戦時スローガンが、表紙と共に目次にも掲載された詩歌誌。この形態は国家総動員法に基づく出版事業令により改組された日本出版会の、統制強化の跡を色濃く滲ませている。

 本号に短歌作品を寄せた代表的歌人は窪田空穂、前川佐美雄、相馬御風、谷山つる枝、南部松若丸、水町京子の各氏を含む二十二名の方々である。これらの作品の中から窮迫しつつある生活と対峙しながらも、なお詩魂の輝きを放つ歌。さらに、時代の闇の中から光明を模索し抗いの志の滲む歌を抄出した。


正 月                     窪田 空穂
 老われの年の七とせ祝ぎ難き心はなれず大き戦
 退避壕路のまにまに続きては店に物なく人稀らなり
寒 月 
                    杉浦 翠子
 星は見ゆれど何とその光寒月の照り極まりに薄きまたたき
 戦ひに用なき凡てが憤ほろしも然はさりながら一鉢の梅

瞋 り                     松本 亮太郎
 機あれど飛行機無しと告ぐる将兵の瞋(いか)りを思へば寝ねがてぬかも
 憊れつつむさぼるねむり間覚めて何身構ふる真夜の鎮みに

                       前川 佐美雄
 このごろの我の目覚めやはやくして梅が香さむし如月はじめ
みいくさ
                    笹川 祐資
 みいくさに夫を征かせてすなどると家づまならむきびしうつつや
 このあした櫓をこぐ母によりそひて童寒かろ脛もあらはに
その前後 
                   大沢 衛
 玉砕を知りし夕は部屋ぬちにもの喰むだにも腸疼きたり
 うつそみの常なる我や教え子のあまた戦に出で立つという


 「欲しがりません勝つまでは」の標語に始まる日常生活の隅々にまでも及ぶ戦時統制。その浸透で「戦に用なき全て」が排斥される中で「さはさりながら一鉢の梅」と背筋を伸ばして凛と詠った杉浦翠子氏の「寒月」一連。これらの歌に込められた思いの深さと、詩魂の凛々しさに感動を禁じえない。直裁な表現を避けながらも窮迫する情況にひしがれることなく、なおそれに立ち向かおうとする志が紡がせた歌群。歌とそれを支える志との緊密な通い合いをそこに見る想いがした。

 本号では、前号まで連載されてきた古典抄が中断され、実践的歌論と銘打った「歌論」及び、時局を踏まえた評論が、小泉苳三、大和資雄、石井柏亭、泉四郎の各氏によって展開されている。
 時代を越えてなお、普遍的な価値を持ち得ると観点からは、疑問を禁じえない評論もこれらのうちには散見される。しかし、時代の証言として謙虚に学んでいくべき貴重な評論もあり一部抜粋し掲載したい。


勤皇志士の和歌について            小泉 苳三
 歌のもつ力は今日の一般に言われているいわゆる文学性なるものとともに、そこに表現されたる生命に対する把握の強さから滲み出してくるのである。今日のいわゆる文学性なるものに、このことを加えた新しき文学性、いな文学性なるものを通してかかるものを正しく認識していくところに、歌の正しい文学性を見い出すことが出来るであろう。この立場に立って始めて志士の和歌も、前線における将兵の和歌も正しく評価することができるのである。それでなければ志士の歌や将兵の歌が一億国民の魂を強く打つ理由を、今日のいわゆる文学性のうえから説明することは出来ないのである。
 ―中略― あくまで明治・大正以来の文学論(西欧の文学論に根ざした:筆者註)にもとづく短歌観を物指しにして計ろうとするものがあるなら、それは結局、歌を今日の歌詠みの仲間だけの専用としておこうとするものである。国民はそんなことにはかかわりなく、志士の歌や将兵の歌に涙を流して感動し奮い立つことであろう。歌は肇国の初より国民のものであり、民族の魂の表現であるからである。


 この評論は、重大な局面を迎えつつあった戦時下と言う時代背景を抜きには語れないが
「歌の持つ力は・・・そこに表現された生命に対する把握の強さから滲み出てくる・・・」という指摘。これは現代を生きる私達としても深く受け止め、自らの歩みを検証する糧として心に刻んで行きたい。
 イラン、コソボ、チベット、ウクライナ情勢へ、そして地球規模で進行する環境破壊へ、さらには自らも含めて裡なる精神の貧困さと対峙する視点として。
なお、伝説の舞台に踊る志士たちばかりでなく、身をもって戦を押し留めようとして闘い、歴史の軋みの中で牢獄に繋がれ、また命を落としていった少なからぬ昭和の志士とも呼べる人々。その存在すら抹殺されながらも、「逆さ詠み」の手法をも用いて後世に託され、残された生命の絶唱とも言える短歌があったことも付記したい。

