四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その77)

2023年03月29日 05時23分07秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その77)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 大島桜」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】先週に引き続き「夕焼けシリーズ」を取り上げました。長野・関西は
    観光名所です。短歌の勉強にはもってこいですが、なかなか上手く詠めません。
 註)長野県「穂高温泉郷」
☆山の端北アルプスに日が沈み 闇の向こうに姿を消して
 註)滋賀県彦根市「荒神山」
☆荒神山緑あふれる公園は 夕日に染まり深い眠りに
 註)奈良県橿原市「藤原宮跡」
☆今昔の虫の音色もかくありと 癒される景色幻想的も
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 前週に続く「夕焼けシリーズ」は、画像が無くても、三首の歌から夕暮れ時の
 絶景が、鮮やかに思い浮かぶ描写力のある歌と思います。
 一首目は、「穂高温泉郷」から眺める北アルプスの雄大な山々を詠っていますが
 下の句の「闇の向こうに姿を消して」に、少し説明不足が感じられます。

 夕日が北アルプスを茜に染め上げた後、アルプスの山々を闇の中に閉じ込めて
 しまう刹那の描写ですので…、「推敲その1」でいかがでしょうか。
【ご参考】
★アルプスを茜に染める落日よ 刹那に闇のとばりを引きて

【詞書】俳句の先生には擬人化は駄目といつも言われますが、月夜に咲き満ちた
    桜の息づかいはあるのではないかと詠みました。静寂はしじまと
    ひらがなにしました。
☆咲き満つる桜の息のかそけきをただ聞ひてゐる月夜のしじま
                         みっちっちさん
【解説】
 月の光を浴びながら咲き満る桜の息吹を静寂の中で聴く、作者の至福のひと時が
 詠歌から浮かびます。「桜の下で春死なん」と願った西行の想いと共に…。
 なお、短歌にも「俳句の先生」がおっしゃるように、比喩は避けるべきと
 主張される先生方もおられることは事実です。また、短歌結社においては
 「比喩」を禁止とされるところがあると伺ったこともあります。
 ご存知のように比喩とは、あるものを別の何かに見立てて表現することを言い
 ますが、短歌に使われる主な比喩には「直喩」「隠喩」「擬人法」があります。
 ここで詠われる擬人法は、人間以外の桜を、人にたとえて表現する比喩方法を
 指していますが「桜の息のかそけきを」は状況に、ぴったりとはまっていると
 考えます。このような擬人化は、技巧として私も学んで行きたいと思います。
 なお、この場合の「ただ聞ひてゐる」は、「ただ聴ひてゐる」とされたら
 いかがでしょうか。桜の息吹に深く耳を傾けるイメージが明示されますので。

【詞書】何年か前に、梶井基次郎の桜のエッセイを読んで・・桜の季節が来ると
    思い出すのです。
    桜があんなに美しく妖しいのは、地下に眠る死者たちの肉体から、流れ
    出る美しい水晶にも似た液体を吸って成長するからだとあり、ビックリ
    したことが頭に残っています。
    と言うわけではありませんが、夜桜には桜の精が顔を覗かせているようで、
    鑑賞したことはありません。
☆地下深き水晶の液を吸いつくし桜はすべて死者への供花や
☆春嵐に犬も花びら背にのせて くしゃみしながらいま帰り来ぬ
☆スーパーのポテトサラダの袋もち そのまま散歩のゆれて春容
                         夕庵さん
【解説】
 作者がおっしゃる桜のエッセイは『櫻の樹の下には』と題する、梶井基次郎の
 短編小説でありますが、散文詩と見なされることもありますね。満開の桜の
 妖しいまでの美しさを歌い上げた詩文ですが、「近代文学に新たな桜観を
 もたらした」とも言われています。
 一首目は、この桜を詠って「桜はすべて死者への供花や」との表現は秀逸と
 思います。三首目は、いかにものどかな春げしきを詠い、また飾らない作者の
 姿が浮かび好感の持てる歌と思います。こんな「春容」も良いものですね。

【詞書】グルメ番組の多い昨今です。「へぇー、こんなんあるんやね~」と感心したりする
    ことも多々あるんですが、タレントやレポーターのコメントが何て言うか…。
    この間「うま!」「うまっ!」がやたら耳について、思わず「うまうまうまうまって
    競馬場かっ!」って突っ込んでしまったもんで……。
☆「うま!」「うっまー」と競馬場ではあるまいし 他(ほか)に言い方ないんかタレント
【詞書】モクレンが、下から見ても殆ど花が見えなくてつい忘れていたら、父が
    「うちのモクレンよおけ咲いてるなあ、二階の(自分の)部屋からよお見えるわ」
    と教えてくれたんで、見てみると確かにめっちゃ咲いてたんで、スマホで撮って
    母(家の中手押し車を押して何とかゆっくり歩けている状態だから二階へは
    無理なんで)に見せると「綺麗やなあ」と、とても喜んでいました。
☆伸び過ぎたモクレン 二階で見た父が
      「よお咲いてるな」と教えてくれた
【詞書】「新古今」の「吉野山…」の歌を見て、と、点けていたテレビで、WBCを優勝という
    結果で終わった選手達や監督始め関係者の面々が帰国して、空港で待つファンの
    前を通る場面をやってたものですから、ふと、思いついて詠ってみました。
    ドラマチックな幕切れで、優勝というこの上のない結果に終わったWBC。これは
    お祭りみたいなんで、見ててわくわくし、正直楽しめたんですけど…。
    また、宇宙ネタは、若田さんが帰還したりしましたが、別の機会に詠みます。
☆空港にWBCメンバーを今か今かと人や待ちなむ
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目は、鋭い「ツッコミ」で思わず拍手が湧きますが、おっしゃる通りですね。
 昨今のメディアの安易な番組制作の現状へ警鐘を鳴らす歌は、夕庵さんも詠んで
 おられましたが、タレントさんたちの表現と言葉の貧しさも目につきますね。
 色々な形で視聴者の立場から警鐘を鳴らしていくことは、マスコミの健全化の為
 にも大切なことと思います。
 三首目は、WBCメンバーの凱旋を迎える方々を活き活きと詠んでいますね。
 「野球がベースボールに勝った」との表現の通り、ベースボール発祥の国を破って
 14年ぶりに優勝しましたが、メジャーの代表的選手を揃えたアメリカに勝っての
 優勝の意味は大きいと思います。そんなワクワク感が滲む歌は、私達みんなの
 想いを詠っていると思います。今回の快挙は子供たちにとっても大きな希望に
 なったことと思います。なお「宇宙ネタ」は次回に期待してお待ちしております。


      「白モクレン」

【詞書】さきほどネットニュースで年寄りには安楽死をという記事を読みました。
    私自身は安楽死を望んでいますが、若者から迫られて安楽死はしたく
    ありません。ついでに、最近の若者の年寄りに対する思いやりのなさも
    付け加えて詠ってみました。
☆迫られてするものでなし安楽死つね安楽死を望むといへど
☆健康な若者の座す障害者、老人席の前に老人
☆文盲率ひくき日本の国なれど文の読めざる若者多し

                         suisenさん
【解説】
 最近「安楽死」という言葉を、肯定的にとらえる人が増えているように
 感じますが、これは強いられてするものではないと私も考えます。
 なお、「安楽」は仏教の経典にある言葉で、単なる心地よさや快楽ではなく、
 修行の果てに経験する悟りという心の境地がもたらす状態を指しているとの
 ことで、本来「死」と結びつかないとの事です。釈迦も死の瞬間まで成すべき
 ことを追求したとのことですので、死につながる解釈は避けたいと思います。
 三首の歌は、もっともな内容と思いますし、この想いに賛同する方は多いと
 考えます。
 ただ、私たちは世代間の離反を促す言質には惑わされないようにしたいと
 思っています。かつて私たちが若者であった時代の自らの思いも想い起して、
 彼らとの距離を埋める努力もしていきたいと考えます。

【詞書】春のとても綺麗な季節になりましたね。先日兄の祥月命日にお墓参りを
    してきました。今年も、3年前と同じような新しい春が来ました🎵
☆お彼岸に
   逝った兄貴の
     面影を
  桜に映す
    今年の春も
                         クロママさん
【解説】
 お兄様の「祥月命日にお墓参り」とは、可愛い妹さんに常にお参りして頂けたら
 お兄様も幸せな方と思います。コロナ禍から少し解放され新しい春を感じる
 日々ですが、桜を始め春爛漫の景色を楽しみたいですね。
 お彼岸に身罷ったお兄様の面影は、桜を見るたびに思い出されるでしょうが
 この歌はお兄様への何よりの供華になると思います。お兄様への温い追憶の想いが
 浮かぶ分かりやすい、しみじみとした歌と考えます。

