四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

一年が経過

2023年02月24日 17時20分40秒 | お出かけ
 昨年の2月24日、ロシアによるウクライナへの侵略から一年を経過しました。
国際法と国連憲章にも違反するプーチン大統領の始めた戦争は、民間施設への無差別な攻撃や虐殺とともに市民の犠牲が依然として増え続けています。その間にウクライナに撃ち込まれた5,000回のミサイルと、3,500回の空爆等により、昨年12月のウクライナ政府の発表では、市民の犠牲者は2万人を遥かに超えたと言われています。また、市民が無差別に殺戮されるのみならず、多くの尊い文化的遺産も含めて灰燼と化しました。

 朝日新聞の報道によると、193カ国で構成される国連総会は2月23日、ロシア軍に「即時、完全かつ無条件の撤退」を要求し、「ウクライナでの包括的、公正かつ永続的な平和」の必要性を強調する決議案が、141カ国の賛成で採択されたとのことです。反対はロシア、ベラルーシなど7カ国で、決議に法的拘束力はないとの事ですが、ウクライナ侵略から1年が迫る中、国際社会の中でロシアの孤立化が一層浮き彫りになっています。

 未だ酷寒の地で明日の命も解らぬ中、懸命に日々を生き抜くウクライナの人々の存在に、想いで寄り添いながら、私たちは自らできる事を果たすとともに、プーチンへの抗議の声を引き続き上げていきたいと思っています。

 こんな想いを抱えながらも、光の春に導かれ先週の三浦海岸駅に続いて、観音崎公園の河津桜と菜の花を見に細君共々出かけてきました。観音崎公園については、このブログで度々紹介させて頂いていますので、ラップする部分もあるかと思いますが、少し紹介させて頂きます。

 この観音崎公園は70.4ヘクタール、東京ドーム15~6個分の広さがあり、歴史・文化・自然・海と恵まれた公園であり、コロナ禍の前は、年間65万人の方々が訪れています。

 また、丘陵頂上の「花の広場」は河津桜に始まり、ポピー、紫陽花、山百合、コスモス、皇帝ダリア等々の四季折々の花が咲き、市民にとっても記憶に残る、感性を震わす大切な場所でもあります。
さらに、桜は2月上旬開花のカワヅザクラ(河津桜)に始まり、ヨウコウザクラ(陽光桜)、ジンダイアケボノ(神代曙)、ソメイヨシノ(染井吉野)、オオシマザクラ(大島桜)、ヤマザクラ(山桜)、ヤエザクラ(八重桜)等が4月下旬頃まで,次から次へと咲く文字通り「桜の園」でもあります。



 今回私たちが訪ねた時は、河津桜と菜の花、さらに、これらとコラボし、地元町内会や学校・幼稚園等が製作した案山子と鴨居中学校美術部の作品が展示されていました。

 河津桜は、ほぼ7分咲きの見ごろで、薄紅に匂い立つ桜を堪能することが出来ました。当日は先週の三浦海岸同様に寒冷前線下の寒さも厳しい折で、写真に夢中になって細君を置いてけぼりにし、待ちぼうけさせ寒い思いをさせてしまいました。そのため、すっかり体調を狂わせてしまった細君に、お詫びする結果となりました。
コメント (4)
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その72)

2023年02月22日 05時31分00秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その72)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「咲き盛る 白梅」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】まだまだ冬の厳しさが続きますが、ブログでは一足先に日本の海を掲載して
    みました。全国には魅力的なビーチが数多く存在します。美しい海を眺めて
    リフレッシュしたり、海遊びをたのしんだりと日本の海を満喫しましょう。
 註)茨城県日立市「伊師浜海水浴場」
☆白い砂は緑の松とマッチして コントラストは輝くビーチ
 註)千葉県勝浦市「守谷海水浴場」
☆入り江こそ海岸線は穏やかで 赤い鳥居も目立つ渡島
 註)東京都神津島村「前浜海岸」
☆神々の伝説残る神津島 水平線に沈む夕日も
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 全国にある魅力的なビーチの存在と、美しい海を紹介して頂きありがとうございます。
 おっしゃるように、海は諸々の想いをリセットしたり、リフレッシュするには良い場所と
 感じています。
 かつて千葉には会社の保養所があり、結構出かけていました。勝浦「守谷海水浴場」は
 海水浴シーズンではありませんでしたが、渚が美しく水の透明度もあり絶景ビーチと
 感じました。まさに、二首目で詠まれたように「海岸線は穏やかで」いつまでも、
 ここにいたいと思わせる場所でもありますね。この海岸から170mほどの沖に横たわる、
 渡島の夕映えにフォーカスし詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★勝浦の沖に横たう渡島には 燃える彩雲 赤い鳥居も


【詞書】「サザエさん」開始当時の方ですね。子供の時、「貴家堂子」さんが読めなくて
    “きけどうこさん”なんて言ってました。だいぶ後にアニメ誌の付録のアニメの
    データブックにあった声優さんのリストを見てやっと判ったという…。
    長い間お疲れさまでした。…寂しいです。
☆聞き慣れた 声の人また亡くなりぬ
   ハジメ アクビに チンク タラちゃん

【詞書】うちの庭にはけっこうメジロがよく来るんですが、いつも「早よせなヒヨのやつ
    来よるで」「あっ、来よった。かなんなーほんま、向こう行こ」みたいな感じなんで
☆ヒヨドリが「オラ、どかんかい」と来る前に せわしくツバキの蜜吸うメジロ
【詞書】1月あたりから“ZTF彗星(ズィーティーエフすいせい)”という彗星が地球に
    近づいて来ているそうで、何でも“軌道が変わってしまう”からもう二度と
    地球に近づく事はない、というのもさることながら、緑色をしているというので、
    「絶対見たい!」と、色々とトライしているんですが、天気の具合とか、見える
    時間帯を逃してしまったりでそろそろタイムリミットが近づいてきています。
    夜空の具合が見えそうな日もあるんですが、昔は完全に頭に入っていた、
    “冬の星座の位置関係”(彗星の位置の目印にする為に要ります)がいいかげんに
    なってきていて、彗星を見つけられずに諦めた事もあります。
    何しろ6等星ぐらいの明るさとかで、普通の星でも見え辛い…。もうすぐ
    見えなくなる前にせめて一目でも…と思う今日この頃です。…ISSは明け方だし
    見づらい時間帯だし…
☆もう二度と地球にまみえることは無し
           一期一会の緑の彗星

                         ちがやねこさん
【投稿外コメント】ちがやねこさんのご自身のコメントです。
 他の方の歌ですが、自閑さんのは何か凄みがあるというか、漢字と平仮名で詠む
 よりも心に迫る感じがあります。私は50代なんで、戦時中の事はテレビ等や
 母や父に聞いた話でしか知りませんが、戦時中のチラシなど書かれた物を連想し、
 緊張感や不安を感じました。戦争は嫌ですね…911、ウクライナとロシアetc.…
 人と人、国と国の不理解や憎しみ合いが無くなることはないんですかね…。

【解説】
 ISSの観測を粘り強くお続けのようですね。宇宙の宏大さと、星々の物語は
 いつもワクワクさせてくれます。
 三首目の「緑の彗星」ZTF彗星は、2月14日から15日には、「おうし座」の
 「アルデバラン」の近くに見えるようですね。約6.5等星とのことですので、
 肉眼で見るのはかなり厳しいとのこと。詠われているように、この彗星とは
 正に「一期一会」ですね。
 なお、一首目詞書の「貴家堂子」は、「さすが たかこ」と読まれるようですね。
 アニメ『サザエさん』では放送開始の1969年以来、フグ田タラオ役で出演されて
 いましたね。寂しい限りです。
 また、自閑さんの歌の凄みを理解されるのは、作者の眼力も並々ならぬものと
 考えます。彼の三首の歌には、戦の本質への鋭い洞察と、私たちの立ち位置への
 警句が込められており、学ばせて頂いています。


☆いつの間に瓦はぬれて街なかは音なき春の雨に沈みぬ
☆冬日向ふるえて咲きし水仙は月の夕べに白き舟こぐ

【詞書】ミモザがいつのまにか青いつぼみをつけて風に揺れています。その先には
    黄色く色づいているのもあります。枝いっぱいに葉をつけて風に揺れている
    風景はおおらかで良いものです。もう少しすれば黄色一色になって青空に
    映えることでしょう。
☆風の道揺れてミモザのさわさわと緑の蕾の青臭き息
                         夕庵さん

【解説】
 春の雨にしっとりと濡れる街の風景と、光の春と言われる今の季節のもつ
 風情を、「水仙」「ミモザの蕾」にフォーカスし味わい深く詠った詠歌は、
 調べも良く情景の描写も的確と考えます。
 特に二首目の下の句「月の夕べに白き舟こぐ」の比喩が効いていると考えます。
 この水仙は、一般的な日本水仙ではなく「ペーパーホワイト」と言う、花びらが
 舟型の水仙でしようか。微かに揺れる水仙の花弁が小舟を髣髴とさせます。



     「水仙 ペーパーホワイト」

【詞書】仏典を読んで 二首
☆病棟に一人生まれてひとり死ぬ
    昇る日のごと
    沈む月ごと
☆生き老いて病となりて死ぬものを春の光がやわらに注ぐ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 人の生と死なんて、病院では日常なんだよなあと思い作りました。俳句では如く病と
 言って忌むべきものですが、対句として利用しました。
 二首目は、生老病死の四苦から逃れられない自分を春の光は暖かく包んでいる。
 光とは、毘盧遮那仏(奈良の大仏)のサンスクリット漢訳の意味です。新古今には
 釈教歌と言う部類が有り、歌の意味を知るには、仏典を読む必要があったので。
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 梅花の歌三十二首并せて序
 天平二年正月十三日、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月に
 して、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
 と言う事で、皆様の所も、令和五年新春の梅花が春の訪れを告げているかと
 存じますので、梅の歌を紹介します。
  春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ(山上憶良)
  世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを(豊後守大伴大夫)
  梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも(小監阿氏奥嶋)
 上記万葉集三十二首です。梅と鶯はセットで歌われるのですが、ウメの開花と
 ウグイスの初鳴きを調査記録している気象庁によれば、1月ほどタイムラグが
 有ります。三首目は、ウグイスの笹鳴きかと思った歌です。
  梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあわ雪ぞ降る(よみ人知らず)
 新古今と万葉集巻第十の歌です。先日雪が5cm積もった時に、早速、梅の花を
 探しまくって写真を撮りました。
  大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月(藤原定家)
  梅が香にむかしをとへば春の月こたへぬかげぞ袖にうつれる(藤原家隆)
  梅のはな誰が袖ふれしにほひぞと春や昔の月にとはばや(源通具)
  梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月(俊成女)
  ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな(式子内親王)
 新古今を代表する4人の歌です。源通具と俊成女は夫婦で、通具は俊成女に
 代作させたなあ?と思っています。ちぎり絵の様に、所々本歌取りを配置して、
 幻想的な歌だと思います。
  難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花(王仁)
 古今集仮名序にある歌で、百人一首かるたの空札として佐佐木信綱が選びました。
 この歌は、大阪市浪速区、此花区の命名の本歌で、地名が和歌を基にと言うのも
 粋ですね😁
  春の夜の闇はあやなし梅花色こそ見えねかやはかくるる(凡河内躬恒)
 古今ですが、私の好きな歌で

【解説】
 説明頂いた釈教歌が盛んになったのは平安時代中期からと言われていますが、
 仏典まで対象にされる作者の研究熱心さには敬意を表したいと思います。
 釈教歌は、当初経典内容の叙述に詠み手の解釈や心情を加えた二元的構造の歌が
 多かったようですが、後に四季の叙景歌や恋歌そのものへと変化したと言われて
 いますね。
 二首目の詠歌は、「生き老いて病となりて…」と、人の一生を詠まれていますが、
 それらも毘盧遮那仏の宏大な手のひらの上で行われる営みであり、御仏の慈悲の
 光に包まれているのだと諭された思いです。
 なお、奈良の大仏は「大日如来」と言われていますが、「大いなる日輪」を
 意味していると、かつて学びました。
 また、「令和」の出典となった「梅花の歌三十二首并せて序」と共に「梅の歌」の
 紹介を頂きありがとうございます。本件もサロンに集う皆さんの学びになりますので、
 次週以降に、【サロン参加者からのコメント】欄に掲載させて頂ければ幸いです。



     「白梅」

【詞書】自閑様の、病院での生と死に考えさせられました。そこで1首になりますが…。
☆ホスピスの表の春を待たず逝き 裏の黙(もだ)へと運ばれし母
                         みっちっちさん

【解説】
 自閑さんのおっしゃる「人の生と死なんて、病院では日常…」でしょうが、
 そこに至る過程で、それぞれの方には文字通り波乱万丈にも似たかけがえのない
 物語があったことと思います。それは逝く方はもとより、遺された方にとっても
 かけがいの無いものであったことと想います。
 春を待たず「粉雪が降る」夕べに逝った母に寄せる、作者の想いの深さが詠歌に
 滲み、心に沁みます。


【詞書】横浜に住んでいたと事有るごとに言っていますが市内ではなく三浦半島の
    入口です🎵桜がとても綺麗ですね🎵ふきのとうを詠んでみました。
☆雨水の日 まさかの雨に ふきのとう
         若芽さわやか 春の日を待つ

                         クロママさん

【解説】
 横浜もいささか広うございますが、金沢区方面は正に三浦半島の付け根ですね。
 詠歌の「雨水」は、季節の指標である「二十四節気」の2番目の節気で、
 「降る雪が雨に変わり、雪解けが始まる時期」という意味とのことですね。また、
 「雨水に雛人形を飾り始めると良縁に恵まれる」という言い伝えから、雛人形を
 飾るのにおすすめの日だそうです。
 出詠歌は、蕗のとうが雨をまとい活き活きと萌える様子が、爽やかに詠まれた
 良い歌と思います。下の句を少し変えてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★雨水の日 まさかの雨に ふきのとう
         萌える若芽は 浅き春呼ぶ


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆ いつの間に瓦はぬれて街なかは音なき春の雨に沈みぬ
                         夕庵さん
★ いつの間に白梅ぬれて雫垂れ 芳しき香の雨となりゆく
                         みっちっちさん
★しらしらと粉雪舞う日の散歩道 梅のつぼみは濡れて尖りぬ
                         夕庵さん
【詞書】粉雪が降る朝、入院中の母と私は「雪が降ってるよ」「綺麗ね~」と笑い合い
    ました。それが最期(さいご)の会話で、その夜、母は逝ってしまったのでした。
    悲しい返歌ですみません。
★ 粉雪の降りしあの朝偲びけり 最期(さいご)と知らず笑みし吾(あ)と母
                         みっちっちさん

☆聴こえるや虐殺される民の声 荒野に満つる怨嗟の叫び
                         ポエット・M
【詞書】何も出来ないことが悔しいですがせめてもの抵抗です。
★暖房の温度を下げて着込む朝 ウクライナの子の画面アップに
                         夕庵さん
★砂塵あげ 走る戦車の行く果てに 子らの血潮も 吸いたる大地
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆如月の冷気極まる風を撥ね 河津さくらは凛と咲き初む
                         ポエット・M

【解説】
 凍えるような北風に向き、薄紅色の蕾をほころばせ凛と咲く河津桜は、いち早く春の
 到来を告げる「春告げ花」です。三寒四温の季節とは言え雪も、みぞれも降る厳しい
 季節にもめげずに健気に咲く花であり、さきがけの矜持を静かに湛えた花でもあります。
 そんな花への賛歌を込めて詠んでみました。



     「咲き初める 河津桜」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (15)
 
 4.続・君へのリクイエム(1)


   次々と、君の死が昨日のごとくして、新たに生まれいずる挽歌と相聞歌を
   「続 君へのレクイエム」となずけた。…君よ!永遠に!安かれ!

   純白の
     ベットに臥して
          痛ましき
       君よ深紅の
          病める薔薇よ

         道行の
           ごとき二人の
               この人生
             君を死なせて
                 いずこに帰る

                   いくばくも
                     余命無き身と
                         知りつつも
                      富士にほほえむ
                          君の静けさ

          富士を背に
             ほほ笑む君を
                 写さんと
               カメラを向ける
                  手は震えつつ

     純白の
       テーブルクロスの
             冷たさよ
         ワイングラスの
            一つころがる



     「咲き盛る 白梅」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】
 自閑(jikan314)さんのコメントです。前回に続き掲載します。

 2月4日は立春と言う事で、立春の歌を紹介します。古今集以来、春の初めの歌は、
 巻頭歌として特に重要視されました。
  みよし野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり (後京極摂政太政大臣)
 「みよし野の」ではなく「みよし野は」とした所が優れていると本居宣長も評している
 九条良経の代表歌の一つです。
  ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山かすみたなびく (後鳥羽院)
 太上天皇としての気高さを感じる歌ですが、隠岐に流され、たぶん真っ先に削除した
 でしょう?
  山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (式子内親王)
 私は式子内親王の歌でこの歌が一番好きです。初春をイメージ出来る印象的な歌です。
 松は、春を待つの掛詞です。
  かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり (宮内卿)
 宮内卿と言う二十歳前の歌人が、如何に評価されていたか。この後に続く俊成、
 俊恵両巨頭の前に配置されています。
  時はいまは春になりぬとみ雪ふる遠き山べにかすみたなびく (よみ人知らず)
 新古今、万葉集中臣朝臣武良治の歌です。立春と霞は古くから歌われております。
  あらたまの年行き返り春立たばまづ我が宿に鴬は鳴け (大伴家持)
 万葉集大伴家持の歌です。これは節分の前日の宴で作られたものですが、春の到来を
 告げるのは、霞、梅、そして鶯となっております。
  としのうちに春はきにけりひととせをこぞとやいはむことしとやいはむ (在原元方)
  袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ (紀貫之)
 最後は古今和歌集です。この両歌には賛否が有ると思いますが、その後500年の
 勅撰集の歴史の冒頭となる記念すべき歌です。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「紅梅」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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「三浦海岸桜まつり」へ

2023年02月19日 06時15分38秒 | お出かけ
 三浦半島でいち早く春を告げる風物詩「三浦海岸桜まつり」が行われているとのブログ友からの情報があり、一昨日細君共々行って参りました。晴天に恵まれたものの今月最低気温とのことで、吹く風と共に凍えるほどの寒さでした。

     「三浦海岸桜並木の 咲き初める河津桜」

 「三浦海岸桜まつり」は2月5日(日)から3月5日(日)まで催される予定とのこと。なお、開花状況で期間延長の場合があるようです。この祭りは、「三浦海岸まちなみ事業協議会」の主催で、今年で19回目となるとのことです。
 会場となる三浦海岸駅前から小松ヶ池公園までの京急沿線の歩道約1kmには、早咲きで知られる1千本ほどの河津桜と菜の花が、如月の風に負けずに健気に咲いています。

     「三浦海岸桜並木 二分咲の河津桜」

 この河津桜は「まちなみ事業協議会」メンバーが1997年、静岡県河津町に赴き当時は門外不出だった河津桜を「まちおこしのためなら」と、現地の事業者から苗木を分けてもらい植樹したことから始まったようです。ここは県内でも有数の花の名所として、毎年30万人を超える方が集まる桜の名所となっています。

 以前は車で行っていましたが、駐車場もかなり制限もあり、時間の制約もあるため思い切って電車で向かいました。三浦海岸駅前の河津桜は一分咲で大半が蕾の状態でした。お店もかなりの数が出ていましたが、帰りに寄ることにして、桜並木に向かいました。
 こちら京急沿線の河津桜は二分咲の状態でしたが、菜の花はかなり開花していました。開花した河津桜を見つけ、菜の花と共にデジイチスケッチを行いました。人出はウイークデーでもあり、比較的空いていたものの、観光会社のツアー客らしい一団が列をなして、それなりに歩道は混雑していました。

 朱い京急電車と薄紅色の河津桜が同時に撮れる、撮影ベストスポットは、未だ河津桜が蕾のままでしたので、敬遠しもっぱら、並木の桜を撮影しつつ、小松が池という桜の名所に向かいました。ここの桜も並木と同様に未だ二分咲き状態で、早々に撮影を諦め三浦大根の畑に向かい、早春の三浦路の景観を二人で堪能しました。

     「三浦 小松が池」
 帰りに軽めの昼食を済ませ、出店で三浦大根、あんぽ柿、花豆、山葵菜等々を買い求め帰路につきました。車でなく電車で運んだため、三浦大根の重さを改めて実感しました。


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「口語短歌・水曜サロンの会」(その71)

2023年02月15日 05時52分40秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その71)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】前回に続き掲載致します。
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「咲き初める 河津桜」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】冠雪の雄大な浅間山連峰を眺めることは実に楽しいし気持ち良くなります。
    長野県民は浅間山連峰や八ケ岳連峰、北アルプス、中央アルプス、南アルプス等
    冬の冠雪を眺めながら暮らしていると思うと感慨深いものがあります。
    そこで拙者ブログ掲載予定「雪山登山・甲信越編」より雪山を詠んでみました。
☆眼前に八ヶ岳ブルー青空と 連峰拡がり眺め絶景
   註)長野県佐久穂町「北横岳」
☆雪山は登竜門こそ天狗岳 挑戦するは2つのピーク
   註)長野県茅野市「天狗岳」
☆絶壁のアルペン的な双耳峰 二つ耳こそ厳しい試練
   註)新潟県湯沢町・群馬県みなかみ町「谷川岳」
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 「雪山登山・甲信越編」より雪山を詠んで頂きましたが、何れもかつて登った山であり
 懐かしく拝見しました。
 特に、三首目の「谷川岳」は、日本百名山のひとつですが、最近でこそ減少している
 ものの「世界一遭難者が多い山」としてギネス認定された「魔の山」でもありますね。
 私もかつて先輩に誘われ、バイトをさぼり晩秋の日に一泊二日の強行軍で登山に挑んだ
 ことがありました。当然初級者ですから、一の倉沢のロッククライミングは避けましたが、
 麓から見上げるだけで足のすくむ想いを感じた記憶があります。
 詠われている「二つ耳」は、標高1963mの「トマの耳」と、標高1977mの「オキの耳」
 の2つの山頂を指していますが、「オキの耳」がこの山の標高になっていると思います。
 谷川岳への挑戦を別の視点から詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★死を賭してなお挑みしか谷川の 崖に光るはハーケンの跡


【詞書】京都の城南宮は垂れ梅ばかりの神苑です。室町の庭、桃山の庭、平安の庭と
    平安王朝を彷彿とさせる神社です。また曲水の宴でも有名です。築山から
    垂れる梅はまるで簾のように大宮人の優雅な姿を想像させます。
    また源氏物語に描かれた80首の草木があり花の園としても親しんでいます。
    なお、春はあけぼの…清少納言の枕草子から引用しましたがどうでしょうか?
☆神苑の垂れの梅のさゆらぎに大宮人の遠き相聞
☆貴人(あてびと)が垂れの梅が枝そとあげて結ぶ恋文 春はあけぼの
☆咲き初めし梅一輪に化身して春を届けにくる郵便夫

                         夕庵さん

【解説】
 京都の城南宮とは懐かしいですね。
 城南宮で行われてきた「曲水の宴」は、昨年はコロナ禍の下で実施はしたものの、
 一般公開はされなかったようですね。この曲水の宴は、奈良時代から平安時代に
 かけて宮中で催された歌会を再現した行事で、京都を代表する年中行事のひとつに
 数えられていますね。
 そんな雅な宴の様を髣髴とさせる三首は、何れも「し垂れ梅」を詩情豊かに詠い
 春の華やぎを趣き深く表現しています。
 お尋ねのあった「春はあけぼの」ですが、清少納言の枕草子では「春はあけぼの」と
 記述されていますが、「春はあけぼのがよい」が本来の意味で、「がよい」が省略
 されています。従って、二首目の歌は発想は面白いですが意味が少し曖昧になるやも
 知れません。次の結句ではいかがでしょうか。面白さに欠け平凡になりますが…。
【ご参考】
 ★貴人(あてびと)が垂れの梅が枝そとあげて結ぶ恋文 返しはあるや


【詞書】戦争三首
註)イラク戦争
☆何人戦死
 今日モ統計上ノ数字ガツミ上ガル
 アトイクツ?


註)911テロ
☆    人ガ死ニ
   人ノ恨ミニ
   アフレケリ
 アルマゲドンニ
 集マリシ
 鬼


註)アフガン戦争
☆閃光ノ一ツ一ツニ命散ル
 寝ナガラテレビ
 見テイル私

                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 カタカナについて、皆さんでは、それぞれのイメージが有ると思います。
 私の場合、コンピューターの無機質な打ち出しです。今でも銀行の通帳印字は
 半角カタカナですね。
 半世紀前に、コンピューターを始めて覚えた時、文字を表示するにもアスキー
 コードで入力していました。
 無機質な報道と、現実の戦争は、余りにも生々しく、その違和感を表現しました。
 二首目の911テロは、「ニ」で韻を踏んでいますが、和歌のルールでは、歌病として
 忌むべきものとなっています。世界の詩歌は、韻を踏むのですが、和歌だけは
 別のものです。歌病だとして、そう言うものを作りたがる天邪鬼です😉

【解説】
 「戦」に関わる挑戦的な三首は、カタカナによる表現もさることながら、内容にも
 報道の在り方への違和感を率直に表現されていて、学んで行きたい詠いぶりです。
 コンピュータの表示も、英文から、ローマ字、カタカナ、そして漢字へと長い歳月を
 経て進展しており、その開発に関わった一人として隔世の感があります。今では
 当たり前になっている、漢字等日本語表現のシステム開発の難解さには苦労した
 記憶があります。ご存知と思いますが、漢字を一文字表現するには、英文字二字分の
 データ量を要します。
 また、「歌病 (かへい) 」も、かつて歌合等の批評の場では重視されましたが、
 それ以外にはそれほど浸透せず、さらに藤原俊成が積極的に排斥したのちは、
 歌学での知識として継承されたほかは、今ではほとんど重視されなくなったと
 理解しています。
 従って、このサロンでは「天邪鬼 結構!」でタブーにも挑戦していきたいと
 思っていますが、いかがでしょうか。


     「咲き初める 白梅」
【詞書】母は私の俳句を読むのが好きで、どんな下手な俳句も褒めてくれる優しい
    母でした。二人で推敲したり「これいいね」と笑顔で褒めてくれたり、
    最期まで私の俳句ノートをベッド脇に置いて愛読してくれました。
☆母偲ぶ 今際(いまわ)の母の口元に含みし白湯は甘かりしやと
☆晩年の母看し我の俳句帳 鎮魂の句の想ひはいまも

                         みっちっちさん

【解説】
 二首のお歌は、何れもお母様を偲ぶ想いが溢れていて共感を誘います。しかも情に
 流されない客観性を維持しつつ聡明さも感じられる詠歌となっています。
 なお、二首目の下の句「鎮魂の句の想ひはいまも」には、母恋の想いを超えた余情が
 あり優れた詠歌と思います。


【詞書】各地から大雪、雪害のニュースが流れてきますが、道央の当地は今のところ
    穏やかな毎日です。元旦からもうひと月が経ちましたが恒例の早朝ランニングの
    初詣での時の一首です。
    一陣の風と言いますが、夜明け前の雪原にどこからともなく柑橘系の香りのする
    風が吹き抜け、気分が更にあらたまりました。
☆走り行く初詣の雪原に檜葉の香りの一瞬の風
                         I.SATOさん

【解説】
 「恒例の早朝ランニングの初詣での時の一首」とのことですが、作者の1月2日付けの
 ブログを改めて拝見させて頂きました。正月早々に早朝ランニングを兼ねて初詣される、
 その身体と精神の健全性に改めて拍手を送りたいと思います。
 アスナロが、寒い北国で変種したヒバ(檜葉)は、美しい木目とともに、清々しい
 柑橘系の香気を放っていたことと思います。そんなかぐわしい香りを嗅ぎつつ元旦の
 雪原を走るのは、爽快そのものだったと思います。
 「一瞬の風」にのって運ばれた「檜葉の香り」によって、その爽快感が一層高められ
 臨場感に満ちた歌になっていると考えます。また、新年に当たっての作者の心意気も
 感じられる爽やかな詠歌となっています。


【詞書】照れくさいけれど…詠んでみました。
☆愛してる 言える幸せ 長き道
    バレンタインを 迎えた日々に

                         クロママさん

【解説】
 バレンタインに「愛してる」との言葉を添えて、ご主人にチョコレートを渡す。
 その微笑ましいシーンと、お二人の幸せな笑顔が詠歌から浮かんできます。
 お互いに慈しみながら越えてきた長い道のりを想い、今日ある事を肯定し合える
 幸せを詠った詠歌は、深い共感を呼ぶ素敵なお歌と思います。このような歌をさらりと
 歌える作者に学んで参りたいと思います。下の句を少し変えてみましたが…。
【ご参考】
 ★愛してる 言える幸せ 長き道
    バレンタインの 今日も佳き日に


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
【詞書】引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆氷雨をも まといて咲ける寒椿 散りたる花も 艶やかにして
                         ポエットM
★寒椿ほろりと落ちるその朝に古武士のごとき師は逝きませり
                         夕庵さん
【詞書】実家の垣根の寒椿が散った頃の事で、返歌させて頂きます。
★ 寒椿散りたる垣に佇めば その表札は亡父のままに
                         みっちっちさん
【詞書】年は違えど両親は同じ桜の咲く前に逝きました。桜が咲き始めると複雑な
    気分になるのです。
★満開の桜も待たず父母は逝き季節の巡りは背中が寒い
                         夕庵さん

☆貴人(あてびと)が垂れの梅が枝そとあげて結ぶ恋文 春はあけぼの
                         夕庵さん
★貴人(あてびと)が垂れの梅が枝そとあげて結ぶ恋文 返しはあるや
 【添削】                    ポエット・M
★貴人(あてびと)が梅の上枝(ほつへ)に文結えば 恋の返しは下枝(しづへ)にあるや
                         みっちっちさん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆聴こえるや 虐殺される民の声 荒野に満つる怨嗟の叫び
                         ポエット・M

【解説】
 昨年の2月24日に始まったロシアのウクライナ侵略から、間もなく1年になろうとしています。
 この国際法違反の暴挙を国連を始め世界の英知をもってしても、未だ止めることに成功して
 いません。今も酷寒の大地で、命を落とす子供たちを始め多くの民が存在します。
 ロシアの大攻勢が再び始まりつつある今、その怨嗟の叫びを私たちは「我がこととして」
 胸に刻みながら、この戦の停戦に向けて自らのできる事を、そして声をあげ続けることが
 必要と思っています。そんな想いをこめて詠いました。


     「咲き盛る 熱海桜」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (14)
 
 3.白いブランコ(3)


   〇青春夢遊ばせる春の夜は
          星の煌めき白いブランコ
   〇亡霊は心のなせる業なるか
          さればなおさら永遠ならずや
                   嵯峨吹雪

   純白の
     レースを青き
         星影に
       染めて浮かんだ
           君の亡霊

         「わたくしには
           触れては駄目よっ」と
                  手で制す
              仕草のあわれ
                  君は亡霊

                 「寒いわっ」て
                     かすかに君が
                       ささやいた
                      そんな気がする
                         白いブランコ

          「冷たいねっ」て
             君を死ぬほど
                抱きしめて
               僕の体温
                 分けてあげたい

     亡霊と
       我が身よ共に
          消え失せよ
        願いも哀し
           明けの明星



     「早咲きの 紅梅」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】自閑(jikan314)さんのコメントです
 2月4日は立春と言う事で、立春の歌を紹介します。古今集以来、春の初めの歌は、
 巻頭歌として特に重要視されました。
  みよし野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり (後京極摂政太政大臣)
 「みよし野の」ではなく「みよし野は」とした所が優れていると本居宣長も評している
 九条良経の代表歌の一つです。
  ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山かすみたなびく (後鳥羽院)
 太上天皇としての気高さを感じる歌ですが、隠岐に流され、たぶん真っ先に削除した
 でしょう?
  山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (式子内親王)
 私は式子内親王の歌でこの歌が一番好きです。初春をイメージ出来る印象的な歌です。
 松は、春を待つの掛詞です。
  かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり (宮内卿)
 宮内卿と言う二十歳前の歌人が、如何に評価されていたか。この後に続く俊成、
 俊恵両巨頭の前に配置されています。
  時はいまは春になりぬとみ雪ふる遠き山べにかすみたなびく (よみ人知らず)
 新古今、万葉集中臣朝臣武良治の歌です。立春と霞は古くから歌われております。
  あらたまの年行き返り春立たばまづ我が宿に鴬は鳴け (大伴家持)
 万葉集大伴家持の歌です。これは節分の前日の宴で作られたものですが、春の到来を
 告げるのは、霞、梅、そして鶯となっております。
  としのうちに春はきにけりひととせをこぞとやいはむことしとやいはむ (在原元方)
  袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ (紀貫之)
 最後は古今和歌集です。この両歌には賛否が有ると思いますが、その後500年の
 勅撰集の歴史の冒頭となる記念すべき歌です。

 fumiel-shimaさんからのコメントです
 「感涙にむせび・・・」
 今日も皆さんの歌に胸が締め付けられるような思いと共に温かく豊かな気持で一杯に
 なりました。
 みっちっちさんの侘助とお母さんの優しいほほえみ…鉄瓶から立ち昇るしなやかな湯気…
 この情景と朝粥はお母さん好みの味で…という語らずとも相通じる親娘の深い愛情…
 本当に目頭が熱くなり思わず零れ落ちるものがありました。
 夕庵さんの「鬼遣らい」も、いにしえから伝わる鬼打ち、鬼を追い払う行事として
 捉えるだけではなくその鬼の行方とその心情にも思いを寄せる優しいお人柄がにじみ
 出ているところはポエットMさんと同じような気持ちになりました。
 また「破れ蓮」についても目立たない存在であっても役目を全うし、次代に託すという
 心意気と「死してなお…」という見習うべき矜持を感じました。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。

     「日本水仙」

【運営にあたって】
 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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『レジェンド&バタフライ』を

2023年02月12日 11時34分18秒 | お出かけ
 先月の『Dr.コトー診療所』に続いて、現在公開中の木村拓哉主演映画『レジェンド&バタフライ』を、横須賀汐入にあります横須賀コースカ・シネマズで細君共々見て参りました。

 「Dr.コトー診療所」は、2003年から2006年にかけて放送された人気テレビシリーズの16年ぶりの続篇で、コトー先生演じる吉岡秀隆をはじめ、レギュラー陣がほぼ全員再結集しています。すでに俳優を引退していた原剛洋役の富岡涼氏も例外ではなく、彼はこの映画のためだけに、俳優として復活したとのことです。

     「横須賀コースカ全景」
 皆さんのご覧になってからの感想を待ちたいと思いますので内容説明は控えますが、クライマックスが圧巻でしたので、少し触れたいと思います。
台風災害に遭った怪我人が次々と診療所に運び込まれてきて、自身病を抱え厳しい状況にあるコトー先生は、満身創痍で患者たちの治療にあたります。その中で、ノブおじの心臓マッサージの途中で力尽きて倒れてしまう。それを引き継いだのが原剛洋でした。

 「医者じゃなきゃ人を救えないっていう、そんなことを思ってるんだったら医者にならなくてよかったね」というコトー先生の言葉が、剛洋の心の底に響いた瞬間でした。
 剛洋は医者を目指しながら、奨学金が止められ経済的な厳しさもあり、大きくつまずきましたが、ここで立ち上がることができればいい医師になれるのではないか、という希望も表現されていました。現実の厳しさを冷静に見つめつつも、一縷の希望もしっかりと描いていくという映画人の良心を、ここでも感じました。

 『レジェンド&バタフライ』は、大河ドラマ、小説や多くの映画等で誰もが知る信長と、謎に包まれたその正室・濃姫(別名:帰蝶)の知られざる夫婦の物語でした。
 主演の木村拓哉が織田信長を演じ、綾瀬はるかが濃姫役で出演しました。脚本を手がけるのは、今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』でも脚本を担当する古沢良太でした。『るろうに剣心』シリーズの大友啓史が監督を務めています。

 政略結婚という最悪の出会いから始まった2人は、いかにして真の夫婦となり、共に天下統一へと向かって行ったのか。また、魔王と呼ばれながらも時に悩み苦しむ信長を“ひとりの人間”として描き、その側で支え続けた濃姫との知られざる物語を描いています。
 信長の最期としてこれまで数多く描かれてきた「本能寺の変」が起きたのは、1582年6月2日。信長が信頼を置いていた家臣・明智光秀が一万三千もの大軍を率いて、京都にある本能寺に宿泊中の信長を急襲、対抗しきれないと悟った信長が寺に火を放ち自害したのは、あまりにも有名であり、多くの作品で映像化されてきました。
 「必ず帰ってくる」との濃姫との約束を果たすために、泥まみれになりながらも生きる活路を探し、最後まで足掻く木村の演技も圧巻でした。

 この映画は正に、日本の映画史に残る大作であり、「本能寺の変」を新たな視点で描いた最初の作品ではないかと思っています。また、戦国時代の新たな夫婦の在りようにも深く触れ、権力者のもつ底深い孤独感も見事に描き切っていると感じました。

コメント (8)
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その70)

2023年02月08日 05時57分01秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その70)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】前回に続き掲載致します。
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「咲き盛る 熱海桜」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】1月25日は日本全国雪景色でした。辺り一面が雪になると出かけることが
    出来ません。そこで筆者ブログ「世界文化紀行」日本の雪景色より
    詠んでみました。
☆さまざまな氷のオブジェ立ち並び 支笏湖ブルー幻想的に
   註)北海道千歳「支笏湖氷濤まつり」
☆氷瀑は時を止めたか凍りつき 荘厳にして神秘な世界
   註)茨城県「袋田の滝・氷瀑」
☆雪化粧小樽運河のガス灯は 異国情緒にあふれる夜景
   註)北海道「小樽運河」
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 「日本の雪景色」、中でも観光地としても人気の「支笏湖氷濤まつり」「小樽運河」
 「袋田の滝・氷瀑」等は、新しい「歌枕」としての喚起力も強いですね。
 いずれの場所も訪れはしたものの、この雪の季節には行っていませんので、
 その変わりようは、まさに別世界との印象があります。
 いずれの歌も、氷と雪への賛歌となっていますが、自然の織り成す「荘厳にして
 神秘な世界」が印象深く詠われています。
 二首目を、視点を変えて詠ってみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★袋田に神の建てたる氷瀑の 神殿粛(しゅく)と時を止めたり


【詞書】2月は母の忌日になりますので、母の俳句や短歌をよく詠みます。
    母がまだ存命の冬、私は母に作った朝粥を見て「朝粥はオブラートめく寒がわり」
    と詠みました。でも何となく下五の季語を推敲したいと思い、母に幾つかの季語の
    中からどれがいいと聞くと、母は即座に「春うらら」を選びました。
    そして「朝粥はオブラートめく春うらら」が詠めました。
    喜んでいた母でしたが、その冬、母は春を待たずに逝ってしまったのでした。
☆侘助は母の優しき笑い皺 ほほゑみのまま逝きたる母よ
☆鉄瓶の湯気しなやかに如月の今日母の忌の白湯の甘さよ
☆朝粥は母の好みし塩加減 春を待たずに逝きたる母へ

                         みっちっちさん

【解説】
 2月は御母様の忌日になり、御母様の俳句や短歌をよく詠まれるとのこと。
 御母様は、作者の胸の奥に、そして詠まれた俳句や短歌の中に活き活きと
 存在していることと思います。俳句の推敲をお母様と一緒に行うことは
 娘にとっても、またお母様にとっても幸せなひと時だったことと思います。
 三首の歌はいずれも御母様への温つく深い想いが詠われ、しみじみと
 させられます。特に三首目の「朝粥は母の好みし塩加減」は、いわゆる
 「おふくろの味」をひき継ぐ娘の想いと、待たれる春を前に身罷った
 御母様への無念想いが滲む味わい深い詠歌となっていると思います。


【詞書】昨日は節分会、近くの寺社へ行きました。
    追い出された鬼はどこへ行くのだろう?と考えてみたときの歌です。
    また福豆を投げる人と目が合って、手を振ると私めがげて投げて
    くれたのを背伸びして上手くキャッチ出来たうれしさ~
☆鬼遣らいどこへ行くのか頭(づ)をかかえ涙一粒氷雨の街へ
☆節分会のコントロールよき福豆を見事キャッチの縁起のよろし

【詞書】咲き誇った蓮の花が朽ちた姿で風に逆らうことなく揺れているのを見て
    自分の姿と重ね合わせました。
☆飄々と風にゆだねて破れ蓮(やれはちす)あすの命のわからぬものを
                         夕庵 

【解説】
 今年は、三年ぶりと銘打って各地で「鬼遣らい」の行事が復活していますが、
 一首目は「追われた」鬼を思いやる優しさが「涙一粒」の表現に滲み、作者の
 お人柄が覗く良い歌と思います。
 三首目の「破れ蓮」。飄々と風に吹かれながらも、足下に蓮根と言う次世代を
 担う存在を育み、自らの使命を全うした矜持を胸に枯れていく。そんな蓮の
 生きざまを踏まえ「あすの命のわからぬものを」と詠いつつも作者の心意気が
 覗く歌と考えます。また、朽ちることを厭わず使命を全うしたもののもつ
 美意識も伺えます。
 「破れ蓮」の一般的な解釈の、寂しくわびしい風情を逆手にとっての歌と解釈
 したら、深読みでしょう。



     「白い山茶花」

【詞書】無題
☆背に一つホクロのあるをいとおしく
    抱きしめる度
  広き背中に

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の解説です。
 日本の中世からの美意識として、艶が有り、それについて、学んでいた時に
 ふと出来た短歌です。
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 2月4日は立春と言う事で、立春の歌を紹介します。古今集以来、春の初めの歌は、
 巻頭歌として特に重要視されました。
  みよし野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり (後京極摂政太政大臣)
 「みよし野の」ではなく「みよし野は」とした所が優れていると本居宣長も評している
 九条良経の代表歌の一つです。
  ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山かすみたなびく (後鳥羽院)
 太上天皇としての気高さを感じる歌ですが、隠岐に流され、たぶん真っ先に削除した
 でしょう?
  山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (式子内親王)
 私は式子内親王の歌でこの歌が一番好きです。初春をイメージ出来る印象的な歌です。
 松は、春を待つの掛詞です。
  かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり (宮内卿)
 宮内卿と言う二十歳前の歌人が、如何に評価されていたか。この後に続く俊成、
 俊恵両巨頭の前に配置されています。
  時はいまは春になりぬとみ雪ふる遠き山べにかすみたなびく (よみ人知らず)
 新古今、万葉集中臣朝臣武良治の歌です。立春と霞は古くから歌われております。
  あらたまの年行き返り春立たばまづ我が宿に鴬は鳴け (大伴家持)
 万葉集大伴家持の歌です。これは節分の前日の宴で作られたものですが、春の到来を
 告げるのは、霞、梅、そして鶯となっております。
  としのうちに春はきにけりひととせをこぞとやいはむことしとやいはむ (在原元方)
  袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ (紀貫之)
 最後は古今和歌集です。この両歌には賛否が有ると思いますが、その後500年の
 勅撰集の歴史の冒頭となる記念すべき歌です。

【解説】
 日本の美意識も「雅」「幽玄」「侘び・寂び」さらに、最近の「映え」等、時代と共に
 変転を重ねて来たでしょうが、「艶」は平安の昔から現在に至るも私たちの意識の底に
 息づいていると考えます。
 平安時代中期の日記文学『蜻蛉日記』にも、「宇治川の水面が艶やかに光っていて…」
 との表現が見られます。それらも含め、学びの過程で琴線に触れた語を、そのまま
 詠歌に結実させる、作者の手並みの良さを改めて感じました。
 詠歌から艶やかな情景が浮かびますが、「背のホクロ」が一層の妖艶さを誘います。
 なお、「立春の歌」を紹介いただきありがとうございます。今回紹介させて頂いた
 「新年の歌」から引き続き、次回の「水曜サロン」に掲載させて頂ければ幸いです。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
【詞書】引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆枯れ野にも明日への備え 種いだき あまたの草の命息づく
                         ポエット・M
【詞書】曾孫の誕生の時の歌です。
    長い間待って、みんなの期待のなか、無事に生まれた喜びです。
★月満ちていのち溢れる産声のぷるぷる頬の春の赤子は
                         夕庵さん
★泣きつつも訴えなすや産声は 穏やかな世と迫る叫びも
                         ポエット・M

☆鬼遣らいどこへ行くのか頭(づ)をかかえ涙一粒氷雨の街へ
                         夕庵さん
★鬼遣らひどこへ行くのか頭(ず)をかかえくぐるは街の縄のれんかな
                         みっちっちさん
★縄のれん出て来た鬼は赤ら顔 頼光らとも肩組み歩む
  註)頼光は源頼光であり、鬼の王・酒呑童子を坂田金時らと討ったとの伝説あり。
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆氷雨をも まといて咲ける寒椿 散りたる花も艶やかにして
                         ポエット・M

【解説】
 久し振りに降った氷雨を浴びながら寒椿が咲いています。また、地に降り敷いた花も
 いくつか散見されます。咲いている椿も艶やかですが、散った後の花も鮮やかな紅色を
 湛え艶やかな命の息遣いさえ感じました。そんな花の艶やかさを詠ってみました。



     「早咲きの 河津桜」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (13)
 
 3.白いブランコ(2)


   〇青春夢遊ばせる春の夜は
          星の煌めき白いブランコ
   〇亡霊は心のなせる業なるか
          さればなおさら永遠ならずや
                   嵯峨吹雪

   ああ〇子
     〇子の君よ
        永遠に
       他に呼ぶ名は
          あらざるものを

         星々が
           夜露の玉に
              眠るころ
            心をよぎる
               不吉な予感

                 突然に
                   身の毛がよだち
                       ぞっとする
                     首に冷たい
                        霊気を感じ

          誰(た)が漕ぐや
             風も無き夜の
                 星光(ほしかげ)に
               不気味に揺れる
                   白いブランコ

     ああもしや
       君の霊かと
         恐れつつ
        恐れを超えて
            心が疼く



     「日本水仙」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】前回に続き掲載致します。
 自閑(jikan314)さんから紹介頂いた、正月の和歌です。

  はつ春のはつねの今日の玉菷手にとるからにゆらぐ玉の緒
                        (新古今集、万葉集)
 正倉院には、大伴家持がこの歌を詠んだ、孝謙天皇が養蚕の為に賜った玉箒
 (子日目利箒)が模造されております。
 新古今では、よみ人知らずとなっておりますが、古今和歌六帖からの撰歌
 だからです。
  正月(むつき)立つ春の初めにかくしつつ相し笑みてば時じけめやも
                             (万葉集)
 お互い共に正月には笑い合うのが一番ですね。大伴家持の歌です。
  千歳までかぎれる松もけふよりは君にひかれて万代やへむ
 壬生忠岑で公任三十六人撰や和漢朗詠集にも撰ばれた子の日の歌です。
  明日からは若菜摘まむとしめし野に昨日も今日も雪は降りつつ
                        (新古今集、万葉集)
 山部赤人の歌です。七草粥は、遥か昔からの行事ですね😃
  若葉指す野辺の小松を引き連れて元の岩根を祈る今日かな  (玉鬘)
  小松原末の齢に引かれてや野辺の若菜も年を摘むべき    (源氏)
 源氏物語若菜の題名となった和歌です。
  新しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重け吉事    (万葉集)
 大伴家持が、天平宝字三年一月一日が立春と重なったと解されております。
 元旦からもう22日も過ぎてとは、思われたかと?和歌や俳句は、旧暦が
 基本で、22日は、旧正月です🎍ローマ教皇グレゴリオ13世が決めた
 元旦で、歌は詠めないと言う天邪鬼ですね😁

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「咲き初める 白梅」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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「光の春」に

2023年02月05日 12時46分14秒 | 日々の歩み
 昨日は立春でした。春の始まりであり、かつては1年の始まりとされた日ですが、
春は名のみの未だ寒い日が続きます。

     「白梅」
三年ぶりと銘打った「さっぽろ雪まつり」を始め、各地で「節分会」等の催しが
復活し、コロナ禍で長い事、巣ごもりを余儀なくされてきましたが行く手に少し
燭光の射すのが感じられます。

     「熱海桜」
 今回は散歩で向かう公園や遊歩道に咲き初める春を告げる花と、冠雪の富士山の
写真をお届けしたいと思います。

     「走水海岸から望む 富士山(1)」

     「走水海岸から望む 富士山(2)」
 信州と言う山国で育った私には、ここ横須賀の二月に咲く熱海桜、河津桜、
菜の花、さらに紅梅、白梅等の存在は当初信じられないことでした。
しかし、惨い季節でもある「光の春」にいち早くその兆しをとらえ、リスクを
承知で花開く花たちの矜持を汲み取りたい想いです。

     「菜の花」

     「河津桜」

     「オオキバナカタバミ」

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「口語短歌・水曜サロンの会」(その69)

2023年02月01日 05時43分25秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その69)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 今年も楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「冬薔薇 フレグラントアプリコット」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】今回は筆者ブログ「世界文化紀行」の「世界のパワースポット」の写真を
    見ながら口語短歌を詠んでみました。
☆天と地の境なく映す湖は 何を語るか神秘な世界
   註)ウユニ塩湖・ボリビア「天空の鏡」
☆泉には奇跡が起こり湧き出る 聖母マリアは生きとし生きる
   註)フランス「ルルドの泉」
☆憧れの夕陽絶景は寺院こそ 涙が滲み心震える
   註)バリ島「タナ・ロット寺院」
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 「世界のパワースポット」を口語短歌と画像で紹介する試みは「観光大使」並みの
 取り組みですね。いずれ、地元の観光協会から「感謝状」等のお礼が届くかも
 知れませんね。
 三首目のバリ島は、私事になりますが、かつて銀婚旅行を兼ねて訪れた地で、
 懐かしく思い出しました。「タナ・ロット寺院」も忘れがたい地ですが、
 私はウブドの「芸術村」が鮮明な記憶となって蘇ります。ガムランの演奏で
 舞うバリ舞踊や、ライステラス(棚田)が懐かしいです。タナ・ロット寺院を
 別の視点から詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★故郷へ想い連れゆくタナ・ロット 寺院染めるバリの夕映え


【詞書】一輪の白い侘助の凜とした美しさ、思わず自分を振り返る。気持ちの
    荒れたのが恥ずかしい・・・
☆竹藪に白き侘助ひとつ咲く心貧しき朝に見つけり
【詞書】ぽつんと落ちる椿の花 昨日はあんなに美しく咲いてしばらく見られる、
    いやもっと前から咲いていたかもしれないが。いつかは落ちる命の
    はかなさと落ちてもなおその美をもつ花の矜持に見とれた。
☆朝露をふくむ苔の上(へ)落ち椿 なお華やかな美の終章も
【詞書】最近金の目を持つ真っ黒な猫も神秘的でいいなぁ~と思うように
    なりました。またさざんかしぐれという美しい言葉を使いたくての1首です。
☆金の目の尻尾の切れた恋猫もさざんか時雨に姿隠しぬ
                         夕庵さん

【解説】
 いずれの歌も、作者の美意識が滲む素敵な歌で、「侘助」「落ちる椿」
 「さざんか時雨」が的確に表現されていて学ばせて頂きました。
 「真っ黒な猫」と言えば、菱田春草の「黒き猫」の日本画が思い浮かびます。
 春草は37歳の若さで亡くなっていますが、横山大観が「春草こそ本当の天才だ」と
 評価したほどの描き手でした。
 事実「黒き猫」の神秘的な存在感は他の絵画を圧倒していると感じますが、そんな猫を
 「さざんか時雨」と絡めて詠い上質な日本画を見ている心地がします。
 「尻尾の切れた」は事実でしょうが、この歌の本筋からは省いても良いのでは
 ないでしょうか。
 「黒き恋猫」にフォーカスして詠って見ましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★金の目の黒き恋猫抜き足で さざんか時雨に姿隠しぬ


【詞書】ソクラテスの妻クサンティッペにはクサンティッペの言い分が
    あったのですが・・・。しかし、ソクラテスが生活の足しに成らない
    議論を日がなしたからこそ今の哲学という分野は発達したのですから、
    無用の用は大いに役立っていると言えると思います。
☆元気ではゐられぬ人もこの世にはゐて陰陽のこの世と思ふ
☆努めてもだうにもならぬことのあるこの世と思ふたとへば元気
☆元気なき人も元気のある人と同じ価値ある人間である

                         水仙さん

【解説】
 ソクラテスは言うまでも無く哲学者として、また弁論家として歴史的にも優れた
 人物でしたが、その妻クサンティッペは、長きにわたって、悪妻・悪女の代名詞の
 ような評価を受けてきた女性です。しかし、家族の生活を支えるだけの安定した
 収入すらもたらさない夫への不満は、ソクラテスが刑死するまで続いたものと、
 推察致します。作者の言われるよう「言い分」があったと拝察致します。
 なお、三首の歌で詠われている内容は作者の心からの叫びであり、訴えと理解
 しました。諸々の情況で「元気いっぱい」になれない中で、それでも精一杯
 誠実に歩みを重ねる作者を、温かく見守っていきたいと思っています。



     「咲き盛る 日本水仙」

【詞書】先日、ファンとしているブログより自作の歌を聞きました。
    始めての黄昏の経験〜と〜全ての方が経験する事だと思いました。
☆穏やかな 小春日和の リビングで
      ミカンをひとつ 食べる幸せ
☆躍動の 日々を重ねて いま生きる
      牛歩になっても 2人で進む

                         クロママさん

【解説】
 作者も言われるように、人生の「黄昏」の季節は私たちも含めて、誰にも訪れ、
 その場面に遭遇することを余儀なくされます。
 その季節を愛おしみつつ、いかに豊かに、二人で歩んでゆくか、それによって
 その季節が夕映えのように穏やかに輝やくものなっていくことを祈りたいと
 思います。
 二首の歌の、「穏やかな 小春日和の」「牛歩になっても」には、そんな思いが
 込められていると考えます。
 なお、小春日和は「穏やか」な日でしょうから重複を避け、少し手直ししてみました。
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★小春日に 二人でみかん つまみつつ
         互いに笑みを かわす幸せ


【詞書】恋歌三首
☆名も知らぬ人にあこがれ行くバスのまぶしきゆえに声もかけれず
☆昔読む歌集をひろげ懐かしむはさみししおりに書きし恋歌
☆我が姿
  川面にうつし流れゆく
   思ひとなりて君にとどけよ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 恋と言う単語も忘れかけている歳ですが、たまには良いかと。
 三首目は、栃木県小山市を旅した時に、市内を流れる思川という川の支流に
 姿川という川の橋を渡ったとき、「姿」と「思」という川の名前に興味を
 引かれました。

【解説】
 定型を踏まえた作者の出詠歌は久しぶりですが、いずれも韻律と共に言葉の展開の
 鮮やかさに学ぶもの大です。
 三首目は「思川」「姿川」を隠れた歌枕として詠み込み、君への思慕を川の流れに
 乗せて届けるという素敵な恋歌になっていると考えます。
 恋心は歳を超越し大いに表現し、詠って参りましょう。私たちの世代には脳の
 活性化の為にも大切な営みと思っていますが・・・。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
【詞書】引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆冬木立きっぱり捨てるその枝に 冬芽は既に膨らみており
                         ポエット・M
★葉を落とし枝のみになる冬木には冬芽ふくらみ春を待つ見ゆ
★春を待つ冬芽のごとく膨らめるわれの心のなかのときめき

                         水仙さん
★公園のメタセコイアは葉をふるい三角錐の姿に眠る
                         夕庵さん
【添削】
★きっぱりと葉を落としたる冬木立 冬芽は既に膨らみてをり
                         リコさん

☆初詣 階段降りて 本殿へ クロも一緒の健康祈願
                         クロママさん
★三年ぶりの住吉大社の初詣 人恋う男女が笑顔で行き交う
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆枯野にも明日への備え 種いだき あまたの草の命息づく
                         ポエット・M

【解説】
 探梅や、散策に訪れる観音崎の丘陵の上には広い草原が広がっています。その草原は
 草もみじに染まった後深い眠りに落ちていましたが、そこかしこに小さな種を抱く
 はこべらをはじめ、多くの草々が見えます。
 冬の淡い日差しを浴び、微かに萌える緑の若芽もあり、既に命の営みが静かに
 始まっているかに見えます。そんな草々の息づく様を詠ってみました。



     「早咲きの 河津桜」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (12)
 
 3.白いブランコ(1)


   〇青春夢遊ばせる春の夜は
          星の煌めき白いブランコ
   〇亡霊は心のなせる業なるか
          さればなおさら永遠ならずや
                   嵯峨吹雪

   忍び来て
     二人でこいで
         キスもした
       星のふる夜の
          白いブランコ

         「ブランコの
             弁証法って
               なんですのっ」
            あの時君は
               真顔で聞いた

                 それはねえ
                    キスをさせたら
                       教えてあ~げる
                      等と答えて
                         ふざけたわたし

          「あなたって
             わるい人ねっ」と
                  いいながら
               甘美なキスを
                  僕にした君

     想いでの
       揺れて哀しい
         ブランコに
        仰ぐは遥か
          夜の天の川


   註)「白いブランコ」の章は、今回から始まります。



     「山茶花 淡紅」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】
 自閑(jikan314)さんから紹介頂いた、正月の和歌です。

  はつ春のはつねの今日の玉菷手にとるからにゆらぐ玉の緒
                        (新古今集、万葉集)
 正倉院には、大伴家持がこの歌を詠んだ、孝謙天皇が養蚕の為に賜った玉箒
 (子日目利箒)が模造されております。
 新古今では、よみ人知らずとなっておりますが、古今和歌六帖からの撰歌
 だからです。
  正月(むつき)立つ春の初めにかくしつつ相し笑みてば時じけめやも
                             (万葉集)
 お互い共に正月には笑い合うのが一番ですね。大伴家持の歌です。
  千歳までかぎれる松もけふよりは君にひかれて万代やへむ
 壬生忠岑で公任三十六人撰や和漢朗詠集にも撰ばれた子の日の歌です。
  明日からは若菜摘まむとしめし野に昨日も今日も雪は降りつつ
                        (新古今集、万葉集)
 山部赤人の歌です。七草粥は、遥か昔からの行事ですね😃
  若葉指す野辺の小松を引き連れて元の岩根を祈る今日かな  (玉鬘)
  小松原末の齢に引かれてや野辺の若菜も年を摘むべき    (源氏)
 源氏物語若菜の題名となった和歌です。
  新しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重け吉事    (万葉集)
 大伴家持が、天平宝字三年一月一日が立春と重なったと解されております。
 元旦からもう22日も過ぎてとは、思われたかと?和歌や俳句は、旧暦が
 基本で、22日は、旧正月です🎍ローマ教皇グレゴリオ13世が決めた
 元旦で、歌は詠めないと言う天邪鬼ですね😁

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「咲き初める 河津桜」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
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 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
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 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
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