 本号には詩論として大野勇二氏が「詩の三義」を寄せ、現代詩の動向について問題提起を行なっているが内容紹介は紙面の関係から割愛したい。本詩歌誌の「顔」となりつつある誌上歌会とも言うべき「作品評」欄は批評者陣、対象者数共に充実し、増強されている。この優れた企画の中から一部抜粋し、批評のあり方、視点のおき方について学んで行きたい。



◇花よりも土に影濃きコスモスの乱れを今朝の秋とすがしむ      泉 四郎
【村岡】 感性豊かな作である。正統短歌の匂いが強い。しかし、惜しむらくは自己統一が足りぬ。乱れを秋と観ずると断らなければ気のすまないようでは、まだ幾年かの修養がいる。
「灯光澄む茶の間に活けしこすもすの花よりも濃き影は襖に」(黒沢裕)は昨年十一月の発表だ。この一分もすきのない精神統一を見るがいい。私がこの歌を知らなかったら、うっかりほめてしまうところだった。「灯火澄む」と「花よりも」と比較してみると、道のはるけさが
はっきりわかる。
【門井】 ここには節(長塚節:筆者註)の「鍼の如く」鋭角と深い翳とがある。矩形の空に哲学するいみじき詩魂はまさに「ひとりの道」であろう。詩人は虚空に何かを希求しつつ自虐の沈痛に耽りがちである。決戦下に詩歌人はますらをぶりを朗々と吟じつつ「ひとりの道」を忘れてはならない。それは決して「私の道」ではないのだ。

   
 なお、抜粋中、村岡は村岡紀士夫、門井は門井真の各氏である。「選」及び、「評」の厳しさ、そして、その深さと温もりを学んでいきたい。歌友のあり方として、また切磋琢磨の本道として。

 戦局の進展の中で、大本営と統制されたジャーナリズムの流す華々しい「戦果」。それと は裏腹に益々窮迫する生活と、白木の箱と化して帰還する肉親、隣人。その現実を前に 人々は慟哭し、うめき声を漏らしつつも日々の生活に立ち向かわざるを得なかった。生きるために、そして残された吾子と家族を守るために。そんな、銃後の切実な思いと 声の結晶とも言うべき多くの投稿歌。その中から謹んで抄出したい。

○思うまじ所詮叶はぬえにしぞと瞼を閉づれば顕ち来るおもかげ    北村 伸子
○輸送車と共に焼けたる兵もあり如何に無念と散りにしならむ     島  實
○死を期してビルマの土を踏みしとふ便りきてよりすでに久しき    小菅 嘉之
○山茶花の飾らぬ花を愛でにしがいまは遥けく征き給ふなり      土井 博子
○気強さはもののふのそれ淡々と最後の訣れ告げてゆきけり      阿部 鉄子
○車窓より人生二十年と絶叫し征きしわが兄つひに還へらず      三日月信之
○共同炊事の子等の報告聞きゐつつ涙出でたり戦へる子等       吉沢 みつ
○くもりなき瞳もち生まれし汝なれば運命はひとり拓きゆくべし    栗原 善蔵
○紅に燃ゆる紅葉の夕あかり友の命を想ひつつ居り          福原 淑子
○潤ほひなきその眼差や戦友のなきがら持ちて枯れ果てにしか     幸  秋雄
○ニッコリと笑み答へつつ征きませし君が戦死は信ずるにかたし    河本 文子


 銃後にあって、遠い戦場での戦いの厳しさにも匹敵する過酷な「もう一つの戦い」に 挑まざるを得なかった女性たち。時代の闇の中で、明日を希求し己の志に殉じた名も無き多くの志士たち。その戦いの軌跡と、そこに燃えた熱い志の系譜は、愛するものの死に直面し、呻吟しつつも日々の戦いに挑んだ大戦下の女性たちにも引き継がれた。

それは戦争の虚構を肌で見抜く、険しい道のりであり歩みでもあった。その歩みの中で鍛えられた志が、これらの歌群の背後から響いてくる。志士は男達ばかりで無く時代との、そして 己との戦いに挑み、打ちひしがれること無く戦い抜いた女性たちでもあった。
 厳しい冬の季節の中で微笑むかのように花開く白梅。その馥郁とした香りに、志を秘め静かに燃える志士たちの澄んだ眼差しを重ねてみた。
       了
                 初稿掲載 2008年2月24日

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「口語短歌・水曜サロンの会」(その20)

2022年02月02日 05時33分07秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その20)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「陽だまりに咲く 熱海桜」

「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

【詞書】1月23日NHKで「高木美帆の強さの秘密特集」をやっていました。
    彼女の強さの秘密は「一瞬を捉えた一蹴り」にあるそうです。

☆高木美帆 さまざまな挫折 乗り越えて その一蹴りに 全てをかける
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【詞書】1月23日大相撲初場所長野県出身力士、関脇御嶽海優勝13勝2敗で
    大関昇進決める。

