四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

悲しき「放置」

2022年01月30日 15時38分15秒 | 短歌
 今、日本も含めて世界は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による、感染爆発の中にあります。
東京都で、昨日29日、新たに1万7433人が新型コロナウイルスに感染していることが分かりました。
2日続けて1万7000人を上回り、過去最多だった28日の感染者数1万7631人に続いて、2番目の多さとなりました。
重症者は22人で、感染者のうち3人の死亡が確認されました。
病床使用率は48%で、前の日よりも1.9ポイント上昇し、東京都は、病床使用率が50%を超えた場合、
緊急事態宣言の要請を検討するとのこと。


 与野党の政策責任者は本日、30日のNHK番組で、全国で感染が急拡大している新型コロナウイルスへの
対応をめぐり討論しました。自民党の高市早苗政調会長は、緊急事態宣言発令の可能性について
「あると思う」と言及し、「経済への影響はあるが、命が一番大事だ。(岸田文雄首相が)ちゅうちょなく
判断される」と語りました。


 一方、立憲民主党の小川淳也政調会長は「本当に抑えるのであれば人流抑制以外に方法はない」と主張し、
これまでの政府の対応に関し「無策に見える」と厳しく批判しました。
事実、「オミクロン株」感染爆発の対処に当たって、専門家会議からのコメントを別にすれば、これまで
政府からの国民に対して明確のメッセージは寡聞にして聞かれませんので、「無策に見える」と批判されても
やむを得ないと感じます。


私たちは再び外出自粛や会食自粛等をはじめとした、マスク、手洗い等基本的な感染対策の徹底が必要と考えます。
再び第五波に見られた、あの「悪夢のような」医療崩壊を起こさないためにも、私たち一人ひとりが出来る最大限の
対応を愚直に努めて参りたいと改めて思っています。


今まで、体力維持と、気分転換のため細君共々スイミングと、散歩等を意識的に行ってきましたが、
スイミングも更衣室等の状況を考慮し、最近は控えるようにしてきました。いきおい周辺の散歩や
ジョギング等がメインになりますが、遊歩道や、海岸道路では同様に考える方も多く、なじみの方に
出会う場面が増えています。「何とか凌ぐしかなさそうですね」が合言葉になりそうです。



こんな日々の徒然に詠んだ短歌を掲載させて頂きます。

    ☆  冬木立 碧空指して手を伸ばす 浅き春呼ぶ しぐさにも見ゆ
    ☆  大津港 鴎と鴨の住み分けて 小春日の海 煌めき初める 
    ☆  未だなお後遺症にも悩まされ コロナの怖さ尋常ならず
    ☆  ウイルスも入れ替わりゆく去年今年 悲しき「放置」あってはならぬ
    ☆  コロナ禍が再び荒ぶ日々にあり 届かぬワクチン何が足りぬか

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「口語短歌・水曜サロンの会」(その19)

2022年01月26日 05時51分58秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その19)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 寅年の新年を迎えましたが、本年もよろしくお願い致します。    ☆☆☆
   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。




「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆朝焼けの 空に染まりし 浅間山 白い雪化粧 神々しくも 
☆海底の 火山噴火の トンガには 神の怒りが 舞い降りている
☆ぬばたまの 東の空に 満月が 薄暮の中に 白く浮かぶも

                          浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【説明】 浅間山明鏡止水(knsw0805)さんご自身の説明です。
 一首目 朝6時半頃快晴の時、旭日に照らされた浅間山が美しくて神々しく感じられ
     詠んでみました。
 二首目 トンガ付近の海中火山が爆発、一斉に報じられた瞬間「神の怒りか」と思い
     詠んでみました。
 三首目 18日22年初めての満月です。薄暮の時の月も白く見えて素敵です。

【解説】
 枕詞は、先に解説させて頂きましたが、短歌における修辞で、特定の語の前に置いて、
 語調を整えたり、ある種の情緒を添える言葉ですが、三首目の「ぬばたまの」が、
 枕詞に当たります。これは、黒、髪、夜、さらに今宵、月等を導く枕詞となります。
 枕詞は導く語の直前に置かれるのが一般的ですので、語順等を少し変えてみましたが、
 いかがでしようか。なお、今年一月の満月は最小で、ウルフムーンとも呼ばれています。
 ★ぬばたまの満月白く浮かびいる 薄暮の中にウルフ思いて

☆靴に入る砂一粒や足裏の一点さへも生きてゐるかな
☆水中へ皿かたぶきて沈みゆく厨(くりや)の夜はしんと更けゆく
☆天空を真綿の如く雪風に戯れふつと地に消えゆけり

                         みっちっちさん

【解説】
 「日常のふとした気付き」から詠まれたとのことですが、この日常がいかに尊く、
 大切なものであるかをコロナ禍の巣ごもりが、改めて教えてくれました。
 そんな視点から私たちの周辺を見渡すと、多くの気づき、発見が満ち溢れている
 とも感じます。
 一首目、「砂一粒」により「足裏の一点さへも生きてゐる」を見出す感性を、
 歌詠みの一人として、大切にしていきたいと思います。

☆わたしは今、自由に、ありのまま踊っている。
         束縛は消えた

                         自閑(jikan314)さん

【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeの映像を見ながら、自由律短歌を作っております。
 映像は、「フラッシュダンス」1983年公開のアメリカ映画で、アカデミー賞歌曲賞を
 受賞し、世界的ヒットしました。
 プロのダンサーになりたいと言うアレックスは、ダンス養成所のオーディションを受け、
 最初のターンでミスをする。やっぱりダメなんだ!とあきらめる心を振り払い再度
 レコードをかけ直して踊り出す。夢を失わせるのは様々な束縛。
 同映像を下記URLで紹介しておりますので、愚詠も併せてご覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/a7252732fde55696abb9ed9d8fc8930e
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 先日のさえ先生、カヌマ先生とのコラボ作品を、さえ先生が気に入って頂き、御自身の
 blogでご紹介頂きました。いろいろな和が、広がって行くと良いですね。
【補足】ポエット・M
 「フラッシュダンス」は、昼は製鉄所で溶接工として働き、プロダンサーを夢みる女性の
 愛と友情、成長を描いた映画で、世界的ヒットを記録した作品です。
 オーディションでは、ピッツバーグのストリートで見たブレークダンスを取り入れ、
 伝統にとらわれない独創的なダンスで挑み、審査員をも感動させ見事にパスした場面は
 圧巻だったと思います。
 まさに自閑さんの短歌に詠われたように「ありのまま踊っている」姿が印象的だったと
 思っています。この撮影には「吹き替え」が使われたとの情報もありますが、当時の
 ピッツバーグ庶民の、迸るエネルギーが感じられる素敵な映像になっていると感じます。
 なお、「さえ先生、カヌマ先生とのコラボ作品」が、さえ先生のブログにも紹介
 されているとのこと。「いろいろな和」の広がりへの貢献に感謝いたします。

☆はたらきてはたらき続けで子のわれを助けてくれしわが母なりき
☆与えられきたりし母の愛を知る母死後四年の一月の今
☆死後どつと母への感謝湧き出でて我は己の親不孝詫ぶ

