四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

月下美人によせて

2014年07月09日 21時08分54秒 | 日々の歩み
梅雨の季節。その鬱陶しさをはらいつつ冴え冴えと咲いた紫陽花も、散ることを拒みながら早や
朽ちつつあります。そんな週末の夕べ、我が家の月下美人が一輪だけですが夕刻から蕾を膨らませ、
九時過ぎに甘やかで雅な香りと共に、純白の大輪の花が開き始めました。

昨年に比べ10日ほど早い開花ですが、妻もその花の美しさと雅な香りに惹かれてか、
花の写真撮影に協力してくれました。

五十代後半に五時間にも及ぶ胸の大手術を受けた妻は、手術は成功したものの、その後合併症での
重い病を背負ってしまいました。
声が出なくなる等の症状を含めて、長く厳しい闘病生活が続き傍らでその状況を見てきた私は、
心を痛めながらもただひたすらに見守ることしか出来ない自身の無力さに打ちのめされる日々でも
ありました。

 最近は、体力もかなり回復し近隣の街へ旅行に出かけることが出来るようになり、また大好きな
スポーツも無理をしなければできるようになり、ほっとしているところです。
 そんな日々の中で、かつて大好きだった部屋の模様替えや、整理も少しずつやれるほどに
回復してきました。
その整理の中で、メモ書きも含めてなんでも蓄積し処分できない私の脇の甘さもあり、
私の10数年前のある女性とのメールを見つけてしまったのが事の起こりでした。

 「このメールは何?」と聞かれても、自分としてはその女性への深い思いもなく、
すっかり忘れており余計な心配をかけたくないとの思いから、あいまいな対応をしてしまいました。
このことから私への疑いが増し、さらに先に自費出版した歌集にある恋歌の情景が重なり、妻へ
大きなストレスと、苦しみ、更なる不信感を与えてしまったのです。
 このストレスが、しばらく落ち着いていた妻の合併症の再発となり、さらに病状の悪化を
招くという事態となり、私の妻に与えた傷の深さを改めて思い知ったのです。

「ずっとあなたの事を信じて、私なりに一生懸命あなたを支えてきたのに…」と
いう妻の言葉に、申し訳なさとともに胸が痛みました。

 「二人で仲良く暮らしていくのが一番」という妻の言葉を支えに、これからの日々、
共に寄り添い心穏やかに日々を送っていきたいと思っています。

こんな語らいの脇で、妻が丹精した月下美人はシュートを伸ばし、黄金の花しべと純白の
大輪の花とともに雅な香りを届けてくれました。
わずか数時間の花の命を凛々しく、懸命に咲き切る花の矜持に負けない、私たち夫婦の絆を
さらに強固に築いていきたいと思っています。

 ☆いのちある その歓喜をも諭すがに 月下の花しべ温きほほ笑み
コメント
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