【詞書】春雨のアダージョ サミュエル・バーバーの「管弦楽のためのアダージョ」
    を聴いて
☆満開の桜の中を
       雨。。。
  なんて静かな朝なのだろうか
                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 サミュエル・バーバーの「管弦楽のためのアダージョ」(弦楽四重奏曲 ロ短調 作品11
 第2楽章)をある方がブログで紹介していました。YouTubeで聴いてみると、これほど
 人を憂鬱にさせる曲も無いなあと思って調べたら、ケネディ大統領の葬儀で流していて
 有名となり、バーバー自身は生前「葬式のために作った曲ではない」と不満を述べて
 いたそうです。しかし、これほどの憂鬱な曲を作っておいてとは思いますが。
 昭和天皇崩御の時もNHK交響楽団が演奏したとか。もう一つ映画プラトーンで使用
 されたイメージがあるが、今回の短歌では、そのイメージは使っていません。
 去年はパッヘルベルのカノンでの春雨だったが、今年は満開なのに何処にも行けない
 暗い雰囲気で静かな朝を。
 下記URLにYouTubeを貼り付けておりますので、ご覧いただけば幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/28dbfbaf7da328fa669642e2d38e5b56
【投稿外コメント】自閑さんご自身のコメントです。
  世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平 伊勢物語、古今)
 いよいよ桜🌸が満開となり、どこの桜を見ようかと、色々計画されてらっしゃるかと。
 今回も桜の歌を紹介します。
  花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日のこよひに似る時はなし(同 同、新古今)
 京都で、この歌に合う所はどこかな?と探し、東山円山公園の桜がライトアップして
 いたので、見に行きました。
  もろともにあはれと思へ山桜花より外に知る人もなし(行尊 金葉)
 吉野の奥千本に行った帰り、宮滝に行けると言う誰もいない山道を降りると、一本の
 桜が咲いていて、ふと口に出ました。
  山里の春の夕ぐれ來て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける(能因 新古今)
 印象派の絵画の様に感じます。合うかと滋賀の園城寺に行きましたが、大寺院で
 ちょっと違い過ぎました。
  さそはれぬ人のためとやのこりけむ明日よりさきの花の白雪(九条良経 新古今)
 後鳥羽院口伝によれば、良経は、この歌が自信作とのこと。大内の左近の桜の花見です。
  八重にほふ軒端の櫻うつろひぬ風よりさきに訪ふ人もがな(式子内親王 新古今)
 式子内親王は、大炊御門殿、今の京都裁判所と小学校辺りに住んでおり、隣に住む
 甥の惟明親王を花見に誘った歌です。京都裁判所の桜は、ソメイヨシノよりやや遅れる
 ので、京都御苑が散っていたら、見に行っては?
  桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞふりける(拾遺集 紀貫之)
 貫之と聞くと嫌悪を抱く方もいますが、花びらを空に知られぬ雪と表現した所が秀逸。
【解説】
 作者もおっしゃるように「バーバーのアダージョ」は、落ち込むほどに憂鬱な曲ですが、
 人の死は本来こういうものだと曲を通して主張しているとも言えますね。また、悼む
 想いを曲に込めたとも感じてしまいます。
 一方、「三大レクイエム」の作曲者の一人であるフォーレのレクイエムは、至福の
 喜びにも満ちた開放感を感じさせます。かつて、レクイエムがこんなに明るくて
 良いのだろうかとも感じました。作曲家の真意は理解できないですが、死に対する
 感じ方、理解はそれだけ振幅が大きいのだと思ったことがあります。
 この歌に詠まれたように満開の桜に降る雨のイメージと「バーバーのアダージョ」は
 ピッタリ合っていると感じます。このように
曲に響き合う詠歌も良いものですね。
 なお、在原業平を始め「桜の和歌」を紹介いただきありがとうございました。
 水曜サロンに集う皆さんの学びになりますので、次週以降にも掲載させて頂ければと
 思います。

【詞書】孫のいない私は若い人と年を比較することはないので、幼稚園児から知っている
    子の成長に驚きました。
☆高校の入学祝いを渡したり
     われと彼との年齢差六十
【詞書】湯中りは聞きますが、人中りはどうでしょうか
☆三年のコロナ籠もりの解除され
       外出おおく人中りする
                         リコさん
【解説】
 二首目は、人流も増え多くの人の中で「湯あたり」と同様に人に気疲れし体調に
 変調をきたしたとの、今日的な状況を詠んだ時事詠となっています。
 なお「人中り」の造語に込めた想いは十分に分りますし、賛同したいと思います。
 ただ「人当たり」「湯中り」「水中り」等はあっても、「人中り」は用語としては
 存在しないようですので、このケースのように詞書として示すことは必要と思います。
 斎藤茂吉の「逆白波」の歌は、造語としても有名ですが、私も名歌と思います。
  〇最上川逆白波の立つまでに吹雪く夕べとなりにけるかも  斎藤茂吉
 短歌で詠まれる歌語(句語)で辞書にない「造語」はたくさんあります。使用には
 一部批判はありますが、感性に響く納得性のある語であれば是と考えます。
 「水曜サロン」では短歌の諸々の規制や垣根を外し、純粋に「一行の詩」としての
 短歌のあるべき姿を求めてみたいとも思っています。

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆先がけて彼岸を前に咲く桜 なぶる氷雨も しのぎ上むく
                         ポエットM
★春彼岸 墓石を洗う息の背なに 誰の言葉か花のひとひら
                         夕庵さん
★ひとひらの花に託して伝えたき 想いもはるか今はただ夢
                         ポエット・M

☆春彼岸 墓石を洗う息の背なに 誰の言葉か花のひとひら
                         夕庵さん
★ 父母を偲びて春の彼岸花 その声今もわがうつしみに
                         みっちっちさん
★ 膝に猫のせて繰り言つぶやきし 母の丸き背ただに懐かし
                         夕庵さん
★ 膝の猫撫でて狭庭の水仙を眺めし母の丸き背いまも
                         みっちっちさん

☆先がけて彼岸を前に咲く桜 なぶる氷雨も しのぎ上むく
                         ポエットM
【詞書】氷雨もしのぎ上を向いて戦地に赴き、二十歳で戦死した若者。若き戦士は桜の
    ように咲き、そして散っていったのだ。桜は亡くなったものへの供花でもある。

★桜花 雨に散り そのひとひらは二十歳戦死とある墓へ落つ
                         みっちっちさん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆濡れてなお妖しく光る夜桜に お七のすがた浮かびて消ゆる
                         ポエット・M
【解説】
 当地で、東京より一日早く開花した桜・染井吉野は既に満開となっていますが、
 折悪く連日雨に見舞われています。それでもライトアップされた桜は妖しいまでの
 艶やかさと彩どりを放っています。そんな桜に坂本冬美の歌う「夜桜お七」の
 「燃えて燃やした肌より白い花」のイメージが浮かべて詠ってみました。この作詞は
 歌人・林あまりによるものですが、歌舞伎「八百屋お七」をモチーフとしたとも
 言われています。
 

     「夜桜 染井吉野」


「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (20)
  
6.山岳無情(2)
 
   山がある故に登らんその自乗
          独り心で遠く泣くため  嵯峨吹雪

   誰が泣くや
     陽のさんさんと
          降りそそぐ
       富士山頂に
          「白痴」となりて ※1

        遥かなる
          君の聖国(みくに)を
                 仰ぎ見る
              富士山頂の
                影ぞ哀しき

               春の夜の
                 夢路を辿る
                    故郷の
                薄黄緑の
                  山の峰峯
         身も震え
           心も震う
             故里の
            峠に荒れし
              山河を見つつ

      故里の
        荒れし山河に
            赤々と
          夕陽の射して
             傷のごとしも

    註)※1:ドフトエスキー「白痴」の主人公 ムイシュキン侯爵への
          深い共感をこめて…。


     「椿・鈴鹿の関」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 字数制限(HPコードレベルで30,000字)により、今回は掲載を見送りました。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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祝!!「侍ジャパン」第五回WBC優勝

2023年03月25日 07時35分14秒 | 日々の歩み

 観測史上最速タイで、東京で開花した桜(染井吉野)の咲き満ちる軌道と同期した第五回WBC。アメリカマイアミで行われた決勝戦で、日本代表「侍ジャパン」はアメリカを破り14年ぶりに優勝しました。「野球の神が脚本を書いた」と世界のファンが熱狂する結末でしたが、久しぶりにしびれる決勝戦だったと思っています。

     「咲き満る 桜・染井吉野」

 一次リーグも含めて様々な劇的なドラマを生んだWBCでしたが、決勝戦でも印象的なドラマが生まれました。それは、日本が1点リードして迎えた9回表の二死無塁の場面で実現したメジャーを代表する二人の対決でした。日本の投手として登板していた大谷翔平と、アメリカを率いるマイク・トラウトの、エンジェルスの同僚対決です。一発が出れば同点の場面でしたが、大谷は気合の入った最高のスライダーでトラウトから空振り三振を奪取し、大舞台での勝負を締めくくりました。普段は仲間として戦う大谷とトラウトで幕を下ろすという、劇的な幕切れは、今大会において最も印象的なシーンのひとつになり、歴史の一齣として今後も語り継がれる名場面となりました。

     「咲き満る 大島桜」


 「侍ジャパン」を優勝に導いた栗山英樹監督について「朝日新聞」の記事を参考にしつつ、少し触れたいと思います。彼が「あれをつくっていなかったら、僕はきっと監督にはなっていなかった」と言われる場所「栗の樹ファーム」があります。これは北海道栗山町の丘陵地帯にある少年野球場であり、栗山監督が私費を投じ、町の皆さんの協力もあって作られた両翼70メートルの球場です。ここでは野球教室や少年野球大会か開かれ、誰でも気軽にキャッチボールが出来る球場とのことです。ここ「栗の樹ファーム」での長年の活動、プロ野球での選手としての実績、スポーツキャスターとしての真摯な取り組み等が評価され、2011年日本ハムから監督就任の要請が届いたとのこと。この監督が率いる「侍ジャパン」にダルビッシュ有、大谷翔平、さらにラーズ・ヌートバーが加わり、最高のチームが出来上がり、WBCを駆けあがり、優勝を手中にしました。

 栗山監督は「WBCを見て、野球をやろうと思ってくれる子が必ずいる。そのことがすごく嬉しい」と優勝を決めた際のインタビューに答え、野球を介して人が繋がり、子供たちが夢を持つことへの希望を述べていました。

 私も、ささやかな経験ですが、かつて少年野球との関りがありました…。コンピュータシステムの開発と言う、結構過激な業界に身を置きながら、子供たちがお世話になっていることから、地域の少年野球等を中心としたスポーツリーグに、コーチ、監督を経て審判等の役割を担い、理事として二十数年間に渡って関わって参りました。システム開発の繁忙期、徹夜明けに始発電車で家に帰り、朝6:00からの朝練のコーチを一時間ほど務め、シャワーを浴び、再び職場に駆け付けるという綱渡りも、少なからず行って参りました。これは身体的にはかなりきつかったのですが、メンタルの切り替えと、リフレッシュ、さらにはコーチングの実践的訓練にかなり効果があったと思っています。さすがに、開発責任者に就いてからは他の方に監督等の役割は担って頂きましたが、今では懐かしい少年野球の子供達との思い出です。

 このスポーツリーグからは、メジャーリーグを経て現在広島東洋カープに所属する秋山 翔吾さん等を始め有為な選手たちも巣立っていきました。それに続く少なからぬ少年たちが、今回のWBCの快挙をみて、それを目標に育っていくことを希望したいと思っています。

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「口語短歌・水曜サロンの会」(その76)

2023年03月22日 05時20分16秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その76)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 染井吉野」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】拙者ブログでは「世界文化紀行」でいろいろな題材を扱っていますが、
    最近は夕焼けシリーズが気に入っています。
    そこで今回は「中部地域の夕焼け」を取り上げました。短歌の勉強には
    もってこいの写真と場所ですが、なかなか上手く詠めません。
 註)新潟県「七浦海岸」
☆日本海茜色にも染まる空 旅愁呼び起こす石灯篭
 註)静岡県「土肥温泉」
☆露天風呂沈む太陽格別で 眺める夕焼け疲れを癒す
 註)愛知県「日出の石門」
☆石門に夕日が落ちる瞬間は 感動押し寄せ涙が滲む
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 夕焼けシリーズの題詠、今回は「中部地域の夕焼け」とのこと。
 最近「写真俳句」「写真短歌」が、プレバトを始めメディアやSNS上でも話題になって
 いますが、写真と短歌のコラボレーションは喚起力をお互いに高める上で良い組み
 合わせと思っています。