                         びこさん

【解説】
 ニューヨークを舞台に、人種差別の実態を肉親の情も含めて深堀し、当時の
 アメリカ社会の繁栄と夢、さらに親と子の断ちがたい想いを丁寧に描い映画、
 『悲しみは空の彼方に』。
 この映画の真髄を踏まえ、ご自分とお母様の歩みを重ねつつ、お母様への深い
 感謝の想いを詠まれた感動を誘う詠歌です。
 「親思う心に勝る親心」を、お母様が亡くなった後、淋しさ、哀しさと共に
 改めて作者に感じられたものと思います。




☆陽だまりの 中で咲いてる 紅梅よ まだ寒かろう 北風ふくよ
☆踏みしめる 枯芝厚く 心地よく 一歩一歩と ゆるむ足取り
☆冬ひなた 小川の音に 目をつむる 春のさらさら 冬のサラサラ

                         さわやか♪さん

【説明】さわやか♪さんご自身の説明です。
 一首目 陽射しはありましたが、風が冷たい日でした。ふと見ると紅梅の花が咲いて
     いたので、早すぎる開花に、もう咲いて大丈夫かしらと思う気持ちを詠みました。
 二首目 芝が枯れている場所を歩いたときに、厚みがあるのでとても踏み心地がよく 
     その踏み心地を楽しみたくて、ゆっくりゆっくり歩いたことを詠みました。
 三首目 太陽があたりキラキラ流れる小川、風もなく穏やかな日です。
     「春の小川」の歌が出てきました。目をつむって冬の小川の音を聞いても
     さらさらと流れています。なので「冬の小川もさらさらゆくよ」と口ずさんだ
     ことを詠いました。

【解説】
 寒い北風の中にも、春の兆しがそこかしこに見える日々にあります。こんな季節の
 移ろいを敏感に感じ取り、紡いだ短歌は、まさに「春呼ぶ短歌」とも言えます。
 三首目の「春のさらさら 冬のサラサラ」に、未だ春浅い小川の雰囲気が良く表現されて
 いると考えます。二つの「さらさら」の表現に、視覚的な工夫の跡が覗えます。


☆恐るべし 海底火山の 爆発は
   トンガ地からの メッセージかも❔

                 クロママさん

【解説】
 トンガの海底火山の爆発等「天変地異」は、大規模な自然破壊、CO2大量排出等々を
 繰り返し行ってきた、私達人類への地球からの警告でありメッセージかも知れません。
 そんな警句を「メッセージ」として捉えた、心したい短歌と思います。
 詩人の直観は「歴史の半歩先を予見する」と、かつて伺ったことが在ります。この短歌の
 示唆する「メッセージ」に学び、「環境民主主義」を改めて追及することが大切と思います。
 なお、「環境民主主義」は「質問コーナー」で解説します。


☆一月の今日は主人の誕生日
    小波はあれど四十年(よそとせ)共に
☆持病ある八十路の夫は精神の
    若さで体をシャキと保つ

                         リコさん

【解説】
 ご主人の誕生日に寄せて詠まれた短歌とのことですが、「小波はあれど」、
 「精神の若さで」との表現の中に、共に歩まれた歳月への感慨と、パートナーへの
 尊敬と、感謝の想いが滲んでいます。誕生日を静かに祝う、ほのぼのとした情景も
 浮かぶ、温かく和やかな短歌と思います。この短歌の静謐さに学ばせて頂きました。

 
☆葉の陰につましく咲くも枇杷の花 寒風ついて ほのかに香り
                         ポエット・M

【解説】
 散歩で訪れる遊歩道の一角に枇杷の木があります。晩秋から大寒の今に至る真冬の中で、
 枝先に褐色のつぼみがほころび、やさしい香りのする黄白色の5弁花が房になって
 咲いています。初夏に淡いオレンジ色に熟した枇杷の実を味わった方は多いと思いますが、
 花の存在は案外知られていないのではないかと感じます。花言葉は色々ありますが
 「密かな告白」と言う魅力的なものもあります。
 酷寒の中でも、人知れず花開き長い期間かけて実を結ぶこの花の、香りと慎ましさに
 寄せて一首詠んでみました。




「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (20)

4.戸隠山無情 (7)

  あの音は
     峰を越えゆく
        風の音か
     それとも遠き
        獣の声か

      疲れたる
         瞳に映る
            幻覚か
         急にふんわり
            浮かぶ帯岩

          月光は
            暗き林に
               キラキラと
            夢まぼろしの
               ごとくこぼるる

        凍りたる
           泉のごとく
              凛として
           月夜に映える
              戸隠牧場

     振り向けば
        戸隠山は
           振袖を
        黒衣に着替え
           夜空に聳ゆ 




【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【環境民主主義とは】
 環境民主主義は、土地、自然資源についての政策決定に当たって、市民の利益を考慮したものに
 するために、意味のある参加が重要であるという考え方に基づいています。
 また、環境民主主義には、以下の3つの権利を含みます。
  ・環境の質、環境問題についての情報公開
  ・意味のある政策決定への参加
  ・環境法の執行と損害賠償に関する訴訟

 すべての個人、とくに弱い立場にある人々の権利保護が、持続可能な発展の衡平性、公正性を
 促進する最初のステップです。これら基本的な権利が欠けている場合、政府と市民の情報交換は
 抑圧され、コミュニティや環境を害する決定を争ったり、救済を受けたりできなくなります。
 強力な法的基礎を作ることは、情報公開、参加、司法アクセスに関する権利を認識、保護を
 実現するためのスタートポイントです。
   参考資料 「環境問題と民主主義」東京大学大学院総合文化研究科准教授 國分 功一郎氏 等


     「咲き初めた 熱海桜」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。

                            了
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マスクを二枚重ねて

2022年01月22日 17時25分09秒 | 日々の歩み
 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染者急増を受け、政府が
まん延防止等重点措置の対象拡大を決定しましたが、この措置がどこまで効果を上げるかは
未知数とのこと。
経済活動に一定の制限を設けるものの一部に例外を認め、腰が定まらない姿勢ものぞく状況です。

 新型コロナウイルス感染患者の対応にあたりながらTBS「Nスタ」などテレビ番組出演を続けている
「インターパーク倉持呼吸器内科」(栃木県宇都宮市)の倉持仁院長が21日、ご自身のツイッター
で「この2年なにをしてきたんでしょうか?」などと、新型コロナ対策を政府に助言する政府分科会の
尾身茂会長ら専門家組織の提言を批判されました。
 前日20日には、感染者が今後さらに急増した場合に基礎疾患のない若者らは検査をしなくても、
症状のみで診断できるようにするとした政府への提言案を、尾身会長ら専門家の有志がまとめたとする
記事を貼り付けた上で「やることをやらず、言うべきことを言わずもはやめちゃくちゃだと思います。
きちんと検査をして隔離をきちんとすることが原則だと思います。努力をせずできないから投げ
出すのならばもはや存在価値はありません」と批判していましたが、この批判を是としたいと思います。

第六波と言われるオミクロン株由来の感染爆発の前に、妥当な解決策を見いだせないのは分かりますが、
第五波の終息後の小康状況の中で、それまでの対策を冷静に分析し、膨大な予備費すら投入せず、
有効な対策を見いだせなかった政府並びに専門家組織の怠慢と後手対応は、批判されて当然とも思います。

