四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
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私の短歌観 「相聞歌」について        

2015年06月09日 21時26分41秒 | 日々の歩み
 今回は、私が取り組んできた短歌について、少し触れてみたいと思います。

 短歌はつきつめれば相聞歌(恋歌)と挽歌から成ると言えます。
詩歌の流転に重なる人々の長い歴史の中で、愛し合う男と女が、とりわけ恋の
闇路に踏み入った二人が背負わなければならなかった過酷とも言えるしがらみ。
近松門左衛門の文学に代表される、美しくも痛ましい恋の道行の物語。
しがらみを打ち破れず、死への道行を余儀なくされる恋の結末が、悲恋の厳しさと
現実とを伝えてきました。

 それらのしがらみが取り払われたかに見える現代の風潮の中で、愛する二人が
純粋に己の感情をみつめ、確かな絆を結び合いより強固な愛の伝説が生まれ得る
のでしょうか。
この問いに対する一つの回答とも言いうる相聞の証しを、現代の状況の中で
短歌として紡ぎうるのか。
そんな無謀とも呼べる短歌を一つの夢物語として、自らも紡ぐことが出来ればと
不遜にも長いこと思ってきました。

 コンピュータのソフトウエア開発を生業としながら、長いこと自らの睡眠時間の
確保すらままならない、時間とのせめぎあいに埋没してきました。その中で、
子育ても含め家庭生活すら、その大半を細君に委ねおんぶにだっこの状態にあり、
家族と一緒に過ごすことすらままならない状態でした。
いきおい乏しい経験を小説や、記紀万葉、古今和歌集等の世界から、また、周辺の
友人たちから見聞きする恋物語に学びつつ、自らの空想物語の世界を短歌として
再構築する「背伸び歌」として長いこと詠ってきた感が否めません。

 そんな「背伸び歌」であっても、短歌誌への投稿、歌会やネットでの発表時に、
時には少なからぬ喝采を浴びることもあり、背伸びをして相聞歌を歌ってきた経緯が
ありました。
 私の短歌、特に恋歌とも言われる相聞歌は「憧れも含め物語として構築した」作品で
あり、実在世界を必ずしも反映したものでないことは言うまでもない現実です。

 短歌の行間に、ときには甘く、ときには哀しく、しかも感傷に堕さない調べをぬって
淡淡としたピュアな響きが伝わってくる相聞歌。文語のもつ緊張感とは趣を異にする、
しなやかな活き活きとした言葉が、その響きと艶を支える短歌を、一首でも詠めたらと
密かに思っているところであります。

掲載した写真は、過日「横須賀しょうぶ園」に細君と行って参りましたが、その際の
デジイチスケッチです。名称は「江戸系 町娘」です。
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4 コメント

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Unknown (ココナッツ)
2015-06-11 11:58:05
短歌はよくわかりませんが詠み手に
とっての思いと読む側にとっての思いは必ずしも
一緒ではないですよね。
それぞれが自分の来し方に思いを馳せて
感じて行けばよいのでしょうか!
淡々とした感情が表現されている相聞歌の方が
好きですね。
恋焦がれて云々の歌は好きではないですね。
淡々とした (ポエット)
2015-06-12 20:32:37
ココナッツさん

コメントいただきありがとうございました。

おっしゃるように短歌は詠んだ時点で、解釈と感じ方は
読者の手にゆだねられますね。気し方を重ねて感じて
頂ければ嬉しいです。

私も相聞歌は「淡きがよろし」をモットーとして参り
ましたが・・・、行間に思いを込める短歌は難しいと
感じて参りました。

これからもご意見いただければ嬉しいです。
Unknown (ココナッツ)
2015-06-13 09:41:09
そうなんですね。
私はいつもご自分の経験を詠まれているのかと
思いながら読んでいました
詠む (ポエット・M)
2015-06-13 22:22:45
ココナッツさん こんばんは

度々のコメントありがとうございます。

私の読む相聞歌は「憧れ物語」で、作品として詠んだ
ものです。
おっしゃるように、「自分の経験として」理解されてしまう
ことは心しなければいけませんね。

短歌は発表された時点で、その解釈は読者の方に
委ねられてしまいますので、たとえ作品であっても
背伸びせずに身の丈にあった短歌を詠って
行きたいと思っています。

これからもお立ち寄りいただければ嬉しいです。

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