 作者の短歌は、写真の雰囲気を壊さずに、その場所に誘う親切な水先案内人に徹する
 姿勢に好感が持てます。「上手く詠めません」と言われていますが、
決してそんな
 ことはありませんよ。フアンも増えてきたことですので、ご自分の
感性を信じ
 「情景の肝」は何かを見つめ、その写生を徹底してやられたらと思います。

 かく言う私も、未だ出来ていませんが…。
 一首目、佐渡島「七浦海岸」の石灯籠は、かつて、岩礁に打ち付けられて難破する
 多くの船を少なからず救ってきたことと思います。そんな石灯籠にフォーカスし
 詠んでみましたが・・・。
【ご参考】
 ★荒海はあまたの命吞みたるも 灯籠朱く いのち火ともし

【詞書】コロナ禍、異常気象、主人の病気等で中断してた散歩を一年ぶりに
    再開しました。昨年の4月20日のブログに散歩道の桐の花を詠んだ
    短歌で推敲をしましたね。鳳凰伝説。桐はまだ蕾もありませんでした。
    なお、歌会の議題ですが、短歌を詠まれる時、ふりがなと漢字の
    バランスの指針はどこに置かれていますか。
☆沈丁花かおる小道を春風と散歩をしたり二年振りに
                         リコさん
【解説】
 二年ぶりに散歩を再開されたとのこと。おっしゃるように桐の花は4月下旬頃の開花
 でしょうから、未だ冬芽の状態でしょうか。一方、沈丁花は甘やかで濃厚な

 香りを放ち、そこかしこで春を告げていますね。
 かつて、私の短歌の師からよく言われたのは「中学二年生が読んでも分かる歌」を、
 との事でした。どんな高尚の理念、思想も彼らが分かるようにかみ砕き説明できなければ、
 理解し、把握したことにはならないとの事でした。

 従って漢字は極力ひらがなで表現できる易しい言葉で書きなさいと言われたものです。
 また、現代の短歌は朗詠ではなく文字表現を前提とするので、墨書でも漢字は三割程度に
 留めることが美しいとも言っていました。私も、極力この教えを守りたいと思って
 いますが、中々難しいと感じています。及ばずながら推敲の一助になればと・・・。
【ご参考】
★ふたとせの籠りをへての散歩道 風はつれくる沈丁花の香


     「香る 沈丁花」

【詞書】先日、リコさんのブログの記事で「百福」(たくさんのさいわい)という言葉に
    感銘を受けまして、詠んでみようと挑戦してみました。この短歌では、ひと、
    百をふたつという技巧を凝らしております。また、先週の歌でも、ひと雨に緑、
    ひと叢に白、と色の対比もしておりました。私は割りとこういう技巧を楽しんで
    いるのですが、こういう技巧は短歌では許されるのでしょうか。
☆ひと雨が百枚の窓洗ひあげ百福巡りくる街は春
                         みっちっちさん
【解説】
 結論から申し上げると「このような技巧はあり」と思っています。さらにこのように
 対比することにより、印象がより鮮やかに浮かび上がる効果があると考えます。
 「ひと雨に緑、ひと叢に白」の「緑と白」の対比も、色彩の対比を、より強調し
 鮮やかさを増す役割を果たしていると感じます。
 なお、短歌の表現技法の一つに対句法(ついくほう)と言うものがあり、対照的な
 二つの言葉を同じ形で並べ、印象を強める方法として結構用いられています。
 例えば百人一首 大中臣能宣の
  〇みかきもり 衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつ物をこそ思へ
 の歌では、「昼と夜」「燃えると消える」が対句となっています。意味的には
 「夜は恋心に身を焦がし、昼は意気消沈して物思いにふける」ことを切々と
 詠っていますが、心憎い表現技法と思っています。

【詞書】最近はあまりテレビには興味がわきません。空けても暮れても食べ物の
    番組、そして必ず聞くこの言葉。「言葉も時代とともに変化する」とはいえ
    美しい日本語を使ってほしいと思うのは私だけでしょうか?これを読むこと
    への是非!を教えてください。
☆タンタンポ タンタンポッポと歌う児と手を繋ぎゆく黄のつづく道
☆菜の花は絵本のなかにも黄にあふれ幼はこっくり胸に息づく
☆「すっげぇ~」「やっべぇ~」「うめぇ~」とのたまいて飽食の世のテレビの堕落
                         夕庵さん
【解説】
 一首、二首目の歌はタンポポと菜の花の黄色が鮮やかに表現され、さらに、
 幼子の可愛さと愛おしさが溢れています。胸にいだかれつつ「こっくり」
 するなんて、どちらにとっても幸せなひと時ですね。
 三首目は、昨今のテレビ番組作成の在り方への危機感と警鐘も含まれていますね。
 おっしゃるように、世界では飢餓人口が8億2,160万人にも上るとの状況の中、
 視聴率が上がるとの安易なヨミからグルメと、大食いの番組が日々流されている
 現状を憂慮しています。さらに、マスコミに携わる方々の言葉の貧困さも同時に
 目につきますので、このような歌を詠み警鐘を鳴らすことも大切と感じます。
 ご存知のように「不易流行」と言う言葉がありますが、時代の変転の中でも常に
 不動な本質的なものを堅持しつつ、変化し新たに生まれる良きものをも取捨選択し
 取り入れていく、この柔軟さも一方では必要と感じています。中々難しい
ことでも
 ありますが…。このような問題提起の歌は大いに詠って参りましょう。

【詞書】否定形
☆ず・ず・ず・ぬ・ね
   ざら・ざり・ざれど
      否定形の中に答えは見つからない
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 学生時代は、古典の勉強が嫌いでした。
 何でそんなつまらない事を一所懸命覚えされられているのだろう?一生使う事の
 無いものをさも大事そうに。
 教えている方も楽しいのだろうか?貴方はもっと古典が楽しかったから、先生に
 なったのだろう?と。
 中年になってから、様々な古典を読みました。こんなに面白く、興味深いもの
 なのに。そんなの覚えなくても楽しい古典は読めるのに。
【投稿外コメント】自閑さんご自身のコメントです。前週の続きです。
 吉野奥千本の西行庵へ行くには、標識が無いと道に迷ってしまいます。
  仏にはさくらの花をたてまつれ我がのちの世を人とぶらはば
 死んだ人を仏と言うのは、浄土宗法然、親鸞以降なのですが、解説本には、
 西行を仏と見なした訳も有り、基本的に間違っています。
  ながむとて花にもいたく馴れぬれば散る別れこそ悲しかりけれ(新古今)
  吉野山やがて出でじと思ふ身を花ちりなばと人や待つらむ  (新古今)
 さくらの好きな西行にとって、散る別れを悲しむと散ったら吉野山から高野山に
 帰って来るだろうと待っているかなあと言うものです。
  花見にとむれつつ人のくるのみぞあたら桜の咎には有りける(山家集、西行法師集)
 謡曲西行桜のテーマの歌です。世阿弥の心をとらえた美しさは罪。

【解説】
 本詠歌は、私の編集ミスで前々週に掲載を漏らしてしまいました。改めてお詫び
 申し上げると
共に、今回改めて掲載させて頂きます。誠に申し訳ありませんでした。

 私も、学生時代、奈良時代から平安時代にかけての、古代日本語の歴史等も含めて
 古典を学びましたが、古典は助詞の活用形が複雑かつ法則的でなく大の苦手でした。
 理系を理由にかなりさぼりましたので、苦手意識が未だトラウマとして残っています。
 でも、作者のように学びを深め「こんなに面白く、興味深いもの」との領域に
 到達された故、尊敬してしまいます。
 詠歌は、否定の助動詞「ず」の活用(未然形~命令形)を並べ、下の句に
 「否定形の中に答えは見つからない」で、締める心憎い詠いぶりに学ばせて頂きました。
 否定の否定は、ヘーゲル弁証法では思惟の発展法則とみなしましたが、詠われたように
 「否定形の中」には、答えが見いだせないのも事実ですね。

【詞書】昨日は短大時代の友人が初めて現在の家を訪ねてきてくれました。
    友人は難聴の進んだ私を可哀想に思ったのか過剰に学生時代の私のことを
    褒めてくれました。嬉しかったからそれをそのまま歌にしました。
☆わたくしは友の幸せ羨(とも)しむが友はわたしを幸せさうと
☆お互ひに相手のことをあなたこそ幸せさうと言ひ合ふ可笑し
☆わたしにも友にも苦労はありしかど幸せさうと言ひあひ別る
                         suisenさん
【解説】
 学生時代の友人が、引っ越し後、長い歳月を経て訪ねてくれるのは嬉しいこと
 ですね。お互いに、その後の様子も含めて、若かりし頃の思い出等々で盛り
 上がったことと思います。
 今に至る諸々の山坂はお互いに在ったことと思いますが、今ある「幸」を
 お互いに確認し合った様子が、三首の歌にしっかりと詠まれていると感じました。
 このような友人こそ大切にしていくことが、私たちの世代にとって必要と改めて
 感じました。「良き友に乾杯!!」を、申し上げたいとおもいます。


     「咲き満る 白梅」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆露天風呂沈む太陽別格で 眺める夕焼け疲れを癒やす
                         浅間山明鏡止水さん
★貸し切りの露天のお湯に娘とふたり今し落暉す紀淡海峡
                         夕庵
★諸磯の海と空とを染め上げて 露天の風呂も 春の落日
                         ポエットM

☆絵馬堂をつつむ梅の香 温き陽よ 叶い叶わぬ願いはあるも
                         ポエットM
★縁切りの社に列なすみくじ見ゆ 疲れた女は固く結びぬ
                         夕庵さん
★一途なる舞妓への道 絵馬結ぶ指の先まで細くしなりて
                         みっちっちさん
★花の咲く絵馬を結びて二十歳の娘 よりそう青年の項の青き
                         夕庵さん
★花影にハート型なる絵馬あまた 若き二人の祈りさやかに
                         みっちっちさん
★傘の絵に二人の名前並べて描いた 射手座の矢もて叶わざりしも
                         夕庵さん
【詞書】港を望むビーナスブリッジの丘に、若き恋人達は二人の名前を書いた
    南京錠を付け永遠の愛を誓うそうです。いっぱいになれば溶かして
    プレートにして置くそうです。昔は捨ててたそうですが、行政も粋な
    計らいをしてくれるようになりました。
★海望む丘にわかきは南京錠固く結びて愛を誓ふや
                         みっちっちさん
【詞書】最近は空き家が多くなりました。かつて住んでいた人のつぶやきが漏れて
    くるように感じたものです。過疎の村ならなおさらのことでしょう。
★廃屋の南京錠のさびさびし 家人のつぶやき漏れくるような
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆先がけて彼岸を前に咲く桜 なぶる氷雨も しのぎ上向く
                         ポエット・M
【解説】
 当地の桜・染井吉野は東京の開花より一日早く弥生13日に早くも咲き初めました。
 折悪く咲いたとたんに、氷雨にも似た雨になぶられていました。それでも萎れること
 なく上を向き凛と咲く様は、春に先駆ける河津桜の凛々しさに通じるものを感じました。
 そんな染井吉野の白く煙る花に寄せて詠んでみました。「凛と」の表現は控えました。


