第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その151) 短歌の投稿を歓迎します!!
☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
第二部 「ネット短歌」 :返歌専用です。
「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。
「ようやく咲き始めた 曼殊沙華」
「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」
【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
中心に返歌を楽しみたいと思っています。 主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
中心です。 今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
お願いします。 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
新規で作成しています。 私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
願います。
「6.末摘花(すえつむはな)」
源氏ははかなく消えた夕顔のことが忘れられない。そんな折、乳母子の
大輔命婦から、故常陸宮の姫君(末摘花)のことを聞く。
姫は荒れた邸で琴だけを友として暮らしているという。興味を持った
源氏は、早速常陸宮邸を訪れ、琴の音を耳にする。源氏の後をつけ、
同様に姫に懸想をする頭の中将と源氏は恋の鞘当てを繰り広げるが、
姫は一向になびいてこない。いらだった源氏は命婦に手引きさせ姫と
強引に契りを結ぶが、姫の風情のなさに落胆する。忙しさに追われ
しばらくぶりに姫のもとに訪れた源氏は、その翌朝見た姫の醜い姿、
特にだらりと伸びた、先が赤い鼻に驚きを覚える。だが、落ちぶれた
宮家の境遇を哀れと思い、姫の面倒を見続けた。二条院で、源氏は
美しく成長する紫の上と、赤鼻の女の絵を描いたり、自分の鼻に紅を
塗ったりして戯れた。
〇朝日さす 軒の垂氷(たるひ)は 解けながら
などかつららの 結ぼおるらん 光源氏
註)朝日のさす軒のつららはとけたのに あなたは張りつめた
氷のようで なぜ打ちとけてくれないのでしょう
〇唐衣君が心のつらければ 袂はかくぞそぼちつつのみ 末摘花
註)あなたの心が薄情なのでわたしの袂はこのように涙で
ぬれ続けてばかりです
(返歌)
☆気の利いた和歌の一つも贈らねば 貴公子こその名が廃るのは
☆微笑して手紙を眺める源氏には 歌作苦心想像するも
浅間山明鏡止水さん
【解説】
光源氏が中年になってから、自らの屋敷に迎い入れた女性は6人いましたが
そのうちの一人が末摘花です。当時の美貌至上主義の風潮からみても遠い
存在であった末摘花を「なぜ?」との疑問が残りますが、ここにも紫式部の
女性観と、人の真実に寄せる想いの深さが見られます。
とりわけ、光源氏が地位をなくし、須磨・明石に移ってからも待ち続けた、
末摘花の一途さと、誠実さに打たれたのではないかと思っています。
そのような背景を踏まえて、光源氏と末摘花の歌と、作者の返歌を鑑賞
しますと、作者の歌はいずれも光源氏の想いを中心にして詠まれています。
このような返しも視点をずらす技として面白いものですが、それぞれの
方の歌に寄り添って、先ず返歌をしてみたいと思います。
このような歌ではいかがでしょうか。
【ご参考】
★朝日にも溶けえぬ君の冷たさよ 吾にも笑みの一つも向けよ
★君ゆえに我の袂も濡らしいる 届かぬ想い秘める哀しさ
【詞書】能登の自然災害について詠ませて頂きました。
☆無情にも震災復興途上なる 能登に出される特別警報
【詞書】お彼岸から秋らしくなったことを詠ませて頂きました。
☆お彼岸のはぎのお下がりよばれつつ 冷房offで眠れる夜へ
西BOOさん
【解説】
「能登の自然災害」「お彼岸」と最新のテーマで、作者の独自の
切り口から詠んで頂きました。
一首目の歌、今年の元日に襲われた能登半島地震からの復興途上に
ある能登半島を豪雨が襲い、死者13名、行方不明者5人を出すという
大災害となりました。
作者も詠まれているように、自然の「無情」に改めて脅威を感じます。
CO2の排出による地球温暖化が背景にあるとは言え、早急の被害者
救済が必須と考えます。災害の実態をこのように歌に遺していくことは
私たち、歌を詠む者の責務とも考えます。改めて身罷った皆様の
ご冥福をお祈り申し上げます。
二首目の歌、詠まれているように、あれほど続いた炎暑の日々も、
お彼岸を境に冷房も不要な状況になりつつありますね。なお、予報に
よりますと、また夏日が復活する様子ですが、あの炎暑はもうこりごり
ですね。「冷房offで眠れる夜へ」の下の句に、ホッと胸をなでおろし
眠りにつく作者の様子が味わいをもって表現されています。
【詞書】又、秋空で二首、色鳥で一首詠みましたので出詠いたします。