☆御嶽海 弱い自分に 打ち勝って 大関昇進 更なる高みも
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【詞書】朝日に照らされ、空に浮かぶ浅間山、そして冬山の美しさにいつも
    感動しています。

☆あかねさす 朝日に染まる 浅間山 気品を備え 心癒される
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 最近の時事を踏まえながら、それぞれへのご自分の想いを詠われていて、
 いずれも分かりやすい短歌になっています。なお、三首目の「気品を備え
 心癒される」を、具体的な事象を織り込み表現してみましたがいかがでしょうか。
【ご参考】
 ★あかねさす朝日に染まる浅間山 うつむく我の背筋も伸ばし


☆ホスピスの相談室の冬薔薇(ふゆそうび)母の余命を共に聞きしか
☆なだらかに春を待つやに涅槃像春を待たずに逝きし母かな
☆母看取る月日偲べば母は今我が現身(うつしみ)のそばにゐるやに

                         みっちっちさん

【短歌説明】みっちっちさんご自身の説明です。
 4年前に逝った母を詠みました。ホスピスで一週間の余命を告げられましたが、
 それから三ヶ月母は痛みも苦しみもなく穏やかに共に生きてくれました。
 ホスピスの景色の良い個室で母と暮らせた三ヶ月は幸せだったと思います。
 今はコロナ禍で付き添いも出来ないと聞きます。それはつくづく辛い事だと思います。

【解説】
 お母様の余命を告げられながら、共に過ごした日々。悲しさ、無念さを押し包み
 ながらも、それをおくびにも出さず静かに寄り添った作者の深い想いが詠歌には
 滲んでいます。お母様への挽歌であり、ご自身への魂鎮めの歌とも思っています。
 このような想いを詠い盛るには短歌は適していると考えます。




【詞書】やっと満開になった蝋梅。とってもかわいく綺麗でした。蝋梅の香りは
    柔らかいのですが満開となった今、しっかりマスクをしていても香りを感じました。

☆散歩道 花開きたる 蝋梅の 香りほのかに マスクを越えて
                         さわやか♪さん

【詞書】広々とした広場にいた時、飛行機の音が聞こえてきました。雲一つない青空に飛ぶ
    飛行機が印象的でした。

☆冬空に ごう音響き 見上げれば 青きキャンパス 飛行機一機
                         さわやか♪さん

【詞書】枯れ枝と思って近寄ってみると、蕾があちこちについています。花が咲くのは
    楽しみですが、今はまだ寒いのでもう少ししてから咲いてねと声をかけました。

☆冬木立 小さき蕾 あちこちに 急ぎ咲くなよ 春はまだ先
                         さわやか♪さん

【解説】
 いずれの短歌も、作者の優しさが滲み、温もりと共に好感が持てます。
 特に三首目の短歌は、このまま絵本のセリフになりますね。早咲きの花たちが背負う
 厳しい冬を想う時、思わずつぶやきたくなるセリフですね。
 なお、一首目の短歌を、詞書に添って少しアレンジしてみましたがいかがでしょうか。
【ご参考】
 ★散歩道 咲き満ちてなお蝋梅の 甘き香りよマスクつらぬき
 ★蝋梅の 咲き満ちてなお香り立つ マスクを縫いて清しきままに


☆冬枯れの 黄色い落ち葉 拾いつつ
       小春日和に 汗ばむ散歩
☆北風に 向かって走る 愛犬の
       脱がせたくなる 防寒の服

                         クロママさん

【解説】
 お気に入りの防寒服を着て散歩を楽しむ愛犬クロちゃんと、それを慈しみつつ
 見守る作者の、温かな眼差しが感じられる優しい歌と思います。
 情景の的確な描写と、リズムもあり短歌の進歩が感じられ嬉しいです。
 一首目にクロちゃんを登場させてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★小春日に 黄色い落ち葉 拾いつつ クロと歩めば 汗ばみてくる
 


☆屈強なラガーメン散る競技場楕円の軒にマスクが座る
                         楕円と円さん

【短歌説明】楕円と円さんご自身の説明です。
 正月は大昔にやっていたRugbyのシーズンです。TVでコロナ禍の国立競技場での一戦を
 観た時の一首です。
 大きな楕円形の屋根の下で激しくぶつかり合う選手と静かにマスク観戦するファンの姿の
 コントラストが印象的でした。

【解説】
 観戦に当たって諸々の注意事項が「お願い」として事前に徹底されている故でしょうか。
 その中で「声を出さないで」が、どの会場でも守られていて「凄い」と感じることが
 在ります。日本人の美質でしょうが頭が下がります。
 「ぶつかり合う選手と静かにマスク観戦」の場面。そのコントラストを鋭角に切り取り
 短歌に紡ぐ、作者の感性に学んで行きたいと思います。