     「凛と咲く 染井吉野」


「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (19)
  
6.山岳無情(1)
 
   山がある故に登らんその自乗
          独り心で遠く泣くため  嵯峨吹雪

   海ゆかば
     海の哀しみ
        山ゆかば
       山の哀しみ
          君はいずこに

        良ちゃんを 
          抱いて登った
              姫神の
             山手の虹を
                眺める車窓

              白馬にて
                君と眺むる
                   彼方には
               日本一の
                 富士が輝く

         さんさんと 
           富士山頂に
              陽は照りて
             はるか下方に
                湖水は光る

      雲海の
        海の彼方の
           蒼穹に
          浮かぶ幻影
             富士山無情


     「咲き初める ヒマラヤ雪ノ下」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 字数制限により、今回は掲載を見送りました。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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桜 咲く

2023年03月19日 13時21分26秒 | 短歌

 3月14日、東京で桜・染井吉野は観測史上、最早タイで開花し、今年の桜前線は
スタートしました。
当地では、それより一日早く開花を確認しましたが、気象庁によると平年より
早いところが多く、記録的に最早のところも多いとのことです。


 この時期になると「桜と月の歌人」西行法師の桜にちなむ歌があまた思い
浮かびます。
次の歌は、ブログ友でもあります自閑さんに紹介頂いた西行法師の歌ですが…。

 いまさらに春をわするる花もあらじやすく待ちつつけふもくらさん山家集)
桜は春を忘れずに咲くことは分かっていても、咲く日を待ち遠しく今日も暮らして
います。との解釈を寄せて頂きました。
西行法師の生きた時代から900年近い時を経ても、桜の開花に寄せる人々の
待ち遠しい思いは同様であったと知ると、なぜかホッとします。


 そんな想いを抱きつつ咲き初める桜を眺めていると、やはり
「あと何回この花を眺めることが出来るのだろう」との感慨が湧いてきます。
人生100年時代と言われながらも残された余命を考えると、その実感はいよいよ
深くなっていると思わざるを得ません。
それでも、今日この日を充実しつつ歩まねばと、自らに言い聞かせている昨今です。


 今回は、私の住む地域に咲き初める桜のデジイチスケッチを中心に掲載致しました。

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「口語短歌・水曜サロンの会」(その75)

2023年03月15日 05時09分06秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その75)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「椿 鈴鹿の関」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】拙者ブログでは梅の花・河津桜・菜の花シリーズで春の特集を
    やっていますが、その選出の中に「長井海の手公園ソレイユの丘」が
    出て来まして懐かしい感じがしました。思えばポエット・Mさんが
    過去のある日「ソレイユの丘」の写真を掲示された時から交流が
    始まったと思います。そこで「菜の花・ソレイユの丘」を詠んで
    頂けたら幸甚に存じます。
 註)東京都中央区「浜離宮恩賜庭園」
☆ビル群の片隅照らす菜の花は 人魅了する癒しの空間
 註)神奈川県横須賀市「長井海の手公園ソレイユの丘」
☆眺むれば菜の花越しに富士山が 黄色く染まるソレイユの丘
 註)千葉県「小湊鉄道といすみ鉄道」
☆思い出の黄色い電車コトコトと ローカル線で眺める菜の花
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 「菜の花シリーズ」の三首は、何れも春を呼ぶ菜の花が詠み込まれた
 爽やかで明るさに溢れた良い詠歌と思います。
 「ソレイユの丘」は現在前面リニューアルの最中で閉じていますが、
 丘からの富士山の眺望は良いですね。
 「ソレイユの丘を詠んで」との要請を頂きましたので、二首目の歌を踏まえ
 ながら、冠雪の富士山を望んで詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】

★冠雪の富士と菜の花ひびき合い 浅き春呼ぶソレイユの丘

【詞書】先週、夕庵さんが半玉と梅を詠まれてましたが、私は舞妓さんと梅を
    詠んでみました。匂草は梅の花の別称です。花街なので花を重ねず、
    舞妓さんの匂やかさに重ねて匂草としました。
☆花街のちさき社の匂草 手をたをやかに舞妓祈れり
【詞書】尾瀬では初夏の花で有名ですが、六甲高山植物園では春を告げる花
    として、白き水芭蕉の群落が見られます。
☆ひと雨に緑深むる六甲にひと叢(むら)白き水芭蕉の花
                         みっちっちさん
【解説】
 「花街のちさき社の匂草」「ひと雨に緑深むる六甲に」と俳句で鍛えた表現力故
でしょうが、上の句の詠いぶりの「切れ」にはいつも感嘆しています。
一首目は祇園白川のほとりにあります辰巳神社でしょうか。舞妓さんのたおやかで、
初々しいたたずまい等、確かな映像が浮かんできます。まさに「写生」ですね。

【詞書】奈良東大寺、二月堂でのお水取りの行事で「過去帳」を読み上げていた僧
    「集慶」の前に突然現れた女人「なぜ私を読み落としたのか」と恨めしげに
    問うたとか、声を潜めて「青衣(しょうえ)の女人」と読み上げると幻の
    ように消えていったという伝説が残っています。
    また、連行衆の一人の恋人が修行の道に没頭するあまり、冷たくなったと
    悲観して命を絶ったその姿が読み上げている最中に現れ、恨めしげに僧を
    眺める姿に煩悩を払うべく思わずその戒名を読み上げたといわれる。
☆堂内に連行衆の読みあげる「青衣の女人」の声は密やか
【詞書】3月7日は(芋虫月)ちょうど啓蟄の時期と重なっての命名。(warm moon)
    綺麗な満月のひかりを身に受けて・・
☆満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて
【詞書】先日イカナゴが解禁になりました。まもなくスーパーの店頭に佃煮が
    並ぶことでしょう。
☆漁港には男のかけ声頼もしくイカナゴ跳ねつつ春つれてくる
                         夕庵さん
【解説】
 「二月堂でのお水取り」等、季節の新鮮な息吹を詠み込んだ三首の歌には、
 春への確かな足音が響いています。

 なお、東大寺二月堂のお水取り「修二会」は、天平勝宝4年(西暦752年)から
 欠かすことなく行われ、今年で実に1272回を数える行事となっているとの
 ことですね。その過程で「青衣の女人」のような逸話も生まれたのでしょう。
 でも、とっさに、そのような対応ができる僧「集慶」は肝の座った優れた胆力と
 「女人」への思いやりにも満ちた僧侶だったと思っています。
 また、三首目「イカナゴ跳ねつつ春つれてくる」のダイナミックな表現が
 いいですね。正に春を引き寄せる詠歌となっています。


      「咲き初める 白蓮」

【詞書】先日、大阪府能勢町にあります名月姫の墓所に参りました時に作り
    ました歌を出詠させていただきたいと思います。
    この名月姫は現在の兵庫県尼崎で生まれましたが、たいそう美しかった
    ため14歳の時に能勢町の住民に攫われてしまいます。父親は探し回り
    ますが見つかりませんでした。
    姫は攫われた後、能勢町で幸せに暮らしていました。が、その美しさは
    福原の平清盛まで聞こえ、清盛に召されることになり、籠で運ばれる
    途中の峠で、夫に操を立てて自害してしまいました。その自害した峠に
    ある、名月姫の墓所で、かぐや姫の物語の元になったと言われている
    名月姫のことを詠ってみました。
☆美しく生まれし悲しみかくありぬかぐや姫とぞ言われし姫の
☆苔むした道を登りて三つ並(な)む墓の一つが姫のものなり
☆父親と夫の間(あひ)に立つ姫の墓も苔むし寒き三月
                         suisenさん
【解説】
 悲運の姫君、名月姫については尼崎と能勢の2個所に伝承があるようですね。
 平清盛の命令で神戸の福原へ移動する途中、貞節を守るために能勢の山中で
 自害した事は共通している
との事です。
 この名月姫について詠った三首の歌は、悲運の姫君に寄せた作者の優しさと、
 憐憫の情が滲む味わい深い詠歌となっています。
 三首目は、峠の墓所にたつ名月姫・夫家包・父国春の石塔を「苔むし寒き三月」
 と詠み、心を寄せ合い愛し合う夫婦が、時の権力者の命により引き裂かれ自尽
 せざるを得なかった事に対する、静かな怒りも行間に表現されています。

【詞書】ホワイトデー 折句
☆ほのかなる 
 私の思い今ここに
 ときめきながら
 渡すキャンデー
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 大昔は、贈り物をする時、和歌を添えました。
 バレンタインデーに義理チョコを頂いたので、ホワイトデーにお返しのキャンデーを
 渡す時、歌を添えようと5分で作りました。

 
 
 
 デー
 で縦にお読み下さい。折句と言うと在原業平の八つ橋
   唐衣 きつつなれにし つましあれ ばはるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
 (縦に読むと「 かきつばた」となります)が有名です。
 短歌に技法を使う事を嫌う方も多いですが、贈答歌ですので御容赦願います。
 贈った後輩は、「笑点みたい?」と言いつつ喜んでくれました。
 昔は義理チョコも頂いたのですが、今は義理も無いのは寂しい限りです😢。
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
  ねがはくは花のもとにて春死なむその如月の望月のころ(山家集、西行法師集)
 と言う事で、今年の西行忌は暦の関係で3月6日でしたが、いよいよ桜🌸の季 節
  「花のした」と言うのと「花のもと」の二つの伝本があります。
  よし野山こずゑの花を見し日より心は身にもそはず成りにき(山家集、西行法師集)
 開花宣言が、なされると心ここにあらずとなります。
  いまさらに春をわするる花もあらじやすく待ちつつけふもくらさん(山家集、西行法師集)
 春になれば桜は咲くと知っていても、待ち遠しく暮らしている今日この頃と言うですね。
  吉野山去年のしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ(新古今)
 今まで見たことの無い桜の美しさを見てみたいと言う貪欲までの心の内を表現していますね。
  (以降のコメントは、「ブログ」の字数制限から次回に掲載させて頂きます)。
 
【解説】
 王朝文化の中では、花や贈物に添えた和歌は教養であり、社交に華を添える大切な
 手段だったと拝察しております。
 作者がご説明の通り、「唐衣」の和歌は在原業平と思しき貴人が、三河の国の
 八橋という場所にて休息中、橋のほとりに美しく咲く燕子花(かきつばた)をみて、
 「かきつばた」の五文字を各句の先頭に置いて、旅の心、望郷の想いを詠んだと
 伝えられています。

 バレンタインデーに頂いたチョコへの返礼に、キャンデーに折句の和歌を添える
 なんて心憎いお返しですね。こんな心憎いことをされると「義理」が「本命」に
 変わる危うさもあるでしょうが…。大人の遊び心とゆとりも、また良いものですね。
 「5分」で折句の歌を詠み切る瞬発力と、感性には脱帽します。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆漁港には男のかけ声頼もしくイカナゴ跳ねつつ春つれてくる
                         夕庵さん
★亡き母の釘煮は甘さ控えめにタッパに詰めて送りきし日よ
                         みっちっちさん

☆満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて
                         夕庵さん
★ 春月へ息をととのへ物問へば楽に生きよと亡き母の声
                         みっちっちさん
【詞書】母の歌となると返歌がしたくなりますね。まるで鬼ごっこのようで
    楽しいです。
★亡き母の爪切りしことまなうらに われの伸ぶ爪誰が切りくるる
                         夕庵さん
【詞書】母を詠めばいまも涙が滲みます。
★満月の孤高の円を見上ぐれば亡き母の顔このまなうらに
                         みっちっちさん

☆ひと雨に緑深むる六甲にひと叢白き水芭蕉の花
                         みっちっちさん
★水温む流れに目覚めし水芭蕉 白きヴェールのドレスをまとう
                         夕庵さん
★ 空映す水青くして水芭蕉 灯(とう)をかかげる女神のごとく
                         みっちっちさん

☆白梅のほころぶ野辺に香り満つ戸惑いつつも初蝶の舞う
                         ポエット・M
【詞書】白梅のひとひらと初蝶が楽しく遊んでるような気がして可愛くて即興で
    詠みました。
★初蝶の光こぼれて梅の花ひとひら舞へば光もつれて
                         みっちっちさん
★初蝶を追いて子犬のじゃれ合うをテラスに眺める春の額縁
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆絵馬堂をつつむ梅の香 温き陽よ 叶い叶わぬ願いはあるも
                         ポエット・M
【解説】
 時々訪れる地域の神社に、天神社があります。訪れた時には遅咲きの白梅が、
 ほぼ満開となり馥郁とした梅の香があたりに漂って
いました。その神社の絵馬堂には
 年代を経た多くの絵馬に交じって、筆跡も鮮やかな
合格祈願の絵馬があまた
 並んでいました。おそらく今年の受験前に奉納したもので
あったかと思います。
 それぞれに記された切実な願い、祈りには叶ったものも、
また叶わなかったものも
 あったでしょうが、そんな一つ一つの絵馬に篭められた想いを
なぜか愛おしく感じ
 詠んでみました。

     「楚々と咲き匂う 白梅」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (18)
 

5.ハワイ アロハの心(1)

   常夏の
     陽は燦燦と
        輝きて
       なにが瞳(め)に沁む
          パールハーバー

        潮風の
          中にかすかな
              恋風も
             吹きて哀しや
                ワイキキビーチ

           恋風に
             恋は吹かれて
                 来たけれど
               風と共に
                 去りぬかアハハ

       いつまでも
          チューブローズの
               花のごと
             香れハワイの
                アロハの心


     「未だ咲く 河津桜」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 字数制限により、今回は掲載を見送りました。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。

 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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 「あの子の分も」みたび

2023年03月10日 15時22分17秒 | 鎮魂

 東日本大震災を被災された皆様へ―

  2011年(平成2 3年)3月11日14時46分に発生した東日本大震災は、明日で12年となり十二支の一周年となります。
朝日新聞の3月10日の報道によりますと、この東日本大震災での死者は15,900人、行方不明者は6県で2,523人とのことです。この大震災で被害に遭われ身罷った御霊に哀悼の誠をささげるとともに、未だ行方不明となっている方と、そのご家族に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
 この間、被災された皆さんの筆舌に尽くしがたい労苦と闘いの日々を、そしてそこから立ち上がり前を向く多くの皆さんの歩みを、私たちも改めて想い起したいと思います。


昨年も、このブログで掲載させて頂いた内容ですが、再び巡りくる3.11を前に、改めて「共にある」ことの確認を込めて、重複となりますがこの記事を掲載いたしと思います。

 今から12年前、多少でも手助けになればとボランティアで訪れた福島の海辺の町は、すべてを破壊しつくされた瓦礫の街でした。廃墟とも言えるその地で、 しっかりと日々の生活を立て直し、明日を見据えて踏ん張る多くの方たちに接し、 私たち自身が励まされる思いがしました。
 お手伝いの合間に、現地の皆さんのお話を聞くことが出来ました。言葉少なに、自らの現状に折り合いをつけつつ、 絞り出すように語ってくれた多くの方達の言葉は、 私たちの想像を遥かに超えていました。
 目の前で、大津波にご主人も、お子さんもさらわれたと言われる一人の女性。
立ち直ることも出来ないであろう厳しい状況に直面し、涙も枯れ果てたと言いながら、
それでも気丈にふるまう方。 その方の想いに寄り添い「あの子の分も」との題で、
私なりに詞に紡いでみました。 ずーとしまっておいた歌詞ですが、東日本大震災からの
節目に当たって「共にある」ことを再認識するとともに、 あの想像を絶する事態を改めて心に刻む意味で、詞を少しブラッシュアップしてみました。

 その詞の作曲・歌唱依頼を含めてYokiさんに提案させて頂きました。
今回もYokiさん、じいじさんの多大なご尽力で、歌詞に命が吹き込まれました。
先に本ホームページで紹介させて頂いた、Yokiさん作曲・歌唱の二曲の延長に、
「あの子の分も」の楽曲を、皆さんにお披露目出来ることに感謝したいと思います。

「あの子の分も」の楽曲公開に当たっては、工藤慎太郎さんの楽曲「旅の途上(なか)」の作詞の際、 ペンネームとして「ショー・ジロー」を頂きましたので、今回も前二曲に続いて、それを踏襲させて頂きました。 作曲&歌はyokiさん、ギター&ハーモニカはじいじさんに担って頂きました。改めて感謝申し上げます。

今回は、2022年3月11日に、改めて Yokiさんに歌って頂いた曲を掲載させて頂きます。

画像をクリックしますと「Youtube」を視聴できます。

ユーチューブの背景画像はYokiさんに選んで頂いた「ニゲラ」という花で、
花言葉は「未来」です。

 「あの子の分も」
     作詞*ショー・ジロー  作曲&歌*yoki  ギター*じいじ

  1.あの子の声がこだまとなって 
    今でもはっきり響いてくる  
    目の前で波に呑まれ さらわれた
    あの子が今でも目に浮かぶ
    あんなに身近な海なのに
    今は見るのも つらい 
    切なくて 悲しくて 
    眠れぬ夜をいくつ重ねたことだろう
    でも・・・涙はお日様に預け
    もう泣かない   
    あの子にもらったこの命 
    抱えてしっかり 生きて行くわ

     2.あなたの声がこだまとなって 
       今でもはっきり響いてくる
       目の前で波に呑まれ さらわれた 
       あなたが今でも目に浮かぶ
       あんなに好きな海なのに
       今は見るのもきらい
       寂しくて 苦しくて
       眠れぬ夜をいくつ重ねたことだろう
       でも・・・涙はお日様にあずけ
       もう泣かない
       あなたにもらったこの命 
       抱えてしっかり生きて行くわ

  3.あれからもう10年たつのね 
    やっと探した写真には
    あの子とあなたの笑顔が写ってる  
    家も町も光の中輝いてる
    津波が全てを奪っていった
    あの日々が 愛おしいまでによみがえる
    辛いけど 寂しいけれど
    私の愛したあなたと あの子の思い出を
    抱えてしっかり生きて行くわ
    あなたの分も あの子の分も
    私のこの胸にずっと ずっと

 「あの子の分も」の楽曲作成に当たって作曲&歌はyokさん、ギター&ハーモニカはじいじさんに担って頂いた旨は先に申し上げました。ギター&ハーモニカを担って頂いた、じいじさんに「あの子の分も」をカバーして頂きましたので、一挙に公開させて頂きます。

 画像をクリックしますと「Youtube」を視聴できます。

 なお、拙い詩ですが、著作権は放棄していません。
無断転載等はご遠慮願います。転載いただけるのであれば、あらかじめ当方へ
連絡を頂き「ポエット・M」の作者名を明記して頂ければ嬉しいです。
                        了

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「口語短歌・水曜サロンの会」(その74)

2023年03月08日 05時27分12秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その74)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「咲き盛る 白梅」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」


【詞書】全国各地で梅の花が咲き誇っています。梅と言えば菅原道真、彼は太宰府に
    着く前に「東風吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」と
    和歌を詠んだことは余りにも有名です。
    そしてこの梅の木が道真公を慕って一夜のうちに京都から太宰府に飛来したと
    伝えられるのが「飛梅伝説」です。そんなロマンチックで有名な梅を北野・
    大宰府天満宮、熱海梅園から詠んでみました。
 註)京都府「北野天満宮」
☆道真が愛した名木今もなお 境内一円梅はこぼれる
 註)福岡県「大宰府天満宮」
☆大宰府に飛梅伝説残る木が 道真の怨念今日に至るも
 註)静岡県「熱海梅園」
☆自然美眺める公園のんびりと 梅愛でながら足湯楽しむ
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 花の少ない早春に、春の到来をいち早く告げる梅の花は、まさに「一輪ほどの
 温かさ」を運びつつ、寒さに縮んだ私たちを励ましてくれる花でもあります。
 出詠頂いた三首とも、情景がすっきり浮かび完成度が上がっていると考えます。
 歌詞研究の賜物と思っています。
 一首目の北野松原の北野天満宮は「雪月花の三庭苑」のうち、梅花鑑賞の
 「花の庭」と呼ばれており、道真公ゆかりの梅50種約1,500本があり、花時の今
 約2万坪の境内一円に紅白の梅が咲き競っているとのこと。
 また、作者の【詞書】で記された和歌は、道真公が無実の罪を着せられて太宰府へ
 左遷される前に、大事にしていた梅の木に語り掛けるように詠んだ歌として
 有名ですね。「梅はこぼれる」を、少し視点を変えて詠んでみましたが、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★道真に詠まれし梅の咲き満ちて 忘れじの春 匂い立つがに


【詞書】三寒四温の毎日です。 
☆野良猫は牙むき激しく威嚇する われらも声上ぐ反戦のうた
☆池の面に揺らぎつ映るしだれ梅 鯉はぽあんとあぶくを吐けり
☆スニーカーの紐結びなおして何処までも歩けそうな気の今朝の一歩は

                         夕庵さん

【解説】
 猫は基本的に野生下ではほとんど鳴かず、猫同士は匂いやしぐさなど、鳴き声
 以外でコミュニケーションをとっているようですね。野良猫が鳴いている場合は、
 威嚇や猫同士のケンカなどの緊急時がほとんどとのこと。
 一首目の威嚇は正に自分に危機が迫りそれへの対応と思いますが、この猫の
 威嚇と「反戦の歌」の取り合わせはかなり危うさも感じさせられますが、一面鋭い
 指摘も含まれていると考えます。
 ただ、ロシアの蛮行には「蟷螂の斧」の喩えではありませんが、身の程も
 わきまえつつも、国連決議にもあります通り「即時無条件撤退を」小さな声でも
 上げ続けていきたいと思っています。
 二首目、三首目は春の訪れを感じさせる爽やかで、前向きな気持ちにさせて
 くれる素敵な歌と思います。


【詞書】先日、14年ぶりに新しい宇宙飛行士が発表され、記者会見もありました。
    もしかしたら月に行く可能性もあるお二人がどうか無事にその日を
    迎えられますように、と祈らずにいられない。
    …宇宙ってやはり、“夜”っぽいし、“アルテミス計画”のアルテミスは
    月の女神で、日本なら月の神様はツクヨミだから、守ってあげてね、と…
☆新しき宇宙飛行士(アストロノーツ)のお二人に月読の加護あれと祈るよ
【詞書】今回選ばれたお二人。まだこれから大変だと思いますが、絶対宇宙へ
    上がって欲しいなー、と。それにしても、“世界銀行”ってあまりよく判らんな、
    と思ってたら、トルコ、シリアの地震のニュースの中で、「世界銀行の
    試算では…」みたいな文言が聞こえました。諏訪さんという方は
    防災とかの部門に携わっていらっしゃるらしいから、もしかしたら
    そういう試算とかやってらっしゃるのかなと思ってしまいました。
☆宇宙(そら)翔(かけ)る宇宙飛行士(アストロノーツ)の夢つかみ
              スタートラインに立ったは二人

【詞書】宇宙から地上へ帰ってまいりました。マスク外して緊張の面持ちの
    卒業生の皆さん。用心してか事情があってか、外さずに出席した卒業生の
    皆さん。コロナで大変だった三年間でしたね。大学生にしても、大学生活の
    半分以上の時間大変だったかと思います。
    皆さんの未来が良きものでありますように…
☆嬉しさと不安が混じる表情の卒業生達マスク外して
                         ちがやねこさん
【投稿外コメント】ちがやねこさんご自身のコメントです。
 えー…、やはり時期的に梅に関する歌の話が多いですね。うちにあるのは紅梅一本
 ですが、近所の神社などにあるのが楽しめます。近所の神社は縣(あがた)神社と
 いって、祭神はコノハナサクヤヒメです。境内には見事なしだれ桜もあるんですよ。
 梅と言えば菅原道真公ですが、京都には道真公の乳母が道真公を祀った
 「菅原道真公信仰発祥の地」 という神社があります。「原日出子の京さんぽ」という
 番組の再放送で、今日やってました。“間之町通(あいのまちどおり)”という通り
 だそうです。“発祥の地”があるとは…さすが京都…。
 やたら暑くなる今日この頃、すぐに桜の出番かと思うとまた寒くなり…、
 三寒四温ってことでしょうか…。どうか、体調を崩されませんよう…。では。

【解説】
 三首の詠歌は、何れも今日的なホットな話題と、行事を手堅く詠んで頂き、
 私たちにも学びとなります。
 一首目は、科学の粋を結集し99.9999%迄信頼性を高めても、究極の所は神のみぞ
 知る領域となりますが、これはどの世界でも経験することですね。月読命に
 新しき宇宙飛行士二人の無事を祈るのは、私達共通の想いでもあります。
 月読命(ツクヨミノミコト)は、古事記において伊邪那岐命によって生み
 出されたと言われていますが、暦や年中行事等生活に大きな関りを持つ月の
 神様とのことですね。
 二首目の歌の通り、月読命に見守られ月面に是非立って欲しいものです。
 三首目は、卒業生の父母のみでなく、私達共通の願いであり、祈りです。
 情緒や感性が大きく育つ瑞々しい年代に味わう多くの試練を、彼、彼女達の
 大きなプラスのステップに変えて欲しいと願わずにはいられません。
 作者と共にエールを送りたいと思います。
 なお、「菅原道真公信仰発祥の地」 という神社は初めて知りました。貴重な
 情報を頂きありがとうございます。



     「咲き盛る 枝垂れ紅梅」

【詞書】福寿草っていつも3、4本がかたまって咲いてますね。ああ、春が
    来たなって、黄色く可愛い姿に癒され、元気を貰えます。
☆雪解の端(ゆきどけのは)に一叢(ひとむら)の福寿草 家族のやうにかたまり笑むや
                         みっちっちさん

【解説】
 福寿草が咲く様は、正に家族が肩寄せ合って厳しい冬を乗り越え、春を迎えている
 ようにも見えますね。中には厳しい冬を乗り越えられずに、枯れてしまうものも
 あるでしょうが、まさに雪解けと共に顔をみせる生命力の強さを感じます。
 そんな強さも讃えつつ、このような伸びやかで微笑ましい詠歌に仕上げる手並みに
 学びたいものと、しみじみ思います。


【詞書】いつまでも私に対する誹謗中傷は続いておりますけれども、限りある生命
    ですから、今後は雑音は聞かずにブログを続けてまいりたいと私は思って
    おります。技巧を凝らした歌ではなく、そのまんまの歌ですけれども、
    今の私の心境を詠いました。
☆あんなにも楽しかりにしあの頃のやうに書かむと思ふ今後は
☆雑音は聞かず記事書くこれからはこれから先のわたしのために
☆わが生命燃え尽きるまで百歳(ももとせ)の記事を書き継ぎ死なむとぞ思(も)ふ

                         suisenさん

【解説】
 おっしゃる通りですね。「〇音は聞かずに」ご自分の想いを綴れるブログを
 大切にし、続けて参りましょう。
 新古今集でほぼ完成形に近づいたと言われる短歌の技巧は、王朝文化の時代的
 背景抜きには成り立ち得なかったと思っています。従って世智辛い現在の
 時代情況を思うと「そのまんまの歌」が、むしろ歓迎されるとも考えます。
 三首は何れも、諸々の辛い状況を乗り越えての「旅立ち」の決意の滲む詠歌と
 思います。特に一首目のように「楽しかりにしあの頃のやうに」大いに書き、
 詠まれる事をお勧めします。
 三首目の歌は、石川啄木の
 「こころよく我にはたらく仕事あれ それをし遂げて死なむと思う」
 の「覚悟」にも通じる、決意に満ちたキッパリとした詠歌と思います。


【詞書】私は断捨離の一環で結婚から最近までの写真の整理をしてます。40年程の
    専業主婦で緊張感がなく、写真映えしなくて、懐かしいより、昔の乙女の
    変わりように仰天してます。そんな想いを詠みました
☆断捨離に写真整理す
      四十年の顔の履歴に
       仰天したり

                         リコさん

【解説】
 断捨離の一環で写真の整理をされているとのこと。「断捨離」は、やましたひでこさん
 によって、すっかりメジャーの言葉になりましたが、「モノへの執着を捨てることが
 最大のコンセプト」との言葉もうなずけますね。
 「写真映えしなくて」とおっしゃっていますが、写真には歳月の鑿によって刻まれた
 味わい深い陰影も映し出され、越えて来られた日々の充実感も色濃く表現されていた
 ことと拝察いたしております。
 「人の顔は、その方の履歴書」と言われた方がいましたが、これは男性ばかりでなく、
 女性の方にも当てはまるのではないかと思っています。
 もって生まれた美しいお顔も、歳月と共に変化することは事実でしょうが、経験を
 積まれ、年輪の刻まれたお顔も、一段と味わいを増していることと思います。
 従って、詠まれた「 仰天したり」の結句は若干の誇張と、ユーモアセンスが織り
 込まれているかと思いますが、下の句は「顔の履歴を 改めて知る」等の表現では
 いかがでしょうか。


    「咲き初める ラッパ水仙」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆鏡には愛した人の残像が さよなら書いた口紅折れる
                         浅間山明鏡止水さん
【詞書】恋にはいろいろな形が存在するものですね。もう遠い過去のことと
    なりましたが、やはり忘れられない輝きを時に思い出したりして・・・。
★ひとしきり風のきびしき声を聞く恋の残像さらってゆけよ
                         夕庵さん

☆うす闇に仄かに香る梅の花 光り乏しき世にも咲き次ぐ
                         ポエットM
【詞書】日本ののどかな春の訪れですといっておられない心境ですが・・・。
★半玉の伏し目愛しやまなじりに紅ひく朝の梅匂う苑
                         夕庵さん
【詞書】我々は風流におぼろ月を見上げますが、戦禍のウクライナの人々は、同じ月を
    瓦礫の先に見上げるのでしょうか。少しでも早い解決を望みますね。
★ 白梅の上枝(ほつへ)にかかるおぼろ月 光乏しき人も見上ぐや
                         みっちっちさん
【詞書】破壊つくされた街にたたずむウクライナの民は、未だ厳しい寒さの中、奪われた
    国土を取り戻すため、さらに愛する者のため意気高く戦っていることと思います。
    酷薄を極めた冬の寒さは未だ厳しいものの、月がおぼろに霞み微かな春の兆しが
    感じられる、そんな情景を詠んでみました。ロシアの即時撤退を願いつつ…。
★極北の見上げる月は霞めども 酷き寒さに春は兆すと
                         ポエットM
【詞書】酷寒のウクライナにも少しずつ草の芽吹き、春の兆しがあればいいですね。
    国際情勢にも雪解けが待たれますね。
★ 極北の戦禍の地にも草の芽のひとつふたつと春は兆すや
                         みっちっちさん

☆池の面に揺らぎつ映るしだれ梅 鯉はぽあんとあぶくを吐けり
                         夕庵さん
★ 池の面に梅のひとひら散りぬれば 鯉が尾を跳ね口寄せきたり
                         みっちっちさん

☆スニーカーの紐結びなおして何処までも歩けそうな気の今朝の一歩は
                         夕庵さん
【詞書】コロナ禍が始まった時、ジムが二ヶ月間休みになったので、毎日走りに
    行った事を思い出しました。雨の日も走り10キロ走れるようになりました。
★ 新しきスニーカー履き 新緑の光と影の中突っ走る
                         みっちっちさん
★この靴で地球をどれだけ歩いたか まだ大丈夫とマッサージする
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆白梅のほころぶ野辺に香り満つ 戸惑いつつも初蝶の舞う
                         ポエット・M

【解説】
 散歩でしばしば訪れる観音崎公園の一隅に、白梅が何本か植えられています。開花した
 白梅の花の清澄さに改めて見惚れると共に、漂う香りに密かな春の訪れを感じました。
 そんな時、今年初めて見かける紋白蝶が、戸惑うかのようにひらひらと舞っていました。
 文字通り、今年初めて見かける「初蝶」でしたが、惑いつつも花を求めて舞う蝶に
 改めて春も間近と感じ詠んでみました。「初蝶」は俳句の季語でもありますが、
 ここでも使わせて頂きました。



     「香る 白梅」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (17)
 
 4.続・君へのリクイエム(3)


   次々と、君の死が昨日のごとくして、新たに生まれいずる挽歌と相聞歌を
   「続・君へのレクイエム」となずけた。…君よ!永遠に!安かれ!

   ああ薔薇窓(ばらど)
         君が声かと
           振り向けば
       五月夕べの
          風の口笛

         ああ薔薇窓
           マリアのごとく
               ほほ笑むは
             遠き五月の
                君が残像

                  夜の夢に
                    カランコロンと
                         歩み来る
                       君の姿は
                        お盆の祭り

          玉の緒の
            絶えて久しき
                夜の夢に
               生々しくも
                  忍び入る君

     君も夢
       我も幻
         ああされど
            この夕光(ゆうかげ)の
                    この哀しさよ



     「咲き初める 椿・鈴鹿の関」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】
 自閑(jikan314)さんのコメントです。

 「令和」の元号の出典となった「序」文でもあります。

 梅花の歌三十二首并せて序
 天平二年正月十三日、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月に
 して、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
 と言う事で、皆様の所も、令和五年新春の梅花が春の訪れを告げているかと
 存じますので、梅の歌を紹介します。
  春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ     (山上憶良)
  世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを (豊後守大伴大夫)
  梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも       (小監阿氏奥嶋)
 上記万葉集三十二首です。梅と鶯はセットで歌われるのですが、ウメの開花と
 ウグイスの初鳴きを調査記録している気象庁によれば、1月ほどタイムラグが
 有ります。三首目は、ウグイスの笹鳴きかと思った歌です。
  梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあわ雪ぞ降る    (よみ人知らず)
 新古今と万葉集巻第十の歌です。先日雪が5cm積もった時に、早速、梅の花を
 探しまくって写真を撮りました。
  大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月     (藤原定家)
  梅が香にむかしをとへば春の月こたへぬかげぞ袖にうつれる    (藤原家隆)
  梅のはな誰が袖ふれしにほひぞと春や昔の月にとはばや       (源通具)
  梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月      (俊成女)
  ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな    (式子内親王)
 新古今を代表する4人の歌です。源通具と俊成女は夫婦で、通具は俊成女に
 代作させたなあ?と思っています。ちぎり絵の様に、所々本歌取りを配置して、
 幻想的な歌だと思います。
  難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花        (王仁)
 古今集仮名序にある歌で、百人一首かるたの空札として佐佐木信綱が選びました。
 この歌は、大阪市浪速区、此花区の命名の本歌で、地名が和歌を基にと言うのも
 粋ですね😁
  春の夜の闇はあやなし梅花色こそ見えねかやはかくるる     (凡河内躬恒)
 古今ですが、私の好きな歌で

 ※-----------------------※

 チョウキチさんのコメントです。
   鏡には愛した人の残像がさよなら書いた口紅折れる  (浅間山明鏡止水)
   春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ  (山上憶良)
   ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな (式子内親王)
  今も昔も恋する心は同じということでしょうか。
  昔、憶良は貧しく子供も多い下級役人だったと聞いたような気がします。
  定家などと違いつつましくも思えます。
   梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも    (小監阿氏奥嶋)
  一回の不首尾にはめげない、明るい将来を期待する強さも感じられます。
 ポエット・M 応答
  おっしゃるように山上憶良の生きた万葉集の時代から、1,300年以上を経た現代も
  人が人に寄せる想い、さらに恋する心は大きく変わっていないのではないかと
  思っています。従ってそれを31文字の空間に昇華させた相聞等の歌への共感が
  生まれ、理解することが出来るのだと思います。
  山上憶良は遣唐使書記に抜擢され、貴族になりましたが、仏教や儒教の思想に
  傾倒していたことから、死や貧、老、病などといったものに敏感で、かつ社会的な
  矛盾を鋭く観察し心を痛めた反骨の方だったと考えています。
  そのため、官人という立場にありながら、重税に喘ぐ農民や防人に取られる夫を
  見守る妻など、社会的な弱者を優しさをもって鋭く観察した歌を多数詠む、
  当時としては異色の社会派歌人であったと思っています(諸説はありますが…)。
  おっしゃるように定家の歌に比べても、地に足を付けた堅実でおおらかさもあり、
  懐の深い詠いぶりで、私も好きな万葉歌人の一人です。
  「一回の不首尾にはめげない、明るい将来を期待する強さ」を感じられる歌は、
  今の世情でより求められていると思いますし、私たちも目指したいと思います。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「咲き初める ミモザ」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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事実と、歴史を

2023年03月06日 09時40分45秒 | 日々の歩み
 三浦半島、横須賀市の東京湾側に、大津魚港から馬堀海岸を経由し走水まで延びる「馬堀海岸遊歩道」があります。ここは通称「まぼちょく」とも呼ばれ、首都圏でも指折りのランニングの聖地でもあります。ここは、すぐ脇に海を感じながら走ることができるランニングコースで、ビギナーから素敵なウェアに身を包んだベテランまで多くのランナーが集い、休日には多くのチームが群れをなしてランニングを楽しんでいます。

 かつて、木村拓哉が主人公の「教場」と言うテレビドラマがありました。その中で濱田岳が、このコースでジョギングするシーンがありました。たまたま、その撮影現場に居合わせたことにより鮮明な記憶として残っています。群青に染まる東京湾を挟んで、横浜ランドマークタワーや東京スカイツリーさらに、ベイブリッジ等、様々な景色が楽しめます。



 また、この海岸遊歩道と並行して住宅街を貫く、全長2Kmほどの「馬堀遊歩道」があります。ここは横須賀風物百選にも選定され、四季折々の花々が咲き競う「花の遊歩道」でもあり、私たちの散歩や、ジョギングの格好の場所でもあります。さらに、季節の移ろいを身近に感じられるデジイチスケッチの聖地でもあります。
 過日、この遊歩道で河津桜のデジイチスケッチをしているときに、この河津桜をお世話している方にお話を聞くことが出来ました。この方はご自身の住宅前の遊歩道に水仙から始まり、梅、河津桜、百合、紫陽花、皇帝ダリア、さらに菊、パンジー等々文字通り四季折々の花々を育て、見事に咲かせている方でもあります。



 かねてから撮影の際、時々挨拶をかわし花談義もして参りました。その時は草取りをしながら、深刻な顔をしていましたので「どうされました」とお尋ねすると、「実は見ごろになった黄水仙が20本近く、夜のうちにごっそり盗られたんですよ。しかも二回目です」と肩を落としていました。「ひどいことをする輩がいるものですね」と応じたものの、一年間丹精して育て、ようやく見ごろになった珍しい黄水仙をごっそり盗られた、その方の無念を思うと、慰めの言葉もありませんでした。
 かつて「花盗人」は狂言の演目でも、風流や風雅と言われたことがありましたが、一輪二輪でなく20本近くをごっそり盗っていく行為は、風流どころでなく犯罪でもあります。

 ロシアのウクライナ侵略をはじめ、フィリピンを拠点とした大規模特殊詐欺事件等、世情が騒がしくなり、人が人に寄せる信頼感が希薄になっている時代。「寒さに耐えて花開く春の花に心を寄せる、そんな人のために…」との想いで花を育てていると、呟くようにおっしゃるその方。その方の想いを踏みにじる輩に憤りが湧くと共に、花盗人の心の貧しさに哀しさを感じてしまいました。

 また、その方は、未だ河津桜が、この横須賀で広まる前、三十数年前になりますが、伊豆河津町の観光協会に出向き、桜の苗を譲っていただくよう何度か嘆願されたとのこと。大切な観光資源でもあり、門外不出とのことで、そのたびに断られたとの事でした。
 それにもめげず、諸々の情報を集め河津桜の苗を育てている農家さんを探り当て折衝を重ねました。気候も似ている横須賀で必ず上手に育てるからとお願いし、門外不出の苗木をとうとう譲ってもらうことが出来たと淡々と語ってくれました。

 苗木から花を咲かせ、その実からさらに苗木を育て、ボランティアで遊歩道に植えるという、正に「花守の翁」を、この地で実践してこられたとのこと。自慢するでもなく、淡々と話すその方の人柄に改めて感動するとともに、この遊歩道の花々は、このような方々の手によって守り育てられている事実と、歴史を知り、改めて感謝の想いで一杯になりました。

 四季折々の艶やかな移ろいを示す遊歩道も、このような一遇を照らすにも似た、実直で、誠実なボランティアの方々のたゆまぬ取り組みによって維持されていることを知り、改めて感謝するとともに、心して撮影しなければとの想いを新たに致しました。
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その73)