洋裁が好きだった亡き母は、綺麗な生地をいっばい遺していました。
時々、縁側に広げて見て母を偲びます。色鳥も寄ってきて楽しんで
いるかのようです。
☆ふうはりと立ち上ぐ麒麟 秋空に首突つ込むがごとぐんと伸ぶ
☆秋天を打ち破らむと子らの声 トランポリンで高さ競ひて
☆亡き母の遺せし生地を広げみる縁の狭庭に色鳥戯(ざ)れり
みっちっちさん
【解説】
「秋空」「色鳥」の季語を詠みこみ、三首の歌を情趣豊かに詠んで
頂きました。
三首目の歌、上の句の「生地を広げみる」という動作が、視覚と触覚に
訴えかけ、具体的なイメージを示して、亡き母の温もりが感じられる
ほのぼのとした描写となっています。「布地」は作者にとって亡き母の
愛情や温もりの籠った象徴的な存在なのかも知れません。
さらに、亡き母を偲ぶ静かな情景と、色鮮やかな鳥の活気ある様子が
対比され、対比の美しさとともに余韻も残しています。
また、「縁の狭庭」という言葉は、作者の心の内を映し出しているように
思えますし、この庭も作者にとって、母との思い出が詰まった特別で、
大切な場所と感じます。
一首目の「秋空に首突つ込むがごと」の表現がユニークで効いていますね。
「夕映えに染まる 酔芙蓉 八重」
【詞書】早朝散歩がすっかり楽しくなりました。
☆早朝の散歩の醍醐味ひとり占め まだ眠りいる町は手のなか
【詞書】昔はよく見かけた無花果もいまや高級品になりました。
☆ぼってりと手のひらに乗るイチジクの切り口白き汁の滴る
【詞書】中秋の名月の神々しい満月
☆満月は中天高く太々と 隈なく照るを共に歩みぬ
夕庵さん
【解説】
「早朝の散歩」「イチジク」「中秋の名月」をテーマに、秋の趣の
感じられる三首の歌を詠んで頂きました。
特に三首目の歌について触れさせて頂きます。
今年の「中秋の名月」は、満月より一日早かったとのことですが、神々しい
までの輝きは満月そのものでしたね。
満月の光に包まれながら、その光を全身に感じつつ歩いている作者の満ち
足りた表情が目に浮かびます。「共に歩みぬ」の結句はどなたかと一緒に
歩んでいるとの解釈もありますが、ここでは月と共にその光を浴びながら…と
解釈致しました。
なお、「隈なく照る」という4句目の言葉は、満月の光の広がりと明るさを
表現しており、私達の心に秋の澄明な空気と、広がりのある風景を描きだして
くれます。
一首目の「町は手のなか」の表現も、街を俯瞰する広がりがあっていいですね。
なお、4句目は「まだ眠りいる町」とさせて頂きました。
【詞書】9月20日に倒れ、救急で病院に運ばれて入院した父ですが、23日あたりから
意識はないものの、病棟の方々の処置で何とか呼吸は続いています。昨日、
姉と行ったらその前日あたりから低くなっていた血圧がやはりそのままで、
脈拍は少なくなってましたが、118とか120とかは熱が高かったらしく、
80とか70台とかならまだ何とか…のようでした。決して回復どころか目も
再び開きはしないだろうけど、あまりに急だったショックはまだ身体の
内にあるようです。“別れ”はすぐそこなんでしょうけど…。“その先”
のことをもろもろ…自分自身も忙しい身の姉に叱り飛ばされながら徐々に
備えている今日この頃です。
☆父倒れ
10日になりて 重篤な状態続き日々不安なり
【詞書】ななめ裏のお宅に小さい子(一番上の子で小学生の低学年ぐらいかと)
が居るんですが、けっこうワーワーと騒いだりする声も聞こえたりは
しますが、今日9月30日の昼頃にはピアニカだと思うんですが、練習して
いるらしいメロディが聞こえたんです。(何の曲かは判りませんでしたが)
何ででしょうね、いつもの子供嫌いの私なら、ちらりと「うっせー」とか
思ったりするだろうに、先ほどは「練習してるなあ…けっこう上手やなあ」
なんて思ったんですね。何でしょうね…このところ“死”が身近に
有りすぎるせいでしょうか…。…ふと、昔難波でバイトしてた頃に、
ある日なんだかいろいろ上手くできなくて気分がズーンと落ち込んで
いた時に何となく戎橋(現在と姿が違います。2000年ぐらいの話ですから)
に来て、ストリートで演奏している人達の生ギターの音に凄く癒された
事を思い出しました。(ブルーハーツやってた子に「日曜日よりの使者」を
リクエストしたっけ…)なんかやっぱし音楽って何らかの癒しになりますね。😊
☆こんな時だからだろうか 近所からピアニカの音 ふっと微笑む
ちがやねこさん
【解説】
お父様の重篤な病の看病で身も心も大変な中、作品をお寄せ頂き感謝
致します。作者の大変な状況と、その想いをサロンの歌友の皆さんで
共有して参りたいと思います。改めてお見舞い申し上げます。
おっしゃる様に「“死”が身近に有りすぎる」中で、人は、音楽や詩に自らの
想いを預け、ひと時の安らぎを得ることがあるのではないでしょうか。
一首目の歌、まさに「不安」を率直に吐露した歌は、作者の現状を
そのまま表現しています。短歌は31音という小さな器ですが、自らの想いを
受け止めてくれる十分な容量を持っていると考えます。
私もかつて現役の時、プロジェクトの壁にぶつかり、その責任の重圧に
押しつぶされそうになった時、この「31音の小さな器」に想いを吐き出す
ことによって救われた経験が幾たびかありました。
お父様の現状を受け入れつつ、回復への祈りを込めて、自らの厳しい
精神状況を丸ごと詠むことにより癒しに繋がっていくものと考えます。
二首目の歌、お父様の現状を踏まえつつ、不安と祈りの想いの中で、
それだけ感性が研ぎ済まされているのだと思います。それゆえに
「ピアニカの音」と生ギターの音の思い出に、感応するのだと思います。
結句の「ふっと微笑む」に、癒しそのものを感じます。
【詞書】YouTube短歌:必死に生きる 冨田勲・展覧会の絵「リモージュの市場」
☆真っ暗な洞窟
求め歩き回った甲虫のみ生き残った
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
リモージュ(Limoges)は、フランスの中部に位置する都市で、ヌーヴェル=
アキテーヌ地域圏、オート=ヴィエンヌ県のコミューンである。リモージュ
磁器の生産で知られます。
真っ暗な無明の洞窟に閉じ込められた。人も同じ。必死にもがき歩き回った
甲虫が走り回る様子に聞こえた。十二因縁の根本の無明に始まる物語を。
無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、有、生、老死。
と仏教とは真逆をイメージしました。
以下URLに、展覧会の絵を貼付していますので、お聴き戴ければ幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/b3c6e84e281bdccd8134610b7b3c9369
自閑さん
【解説】
前にも少し触れましたが、冨田勲氏は、ムソルグスキー作曲のクラシック
音楽と現代音楽との融合を図り、独自の解釈を加え、シンセサイザーにより
再構築し全く新しい音楽作品へと昇華させました。
今回の詠歌のテーマとなった、「リモージュの市場」もムソルグスキーの
オリジナル作品を、冨田勲氏が独自に再解釈した一曲です。ご案内により
ユーチューブを視聴させて頂きました。
作者の「無明の洞窟」との解釈も見事で、深い想いを感じましたが、少し違った
視点から鑑賞させて頂きました。冨田勲氏も様々な解釈を薦めていたと感じ
ましたが、短歌解釈と同様に力強いエールと考えます。
私は、モーグ・シンセサイザーをはじめとする電子楽器を駆使し、市場の喧騒、
人々のざわめき、様々な商品が並ぶ様子などを、鮮やかな音で描き出していると
感じましたが、作者に比べ「題」に囚われた表層的な解釈かも知れません。
作者は、この曲から「十二因縁」を発想し、「求め歩き回った甲虫のみ生き
残った」との歌に結実させる作歌力の凄さを、今更ながらに感じました。
明日をも知れない無明の闇の中で、もがきながらも必死に日々を生きる事こそ
尊いし、それが生き残る道なのだと解釈させて頂きました。そこには市井で
暮らす人々への温かな眼差しが感じられます。
☆未だなお燃ゆる想いを秘めいるや 夕焼雲の彩どりみつめ
ポエット・M
【解説】
炎暑の続いた日々もようやく秋めいてきましたが、夕焼けとともに彩雲が
西空に浮いています。夏の季節に見られなかった夕焼けの、鮮やかな
グラデーションは一日の終焉を飾る天空の粋な計らいかとも感じますが…。
そんな情景に真向かい自らを省みて詠ってみました。未だ裡に燃える想いを
宿しているか…との自省をこめて。
「未だ咲く 昼顔」
「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(57)
「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
38.「 短歌の章」 中国大陸抄(2)
延々六千キロ長城万里
光芒の歴史語りて 朔風寒し
春浅きあまつ陽ぞあまねく輝り沈む
長城六千キロの深きしづもり
桐の花ほのぼの咲きて行く春に
貧しき農家老婆いねむ
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
今回は割愛させて頂きます。
【運営にあたって】
(1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
(2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
頂きたくご協力願います。
(3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
(4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
(5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
(6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
(7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
了