☆月の雫が一滴氷に落ちたら
     ほんの少し春になった

                         自閑(jikan314)さん
      
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です
 YouTubeの音楽を聴いたイメージで、自由律短歌を作っております。
 題は、アラベスク 第1番 (ドビュッシー)です。ちょっと前に作ったのですが、
 来週は、旧暦の正月、そして立春と言う事で、投稿いたします。
 大雪警報やコロナ感染拡大で厳しさが続きますが、春の来ない冬は無いと言う意味を込めて。
 下記URLの拙blogに、曲と共に愚詠を掲載しておりますので、御覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/bd15abf1d9ca1d8c523115394dea5e06/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b&st=0

【補足】ポエット・M
 「アラベスク第1番」はフランスの印象派と言われた作曲家クロード・ドビュッシーの
 日本でも人気の高い曲ですね。印象派ならではの柔らかい響きや、和声が魅力的な作曲家
 との印象があります。アラベスク第1番の柔らかい響きから「ほんの少し春になった」への
 歌の展開に、短歌の妙を感じます。
 来週は、旧暦の正月、そして立春となりますね。「春は名のみ」でしょうが、北風の吹く
 寒い季節でも春の兆しが、そこかしこに見えます。オミクロンの感染爆発のさ中ですが、
 確かな「春」を待ちたいと思います。


☆親切な医師が受難をせる御代が来たりて狂ひゆけるこの国
☆ときどきは心の中の散弾銃撃ちまくりつつ歌は詠むべし

                         びこさん 

【解説】
 埼玉県ふじみ野市の住宅で銃を持った男性が立てこもり、人質の医師を撃ち殺害した
 事件で、男性が医師に死亡した母親を蘇生するよう求め、断られると、犯行に及んだ
 との報道がありました。身罷った医師、犠牲になられた方々の無念を思い、心から
 お悔やみ申し上げます。
 作者はこの事件に「母恋事件」との側面もあると推測され、母親を失いたくなかった
 「犯人の気持ちはわからないではありません」とも言われています。
 しかし、お世話になった先生を殺すとは…とも。作者の詠われた一首目の短歌は、
 今回の事件の本質と、社会の在りようを象徴的に表現していると考えます。

☆北条の滅亡の地に白梅は 無念秘めるか密やかに咲く
                         ポエット・M

【解説】
 今、大河ドラマで注目を集める鎌倉。その鎌倉の宝戒寺は、白萩が咲き乱れる「萩寺」として
 知られていますが、鎌倉幕府滅亡の地とも言われています。北条九代滅亡の後その霊を
 慰めるため、後醍醐天皇が足利尊氏公に命じ建立させたお寺でもあります。滅亡に向う戦、
 その血に塗られた凄惨な歴史とは裏腹に、冬の日差しの中に咲く白梅は微かな香りを
 漂わせています。あまたの激しく哀しい歴史を見つめながらもそれを秘め、北風に真向かい
 咲く老木の白梅。その凛として匂い立つ花の姿を、言の葉に留めようと短歌に詠んでみました。



「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (21)

5.再会 (1)

  大輪の 
    薔薇が突然
       眼前に
     現成せしか
       君の出現

    恋人よ
      君は神秘の
         メドゥサか
       我はすくみて
          恍惚地獄

      我が打ちし
         反対側の
           頬おさえ
         「ああまだ痛い」と
            にらむ君の瞳

     君の瞳を
        にらみかえして
          「ぶったのは
         左頬よ」と
           反論すれば

   にらめっこ
      しましょの二人
          たちまちに
        くすくす笑い
           ついに爆笑



 
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【詞書(ことばがき)とは】
 「口語短歌・水曜サロンの会」(その3) 2021年 9月29日 付けで、少し触れましたが…。
 再録します。

 詞書は「題詞(だいし)」とも言われ、単に「詞(ことば)」とも言います。主に、短歌の前に
 置かれ、歌の題や歌を詠んだ事情などを述べたものを言います。短詩形のために表現不足と
 なりやすく、詞書を借りることが効果的な場合があります。
 『万葉集』は漢文で記してありますが、『古今和歌集』以後はほとんど和文で記述されて
 います。比較的短いのが普通ですが、『後撰和歌集』や『伊勢集』で長い詞書をもつものも
 あり、これらは物語的であるといわれています。また、歌集で、歌の成立事情や異伝などが
 歌のあとに書かれていて、詞書と補い合って歌の理解に資するものもあり、これを
 「左注」といいます。          日本大百科全書(ニッポニカ)「詞書」参照



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
コメント (24)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする