四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その54)

2022年09月28日 05時32分58秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その54)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。☆☆☆


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「白花 彼岸花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】2022年9月19日日本時間午後7時より英エリザベス女王の国葬がありました。
    BSNHK放映の生中継で静かにお見送りさせて頂きました。まさに荘厳な
    宗教儀式を見る思いでした。今後の組織の在り方に議論も噴出していますが、
    コモンウェルス・オブ・ネイションズのリーダーとして大任を果たされた
    女王陛下に謹んで哀悼の意を表します。
    なお、エリザベス女王の朝は、バグパイプの生演奏で始まり、女王専属の
    バグパイプ奏者がお気に入りだったそうです。
☆穏やかに ひつぎに眠る 女王は 国家の安寧 とわに祈るも
☆王冠と 薔薇に包まれ 女王は バグ(パイプ)の音色に 安らかに眠る
☆女王は 讃美歌の中 祝福を 受けて安らかに 復活祈る

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 国民に寄り添い、コモンウェルス・オブ・ネイションズのリーダーを70年の
 長きにわたって、真摯に、誠実に勤められたエリザベス女王の偉大な足跡。
 改めてその一歩一歩に刻まれた功績と、あり方に感動するとともに、お疲れ様と
 申し上げたいと思います。
 そんな女王陛下への想いを込めた挽歌とも言える三首の歌は、作者の心からの
 哀悼の意も滲む、感動を誘う歌と思います。
 二首目の下の句「バグ(パイプ)の音色に 安らかに眠る」に哀悼の想いが溢れて
 います。この歌の語順を少し変え添削してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
★バグの音に包まれ眠る女王は 薔薇と王冠 次代につなぐ


【詞書】
 (1)萩の花の落花、それが風に散らされて1か所に寄せられる情景は、なんとも
  不安でまるで私の人生のようです。
 (2)近しい友人が病を抱えていたとはいえ、突然逝ってしまいました。その驚き、
  やりばのない哀しみ・・・。
 (3)初秋の寺にきて優しいお顔の石仏と語らうひととき、気がつけばもう日も傾いて
  そんなに時間がたったのかと。秋はもの哀しいモノクロの世界へ誘うようです。
   よろしくお願いします。
☆(1)参道に散り敷く萩のこぼれ花 風のまにまの危うき予感
☆(2)ほろほろと散る萩のはな手に受けて別れは不意に来るものと知る
☆(3)石仏の頬なでながら散る萩のこぼれる庭に日は傾きぬ

                         紬さん

【解説】
 萩の花に寄せた三首の歌は、いずれも萩の花と、その落花が醸し出す雰囲気と、
 それぞれに象徴される物語を過不足なく詠いきっていると感じます。
 特に二首目の下の句「別れは不意に 来るものと知る」にさりげなく詠われ
 ながらも、作者の深い哀しみがその句の行間から伝わってきます。また、
 「ほろほろ」のオノマトペと、「はな」のひらがな表現が秀逸です。


【詞書】秋散歩 モーツァルト ピアノソナタを聴いて
☆暑くもなく、
   寒くもなく、
     やっと
  優雅に散歩ができる
   花も蝶も

                         自閑(jikan314)さん       
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeを聞き、ながら勉強の第二段。モーツァルトピアノソナタ第13番
 第3楽章アレグレット・ グラツィオーソK.333で、グラツィオーソは、
 イタリア語で「優雅に、気品をもって、愛らしい」。アレグレットは、
 アレグロ(速く)よりも遅いテンポとの事。
 台風が去ったら急に秋になったようです。
 台風は、各地に甚大な被害を及ぼしますが、実は寒冷地に暖地の熱気を、
 暖地に冷気をもたらし、地球上の気温を平準化し、生物が住みやすい環境を
 作っているとの事。
 日本へは台風は数千年に渡って飛来しており、我々には台風の記憶が遺伝子に
 組み込まれていると思います。
 熱中症に気を遣い、感染に注意を払いつつ、散歩の楽しみも半減と言う事ですが、
 これからの散歩が楽しみですね😃
 下記URLにモーツァルトピアノソナタを貼付しておりますので、軽快な
 モーツァルトをお聴き頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/136d3f95c285e0567e27fc45028fbb34

【解説】
 YouTubeのピアノソナタ第13番 第3楽章を早速聞かせて頂きました。
 改めて申し上げるまでも無く、モーツァルトはハイドンやベートーヴェンと
 同じくウィーン古典派を代表する人物ですね。ピアノソナタ第13番 は優雅な
 曲ですが、散歩の徒然に聞くのも良いものですね。
 出詠して頂いた短歌の「優雅に散歩ができる 花も蝶も」は、秋散歩の
 ワクワク感が感じられます。
 私も過日、秋日和に誘われ散歩に出ましたが、曼殊沙華に憩うアゲハ蝶が結構
 いい絵になっていました。正に「花も蝶も」の状態でした。



     「彼岸花に憩う 揚羽蝶」

【詞書】いつの間にか庭の葡萄が黒くなりました。本棚に古い木製の小さな時計が
    あり休み休み時を刻んでいます。それでも春夏秋冬は巡ってきます。
☆本棚で時々止まりまた進む時計の針に我重ね秋
                         I.SATO(楕円と円)さん

【解説】
 「休み休み時を刻んで」いる時計なんていいですね。私もそんな時計に自らを
 重ねてみたいと思います。
 止まっても又立ち上がる時計に限りない愛着を感じるとともに、その根性に
 「あっぱれ」を差し上げたいと思います。
 「時計の針に我重ね秋」の下の句が歌をきりりと締めるとともに、自らの歩み
 への静かな矜持が滲んでいると感じます。


【詞書】一首目は友人との絵手紙交流で通じ合う想いを詠んだものです。
    三首目は現実的な喜びを・・・
☆たのしみは 通う一言読みとりて あなたの想いに心寄せるとき
☆たのしみは 夕日色したツタの葉を 一枚手にし愁思するとき
☆たのしみは 眼鏡重ねてチラシ読み 待ってた口福届くそのとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 日々の楽しみを生活の中に見出し、それを詩に紡いでいく。この営みはご自分を
 見つめ直しつつ、そこから明日に向う活力を見出し、さらに周りの人々をも励ます、
 エネルギーを汲みだしていくことに繋がっているのだと思っています。
 二首目の「夕日色したツタの葉を」の表現が素敵ですね。季節の移ろいを素直に
 感じ取る感性と、観察眼の故と感じます。
 かつて、五木寛之氏が「よろこびノートに日々感じるささいなよろこびを綴る
 ことによって、心に潤いを取り戻した」と記した文に触れたことがありました。
 この独樂吟も、わずか31文字で日々の楽しみや、喜びを記す、強力な手段に
 なっている のではないかと思っています。

 なお、先に奥様の状況は伺っていましたが、「体調等の状況」から今後独楽吟を
 出詠することが難しくなっているとのこと。先ずは日々の生活が大切ですので、
 そちらを優先されることをお勧めします。「水曜サロン」は開かれた広場です
 ので、折を見ていつでも参加して頂ければ嬉しいです。
 いずれにしましたも、歌評等を含めて、無理のない範囲で参加して頂ければ
 嬉しいです。


【詞書】月下美人の花を咲かせるのは大変そうですね?先日私も写真でですが従兄の
    奥様が3年がかりで育てたお花のフォトを送ってもらい久々に身近に感じた
    ばかりでした🎵すっかり秋めいて来ましたね。一首詠ませて頂きました🙋  
☆里山のもみじ色ずき
       トンボ飛ぶ
    畦道に咲く 揺れる彼岸花

                         クロママさん

【解説】
 作者のブログに掲載された月下美人の花を拝見させて頂きました。爽やかな月下美人の
 花が、誇らしげに咲いていました。「従兄の奥様が3年がかりで育てたお花」とのこと
 ですが、丹精の甲斐があったようですね。
 季節はおっしゃるように、すっかり秋めいてきましたが、里山のそんな様子を盛り込み
 詠われた歌は、良く分かる好感のもてる作品となっていると考えます。
 最近は白花の彼岸花も目立ちますが、その色を明示して少し添削させて頂きましたが、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★里山のもみじ色ずきトンボ飛ぶ 畦に揺れ咲く 朱の彼岸花


☆いつの間に 闇もせまりて来るごとく 虫の音つつむ秋の夕暮れ
                         ポエット・M

【解説】
 「秋の日はつるべ落とし」とのことわざがありますが、つるべが井戸の中に素早く
 落ちる様子を秋の日暮れに例えたと言われています。
 事実、秋は日没の時刻が早まるだけでなく、その後の薄明の時間も短くなり他の
 季節に比べて急速に日が暮れるとの実感があります。
 もっとも現在ではつるべ(釣瓶)等と言っても通じない世代の方が多いかと思いますが、
 井戸で水を汲み上げるために、かつて使われた道具のことで、桶を縄の先にとりつけた
 ものを言います。
 気がつかぬ間にせまる夕闇と、虫の音が包むように響びいてくる、そんな秋の夕暮れを
 詠ってみました。



     「芙蓉」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (55)
 14.痛みの変奏曲(1)


   哀しむものは幸いです。
           (山上の垂訓)

   美しき
     女が我れの
        内に棲み
       哀しき歌を
         甘美に詠う

     哀しみは
       乙女心が
          星空の
         夢に咲かせた
            形而上学

       哀しみを
         誰が盗んで
           行ったのと
          夕べ乙女が
            すすり泣く夢

      我れが身に
        おきて初めて
           哀しみは
          トータルにして
            ラジカルならむ

    哀しみは
      申し子われの
         歌に咲く
        トータルにして
           ラジカルな花


     「酔芙蓉 八重」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの小野小町等の歌の紹介】前週に引き続き掲載致します。
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 何気にテレビチャンネルを回して?いると、NHK教育でいきなり小町が出て来ました。
 ★思ひつつぬればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(古今集 小野小町)
 NHK「究極の短歌・俳句100選ベストセレクション」の恋と言う番組の再放送で、
 選者が短歌50首、俳句50首を選ぶと言う嗜好。

 選者の一人、栗木京子さんは、新古今和歌集をよく読んでらっしゃるらしく、
 式子内親王の百人一首と、
 ★ながめつつ思ふも寂し ひさかたの月の都の明け方の空(新古今和歌集 藤原家隆)
 を選ばれておりました。家隆は、定家ほど有名ではありませんが、後鳥羽院歌壇の
 双璧で、定家ほど性格が悪く無いです。
 ★花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春をみせばや(六百番歌合)
 この歌は、茶人千利休が座右の銘にしていたそうです。貴方の知らない新しい美を
 見せようと言う意味ですね。
 ★下紅葉かつ散る山の夕時雨 濡れてやひとり鹿の鳴くらむ(新古今 秋歌下)
 巻頭歌(一番最初に掲載される歌)の栄誉を受けたもので、俳句の季語
 「紅葉かつ散る」の元になった歌です。
 ★志賀の浦や遠ざかりゆく波間より氷りて出づるありあけの月
 私は幽玄の歌だと思っています。
 ★露時雨もる山かげのした紅葉濡るとも折らむ秋のかたみに(秋歌下)
 私の好きな歌で、歌のイメージが、晩秋の映像となって、入って来る気がします。
 ★契りあれば難波の里に宿りきて波の入り日を拝みつるかな
 最後は、大阪市天王寺区に夕陽ヶ丘と言う地名、四天王寺前夕陽ヶ丘駅と言う駅が
 有りますが、由来はこの歌によります。


     「芙蓉」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了


     「風に揺れる コスモス」
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三度目の月下美人

2022年09月24日 15時59分17秒 | 日々の歩み

 我が家の月下美人が、七月、九月初めに続いて今年三度目になりますが五輪ほど咲きました。今回は、団地の大型修繕が始まり、ベランダの鉢植え等をすべて共有エリアに移したため、部屋に入れて撮影ができないため、細君が三輪ほど蕾の状態で切り花として備前の壺に活けてくれました。開花してくれるかどうか直前まで心配でしたが、午後八時ごろから幽かに開き始め、あの甘やかな香りが漂い始めました。

     「切り花から咲いた 月下美人(1)」

 今回の大型修繕は、本来昨年を予定し三年ほど前から計画してきましたが折からのコロナ禍と、オリンピックの延期に伴う職人さんの不足等々の事由で延期となり、この九月に着工となりました。三年ほど前に管理組合からの要請もあり、大型修繕の計画に対する諮問委員会を結成し、その責任者の一人としてボランティアとして関わって参りました。

     「切り花から咲いた 月下美人(2)」

 建築士、経理士、土木の専門家、デザイナー等々の住民の専門家にもメンバーに加わって頂き、住民の方々の意見も反映させながら二年にわたり検討会を定期的に開催して参りました。途中激しい論議もありましたが、自らの住まいを良くしていこうとの前向きな思い故と理解し合いながら、納得のいく答申書を作成することが出来ました。この答申書のかなりの部分を修繕計画に反映して頂きメンバーの見識の高さを改めて実感できました。

     「酔芙蓉 八重」

 建屋の剥離後の全面塗装、ベランダと階段の全面張り替え、ベランダの手すり全面取り換え、アルミサッシの複合ガラスへの全面取り換え等々の工事で十数年にわたる修繕積立金の大半を投入することになりました。二度にわたる団地総会を行い住民の皆さんへの説明と論議の末95%以上の賛同を頂き決議に至りました。この間の管理組合の理事の皆さんと、住民の皆さんの献身的で、誠実な対応に幾たびか頭が下がる思いがしました。

     「共有エリアに移した 月下美人」

 こんな経緯もあり、ベランダに置いていた植栽は全て外の共有エリアに搬出したため切り花の撮影となりました。ただ途中、外に置いた月下美人が気になり懐中電灯の光で撮影しましたが、照度の不足かあまり鮮明に撮れませんでしたし、蚊の一斉攻撃にあい途中であきらめました。

     「共有エリアで咲いた 月下美人」

従って切り花故の少し元気さに欠ける月下美人となりましたが、掲載したいと思います。


     「切り花から咲いた 月下美人(3)」

 切り花の月下美人に寄せて即興で短歌を詠んでみました。
  ☆月下美人「はかない恋」と花言葉 秘めて結ばぬ無常の夢よ

コメント (11)
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その53)

2022年09月21日 05時28分51秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その53)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。☆☆☆


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「咲き初める コスモス」


「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】私たちはBSNHK「岩合光昭の世界ネコ歩き」(毎週木曜夜8時)を
    楽しんでいます。
    二人とも犬派ですが岩合さんの猫目線というかカメラアングルに
    魅せられています。そこで3首詠んで見ました。
☆ねこ歩き 岩合さんの 世界観 猫目線での カメラアングル
☆喜ばす テクニックこそは 世界一 愛猫家(あいびょうか)にも 通じる愛情
☆撮影で 世界を股に 撮る苦労 猫には分かる 愛する気持ち

                      浅間山明鏡止水 (knsw0805)さん

【解説】
 BSNHK「岩合光昭の世界ネコ歩き」は私も時々視聴しておりますが、岩合光昭氏の
 カメラ目線の優しさと、猫に寄せる愛情は半端でないものを感じます。
 被写体とここまで融合できるカメラマンは、いないとさえ思います。
 三首の歌はいずれも、岩合光昭氏の世界観に対するKenさんの尊敬とフアン心理が
 濃厚に表れた歌になっていて、良く解る歌と思っています。
 三首目を語句を整理し少し添削させて頂きましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★「ネコ歩き」追いて世界駆けめぐる 岩合さんの温き眼差し


【詞書】先日の満月は見事でした。ベッドから丁度満月が見ることが出来ました。
    和室の畳を新しくしました。藺草の匂いが部屋内に匂い思わず大の字に寝転んだ
    時、ああ~いい言葉が湧いてきてほしいと天井を見上げた時のことです。
    なお、断捨離をはじめる年齢になりました。昔の写真は思い切って鋏を
    入れましたが、空白の期間が淋しく感じられました。
☆ 十方の月のひかりを身にあびて地球の隅にしっかり生きてる
☆ 新しき畳の藺草匂い立ち詩(うた)も生(あ)れよと大の字に寝る
☆ 断捨離に写真を刻む雨の日は半透明になるわが生き様も
      
                       紬さん

【解説】
 三首の歌はいずれも凛とした作者の想いが滲み、すっきりとした詠歌になっていると
 考えます。
 特に一首目は、中秋の名月かも知れませんが、その月光を浴びて水惑星・地球号の
 乗組員として大地に足を踏ん張りしっかりと生きている。そんな矜持と覚悟が滲む
 良い歌と思います。
 また、二首目の歌は「大の字に寝る」の表現に、きっぱりとした小気味よさもあります。
 サロンの皆さんからも好感が寄せられる、作者のご健詠を期待しております。


     「薄紅に染まりつつある 酔芙蓉」

【詞書】ボディ・ガード Whitney Houston - I Will Always Love Youを聴いて
☆私だけを守って!それがただ一つの願い!!
     でも。。。叶はぬ夢?

                    自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 ボディガードは、1992年製作のアメリカ映画で、ケビン・コスナーとホイットニー・
 ヒューストン共演で、主題歌のオールウェイズ・ラヴ・ユーは、全米シングルチャートで
 14週連続1位と言う記録も樹立し、その年のグラミー賞を始めとする音楽賞を総嘗めにして、
 日本でもレコード180万枚売り上げ、大ヒットしました。
 ホイットニー・ヒューストンは、2012年残念ながら、突然死去しました。その時、彼女は
 映画の中の歌手の様に本当は孤独だったのでは?と思った次第です。
 下記URLに、映画のシーンと歌を貼り付けていますので、御覧になって下さい。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/af8405379a6e9422cd5a568a08fa206a
【投稿外コメント】自閑 (jikan314)さんご自身のコメントです。
 今週は、漏れていた新古今の歌を紹介します。古今から新古今まで300年間、7つの
 勅撰集が編まれて来ましたが、有名な歌なのに撰ばれず、初めて新古今に撰ばれた歌です。
  よそにのみ見てややみなむ葛城や高間の山のみねのしら雲(恋歌一 よみ人知らず)
 高嶺の花の恋の歌。源順の和漢朗詠集にも撰ばれております。
  末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ(哀傷歌 僧正遍昭)
 諸行無常の歌として有名で、和漢朗詠集、公任三十六歌仙にも撰ばれ、源氏物語にも
 引歌として多数使われております。9月17日に拙blogに関係部分をアップしました。
  その原やふせやに生ふる帚木のありとは見えて逢はぬ君かな(恋歌一 坂上是則)
 源氏物語 帚木の巻名の歌の元歌です。
  照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(春歌上 大江千里)
 源氏物語花宴で朧月夜が、真夜中この歌を唄い、源氏と出逢うと言う朧月夜の
 命名にの元になった歌です。
  飛鳥川もみぢ葉ながる葛城の山の秋かぜ吹きぞしくらし(秋歌下 柿本人麻呂)
  もののふの八十うぢ川の網代木にいさよふ波の行方知らずも(雑歌中 柿本人麻呂)
 柿本人麻呂を代表する両歌で、三十六歌仙にも撰ばれております。
  さを鹿の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置けるしらつゆ(秋歌上 大伴家持)
 大伴家持の歌で、三十六歌仙、和漢朗詠集にも撰ばれた名歌だと思います。

【解説】
 上の句の「私だけを守って!それがただ一つの願い!!」は、共演者ホイットニー・
 ヒューストンの心の叫びであったのかも知れませんね。
 ホイットニー・ヒューストンはグラミー賞の授賞式を翌日に控え、滞在していた
 ホテルで、不慮の事故により48年の生涯を閉じました。グラミー賞の授賞と言う
 人生の頂点で身罷るという劇的な生涯は未だ謎を含んでいるとも言われています。
 これらを背景に、下の句「でも。。。叶はぬ夢?」を味合うとまた違った情景が
 浮かびますね。
 ホイットニー・ヒューストンがカバーした『I Will Always Love You』の曲の最後は、
 次の詞で結ばれていました。
  「あなたは 愛しい人 愛してる いつでも いつだってあなたを愛してる」
 なお、「初めて新古今に撰ばれた歌」の紹介を頂きありがとうございます。
 これも、「水曜サロン」に集う皆さんの学びになりますので、順次
 (右京大夫集の次に)【短歌入門・質問・提案コーナー】に紹介させて頂ければと
 考えますが、ご了解頂けましたら幸いです。


☆たのしみは 半年ぶりの四人会 尽きぬ話に和むひととき
☆たのしみは 待ってたのよと招き入れ 喋って笑ってお茶するひととき
☆たのしみは 見えた見えたと大はしゃぎ 天体ショーを仰ぎ見るとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 今回も独樂吟の描きだす詩的空間を、十分に味合わせて頂きました。
 先頭二首は、久しぶりに催した千恵子奥様の女子会の様子が、ワクワク感と共に
 伝わる楽しい詠歌と思います。状況を素直に詠みながら、その友とのなんとも
 表現しがたい絆すらも浮かび上がる味のある歌になっています。
 特に「喋って笑ってお茶するひととき」の調べが心地よく感じます。
 三首目も童心に帰ってのはしゃぎようが素直に詠まれていて好感が持てます。
 改めて、独樂吟が表現する世界の、和やかさと奥深さを感じました。


☆蝉しぐれ 止みし刹那に虫の音が 後追い響く森の夕映え
                      ポエット・M

【解説】
 晩夏の夕映えが森を染めるころ、森のあちこちから響いていた蝉時雨れがぴたりと
 止む場面に遭遇しました。その刹那虫の音が足元をはじめ木々からも聞こえて
 きました。蝉たちも、また虫たちも自らが演奏する楽章が決められているのだと
 感じ入った次第です。
 そんな場面をスケッチ風に詠んでみましたが、「ただごと歌」となりました。


     「芙蓉」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (54)
 13.悪夢のアウシュヴィッツ(5)


   ああ! 我れは深き淵より
           (『詩篇』)

   愛されて
     人はいったい
        何になり
      人はいったい
         何になる

     愛されて
       人ははじめて
          風になり
         人ははじめて
            雲になる

       愛されて
         人ははじめて
            花になり
          人ははじめて
             星になる

      憎まれて
        人はいったい
           何になり
          人はいったい
             何になる

    憎まれて
      人はいつしか
         蛇になり
       人はいつしか
          龍になる



     「白花 曼殊沙華」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの小野小町等の歌の紹介】
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 何気にテレビチャンネルを回して?いると、NHK教育でいきなり小町が出て来ました。
 ★思ひつつぬればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(古今集 小野小町)
 NHK「究極の短歌・俳句100選ベストセレクション」の恋と言う番組の再放送で、
 選者が短歌50首、俳句50首を選ぶと言う嗜好。

 選者の一人、栗木京子さんは、新古今和歌集をよく読んでらっしゃるらしく、
 式子内親王の百人一首と、
 ★ながめつつ思ふも寂し ひさかたの月の都の明け方の空(新古今和歌集 藤原家隆)
 を選ばれておりました。家隆は、定家ほど有名ではありませんが、後鳥羽院歌壇の
 双璧で、定家ほど性格が悪く無いです。
 ★花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春をみせばや(六百番歌合)
 この歌は、茶人千利休が座右の銘にしていたそうです。貴方の知らない新しい美を
 見せようと言う意味ですね。
 ★下紅葉かつ散る山の夕時雨 濡れてやひとり鹿の鳴くらむ(新古今 秋歌下)
 巻頭歌(一番最初に掲載される歌)の栄誉を受けたもので、俳句の季語
 「紅葉かつ散る」の元になった歌です。
 ★志賀の浦や遠ざかりゆく波間より氷りて出づるありあけの月
 私は幽玄の歌だと思っています。
 ★露時雨もる山かげのした紅葉濡るとも折らむ秋のかたみに(秋歌下)
 私の好きな歌で、歌のイメージが、晩秋の映像となって、入って来る気がします。
 ★契りあれば難波の里に宿りきて波の入り日を拝みつるかな
 最後は、大阪市天王寺区に夕陽ヶ丘と言う地名、四天王寺前夕陽ヶ丘駅と言う駅が
 有りますが、由来はこの歌によります。


     「曼殊沙華」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

     「未だ咲く 宗旦むくげ」
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酔芙蓉に寄せて

2022年09月17日 14時03分55秒 | 短歌
 最近「水曜サロン」に参加いただいた紬さんが、今回のサロンへ「酔芙蓉」の短歌を
三首出詠頂きました。いずれの歌も調べと表現が秀逸と思いました。
紬さんは、高橋治の「風の盆恋歌」を想い出して詠まれたとの詞書に在りましたが、
私もかつてこの小説の世界にあこがれ、出張帰りに足を延ばし八尾を訪ねたことが
ありました。

     「酔芙蓉 八重  咲き始め」

     「酔芙蓉 一重  咲き始め」
 「越中おわらの祭」はすでに終わり、町は静寂の中に眠っていました。ぼんぼりに
灯がともり、胡弓の音が流れた風の盆の夜の熱狂は、そこにはありませんでした。
しかし、酔芙蓉が花弁を紅に染めながら未だ咲いている姿に、かつての祭りの面影と
夏の名残を感じました。

     「酔芙蓉 八重  昼間」

     「酔芙蓉 一重  閉じた花も」
 そんな思いを込めて、酔芙蓉に寄せて詠ってみました。かつてこのブログに載せた
詠歌とラップするものもありますが、小さな物語の構成部分として見て頂けたら
幸いです。

     「酔芙蓉 八重  紅に染まる」

     「酔芙蓉八重 の咲く道」

 ☆酔芙蓉 朝の光に生まるるや白き花弁も 耀き初める
 ☆酔芙蓉 陽の傾きを察してか 花びら染めて音無く閉じる
 ☆落日の思いも汲むか酔芙蓉 ひと日の花の極み飾るは
 ☆夕あかね映し紅さす酔芙蓉 ひと日の花の哀しみも秘め
 ☆そのいのち ひと日に仕舞う酔芙蓉 晩夏の夕べ密やかに散る
 ☆それぞれの想いに染まる酔芙蓉 季に惑いし悔いも秘めるや
 ☆秋雨に濡れつつ開く酔芙蓉 逝く夏惜しむ哀しさもまた

                     了
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その52) 

2022年09月14日 05時25分01秒 | ボランティア
「口語短歌・水曜サロンの会」(その52)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。☆☆☆


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「酔芙蓉 一重」


「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】9月5日私のブログに掲載した口語短歌です。ブロ友の「薩摩いもこ」さんが私の
    撮影した「ポール・セザンヌ」をJtrimで額装して下さいました。出来栄えに
    感動しまして思わず短歌を詠みました。
☆薔薇の花 Jtrim(ジェイトリム)での 額装は 煌びやかなる 芸術絵皿
                         浅間山明鏡止水 (knsw0805)さん
【詞書】BS日本テレビ「小さな村の物語・イタリア」この番組が好きでいつも見ています。
    BGMで流れる曲と三上博史の語りが大好きで二人とも嵌まっています。
☆イタリアの 小さな村の 物語 歌と語りに いつも癒される
☆日曜日 朝の時間に 流れるは 三上博史の イタリアの村

                         浅間山明鏡止水 (knsw0805)さん

【解説】
 二首目、三首目の「小さな村の物語・イタリア」についての番組の紹介に
  「人間本来の暮らしが息づく〝小さな村〟が今、注目されています・・・
   〝豊かに暮らす 美しく生きる〟とはどういうことなのか。
   私たちが忘れてしまった素敵な物語が、小さな村で静かに息づいて
   いました」
 と、記されていました。
 この番組への賛歌とも言える詠歌は、作者の想いが込められ共感を呼ぶ歌と考えます。
 二首目、三首目から発想を飛ばして、ご参考として一首詠んでみました。
【ご参考】
 ★イタリアの「小さな村」に残れるや つましきたつき豊かさ溢れ

    注)たつき:生活、生計


【詞書】高橋治の「風の盆恋歌」を思い出しながら今を盛りの酔芙蓉を詠んでみました。
    八尾の町は今頃門ごとに鉢植えの酔芙蓉が咲いているのかもしれません。
☆頬そめて酔ってもみたし酔芙蓉グラスをあけて今宵待とうか
☆酔芙蓉いちにち花の哀れさに朝昼夕べに姿見にゆく
☆風の盆娘の衿元乱れなく雨のおわらの坂くだりゆく

                         紬さん
 
【解説】
 越中おわらの祭の夜に忍び逢い、互いに心を通わせながら、離ればなれに20年の
 歳月を生きた男と女。ぼんぼりに灯がともり胡弓の音が静かに流れる町角。
 そこに咲く酔芙蓉の花弁は紅に染まりながら、宵闇の中静かに閉じてゆく。
 「風の盆恋歌」のそんな情景が浮かぶ三首の歌を改めて味合わせて頂きました。
 一首目の「頬そめて酔ってもみたし酔芙蓉」の、調べと表現が秀逸と思います。



     「酔芙蓉 八重」

【詞書】胎動 「ベートーベン ピアノ・ソナタ第8番 悲愴 第2楽章」を聴いて
☆私は今、生まれ変わる!
    だからじっと産道へ行くのを待っている

                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 私は、古典の勉強をする時、精神集中とリラックスの為、YouTubeの作業用BGMや
 ミックスリストを聴きながらしております。
 クラシック名曲選でベートーベンの悲愴が流れていて、そのイメージから作りました。
 どうしてこの短歌に?と聞かれても、そう聞こえたとしか答えられないです。
 何故、ベートーベンもは悲愴と言う曲名を付けたのか?疑問ですしね😃
 たぶん、曲名は知らなくても、曲は聴いた事が有るかと。下記URLにYouTubeを
 貼付しておりますので、お聴きになられては?
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/51fab31fdf1b25a07afd2dbbd122bf5f

【投稿外コメント】自閑 (jikan314)さんご自身のコメントです。
 今回は、新古今から離れて、建礼門院右京大夫を紹介します。
 建礼門院右京大夫は、建礼門院(平徳子)に出仕し、平資盛と恋仲となり、平家の
 都落ちで生き別れ、壇之浦の後、建礼門院を大原に訪ねる様子が、建礼門院右京大夫集に
 あります。滅多に古典を現代語に訳さないのですが、右京大夫集と今昔物語集だけは、
 訳をblogに掲載しております。右京大夫のイメージとして、若尾文子さんが、語りかける
 様にと自分では思っております。

  寿永の平資盛との別れ
   またためしたぐひも知らぬ憂きことを見てもさてある身ぞうとましき
    拙訳 また他に前例の無く、同じ樣な事も知らない生き別れという辛い経験を
       したのに、まだこうしてそのままに生きている自分がうとましい…

  大原訪問
   今や夢昔や夢と迷はれていかに思へどうつつとぞなき
    拙訳 今の詫び住まいが夢なのか、昔の栄華が夢なのか迷ってしまい、
       どう考えても現実のことと思われません

   仰ぎ見し昔の雲の上の月かかる深山の影ぞ悲しき
    拙訳 昔、宮中で拝見致しました雲の上の月の樣にお美しかった建礼門院樣が、
       この樣な深山にお住まいの御樣子を拝見致しますとは悲しいことであります

   山深くとどめおきつるわが心やがてすむべきしるべとをなれ
    拙訳 (建礼門院樣のお住まいになる)この山深い大原に残して置いてきた
       私の心が、やがて出家するという導きの道標となっておくれ
 右京大夫集は、再度注目されたのが、太平洋戦争で、夫や恋人を出征で戦地に送った
 方々から読まれたとの事です。
 大原の寂光院の裏山には、右京大夫の墓との伝承の墓石があります。観光客も
 そこまでは行かないです。

【解説】
 作者は「古典の勉強をする時、精神集中とリラックスの為、YouTubeの作業用BGMや
 ミックスリストを聴きながらしております」とのこと。
 新古今集等の古文書を読み解くには、それだけの集中力が必要の旨、改めて学ばせて
 頂きました。
 その成果を私たちに「おすそわけ」して頂けるのは有難い事と思っています。
 ご紹介頂いたYouTubeで「辻井伸行ピアノ・ソナタ第8番(悲愴)第2楽章」を改めて
 視聴させて頂きました。「悲愴」との標題には遠い澄明で哀切さに満ちた旋律に
 「青春の哀傷感」を感じ取ることが出来ました。
 この曲を聴きながら「私は今、生まれ変わる!」の詠歌を紡ぐ、作者の発想力に
 感嘆した次第です。
 なお、建礼門院右京大夫の和歌について紹介いただきありがとうございました。
 コメントでも記されておりましたが「太平洋戦争で、夫や恋人を出征で戦地に送った
 方々から読まれたとの事」は、事実のようですね。
 今、私も「空白の短歌史」を時々ブログに掲載させて頂いておりますが、その資料の
 中で「右京大夫集」の記述に触れたことがありました。



    「芙蓉 淡紅」

【詞書】赤ちゃんを久し振りで抱きました。思いのほか私の子守歌が気に入って
    くれたようでたっぷりスキンシップができました。
    子育て時代を思い出し、さわやかな喜びを感じました
☆抱き上げて 泣きたる赤子に ねんころり 調べに揺れて 笑顔いづるよ
☆腕の中 見上げ聞いてる子守唄 「あーうー」と真似る みどりご可愛
☆見つめおる 黒き瞳の愛らしさ 微睡ながら まなこ閉じるよ

                         さわやか♪さん

【解説】
 三首の歌は、愛するお孫さんに触れ、そのスキンシップにより甦ったかつての
 子育て、その時代の思い出が、すっきりと詠まれていて共感を呼びます。
 いずれも、良く分かる歌ですが、三首目を少し添削させて頂きました。
 ネットでの交流により了解を得ましたので、添削歌として載せさせて頂きます。
【添削歌】
 ★見つめくる 黒き瞳の愛らしさ 微睡ながら まなこ閉じゆく


☆たのしみは 足止めてみるアキニレの 小さき花に心浮くとき
☆たのしみは 紅き葉一枚手にとりて しみじみ秋を思うひととき
☆たのしみは 空澄み渡る秋の日に 風に誘われハミングするとき

                        shima-千恵子さん

【解説】
 いずれも「小さな秋」の訪れを味わい深く詠っており、良く分かり共感が
 湧く歌と考えます。
 秋彼岸を前に、目を凝らせば秋の訪れはそこかしこに溢れていますが、
 そんな訪れに目を留めて的確に詠われています。
 特に二首目の「紅き葉一枚手にとりて しみじみ秋を思う」と、三首目の
 「風に誘われハミングする」は、さりげなく詠われていますが、表現が
 秀逸と考えます。


☆ヒグラシの声聴くたびに哀しみは 重ね深まり夏も去り行く
                      ポエット・M

【解説】
 晩夏の夕暮れ、ヒグラシの鳴き声が響いてきます。盛夏のミンミンゼミとは異なる
 そこはかとした寂しさを含んだ音色は、去り行く夏を静かに知らせているかに
 聞こえます。
 エネルギーに満ちた夏の季節が秋への移ろいを示す時、説明のしようもない寂しさ、
 哀しみが襲う時があります。それは年を重ねる毎に深まりますが、ヒグラシの
 鳴き声がその想いを一層強めるかに感じることがあります。
 そんな哀しみや切なさが深まっていく思いを詠んでみました。



     「ヒグラシ蝉」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (53)
 13.悪夢のアウシュヴィッツ(4)


   ああ! 我れは深き淵より
           (『詩篇』)

   アルバイト
     マハトフライの 
        ドイツ語は※
     夢にも夜と
        霧とに浮かぶ

      時と言う
        死の門上に
          アルバイト
         マハトフライと
            指が書く夢

       時と言う
         アウシュヴィッツの
           ガス室で
          我れは裸体で
            死を待つ悪夢

      時と言う
        アウシュヴィッツの
            工場で
          老いたる者が
             我れを焼く夢

    我れもまた
      我が魂も
        時と言う
       アウシュヴィッツで
         灰と化す夢


 注)※ アルバイト マハト フライ
   独: Arbeit macht frei
    ナチス政権がユダヤ人を収容する強制収容所のスローガンで、強制収容所の
    門のアーチの文字に用いられ「働けば自由になれる」と訳されています。


     「未だ咲く 夾竹桃」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの小野小町等の歌の紹介】
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 何気にテレビチャンネルを回して?いると、NHK教育でいきなり小町が出て来ました。
 ★思ひつつぬればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(古今集 小野小町)
 NHK「究極の短歌・俳句100選ベストセレクション」の恋と言う番組の再放送で、
 選者が短歌50首、俳句50首を選ぶと言う嗜好。

 選者の一人、栗木京子さんは、新古今和歌集をよく読んでらっしゃるらしく、
 式子内親王の百人一首と、
 ★ながめつつ思ふも寂し ひさかたの月の都の明け方の空(新古今和歌集 藤原家隆)
 を選ばれておりました。家隆は、定家ほど有名ではありませんが、後鳥羽院歌壇の
 双璧で、定家ほど性格が悪く無いです。
 ★花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春をみせばや(六百番歌合)
 この歌は、茶人千利休が座右の銘にしていたそうです。貴方の知らない新しい美を
 見せようと言う意味ですね。
 ★下紅葉かつ散る山の夕時雨 濡れてやひとり鹿の鳴くらむ(新古今 秋歌下)
 巻頭歌(一番最初に掲載される歌)の栄誉を受けたもので、俳句の季語
 「紅葉かつ散る」の元になった歌です。
 ★志賀の浦や遠ざかりゆく波間より氷りて出づるありあけの月
 私は幽玄の歌だと思っています。
 ★露時雨もる山かげのした紅葉濡るとも折らむ秋のかたみに(秋歌下)
 私の好きな歌で、歌のイメージが、晩秋の映像となって、入って来る気がします。
 ★契りあれば難波の里に宿りきて波の入り日を拝みつるかな
 最後は、大阪市天王寺区に夕陽ヶ丘と言う地名、四天王寺前夕陽ヶ丘駅と言う駅が
 有りますが、由来はこの歌によります。


     「朝顔の花」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
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    できない場合もありますのでご了承願います。

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「春秋」(「綜合詩歌」改題)誌鑑賞(13) 「白萩の浪」

2022年09月11日 09時55分21秒 | ボランティア

―戦時下、空白の短歌史を掘り起こす その13―
    「白萩の浪」

 「古典太平記」に乱舞するつわもの達の哀史。源氏一門の新田義貞に攻め込まれ、北条一族ことごとく自刃して果てた地、鎌倉宝戒寺。ここはまた、坂東武者たちの夢を乗せて、源頼朝が打ち立てて150年余続いた鎌倉幕府滅亡の象徴の地でもある。執権北条の怨念に満ちた呻きが聞こえてきそうな、静寂が包む寺域一面は白萩の群生に埋まっている。
 鎌倉の萩寺とも言われる宝戒寺は1335年(建武2年)に北条高時の菩提を弔うため、後醍醐天皇が足利尊氏に命じ北条執権邸跡に建立されたと伝えられている。山門から本堂に至る小径を覆う白萩を、初秋の夕陽が柔らかに染めている。煙るように咲く白萩は淡い逆光の中で、その白さを際立たせ、行きかう人々を誘うように揺らいでいる。
 胡蝶にも似た無数の小花を纏う白萩は、つわもの達の哀史を飾るにふさわしい清楚な花である。その花の一つ一つに折りたたまれた物語が時空を超えて甦ってくる。そんな哀史の一ページを、そう遠くない大戦下の詩歌の世界から紐解いて見たい。

 昭和十九年七月。東条内閣倒壊後、後任の小磯主相は組閣にあたって「国民大和一致、敵米英の反攻を撃砕するのみであります」と声明した。しかし、緊迫する戦局に対して何一つ有効な対策を立てることが出来ず、事態は益々悪化の一途を辿っていった。また、この内閣は世に言う「木炭自動車内閣」とも呼ばれ、政治力の乏しさを露呈した。マリアナ玉砕後、日本軍航空部隊の再建はついに出来得なかった。このマリアナを基地としたアメリカ空軍は、制空権を失くし無抵抗となった日本本土に対する、大規模な空襲を開始した。

 昼夜を問わない空襲と、その警報が各地で鳴り響く中で発刊された「春秋」9月号は、改題後第三号を数えた。巻頭には「墨八首」と題して、岡麓氏の短歌作品が掲載され、形式的な戦意高揚歌とは一線を画して、風雅な趣を添えている。なお、本号に作品を寄せた代表的歌人は、上林角郎、真崎徹、杉本糸子、渡辺會乃、野村泰三の各氏を初め19名の方々であった。 本土への大規模な空襲が現実のものとなった、この月に学童疎開の計画が実施に移された。幼子との別れは夫や、恋人との別れを超えた淋しさで、人々を押し包んでいった。また、死と隣り合わせの日常は、遠い戦場の出来事ではなく人々の日々の生活を覆い始めていた。

 このような情況下で紡ぎだされた歌には、歌人達の死生観が否応無く滲み、静かな緊張感をみなぎらせている。そんな歌人達の思いが溢れ、資料的にも貴重な珠玉の一首とも言える歌を抄出させて頂いた。


 近詠                        中井克比古
  警報下の暗き部屋にてわが父の位牌を包む母の後姿(うしろで)
  挙手の礼してわが道を子いでゆけり障(さや)るものなく耀ふらしも
  私の命一つにこだはらぬ時代(ときよ)に生きてむしろやすけし

 淙々居吟                      上林 角郎
  明日ありと思はぬ日々を送りつつ必ず明日のありと日々思ふ
  強からぬ狩野君さへ徴されたる世とし思ひて努むべしわれも
  決められし疎開にとほく手離さむ子の幼さをのみおもひ居り

 即日帰郷                      真崎 徹
  つづまりは感傷にをきて寄せ書きの旗をりたたむ宿のたたみに
  かんぼぢやの花に触媒する妻よ子なきをその夜嘆きたりしが
  日暦はその日のままになほありて部屋に座ればはや疲れをり

 梅雨どき                      渡辺 曾乃
  サイパンの死闘を思へば庭木々の若葉の照りもわが目に昏し
  工場のベルトの唸り警報と錯覚したるわれをさびしむ
  貧しかるわれを師として疑はぬ子らの瞳に合ひて惑へり

 作品                        野村 泰三
  病み伏していくばくうとく過ぎしゆゑ夏へ移れる光りに怯ゆ
  国をこぞる戦に徹しぬさりながら或る日はなごみて無為なりにけり
  凄惨なり死闘するぞと伝へ来てわが嘆けども銃後にありつつ


 空襲警報の鳴り響く部屋の中で「父の位牌を包む母の背」に注ぐ子のまなざし。「疎開にとほく手離さむ子の幼さ」に寄せる父母の思い。「サイパンの死闘」と、それに続く玉砕に思いを馳せるおみなの悲憤。呻吟や慟哭の夜を重ね、それに耐え、越えながら詠まれたこれらの歌から滲み出してくる想いを、重く受け止めていきたい。

 本号には、これら短歌作品の他に古野清人氏による「トバ湖畔の聖者」と題する随筆を初め伊澤幸平氏、北村淑子氏らによる論文、紀行文が掲載されている。戦時統制下、用紙窮乏のおり随筆、論文等の編集にも厳選のあとが感じられる。これら論文の中から歴史的にも、また文献的にも貴重な資料として古野清人氏の文章の一節を抜粋し掲載したい。


 ―官憲と現地住民との媒介となる現地出身の官吏、警察官などは大部分がフランス統治時代のイデオロギーを、大東亜共栄圏理念へ切り替えているわけではない。したがって衣料、食料を根本とする経済変動は奔々と痛感されても政治的革新は急速に実現されえないような情況の下にある。そこに現地住民の不満と不安が胚胎し、伝統に宗教的雰囲気の豊かな社会にあっては、必然的に宗教運動を核心とする新しい運動が展開される根拠がある。もちろん、この種の運動が十分に成長するか中絶するかは、主として諸種の社会的要因によって決定される。―

 オランダそして、フランス等欧州列強の植民地として、その桎梏と抑圧の下で呻吟してきた長い歴史をもつスマトラの民衆。そこに戦勝者として登場した日本と、その掲げる共栄圏理念に寄せた人々の惑いと苦悶を思い起こしている。この惑いと不安が「宗教運動を核として新しい民族的な運動へと発展する」との古野氏の指摘は、其の後の歴史の進展と、怒涛のような民族独立への展開をみるとき、氏の洞察の確かさを示している。

 本号では、会員からの投稿歌を中井克比古、泉四郎の両氏が選者となって二部立てで選歌を行なっている。なお、「春秋」と改題以来の選者、高木一夫氏は家族の疎開のため、選歌を休まれた旨が編集後記に記されている。 この作品の中から、緊迫する戦局と明日をも知れない生命を抱きながら、なお湧き上がる思いを岩に爪で刻むが如くに詠われた歌。詩魂の結晶とも言えるそんな歌の数々を抄出させて頂いた。

  ☆汝を産むと二日二夜苦しみし我に応へてかく輝やくか      野島 いさ子
  ☆ひそまりし街の物音に底ごもりしずかに燃ゆる憤り聴け     金剛 みを
  ☆うら若く妻と呼ぶべきひとを置きてみ艦の君の還る日はなし   菅野 貞子
  ☆応召の名簿の中に筆太く君戦死すと書きて涙す         小島 欽一郎
  ☆まなかひはしろき雲立つこみどりのしずけき峡に君は葬むる   石田 愛子
  ☆幼きもの母人等悉く血潮染めたりああサイパン島        原  恵子
  ☆一筋に生きる命を汗にして燃ゆる入日にまむかふ吾は      河本 文子
  ☆ゆく者はなべて追はねどしかすがにこの侘しさや術なかりけり  神谷 ツネ子
  ☆さねかづら逢ふを楽しみ居ると言ふ妻を思へば身も謹しまむ   藤森 正光
  ☆一輪のダリヤが保つひそけさを悲しきまでに感じつつをり    宮路 芳夫
  ☆ただひとり ただひとりなる野のみちに抱きてありし心放たむ  府川 とし枝
  ☆愛し子を三人ささげてその母はしずかに田畑守りています    花鳥 克己
  ☆きほひ立てる心悲しもうつそみの人の生命は儚きものを     岩田 文子
  ☆靖国の神と鎮まりましませど夫と呼ばまし宵もありけり     星佳 歌子
  ☆君征くとききたる夜は今更に防人の歌を吾は思ふも       郡司 礼子


 戦局が苛烈さを極める中、小磯内閣は明日を担うべき多くの有為な青年達を「もののふ」に急仕立てし、消耗戦となっている戦場へと送り出していった。徹底した皇国教育により、使命感に燃えて戦場へ赴いた「もののふ」も少なからず存在したであろう。しかし多くの青年達は後に残される妻を、父母を、そして恋人を思い、断ち切りがたい絆を引きずり、強いられた旅路へと向かったことも想像に難くない。

 ましてや、アッツ島に始まり、ケゼリン島、コット島、さらには在留邦人の全てを含むサイパン島の玉砕の悲報に触れての出陣は、正に死出の旅路を意味した。
 なお、「幼きもの母人等悉く血潮染めたりああサイパン島」と詠われた島。サイパン島では多くの民間人が米軍に捕われる事を良しとせず、また日本軍側も民間人に対する配慮が行き届かなかったため、岬に追い詰められた民間人がバンザイクリフ(マッピ岬)やスーサイドクリフから海に飛び込み自殺を余儀なくされた。多いときでは1日に70人以上の民間人が自殺したとも言われている。アメリカ軍は自殺を防止するために島内に「民間人は保護する」旨の放送を繰り返していたとも伝えられるが、日本軍によって繰り返し吹聴された「残虐非道な鬼畜米英」への恐怖イメージのために、ほとんど効果がなかった事を史実は示している。

 「ただひとり、ただひとりなる野のみちに」たたずむ恋人を残し、また「うら若く妻と呼ぶべきひとを置きて」死出の旅路へ踏み出さざるを得なかった男達。その思いを受けとめ、銃後にあって日々の生活を支えたおみな達。その人々も本土が爆撃にさらされ戦場となる恐怖の中で、生活を背負う二重三重の闘いを余儀なくされていった。

 苦悩に呻く、その声すら上げる暇も無い日々にあって、歌に託した、また、託さざるを得なかった思いの数々。それは呻きを越えた魂の叫びと、その表出でもあった。そんな叫びがこだまとなって、これらの歌群より聴こえてくる。底こもる響きとなって・・・。 憤怒や嘆きに満ちる絶望の中から、一縷の希望を求める如く生み出された詩。そこからは悲愴や哀感を越えた、むしろ澄明な調べが基調音として響いてくる。あたかも初秋の風の音のように。

 北条一族の終焉を見守った地。宝戒寺の参道をはじめ、寺域一面を埋めて咲く花々は白一色に彩られている。萩は言うに及ばず曼珠沙華までもが白一色・・・。人によって更なる人の血が流されるのを拒むかのように・・・。参道をわたる風に吹かれた白萩が、波立つように揺れている。その波間に飛沫のように咲きこぼれる白萩の花。それは烈しい大戦の波間に揉まれながらも懸命に生き、闘ったおみな達が、祈るように求めた希望のともし火にも似て、微かではあるがしっかりとした輝きを放っている。
                           了
       初稿掲載 2008年9月14日
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その51)

2022年09月07日 06時57分06秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その51)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「酔芙蓉 一重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】8月27日土曜日、「24時間テレビ~会いたい」の中で無言館の設立過程を
    映画(浅野忠信主演)でやっていました。テレビを見ながら3首詠みました。
☆画学生 生きた証は キャンバスに 戦地で散るも 想いを込めて
☆一筆(ひとふで)に 魂込めて 描く(えがく)のは 愛の叫びと 男女の絆
☆あと少し 絵画に向かい 出征を 惜しんで描(か)くは 生の叫びか

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 無言館の設立過程の描く映画が、感動的であった故でしょうか、今回の詠歌は、
 いずれも作者の感動と、想いが溢れ、引き締まった歌となっていると感じました。

 無言館の館主、窪島誠一郎氏が開館の日に詠んだ詩の一節に
  「遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ
   私はあなたを知らない
   知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ
   その絵に刻きざまれたかけがえのないあなたの生命の時間だけだ」
 と・・・、詠っていました。
 私たちも、その絵を見るたびに「絵に刻きざまれたかけがえのないあなたの生命」と、
 その想いを引き継いでいかねばとの想いにさせられます。特に、ウクライナ、台湾を
 めぐる緊迫とした情勢の中で…。一首目を少し添削してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★画学生 生きた証は キャンバスに 戦地に散るも 想い残れる


【詞書】ご挨拶代わりに、私の住む町のシンボル像を詠んでみました。
☆空展くわが住む町の駅前に少女の像が 伸びやかに立つ  
                         紬さん
【詞書】先日、奈良へ行った時、鹿と遭遇。奈良の鹿はその昔、鹿島神社から
    神鹿に乗ってやってきたという伝説があり、神の使いとして手厚く
    保護されています。
☆鹿せんべい見せれば濡れた唇で品よく食べる優しその瞳も
                         紬さん
【詞書】賑やかに青春を謳歌していた蝉の声もいつの間にかツクツクボウシに
    代わっています。雨の早朝にお腹を見せてあちこちに骸となって・・・
    夏の入道雲は見たのか?と思わず話しかけました。
☆腹見せて短き命の落ち蝉や あっぱれなるかな見あぐ青空
                         紬さん

【解説】
 今回から「水曜サロン」へ参加いただいた、紬さんの詠歌です。皆さんも
 宜しくお願い致します。
 「伸びやかに立つ」「優しその瞳も」「見あぐ青空」と、それぞれの詠歌の五句を
 あげてみましたが、いずれも詠歌をしっかりと締め手堅い歌となっています。
 なお、一首目の詠歌、どこまでも澄み渡る夏空のもと、駅前に立つ少女像が夏の
 陽光を受け爽やかにすっくと立っている。それは町の「シンボル像」とのこと。
 その像を愛情をこめて「伸びやかに立つ」とすっきりと表現しきった作者に、歌の
 手練れを感じます。情景がすっきりと浮かぶ表現を、私たちも心掛けたいと思います。


【詞書】夏の終わりに
☆今年もコロナで終わった夏
   とりあえず珈琲飲んでからだなあ

                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 この3年目に突入したコロナ禍の夏は、田舎の兄や東京の甥、友人など身近な者に
 感染が蔓延しました。1週間で100万人も感染していましたし。
 よく知人には、「アメリカ大統領、日本の首相閣僚でも感染するんだから、どんなに
 気を付けていても、いつ感染してもおかしく無い」と言っております。
 人生のカウントダウンが始まった小生にとっては、貴重な夏なのに、不要不急な
 (そもそも自分はそればかり)外出を控え、店の片隅で黙食しつつ飲んでおりました。
 自分自身では、どうにもならない事は、深く考えず、アイスコーヒーから普通の
 コーヒーを飲みながら、好きな曲を聞き、秋の夜長を過ごそうと。その時聴いて
 いたのが、東儀秀樹さんの篳篥と賈鵬芳さんの二胡の共演 「夏の終わりに」です。
 下記URLにYouTubeを貼付しておりますので、皆様もこの夏を振り返っては如何ですか。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/76d616a0c8e548e4f8c13e7e8091f24b

【投稿外コメント】自閑 (jikan314)さんご自身のコメントです。
 何気にテレビチャンネルを回して?いると、NHK教育で、いきなり小町が出て来ました。
  思ひつつぬればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(古今集 小野小町)
 究極の短歌・俳句100選ベストセレクションの恋と言う番組の再放送で、選者が短歌
 50首、俳句50首を選ぶと言う嗜好。
 選者の一人、栗木京子さんは、新古今和歌集をよく読んでらっしゃるらしく、
 式子内親王の百人一首と、
  ながめつつ思ふも寂し ひさかたの月の都の明け方の空(新古今和歌集 藤原家隆)
 を選ばれておりました。家隆は、定家ほど有名ではありませんが、後鳥羽院歌壇の
 双璧で、定家ほど性格が悪く無いです。
  花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春をみせばや(六百番歌合)
 この歌は、茶人千利休が座右の銘にしていたそうです。貴方の知らない新しい美を
 見せようと言う意味ですね。
  下紅葉かつ散る山の夕時雨 濡れてやひとり鹿の鳴くらむ(新古今 秋歌下)
 巻頭歌(一番最初に掲載される歌)の栄誉を受けたもので、俳句の季語
 「紅葉かつ散る」の元になった歌です。
  志賀の浦や遠ざかりゆく波間より氷りて出づるありあけの月
 私は幽玄の歌だと思っています。
  露時雨もる山かげのした紅葉濡るとも折らむ秋のかたみに(秋歌下)
 私の好きな歌で、歌のイメージが、晩秋の映像となって、入って来る気がします。
  契りあれば難波の里に宿りきて波の入り日を拝みつるかな
 最後は、大阪市天王寺区に夕陽ヶ丘と言う地名、四天王寺前夕陽ヶ丘駅と言う駅が
 有りますが、由来はこの歌によります。


【解説】
 東儀秀樹さんの篳篥と、賈鵬芳さんの二胡の共演 「夏の終わりに」のYouTubeを
 視聴させて頂きました。
 二胡奏者である賈鵬芳さんと東儀秀樹さんの篳篥のハーモニーが素晴らしい👏
 歴史をたどれば発祥が同じと思わせる美しい和音になっていますね。
 詠歌の下の句「とりあえず珈琲飲んでからだなあ」は、行動をリセットする際の
 私達庶民の生活の知恵でもありますね。
 なお、新古今集を中心とした和歌の紹介を、今回も行って頂きありがとうございます。
 私はもとより、「水曜サロン」に集う皆さんの学びになると考えます。


     「未だ咲く 向日葵」

☆一目惚ればかりでありし若き日の我が恋おもひ出すときのあり
☆ひと目見て一生(ひとよ)思ひを持ち続けわが初恋に果てはあらざる
☆触れることひとたびもなく人を恋ふ恋をしながら古希も過ぎにき

                         suisenさん

【解説】
 未だ瑞々しい感性を湛えた三首の詠歌は「若き日」の思い出が、未だ鮮明ゆえと
 思います。特に、二首目は
   観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生
 と詠った栗木京子氏の歌を彷彿とさせます。
 栗木氏は令和初の歌会始の儀で召人に選ばれた方でもありますが、彼女はこの歌を
 20代の前半に詠んだと言われています。
 これからも,このように感性溢れるお歌を詠み続け、出詠されることを期待したいと
 思います。

☆たのしみは 通りの木々に声をかけ 朝リハビリ室に向かうとき
☆たのしみは 小包開けてふるさとの 里芋大根手にするとき
☆たのしみは 芽が出て伸びて瓜食べて 蔓を手繰って実入りみるとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 作者の独樂吟を鑑賞して、いつも思うのですが、何気ない日常の一齣に眼差しを向け、
 その中に楽しみを見出し感性の豊かな詩を紡ぐ。そこに絵手紙制作で鍛えられた作者の
 確かな観察眼とともに、心根の優しさを感じます。
 特に、三首目の「瓜」の双葉から実のりに至る「瓜の生涯」を一首の中に詠み込んだ
 手並みは流石と思います。


☆これもまた「三年ぶり」と言いたるや 久々仰ぐスターマインを
                         ポエット・M

【解説】
 新型コロナ感染症の蔓延の中で、二年半にわたり夏の風物詩と言われた花火大会や、
 夏祭り等々が軒並み中止を余儀なくされてきました。そんな中で規模を縮小しながら
 いくつかの花火大会や、夏祭りが今年は実行されました。そんな花火大会の場で
 夜空を染めて耀くスターマインの等に久々の感動を味わいましたが、そのプログラムの
 説明書きに必ず「三年ぶり」の注釈が付きました。そんな場面を詠んでみました。


    「咲き初める コスモス」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (52)
 13.悪夢のアウシュヴィッツ(3)


   ああ! 我れは深き淵より
           (『詩篇』)

   再びは
     この世に光る
       当てもなき
     星を仰ぐや
        クリスマスイブ

      十字架を
        打つ釘音に
          うなさるる
        病める心の
          雨の夜の夢

       カナリアの
         首を締めたる
           恋人に
          銃弾一発
            悪夢の終わり

     「殺せ」と言う
         雲間の声に
            逆らいて
          ホタルを闇に
            放ちたる夢

    一匹の
      蝿の羽音に
        破らるる
       毒気激しき
         我が超人夢



     「風に揺れる秋桜 淡紅」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの和泉式部の歌の紹介】前週に引き続き掲載致します。
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 和泉式部について、御関心が有ると言う事で、今週は和泉式部を数首紹介します。
 恋多き歌人として有名ですが、当時一番有名な歌は、
 ★冥きより 冥き道にぞ 入りぬべき 遥かに照らせ 山の端の月(拾遺集)
   姫路の書写山の性空上人に送った歌です。娘小式部内侍と死に別れて、
   心が暗く塞ぎ込んでいた時期かと。
 ★置くと見し露もありけりはかなくて 消えにし人を何に例へむ(新古今 哀傷)
   小式部内侍が死んで、上東門院が小式部内侍の衣をお経を表紙にすると
   言うので、差し上げる時。
 ★ねざめする身を吹きとほす風の音を 昔は袖のよそに聞きけむ(新古今 哀傷)
   恋人の為尊親王、敦道親王が相次いで亡くなり、ふと真夜中に寝覚め、恋人が
   いない現実を思う歌です。
 ★たらちねのいさめし物をつれづれと 眺むるをだに問ふ人もなし(新古今 雑歌下)
   たらちねは、親を導く枕詞ですが、この時代名詞化しております。うたた寝や
   物思いは良くないと親から注意されていたのに、今は物思いしても誰も心配も
   してくれない。
   和泉式部には、赤染衛門、紫式部、清少納言など多くの女流歌人と交流が有り、
   夫の橘道貞と疎遠となり、敦道親王と交際しているとの噂に、赤染衛門が、
    うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
      かへし 和泉式部
    秋風はすごく吹けども葛の葉のうらみがほには見えじとぞ思ふ
                           (新古今 雑歌下)
   安倍晴明の母、葛の葉伝説の大阪の和泉市の信太森葛葉稲荷神社には、歌碑が
   有ります。その他、多数撰集に撰ばれているのは、彼女の才能が非凡ならざる
   所以かと思います。
【suisenさんの関連コメント】
 自閑さん、和泉式部の歌をご紹介くださいましてありがとうございます。
 私は常々和泉式部の歌にも生き様にも憧れておりまして、今回、好きな歌をご紹介して
 いただき、改めて味わわせていただくことができました。が、歌が巧く、恋多き歌人で
 あった和泉式部も、娘の小式部内侍を失うという悲哀を味わったのですね。
 小式部内侍も母親の和泉式部に負けない才能豊かな歌人であったらしいですが、
 早死したのは惜しかったですね。小泉式部が時の中納言、藤原定頼に「お母さんに
 代作してもらう手紙はまだ着かないだろうね」と誂われた時、
   大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立
 と、やり返した歌は有名ですね。私も、こんな歌が即座に詠めるような歌人に
 なりたいです。小式部内侍も、母親に負けない恋多き女性だったらしいから、
 血は争えないということだったのでしょうね。
【チョウキチさんの関連コメント】
 赤染衛門
  うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
 和泉式部よりやや大人の女性の感じがしますね。
【チョウキチさんへの返答】ポエット・M
 おっしゃるように、赤染衛門は気の良い、面倒見の良い女性だったようですね。
 その意味では、まさに「大人の女性」であったと思っています。
 恋多き歌人であった和泉式部に、
  「心がわりしないでしばらく和泉の信太(しのだ)の森を見ていなさい
   葛の葉が風にひるがえるように、あの人が帰ってくるかもしれないのだから」
 と、詠い諭していますので・・・。
 この場合「和泉の信太の森」は和泉守に任じられていた夫の橘道貞を指して
 いますね。歌と共に、その背景も読み解くと歌の面白さが増しますね。


     「オクラの花」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了
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今年二度目の 月下美人咲く

2022年09月03日 16時34分57秒 | 日々の歩み
 昨日2日、全国で確認された新型コロナウイルスの感染者は12万8728人で先週金曜日より
6万人あまり減少しました。
東京都では2日、新たに1万2413人の新型コロナウイルスへの感染が確認され、先週金曜日
からは6010人減り、12日連続で前の週の同じ曜日の人数を下回りました。

 一方NNNのまとめによりますと、全国で新たに確認された感染者は12万8728人で、先週
金曜日より6万人あまり減少しました。
なお、2日から宮城・茨城・鳥取・佐賀の4県では全数把握を見直した運用が始まって
いますが、我が神奈川県は想定とずれがあるとのことで、今回の運用方法では乗れない
との事となりました。
いずれにしても、感染者は減少傾向にあるとはいえ、コロナ病棟を取り巻く「カオス」と
言われるひっ迫状況の改善を最優先に考えて対応頂きたいと思います。

 私たちも引き続きコロナ感染症対策の基本に則り、自らできる対応は続けていきたいと
思っています。
このような日々の徒然、我が家の月下美人が先月に続き二つの鉢に7輪ほど蕾を付けて
くれました。ところが、炎暑等気象の厳しさもあり途中で開花前に散り、最終的には
4輪が2~3日に渡って咲いてくれました。



 今回は例年より若干遅く、20時過ぎに綻びはじめ、22時過ぎには8割方の開花となりました。
綻びはじめから月下美人特有の芳醇で甘やかな香りが漂い始め、 23時頃にはほぼ満開となり
香りも、 風姿も雅な花が圧巻のオーラを放っていました。その姿に見惚れつつシャッターを
切り続けました。そして、日の変わる24時過ぎには心持萎み始めました。



 今年は、細君が月下美人の剪定をかなり大胆に行い、古い幹は無くなり大半が新たに
芽吹いた葉からの花でしたので、花の大きさも例年より若干小さめとの印象を受けました。
なお、剪定した幹を指して新たに育った鉢からも二輪咲いてくれましたのでほっとした
所です。

 前回のブログにも書きましたが、咲くたびに新たな魅力を見出し、惹きつけられる花は
月下美人の他にあまり例を知りません。 それはわずか数時間にも満たない花の命を、
懸命に咲き切るその花の見事さ故かもしれません。
開花の刹那に命の限りを燃焼し尽くす花の矜持と、生きざまに諭される思いです。


即興で一首詠んでみました。
  ☆ 真夜に咲く月下美人の香に酔うも ひと夜の命 凛々しさを知る
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