第五波の「自宅放置」の中で、有効な治療に繋がれることなく昨年8~9月に身罷った132人名を超える
方たちの御霊に報いるためにも、第六波の感染対策では「医療崩壊」を招かないための、有効な対策を
一日も早く確立して頂きたいと切に願う次第です。

    「観音崎 灯台」

年明けから急激に拡大する感染エリアと、感染者数の状況の中で、ワクチンの確保と経口薬の不足が
明らかになりつつあります。これらの対応を自治体任せにせず「コロナ感染対策が最重要課題」と
明言した政府が、具体的に行動の先頭に立っていただくことが先ず重要と思っています。

ただ、周辺の事業所やお店の方々から、うち続くコロナ禍の中で、継続する体力すら残っていない
との切実な声も聞かれます。「まん延防止等重点措置」もそれに伴う補償等もタイムリーに十分に
行われないと、経済と共にそれを担う人々の命すら保証されない事態が迫っていると切に感じます。

このような日々の中で、私たちは再び外出自粛や会食自粛等をはじめとした、感染対策の徹底が
求めらていますが、医療崩壊を起こさないためにも、私たち一人ひとりが出来る最大限の対応を
愚直に努めて参りたいと思っています。

1月18日は今年最初の満月でした。2022年の中で地球からもっとも遠い満月「ウルフムーン」を
久し振りに見ることができ、小さいながらも煌々と照る月の光を存分に浴びることが出来ました。
こんな思いも込めて、即興で詠んだ短歌を掲載したいと思います。


   ☆小さくも冴ゆる光の月浮かび 冬の落暉の バトン受け継ぐ
   ☆寒空にウルフムーンの冴えわたり コロナに沈む街は浮きたつ
   ☆オミクロン再び荒ぶ世にありて せめてマスクを二枚重ねて


     「陽だまりで咲き初める 熱海桜」
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その18) 

2022年01月19日 05時41分00秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その18)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 寅年の新年を迎えましたが、本年もよろしくお願い致します。    ☆☆☆
   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。




「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆初詣 悠久ロマンに 小諸城 元旦の夢 白馬が走る
☆しろたへの 雪に隠れし 松本城 お堀にうかぶ トモエガモたち
☆マチルダは 可愛げのある 薔薇の花 淡いピンクに 素敵な匂い

                         浅間山明鏡止水 (knsw0805)さん

【説明】浅間山明鏡止水 (knsw0805)さんご自身の説明です。
 一首目 1月5日 小諸城址公園に初詣行って来ました。
 二首目 長野テレビで松本城が映し出されていましたが雪で煙っていました。
 三首目 1月9日 行雲さんのブログに写真が掲載されていました。

【解説】
 三首目の短歌は、行雲流水さんのブログの薔薇「マチルダ」の写真をご覧になって
 詠まれたとのこと。四季咲きのこの薔薇は、冬季の今、私の街でも可憐な佇まいと
 上品な色合いで素敵に咲いています。残念ながら冬薔薇ゆえか香りはしませんでした。
 なお、「可愛げ」「素敵な」等の言い尽くされている形容詞は、なるべく避けて、
 それらの表情をリアルに表現することを心掛け詠んでみましが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★マチルダは 花びらひそと うす紅に 寒さ厭わず たおやかに咲く


☆他の人を慰められる人となり人は春待つ人となるらむ
☆冬ざれに新芽を芽ぐみ耐えてゐる花咲く春に先駆け枝は
☆死んでゐるやうに見えても生きてゐる冬の枝こそ尊かりけれ

                         びこさん

【解説】
 いずれの短歌も、人生の深淵を窺い深いですね。三首目の「尊さ」を感じ、理解できる
 感性を私たちも養っていきたいものと思います。全てを削ぎ落し、凛として立つ冬木立。
 その「冬の枝こそ」と詠った短歌の意味を、じっくり味わいたいと思います。

☆父の忌の 天空に ふと昇龍の ごとき雲あり 父の許へと
☆我が句師へ 詠めば叱責受くるやも 楽しかりけり 我が渡世の句
☆瑞雲の 昇龍めける 初空の 後楽園の 懐かしきかな

                         みっちっちさん

【説明】みっちっちさんご自身の説明です。
 一首目 父の忌は1月、母の忌は2月で、この季節は親を想う俳句を多く詠みました。
     元の拙句は、「父の忌の冬青空の極みかな」です。
 二首目 私の所属する俳句結社(及び私の先生)は、伝統俳句を継承し、季語を重んじる、
     文法等にも厳しめであります。私はかなり鍛えられましたが、なかなか大変で、
     (ま、それも楽しいんですが笑)短歌は、季語の縛りもなく自由に楽しめます。
 三首目 ブログ友達のブログに後楽園の空の写真が載せられており、雲が昇龍のようでした。
     父の故郷は岡山で、後楽園は子供の頃、よく連れて行って貰いました。
     懐かしく思い、詠みました。尚、1首目の昇龍もここから来ております。

【解説】
 俳句の世界で研鑽を積まれた方の短歌には、視点の鋭さもあり是非とも学んで行きたいと思います。
 短歌は季語はありませんし、14音も多いので自由に想いのたけを表現して頂ければと思います。
 なお、一首目の「昇龍めける初空の」の表現は、葛飾北斎の「富士越龍図」を髣髴させる
 素敵な詠歌と思います。雲に吉兆を見出し、短歌に詠み切る力量にも学びたいと思います。

☆亡き人と果たせぬ夢を抱えての「何故」は明日を蝕むばかり
☆宝でも失くしたものは戻らない
       それでも君は幸せで居て

                         リコさん

【説明】リコさんご自身の説明です。
 先日、エリック•クラプトンの「Tears In Heaven」が、テーマ曲で家族を喪った人達の
 出会いを描いたテレビドラマがありました。何故か宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の
 「そういうものにわたしはなりたい」を思い出しました。

【説明】
 「ティアーズ・イン・ヘヴン」を直訳すると「天国の涙」となりますが、この曲は、
 エリック・クラプトンが、4歳で亡くなった息子の死 を悼んで作られた曲だと言われていますね。
 「僕は強くなって、前に進まなければならない」のフレーズが胸にドスンときますが、宮沢賢治の
 「雨ニモマケズ」へ発想を飛ばすのは、リコさんの詩人としての良質な感性ですね。
 二首目の「それでも君は幸せで居て」は、励ましと共に切なる「祈り」でもありますね。

☆風花を「綺麗!」とはしゃぐ我が居て 豪雪地帯を憂う我また居り
☆雪かぶる愛宕、比叡を遙かに見 増す増す募るこの寒さかな

                         ちがやねこさん

【解説】
 ちがやねこさんは初めての訪問で、短歌を書き込み頂きました。本サロンへの出詠と解釈させて
 頂き、ここに掲載いたします(出詠の際、URLを明示頂ければ幸いです)。
 「ふと思ったようなこと」と、記されていますが、いずれも素敵な短歌になっております。
 つぶやきが歌になるなんて素敵なことと考えます。




☆病院で車イス押し母思う ほほえましさとこらえる涙
                         あんりママさん

【説明】あんりママさんご自身の説明です。
 病院ボランティアをしています。患者さんが乗った車イスを押すと、母を車イスに
 乗せて通院したことや買い物に行ったことが思い出されます。患者さんが母と重なり、
 ほほえましくもあるのですが、浮かんでくる涙を堪えるのも大変です。

【解説】
 あんりママさんの優しさがそのまま表現された短歌で、お母様への想いと、患者さんへの
 思いやりも覗く「ほほえましい」短歌と思います。短歌の背景を理解して頂くために、
 詞書を追記してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 「詞書 病院ボランティアで、患者さんの車イスを押しながら詠む」
  ★車イス押しつつ母を思い出し 涙こらえて ほほ笑み浮かべ

☆今日は疲れた~と思うとまたあした
        それまでは歩いて帰ろう

                         自閑(jikan314)さん

【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeの曲を聴いた印象で自由律短歌を作っております。
 「出川哲朗の充電させてもらえませんか」(テレビ東京系)と言う番組で、電動バイクが
 軽快に走っている時、流れています。実は、1994年フジテレビの『ポンキッキーズ』の
 オープニングテーマで、よく聴き、子供向け?と思っていました。調べると、
 NHK『俳句王国がゆく』オープニング・エンディングテーマ曲でもあるらしい。
 毎日仕事の繰り返しの中で、何か自分を変えたい。1駅前で降りて歩いてみよう、
 1駅だけ歩いてから電車に乗ろうと。
 斉藤和義氏のライブとポンキッキーズでの鈴木蘭々&安室奈美恵の映像をUPして
 おりますので、下記URLで愚作も御覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/76a5d668a2c64ac8cb79f196f6d05f06

【補足】ポエット・M
 いつも短歌を通して、新たな挑戦をされる自閑さんに学ばせて頂いております。
 自閑さんのブログで相聞短歌を拝見するたびに、正統で雅な短歌を詠まれる方の
 自由律短歌への挑戦には頭が下がります。
 私もかつて口語自由律短歌を詠まれる、少なからぬ友人と交流がありましたが、
 彼ら、彼女たちの詠まれる口語短歌の持つ詩情と、言葉に対する妥協なき厳しい
 姿勢に感動することがありました。
 さらに、YouTubeの曲から発想を広げ、短歌に紡ぐ営みは学んで行きたい分野です。

☆ロウバイが 光の中で 誘い顔 マスク外せば 香りほのかに
☆陽を浴びて 林の木々は 冬模様 ただ風だけが 吹き抜けゆくよ
☆梅林(うめばやし) 新枝ますぐに 空さして 支える幹の 逞しきさま

                         さわやか♪さん

【説明】さわやか♪さんご自身の説明です。
 一首目 明るい陽射しを浴びて道の奥に蝋梅の花が咲いていました。もう咲き出したのだと
     驚きました。せっかくだから、マスクをとって顔を近づけました。
 一首目 散歩道が続く林の中。天気の良い、風の強い今日は人がいませんでした。ひっそりと
     した林の中で風が吹いているさまを詠みました
 一首目 梅の新しく出た枝が柔らかい緑色をして、いっせいに空に向かって伸びていました。
     とても、スクットして綺麗な姿でした。ふと目をやると、枝とは逆にごつごつした
     黒っぽい太い幹がありました。その対比を詠みたいと思いました。

【解説】
 いずれも春浅い周辺の景観を詠みながら、季節の移ろいを健気に示す花や冬芽を丁寧に描いた
 好感の持てる短歌と思います。
 一首目の短歌、散文調の「が」を「の」に変え、少し工夫してみましが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★蝋梅の ほころび誘う小春日に マスク外して 香り楽しむ


☆冬晴れに ほころび初める蝋梅の 香りかすかに浅き春呼ぶ
                         ポエット・M

【解説】
 寒風の中で、陽だまりには早くも蝋梅が咲き競い、爽やかな香りを漂わせています。
 多くの木々が冬芽を育てる中、いち早くほころび浅い春の到来を遠慮がちに告げる花。
 蝋細工にも似た儚げな、この花の健気さに愛おしさを感じることが在りますが、そんな
 蝋梅の姿に寄せて詠んでみました。


     「寒風の中で咲き競う 蝋梅の花」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (19)

4.戸隠山無情 (6)
 
 夕月の 
   明かりを杖に
      戸隠の
    峰を再び
       歩みはじめぬ

   夕月の
     淡き明かりに
        峰ゆけば
      寄り添いきたる
         影ぞ愛しき

     くじきたる
        足の痛みは
           ズキズキと
        胸にひびきて
            息をも乱す

   この足で
      大鋸の
        歯ともいう
      残る峰々
        いかに辿らん

  ようように
     辿り着きたる
       下山道
     月のある間を
        惜しみて下る



     「横須賀 走水海岸から富士山を望む」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【口語、文語混じりの歌について】
 前週に続き、びこさんよりご意見がありましたので、討論形式で掲載致します。
 皆さんのご意見もお寄せ頂ければ幸いです。

 びこさん
  「口語、文語混じりの歌」は、現代短歌実作者のほとんどの方がされていると思います。
  口語のほうが理解しやすいと言いましても、口語だけでは歌に締まりがなく、歌らしくならない
  という弱点があるからです。やはり結句は「なり」とか「たり」にしたほうが歌らしくなります。
  俵万智さんのように口語を駆使しているような歌人さんでも、結句は文語にされていると思います。

  それなら、文語だけで作ったらということになりますが、これはまた現代人の心情を吐露するには
  ふさわしくありません。それで結局、口語、文語混じりの歌に行き着くのだと思います。
  そういう事情で文語混じりの歌になるのは時代の要請ですが、しかし、この文語も特殊な文語で、
  短歌独自の「得手勝手文語」と言えるかもしれません。つまり厳密な文語ではないというわけです。
 ポエット・M
  文語体は、未だ現代短歌の主流を成していますが、これは短歌固有の伝統的な流れを踏まえている
  こともあり、中々変わり難い背景もあると理解しております。
  しかし、日常会話も含めてlineのスタンプ、インスタグラム等スマホ世代には口語はもとより言語に
  変わる短く、魅力的な「短縮文字」「絵文字」「記号」等々の表現手段も多数出てきております。
  従ってこれらも含めて、短歌も時代の要請を取り込みつつ、変化が求められていると考えます。

  結社・短歌会によっては依然として「文語・歴史的仮名遣い」のみと限定されているところもあると
  伺っていますが、これも一つの在り方と思っています。
  なお、「口語、文語混じりの歌」は歌壇では大きな流れとしては「容認」の方向が出ていますが、
  原則としてどちらかに統一しなさいと言うのが、一般的なようです。

  ただ、少し大げさな表現になりますが、短詩型文学の基礎をなす短歌が今後の文学の進展の
  中で確かな地歩を築き、民族の詩精神の礎となっていくには時代の潮流を冷静に見つめ、
  その底流をなす変化にも柔軟に対応していく必要があると考えています。
  国語・言語の乱れを嘆く方が少なからずおられますが、この国語の美しさ、たおやかさを
  自ら具現化する使命を短歌を志す方は、経験の深浅に関わらず担っているとも考えています。
  そんな想いを抱きながら、私も短歌に関わってみようと考えている昨今です。

  この「水曜サロン」に集う皆様は、言葉の美しさや、その裏にある想い深さや、優しさを
  備えている方たちばかりですので、共に学ぶ楽しさを日々感じ、味わっています。
  結社や、短歌会の縛りもない中で、自由に学ばせて頂き嬉しい限りです。
  これからも、多くの皆様から色々提案、ご意見を頂ければ嬉しいです。



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。

                            了
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それぞれの部署で

2022年01月16日 20時12分53秒 | 日々の歩み
昨日、15日は私の誕生日でした。
2年前からコロナ禍で少なからず影響を受けている息子たちは精神的にも、経済的にも、
大変なこともあり、誕生日など諸々の贈物はもういらないと細君と共に宣言して、
事あるごとに息子たちにも徹底してきました。
これからは夫婦二人で、ささやかな祝いをしていけばいいと考えています。
細君からは過日、既にプレゼントで、Golden Bearのブルゾンやニット等冬バージョンの
洋服を数点を頂いており、これ以上望むものも無い状態でした。

昨年末、新聞に「夢スター 春・秋」横須賀公演の広告があり、その出場者の中に、
細君のかつてのフアンの「バス・ストップ」を歌った平浩二さんの名前を見つけ、
懐かしい歌を聴くのも楽しいかと、チケットを購入しました。
その日が、私の誕生日の日だったこともあり、二人でお食事とともに楽しい時間を
過ごせるとの思いもありました。
申し込みの時点で、コロナ感染者が当市でも0が続いていた時で、少し安心感は
あったものの、先週ぐらいからオミクロン株由来のコロナ感染者が増え始めて
かなりの心配もありました。しかし、感染対策は万全との報に触れ、自らの
感染対策も行いつつ、何とか行ってまいりました。

昨年末の八代亜紀さんのコンサートに続いて、今回も懐かしい歌手たちのコンサートで、
ちょっぴり期待して会場に向いました。
会場の席は一人置きに座り、前の席の方とはクロスに配置され、換気も行われ感染対策は
しっかりされているようでした。ネットでチェックするとチケットは完売とのことで、
人気の状況が伺えました。

昼の部を選択しましたので、14時に開演となりました。コンサートは二部制で、前段は
春組とのこと。
司会はおりも政夫さんが務め、出演歌手は保科有里さん、ロザンナさん、平浩二さん、
桑江知子さん、狩人の高道さん、黒沢年雄さん、ギターの高さん、さらに還流ドラマの
主題歌をいろいろ歌ってるというZEROさんでした。

後半は秋組で、司会は江木俊夫さんが務め、出演歌手はあべ静江さん、あいざき信也さん、
伊東美咲さん、西口久美子さん、尾藤イサオさん、三善英史さん、リリーズさん、
ギターの大野さん、そしてフィンガーファイブの晃さんでした。

司会の方のトークも楽しく、それぞれの歌手の方もきちんとボイストレーニングを重ねている
ことをうかがわせる、品質の高い歌唱で魅了されました。
二時間半にわたる、コンサートでしたが、長さを感じさせない楽しく魅力的なコンサートでした。
それぞれの歌手の方が年輪を重ねる中で、歌詞の内容をご自分の人生に重ねるゆえか、
説得力のある歌いぶりに、さらに、第一線で活躍し続ける熱量と、意気を感じさせてくれ
生歌唱の良さに、改めて感動しました。

    「陽だまりに咲き初める 熱海桜」

コンサートは、コロナで2年間開催されず心待ちにしていたという、フアンの方たちも大勢
おられるようでした。そんな声が会場の方々から聞こえてきました。
特に、圧倒的な歌唱力と感じたのはZEROさんでした。細君も同感だったらしくZEROさんの
「主題歌ベストアルバム」を、会場で購入して帰りました。
お食事とコンサートで、私にとっては嬉しい誕生日祝いのイベントとなりました。細君には
改めて感謝しました。家に帰ってから孫からお祝いメールも届いていてさらに感激でした。

なお、夜中に度重なる津波情報の「緊急速報メール」が携帯に届き、睡眠が幾たびか
中断されましたが、それぞれの部署で役割をしっかり果たしてくれている方たちの
存在を改めて感じ、感謝した次第です。
コメント (18)
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「口語短歌・水曜サロンの会」(その17)

2022年01月12日 05時16分00秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その17)   短歌の投稿を歓迎します!!

   ☆☆☆ 寅年の新年を迎えましたが、本年もよろしくお願い致します。    ☆☆☆
   ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。 ☆☆☆


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。




「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆浮かべても浮かべてもなお愚作なり現すものが見えぬ有り様
☆来年も歌詠み集めわいわいと読むも詠うも楽しいサロン

                         和輪さん

【解説】
 一首目の、の短歌は、歌作りを志す方であれば、だれもが常に遭遇する「有り様」と思いますし、
 実感であり、永遠の課題でもあると思っています。「分け入つても分け入つても青い山」の山頭火の
 俳句を彷彿させ、だれしもが、納得できる想いを詠んだ説得力のある一首になっていると考えます。
 なお、出詠は昨年末に 行って頂きました。


☆元旦の 旭日にあたる 浅間山 空に映えるを 窓より遠望(のぞ)む
☆青春の 炎を燃やす 箱根みち 魂の叫び 夢をかなえる
☆ぬばたまの 闇夜を切り裂き 降る雪は 不気味なごとく 地表を覆う

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【短歌説明】浅間山明鏡止水(knsw0805)さんご自身の説明です。
 一首目 宮中歌会始めの今年のお題が「窓」ということで一首詠んで見ました
 二首目 1月2日箱根マラソンの熱き戦いを見ての感想です
 三首目 2日夜9時頃から雪が降り出し街路灯にあたる雪が舞うさまは不気味でした

【解説】
 いずれも新年の清冽な風景、出来事等を写し取り、凝縮した確かな短歌と感じます。
 三首目、大地を一夜にして白銀の世界に変える雪。そこには妖しいまでの魅力と、
 空恐ろしさも潜んでいますが、それを「不気味」と表現し詠まれた短歌と思います。
 その辺の「妖しい」ニュアンスを強調して詠み込んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★ぬばたまの闇底おおい降る雪よ 妖しいまでに大地埋めゆく


☆ウヰスキー
   飲み干す前に聞きたい曲がある
          ほんの少しの思い出

                         自閑(jikan314)さん

【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeを聴きながら短歌を作っております。いつも拝見している埼玉県の
 「小松音楽教室 さえ」様と神奈川県の「歌がうまくなりたいカヌマ」様は、お互い
 お会いした事も無いのに、さえ様のエレクトーン演奏に、カヌマ様が歌を歌って
 YouTubeに投稿と言うコラボレーションをしており、プロのお二人のものに、素人の
 小生が短歌を作り、推敲アドバイスを福岡県の和輪様から頂き、四季の彩り様に投稿する。
 「友達の和」的嗜好です。今年も色んな和が広がる事を祈念して。
 曲は、SHEと「ウイスキーがお好きでしょう」です
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/eab652c309337b4ec41b9801d75ce399

【補足】ポエット・M
 「さえ様のエレクトーン演奏、カヌマ様の歌」と自閑さん、和輪さんのコラボレーション
 で生まれた「YouTube作品」は、ネット社会特有の貴重な産物と思います。
 まさに「友達の和」ですね。この「水曜サロン」が、その交流広場になれば嬉しいです。
 「広げよう 友達の輪!」ですね。ちなみに、私も、Kenさん、Yokiさん、じいじさんの
 ご支援と、コラボレーションで4曲ほど、YouTubeにアップさせて頂いています。


☆来月は七十四になるわれの今の気持ちは二十三歳
☆気持ちだけまだ青年の老人と老女は青春真つ盛りなり
☆考へてみれば今年は結婚後五十年目で金婚式なり

                         びこさん

【解説】
 サムエル・ウルマンの「青春」の詩を踏まえて詠まれた短歌とのことです。
 「青春」は、私たちの世代にとっても励ましの言葉に満ちています。じっくり味わい、
 座右の銘にしていきたいとも思っています。
 「頭を高く上げ希望の波をとらえる限り」青春は続くと思っていますし、私たちの
 これからの日々への、力強い道しるべになると考えています。
 新年に当たって清新な思いにさせてくれる短歌で、このサロンに集う皆様にとっても
 励ましになると思っています。
 今年も「驚異に魅かれる心、おさな児のような未知への探求心」をもって雄々しく、
 しなやかに歩んで参りましょう。


      「寒風の中で咲き初める 蝋梅の花」

☆明るくて楽しみながら和やかに
      「水曜サロン」の波紋広がる
☆变化する喜怒哀楽の人生を
      歌に詠みつぎ我らは集う

                         リコさん

【解説】
 「水曜サロン」のモットーを、短歌に詠んで頂いた旨コメントがありました。
 この想いは「水曜サロン」に集う、皆さん共通の想いでもあると思います。
 「明るく楽しみながら、和やかに」をモットーに今年もやって参りたいと思います。


☆初春や 囲むおせちの 卓嬉し
      健やか祈る 快晴の空
☆お出かけを クロ一人にて 待ちわびる
      足音きいて 振り切る尾っぽ

                         クロママさん 

【解説】
 二首とも穏やかなお正月風景を詠んだ、好感の持てる短歌と思います。
 愛犬クロちゃんは、クロママさんから見ると「吾が子」ですので「クロ一人」は当然の表現に
 なるのは分かります。しかし、多くの読者の方に納得して頂くには少々無理がありますので、
 少し表現を変えてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★クロのみで 吾のお出かけ 待ちわびる
         足音きいて 尾っぽ振り切る


☆ビオトープ 氷ゆるみて のぞき見る
          光の影が ゆらゆら踊る
☆小松菜の 芽らすくすくと 広がりて
        おしくらまんじゅ 双葉かわいや
☆新そばの 季節まだかと 待ちわびし
         馴染みの店へ 足取り軽く

                         さわやか♪さん

【説明】さわやか♪さんご自身の説明です。
 一首目 川の水を利用した魚たちのためのビオトープがあります。
     寒い日が続いて氷がはっていました。端の方が太陽の光で溶けていたので
     魚たちはどうしているかとのぞいてみたときの短歌です。
 二首目 我が家の庭に作った畑に小松菜の種を蒔きましたが、元気に成長している
     さまを詠みました。
 三首目 昔ながらの水車でそば粉を挽いているお蕎麦屋さん、新そばの季節を
     楽しみにしている気持を詠みました。

【解説】
 いずれの歌も生活の周辺に取材され、地についた確かな詠歌と思います。三首目の短歌で、
 口語に統一するなら3句は「待ちわびる」の表現もありますが…、検討してみて下さい。
 しかし、今時「水車でそば粉を挽いている」お蕎麦屋さんなんていいですね。
 そんなお蕎麦屋さんの新蕎麦は是非味わってみたいものです。水車でそば粉を挽く際、
 石臼を用いますが、水車のゆっくり回る速度が美味しいそば粉にする最適速度と伺ったことが
 在ります。近頃このようなお店が見かけなくなり寂しい限りです。


☆ふわふわと餅雪が舞う高原に鼻にピアスの牛たくましく
                         あんりママさん

【短歌説明】あんりママさんご自身の説明です。
 雪が降る那須高原を歩くと、目の前で大きな黒毛の牛が「モウゥ~」と
 大きな声で鳴きました。その牛のたくましさを詠んでみました。

【解説】
 牛の鼻環を「鼻にピアス」との表現が新鮮です。那須高原の雪降る寒さの中、雄々しく
 振舞う黒牛への温かな眼差しが感じられる、素敵な短歌となっています。
 なお、牛の鼻環は引き運動、爪切り、病気の治療等々で飼養管理面で、牛を扱い易くなる
 ことから付けられるとのことです。また、牛とスキンシップをとるためにも役立つようです。


☆香り立つ蝋梅けむる東慶寺 かつて女人をあまた救うと
☆縁切りの女人受け入れ助けたる 古刹の梅よ匂いほのかに
☆幾たびの滅びのさまを見つめたる 古都の蝋梅匂い立つがに

                         ポエット・M

【解説】
 鎌倉東慶寺は「縁切り寺」とも呼ばれてきました。江戸時代まで女性から離縁するという事が
 できませんでしたので、その対策として「縁切り寺法」があり、東慶寺に駆け込んだ女性の
 「縁切り」を、寺として支援したとの事です。
 これらの史実を踏まえながら、東慶寺に淡々と咲き香り立つ蝋梅に寄せて詠んでみました。



「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (18)

4.戸隠山無情 (5)

   ほろほろと
     涙となりて
       「我れ思う
        ゆえに我れ在り」
      我れもこぼるる

    戸隠の 
      峰の半ばに
         日は暮れて
       夕焼け小焼け
        花いちもんめ

      我れ知らず
        声に歌うは
           戸隠の
          峰に悲しき
         花いちもんめ

     戸隠の
       峰に歌うは
         童歌
        か~ごめか~ごめ~
          花いちもんめ

    夕月が 
      青くまたたく
         星つれて
       峰の小さな
        我れをば照らす




【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。


【短歌の連作について】
 びこさんよりご意見がありましたので、討論形式で掲載致します。皆さんのご意見も
 お寄せ頂ければ幸いです。
 びこさん
  …連作についての考察も勉強になりました。短歌は一首一首が屹立している必要が
  あることは基本ですが、しかし連作されたときは一部省略もしないとしつこい感じは
  いたしますね。これが、連作の難しいところではないかと私は思っております。
 ポエット・M
  連作における「一首独立」の在り方は、私の知る限り与謝野鉄幹らの「明星」の
  時代から議論、研究されてきました。しかし、未だその妥当性と必要性は説かれる
  ものの、結社、歌人による解釈の揺れは少なからず存在していると考えます。
  びこさんのおっしゃるように「一部省略もしないとしつこい感じ」となることも
  事実ですので…。
  連作における省略や、暗喩等の微妙なつながりは作品構成上良いと考えています。
  これらも、歌を詠む方々で短詩系の限界と、表現の広がり等を含めて、もっと
  議論されてもいいものと考えています。皆さんのご意見をお寄せ頂ければ幸いです。



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。

                            了
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感染爆発の予兆

2022年01月08日 10時33分49秒 | 日々の歩み
関東で大雪に見舞われた6日、東京都心の積雪深は最大10cmに達し、4年ぶりの大雪と
なりました。雪が降らないと言われたここ横須賀の東京湾側でも2cmを超える積雪を見ました。
北国に暮らし、雪の被害と日々闘っている方から見たら、この状況は積雪には入らないかも
知れませんが…、雪に弱い首都圏の交通機関にはかなり痛手であったようです。

一夜明けた7日、絶好の「富士ビュー日」となり、いつもの「走水撮影スポット」から東京湾上に
浮かぶ富士山を撮ってみました。流石に大雪の翌日のためか、空気も洗い流されたようで、
すっきりとした富士山が眺められました。
そんな富士の雄姿を撮影しようとするカメラマニアの方が、撮影スポットに溢れ、ポジション
取りに少し苦労しましたが何とか撮って参りました。



世情はオミクロン株の感染爆発の予兆を秘めて、揺れ動きつつあります。
私たちは基本的な感染対策をしつつ、自らに出来る最大限の対応を心掛けたいと思います。

ただ、沖縄をはじめ、在日米軍基地に由来するとみられる新型コロナウイルス変異株の広がりがあり、
沖縄県幹部は「(要請が)もっと早ければここまで感染が広がらなかった」と、米国への申し入れに
及び腰な日本政府の、対応遅れを指摘する事態もあります。
なお、第五波の際、医療に繋がれず「自宅放置」されたまま命を落とされた方々と、そのご家族の
皆様の無念の思いを、改めて心に刻んでいきたいと思います。

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「綜合詩歌」誌鑑賞(7)  「野水仙の香」

2022年01月03日 11時24分08秒 | 短歌

-戦時下、空白の短歌史を掘り起こす -その7-
     「野水仙の香」


    本稿は、2008年2月に、ある短歌誌に掲載した稿ですので、
    背景の情勢等は若干古いですが、戦時下の短歌史の空白を埋める
    一齣として、ご覧頂ければ幸いです。


 如月の陽光が岬と、その背後に広がる群青の海原にふり注いでいる。伊豆下田の爪木崎。未だ雪が消え残る、その岬の斜面を白と黄の水仙の花が埋め、葉の緑が柔らかな縁取りを添えている。白雪が覆う末枯れた伊豆の山なみをよそに、野水仙の群生は春の光を受けとめ溢れるばかりに輝いている。
梅の蕾さえ開かぬ寒風の中で、春の予兆をいち早く察知し花開く野水仙。その花言葉とはうらはらに、清楚な中にも気品ある輝きを放ち、芯の強さを滲ませている。



 美少年ナルキッソスの伝説をもって語られる白水仙。その花言葉は「自己愛」。泉に映った己の姿に恋をし、寝食を忘れ、やつれ果て息絶える。その自己陶酔はナルシシズムという言葉を生んだ。 この悲しいまでに自己陶酔に浸った姿に三島由起夫が、アドルフ・ヒットラー、中東に戦火を運んだサダム・フセインが、さらにトランプが重なる。

 愛するものの為、自己の全存在を賭して闘うという、本来崇高なイズムであったヒロイズムは、ナルシシズムに結びつき、愛してやまない人々をも含めて自ら虐殺するに等しい愚を、今なお繰り返しつつある。自らの身体と心に傷を刻み、血を吐く思いで「聖戦」の愚を実感してきた父母達の世代。「大義ある戦争」の愚劣さと、痛ましさ、さらには悲しさをベトナムへのアメリカの侵攻を通して知ってきた私達の世代。そして私達に続く世代の為に、この歴史的愚行を、これ以上繰り返させてはならない。AIを用い遠隔操作された無人戦闘機による空中戦の下で、実際に血を流し死んでいくのは、私達と同じ熱い血をもった人間なのだ。


    「伊豆下田の爪木崎」

 そんな思いを込めて、数十年前にさかのぼり、私達につながる歴史を大戦終結前夜の昭和十九年、文学の世界から静かに学んで見たい。
 「綜合詩歌」昭和十九年二月号。この詩歌誌について、前号に引き続き短歌、歌論等を中心に紹介し、鑑賞を行いつつ学んでいきたい。当月号に作品を寄せた代表的な歌人は、半田良平、角谷佳根子、長谷川銀作、松田常憲、野村泰三の各氏を含む十七名である。

 雑誌用紙の減配、出版企業整備、さらに短歌雑誌の統廃合等、戦局の苛烈さは短歌結社の運営にも重い影を落としつつあった。各結社の中核を担う、これら歌人の作品にもこの影が、そして、その状況への抑えたうめきが滲んでいるかに見える。これら歌人の作品の中から、歴史的証言として学び取っていきたいものを中心に抄出させて頂いた。




捷 相                    角谷 佳根子
 糸切り歯をさなく笑みて征く汝れにうつつを超ゆるたのみもかけつ
 私心すでにしずけく踏みて征く汝れを送ると霧の門こゆるな

冬 情                    山本 初江
 身の翳をあまねく曝し冬空の浄きが下に今日ぞ息づく
 命迫り言ひける夫が言ひとつ蘇るとき 義兄に目つわ据う

少 女                    富倉 良子
 短日の落葉の中に胎動のせつなさを告げてわが少女に
 南溟の島に玉砕したまひしとふ 聞けば飯炊くこの夕べまぶたは熱し

空の花                    松原 旭
 さきはひを祝ふといふも言足らず面影に添えり今日の一日を
 まどかなる便りを読めば魂かけてかなしみゆかむ心は足らふ

歌史資料調査                 松田 常憲
 結論はなりゐて理論づけむとし古書あさる指ひゆる夜を
 浅香社のこと書き抜くと散らばれる古書の中に一日あぐらす

九十九里                   野村 泰三
 九十九里朝凪ぐ波にとぶちどり千鳥を見つつうつつやわれぞ
 ラバウルへたましひとびて生くるわれにふかき嘆きや戦果を見つつ


 糸切り歯を見せ幼さの残る笑みを浮かべ出征していく汝れ。それを見送る角谷佳根子氏の
「捷相」一連。「私心すでに静けく」に至る葛藤と、深い哀しみが歌の行間から滲み、立ち昇ってくる。人が人を殺す戦を、いかなる理由があろうとも「大義」などとは呼ばせてはならないし、「栄光」の言葉と引き換えに愛する人を死なせてはならない。そんな想いを深くする歌群れでもある。



 当月号にも、前号に引き続き古典抄として賀茂真淵の「邇飛麻那微」を始めとした優れた歌論、あるいは詩論が多数掲載され、戦時下にあってなお初学者への意欲的な啓発、育成が図られている。今回は、これら歌論の中から入門的な文章を抜粋し、歌友諸兄と共に学んでいきたい。