2023年03月01日 05時40分49秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その73)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「咲き盛る 白梅」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】2月21日浅間山一望の「ココラデ」で休んでいましたが、浅間山にかかる
    雪雲が幻想的で、吹雪いているのが分かります、しかし麓はいわば快晴です。
    「浅間山にたなびく幻想的な雪雲の景色」を見ていると濃霧の中に入って
    行きたい衝動に二人とも駆られました。この不思議な世界観を是非とも
    詠みたいと思いましたが上手く表現できません。ご指導願います。
☆雪雲が浅間の山にたなびいて 入り込みたい幻想世界
【詞書】毎週土曜日拙者ブログでは「小椋佳作詞研究」をしていますが、今回は
    第2弾になります。「白い一日」「めまい」彼の作詞をヒントに短歌を
    詠んでみました。
 註)白い一日
☆鮮やかな恋の想いが溢れ出し 君と過ぎゆく白い一日
 註)めまい
☆鏡には愛した人の残像が さよなら書いた口紅折れる
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 二首目、三首目は良いですね。「さよなら書いた口紅折れる」なんて艶やかで
 経験が無いと中々詠えない、ディテールが利いています。
 一首目、浅間山の雪景色を眺めるには御代田ココラデは、ベストポジションと
 思います。「浅間山にたなびく幻想的な雪雲の景色」を見ていると濃霧の中に
 入って行きたい衝動に駆られることは理解できます。しかも、お二人そろってとは
 感性が近しいとの事でしょうか。この歌を、幻想的な雪雲が誘っている、
 との視点から詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★浅間嶺にたなびく雪雲妙なるも 誘(いざな)いたまう 我ら二人を


【詞書】関西でもやっと梅が咲き出しました。良い匂いが風に乗って春が来たのを
    知らせてくれます。
☆昨夜(きそ)の雨小枝の先に雫して梅のつぼみは微熱もちたり
☆梅ひらく音きこえ来て振り向けば春の言葉を風は告げたり

【詞書】どんな条件の地でも季が巡れば花が咲くように、老境の私にも楽しい予定が
    あるのは心弾みます。
☆崖っ淵の水仙風に咲くようにわれの胸にもひらく花あり
                         夕庵さん

【解説】
 一首目、二首目のお歌は、梅を主題に春の訪れを味わい深く詠い、擬人化と
 比喩が無理なく利いていると考えます。結社によっては擬人化をさけるように
 との方針を掲げるところもありますが、私は表現の幅を広げる上で是としたいと
 思います。特に二首目は物語性とともに、「春の言葉」を聴きたい想いです。
 三首目の歌は、心が弾み、また心に沁みます。


【詞書】先日、春でもまだ寒い日、母が好きだった杏子ジャムを煮ました。台所の
    窓ガラスは曇り甘い香りに包まれました。春を待たずに粉雪の日に逝った母を
    偲びました。
☆春寒の玻璃(はり)の曇りや 亡き母の好みし杏子ジャムを煮る
                         みっちっちさん

【解説】
 上の句の「玻璃の曇りや」が、煮物によって生ずる、窓ガラスの曇りで、春浅い日の
 様子を的確に表現していると考えます。玻璃は一般的には水晶等を表しますが、
 ガラスにも用いますね。
 「杏子ジャムを煮る」も母と娘を繋ぐ、大切なアイテムであることが頷けますが、
 女性のみが持ちうる深い感性かも知れません。
 そんな濃密な想いが、さりげなく詠われた詠歌に溢れています。



     「咲き満る 河津桜」

【詞書】化粧
☆鏡の前に立つとき女は女の準備を始める。夕化粧
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 この最後の3文字をどうするかで、約5ヶ月スランプになりました。
 鏡の前に立っている時、こう言った場合、女性ならどう思っているのだろうか?と
 思い立ち作りましたが、最後が決まらないです。
 艶と言うのはなかなか難しい。
 とblogに書いたら、blog友の方から、「薄化粧」より、「夕化粧」の方が
 「夕方に化粧するってなると、これから男の人に逢うって書かなくても判るから
 艶っぽくて良いでしょ?💖」アドバイス頂き、修正しました。
 実は、未だ、「ゆふけはひ」(古語)、「ゆふけさう」(歴史的仮名遣ひ)に
 するか迷っていますが、とりあえず口語と言う事で。

【解説】
 かつて、渡辺淳一原作「化粧」という映画がありましたが・・・、爛漫の桜を背景に、
 京都の老舗の料亭を舞台に、そこの女将と美しい三姉妹がくり広げる様々な生き方を
 描いていましたね。
 主演の松坂慶子さんの妖艶さと、メナードによる「化粧」が少し話題になった記憶が
 あります。
 blog友の方から、「夕化粧」へとアドバイスがあったとのことですが、私もその方の
 説に賛同したいと思います。
 でも、この3文字の為に「約5ヶ月スランプ」との事ですが、「求道者」故の悩みでも
 あったことと思います。「止揚」への熟成の貴重な日々とも・・・。
 この徹底する姿勢には、短歌を詠むものの一人として、深く学ばせて頂きました。


【詞書】一年以上に渡って私を虐めていたさるブロガーが、やっと謝ってくれました。
    その嬉しい気持ちをそのまま詠いました。
☆ご近所の白梅咲きてゐることに気づくこの日の心にも春
☆咲きてゐることも見えなくなりし目に目出度き春の白梅の花
☆ふさがりし心に春は訪れて冬は去りゆく花を咲かせて

                         水仙さん

【解説】
 くだんのブロガーさんから謝って頂いたとのこと。少し安心できますね。
 詠まれているように、心のふさぐことがありますと、四季の移ろいに眼差しを
 向けるゆとりが奪われてしまうことは十分理解できます。さぞ辛かったことと
 思います。
 先ず、一点突破がなされたようで、歌にもそのホッとされている想いが表現され
 歌を鑑賞させて頂く私達も嬉しくなります。
 二首目の下の句「目出度き春の白梅の花」の、のびやかな表現が利いていますね。
 素敵な歌と感じます。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆如月の冷気きわまる風を撥ね 河津桜は凜と咲き初む
                         ポエットM
★花さくを誰に告げむや巡りくる 季節はそっと背なによりそう
                         夕庵さん
★風を撥ね凛と咲く花 如月に逝きたる母はいまも心に
                         みっちっちさん

☆昨夜(きそ)の雨 小枝の先に雫して梅のつぼみは微熱持ちたり
                         夕庵さん
★ 咲き満ちてなほ色秘むる白梅に昨夜(きそ)の小雨の雫ひとつぶ
                         みっちっちさん
★満開のしだれの梅に事問えば夢に無沙汰の友訪ねくる
                         夕庵さん
★しだれ梅 香り漂う宵闇に 白きうなじの女人去りゆく
                         ポエット・M
★満開の悲田梅(ひでんばい)へと事問へば浮かぶあの日の父母の笑顔よ
                         みっちっちさん

☆崖っ淵の水仙風に咲くようにわれの胸にもひらく花あり
                         夕庵さん
★吾(あ)の胸に優しき母のごとく咲く 風受け崖に咲く水仙は
                         みっちっちさん

☆春寒の玻璃の曇りや亡き母の好みし杏子ジャムを煮る
                         みっちっちさん
【詞書】みっちっちさんのお母様との年の差が分かりますね。母は明治の慎ましい
    生活の中で兄妹6人を育てました。私も今日は小松菜の煮物を作りす。
    こうして亡き母の歌を詠むと…まざまざと在りし日の母が鮮やかに甦ります。
    娘と母の絆はいつまでも崩れることはないのでしょう。
★「塩鯖と菜っ葉の炊いたん好きやねん」亡母の言葉の浮かぶキッチン
                         夕庵さん

☆鏡の前に立つとき女は女の準備を始める。夕化粧
                         自閑(jikan)さん
【詞書】あまり艶っぽいお歌は詠んだ事がありませんが、姫鏡や花衣(はなごろも)等は
    俳句でもしっとりと艶っぽいと思います。ちょっと挑戦してみました(笑)
★姫鏡にて夕化粧 花衣まとひて今宵花となるらん
                         みっちっちさん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆うす闇に仄かに香る梅の花 光り乏しき世にも咲きつぐ
                         ポエット・M

【解説】
 夕映えに染まり艶やかな輝きを見せた梅の花も、やがて薄闇に閉ざされていきます。
 そんな刹那に漂う梅の香りが仄かに感じられます。
 ロシアのウクライナ侵略、凶悪犯罪の頻発、「新たな戦前」等、光の見えない
 世情の下、うす闇の中で凛と咲きつぐ白梅に微かな光明を見出す想いです。
 そんな白梅に寄せて詠んでみました。


     「夕影に香る 白梅」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (16)
 
 4.続・君へのリクイエム(2)


   次々と、君の死が昨日のごとくして、新たに生まれいずる挽歌と相聞歌を
   「続 君へのレクイエム」となずけた。…君よ!永遠に!安かれ!

   クリスマスの
     ケーキも買わず
          正月の
       餅をも搗かず
           君を悼みて

         居酒屋の
           割れんばかりの
                喧騒に
             独りの我の
                暗き静寂

                  君の無き
                    我の心の
                      空洞は
                     暗く哀しき
                        ブラックホール

          アルバムを
             捲るも哀し
                にこにこと
               写真の君は
                  微笑をすれど

     哀しきは
       君が愛でにし
          「クリスチャン・
         ディオール」の花の
              花咲く五月



     「咲き初める 白い侘び助」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】
 自閑(jikan314)さんのコメントです。
 「令和」の元号の出典となった「序」文でもあります。

 梅花の歌三十二首并せて序
 天平二年正月十三日、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月に
 して、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
 と言う事で、皆様の所も、令和五年新春の梅花が春の訪れを告げているかと
 存じますので、梅の歌を紹介します。
  春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ     (山上憶良)
  世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを (豊後守大伴大夫)
  梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも       (小監阿氏奥嶋)
 上記万葉集三十二首です。梅と鶯はセットで歌われるのですが、ウメの開花と
 ウグイスの初鳴きを調査記録している気象庁によれば、1月ほどタイムラグが
 有ります。三首目は、ウグイスの笹鳴きかと思った歌です。
  梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあわ雪ぞ降る(よみ人知らず)
 新古今と万葉集巻第十の歌です。先日雪が5cm積もった時に、早速、梅の花を
 探しまくって写真を撮りました。
  大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月     (藤原定家)
  梅が香にむかしをとへば春の月こたへぬかげぞ袖にうつれる    (藤原家隆)
  梅のはな誰が袖ふれしにほひぞと春や昔の月にとはばや       (源通具)
  梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月      (俊成女)
  ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな    (式子内親王)
 新古今を代表する4人の歌です。源通具と俊成女は夫婦で、通具は俊成女に
 代作させたなあ?と思っています。ちぎり絵の様に、所々本歌取りを配置して、
 幻想的な歌だと思います。
  難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花        (王仁)
 古今集仮名序にある歌で、百人一首かるたの空札として佐佐木信綱が選びました。
 この歌は、大阪市浪速区、此花区の命名の本歌で、地名が和歌を基にと言うのも
 粋ですね😁
  春の夜の闇はあやなし梅花色こそ見えねかやはかくるる     (凡河内躬恒)
 古今ですが、私の好きな歌で

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「紅梅」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
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