歌評など               泉 四郎 
 ・・・目的とする素材の限度、あるいは感動の限界において連作を試みることも修練のよき道であるのであるが、この場合、一首一首の独立性を失ってはならない。独立性の無い、あるいは独立性の乏しい歌がいくら数多く 並べられたからとて、それでは本物の連作ではないのである。
 いうまでもなく、歌は一首一首として完成されていなければならない。だから、連作一聯が全体として目的とするところと、一首一首の作意との間には関連はなくてはならぬが、また自ら異なるものが構えられていてはじめて歌であるべきである。かつて北原白秋氏は連作する場合を詩のねらいと比較して次のようにいましめたが、味わうべきである。

 「連作七首なら七首の場合に、第一首から第二首への、あるいは第二首から第三首への、その移り方の間隔、調子というものを、全く同じ尺度をもって当てる、それがいけない。人体にたとえていうならば、最初は頭、それから胸、腹、足というように、局部局部、それをまとめて人間の姿を表す。これは作詩の行き方であって、歌の連作の方式にはあてはまらない。歌の一首一首が詩の一節一節と同じ調子に考えられたのでは本物の歌の連作ではない。
 これはやはり、一首一首独立しながら、六つなり七つなりの歌が相聯関し、構成上の意義にも通じていなければならない。詩の一節のような一首は連作構成上の完全な一首とはなり得ない」。多作の態度、連作の態度、これは常に反省されねばならぬことである・・・。


 連作における一首の独立性の問題。これは古くて新しい今日的な問題であり、未だなお方々の歌会、歌壇でも度々論及される課題でもある。北原白秋の作詩との対比での示唆を十分に味わっていきたい。

 当月号には、これら歌論、詩論と共に前号に引き続き、金井章次氏の「続行政鎖談」を初め、多田等観、金子彦二郎、大野勇二、山形義雄及び、野村泰三の各氏が論文、随筆、評論等多彩な作品を寄せている。

 また、前号にも掲載し紹介した、誌上歌会とも言える「作品評」欄は、さらに充実し批評者も長谷川富士雄氏を初め八氏と増員され、本誌の「顔」となりつつある。編集後記にも「批評の角度は、その人の作歌精神の現れであって、これを吟味することは己を磨くに最もよき態度の一つである」旨を記し、この欄への期待を強調している。
今回は紙面の関係から割愛するが、今日の結社誌にも取り入れたい優れた企画と考える。



 戦局の苛烈さは日毎に増し、肉親からも痛ましい犠牲者が出るに及び、大戦の行く末への不安は実感として人々を重々しく包むに至った。つのる不安と愛する人を失った喪失感と悲しみ。その想いを祈りに、またどこへもぶつけようも無い怒りを飲み込み鎮め、耐えざるを得なかった人々の叫びが、そしてうめきが投稿歌より漏れ聴こえてくる。
 新会員二十余名を加え、四七七首にのぼる一般会員の方の作品。この中から深い祈りとともに紡ぎ出され、句間に呻吟の想いが滲む歌を中心に抄出させて頂いた。


 顕ちきたる思念はわれを苛めど堪へつつ居れば徹るものあり      熊倉 鶏一
 自爆とはなにかと問へば戦死さと平然と言ふ児等にたじろぐ      小菅 嘉之
 英霊の還り来ますにしみじみと花コスモスや国つちの秋        菅沼 禝彦
 いまは言ふ言の葉もなし軍装の夫が瞳は澄みてきびしき        土井 博子
 哨兵線に吹き来たる風小夜ふけて人の腐れゆく匂ひを送る       島  實
 ゆく雲にひとを想へばはろけさよ離れ住みてはや秋も三還り      斉藤 美代子
 えぐられし埴輪の瞳の深処には限りのあらぬ悲哀ひそむか       門脇 顕正

 泣きもあへぬこれが嘆きかややしばし灯もつけずして部屋に立ちつつ  神谷 ツネ子
 父の運 ひたぶる祈る母の傍に幼児あはれ掌を合わせ伏す       小笠原一二三
 征きし子が残せし詩文のけなげさににその母人は今ぞ泣きたまふ    原  恵子
 夜もすがら苦しむ傷兵に侍りつつ迎ふる朝の祈りは熱し        佐野 鈴子
 凄惨のきはみに哭かゆ此の頃は読むにいとほし報道員の手記を     伊藤 景王
 大戦果に高鳴る血潮はさりながら還らぬ人の名にし泣かゆも      府川 とし枝
 白菜を好みたまひし夫なりき今朝陰膳にそなへまいらす        西  靖江
 今日もまた自爆未帰還機ありと聞く我のいたみは空おし渡る      久住 史哉


 どんな時代にも、いくさ場で大義をかかげ、兵に「名誉の死」を強いる将は後方にあって
自らは死なず、その将の一片の栄光の為に、多くの兵は名さえも記されず戦場の土と化してきた。
 愛する人の、またかけがえのない人の死に直面し、自らの悲しみと慟哭の思いを、その将の「栄光」に重ねて鎮めざるを得なかった多くの銃後の女性たち。そして、子も親も…。そんな喪失感と深い悲しみを押しつつんだ言の葉の重みが、これらの歌群に滲んでいる。



 「大義」と死の虚構は、戦国の時代から近現代のベトナム、中東、アフガン、イラクの戦場まで連綿と続いてきた。これら歌群から、その作者の全存在をかけた訴えと、哀しみを突き抜けた静かな怒りの想いが響いてくる。切実な、そして祈りに満ちた言の葉は、未だ続くイラク、アフガン、カザ等々の戦火への確かな視点を私達に指し示してくれる。この戦火の下にも悲しみに打ちひしがれる子供たちが、そして多くの人々が、未だ厳然と存在する事実と共に・・・。

 水鏡に映った己の姿を愛するナルキッソスの思いは、少なからぬ人々の深奥にある。そして愛するもののために、自らの命をも賭して闘おうというヒロイズムも同様に宿っている。しかし、生命をかけた闘いに打って出るのは、他のいかなる強制をも許さない自ら自覚的にそれを選んだ場合のみである。
 自らの内にある人間としての尊厳は、他者の仲にも厳然として存在する。この両者にある尊厳を問答無用に否定する戦争と言う殺人は、いかなる理由の下でも正当化され得ない。

 未だ消え残る雪に埋もれ、霜枯れる周辺の草原の中で、いち早く春の訪れを感じ花開く野水仙。自己を深く見つめ、そこに愛しさを読み取る感性。それは、他者の中にも息づいているであろう同じ思いを見出せる、しなやかさをもっていなければ・・・。そんな言葉をつぶやくように野水仙は海に向かってうつむきながら揺れていた。そのかぐわしい香りは、さきがけの清々しさをも含んでいた。
       了              初稿掲載 2008年2月11日

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今年もよろしくお願い致します

2022年01月01日 06時05分19秒 | 写真
    謹んで初春のお喜びを
          申し上げます


       ☆ 初春の波頭を染める暁光に
             視界の限り
                海、海、海よ 


                    三浦半島 諸磯湾からの望む 富士山


    皆様も佳いお年をお迎えのことと思います。
    旧年中はコロナ禍の荒ぶ中、大変な年でしたが、
    今年の干支、寅は「夜空に輝く星」との意味も
    あるとのことです。

     本年は、明け空に耀く綺羅星の如く
     希望の持てる年にしたいものですね。
     皆様の益々のご活躍とご健康を心から
     お祈り申し上げます
                 2022年 元旦
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