四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その142)

2024年07月24日 05時31分35秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その142) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され依然として避難を余儀なくされている皆様に
     お見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「オリエントリリー」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏
  物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や
  自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から
  2首、紫式部集より1首の計3首提出します。
註)源氏物語巻名歌・27鈴虫(すずむし)
  歌の背景
   光源氏五十歳。源氏は女三宮の出家を嘆き、来世での同じ蓮の
   宿りを願うが、女三宮は煩わしく思う。女三宮の住まいの前庭に
   秋の風情を増すために、源氏は鈴虫を放つ。十五夜の夜女三宮は
   歌を詠む。
〇おほかたの秋をば憂しと知りにしを ふり捨てがたき鈴虫の声 女三宮
〇心もて 草の宿りを 厭へども なほ鈴虫の 声ぞふりせぬ  光源氏
(返歌)
☆源氏への 想い断ち切り 未練なく 尼になること 決心貫く
☆しみじみと 因果応報 思い知り 正妻の不義 受け止めてこそ
註)紫式部集・27
〇ふるさとに かへるの山の それならば 心やゆくと ゆきも見てまし
(返歌)
☆越前で 初めて味わう 雪景色 式部の気持ち 重苦しさも」
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 一首目の女三宮の歌は、季節の秋と、それから人に飽く、心飽くという
 掛け詞になっている歌と思います。そして「大方の秋、あなた様の大方の
 お心の飽きを私は
つくづくと憂きものだと思い知りました。しかし、
 その心に振り捨てがたく鳴く
鈴虫の声でございます…」と、意訳できます。
 二首目の光源氏の歌は、「あなたは、ご自分の心から、この世を草の宿り
 というふうにお厭いになります。しかし、その鈴虫の声のように、あなたは
 美しく若々しく決してお年を召したという感じが致しません」
と答えています。
 女三宮は、源氏物語の中でも最も陰影に富んだ人物の一人として描かれています。
 彼女の人生は、喜びと悲しみ、愛と憎しみ、葛藤と苦悩に満ちていたように
 思います。また、紫式部の人間観が最も如実に描かれた女人の一人と感じます。
 作者の返歌で「想い断ち切り未練なく」と詠われていますが、光源氏への
 想いが断ち切れない故に、出家への決意も時にはためらわれたものと感じて
 しまいます。そんな想いを込めて返歌を詠んでみましたが・・・。
【ご参考】
 ★源氏への 断ち切り難き想いゆえ 出家の想い時に揺らぎて
 三首目の紫式部の歌は、「都に帰る途中の『かへる山』の雪ならば、
 心も晴れるだろうかと出ていって見るでしょう」と意訳できます。
 従って、作者の返歌も、紫式部が越前で味わった本格的な雪の重苦しい
 様子をおもんばかった歌となっています。このような返歌もいいですね。

【詞書】夏の季語を使って三首出詠させて頂きたいと思います。
☆朝方に雨の音にて目が覚める 外を見るなり瀑布のごとく
☆夜も更けてゴツンと窓にカナブンが 死んでないかと外覗き込む
☆巡行を待つ宵山の山鉾の コンチキチンの音は涼やか
                         西BOOさん
【解説】
 「瀑布のような雨」「カナブンの飛翔」「宵山の山鉾」と盛夏の様子を
 味わい深く詠んで頂きました。 
 特に、三首目は「巡行を待つ宵山の山鉾の」という上の句で、祇園祭の
 山鉾巡行の前夜である宵山の様子が鮮やかに目に浮かびます。「山鉾」
 という言葉を使うことで、京都の祇園祭であることが明確になり、
 山鉾が立ち並ぶ夜の街並みを趣き深く表現しています。
 この歌は、宵山の活気と静けさを巧みに表現し「コンチキチン」の音や
 視覚的なイメージを喚起する言葉遣いが巧みで、一瞬にして祇園祭の夜
 へと誘ってくれます。
 なお、二首目の「カナブン」を思う優しさに、作者の人柄が偲ばれます。


     「咲き初める 白桔梗」

【詞書】「片陰」(かたかげ)は炎暑にできる日陰の事で、夏の季語です。
  片陰で三首、出詠いたします。
  なお、クルーズ船はビルのように大きく、片陰も大きいです。
☆マラソンの色とりどりのボトル瓶 走者を待ちて並ぶ片陰
☆炎天の工事の漢ら 汗ぬぐひ 昼休憩のビルの片陰
☆大ひなる片陰とテープ引き連れて クルーズ船の出航の銅鑼
                         みっちっちさん
【解説】
 夏の季語「片陰」を用いた三首の歌は、いずれも「片陰」を主役におき
 俳句の技法を駆使し、夏の光景を鮮やかに表現しています。
 特に二首目の歌は、炎天下で働く建設作業員たちの逞しさと、昼食休憩を
 「ビルの方陰」で取る彼らの様子を生き生きと描写し、作者の鋭い
観察眼と
 表現力が光る歌と考えます。

 なお、「工事の漢ら」という表現は、作業員たちの力強く、たくましい
 男性と表現し、「漢」という言葉を使うことで、炎天下での
彼らの
 肉体労働の厳しさがより一層伝わってきます。

 三首目の歌の上の句、「引き連れて」の表現も見事です。

【詞書】スマホの電源を切ってバッテリーを休ませてみたら少し持ち直し
  ました。で、一首出詠いたします。…修理せんかい!
…と、突っ込まれ
  そうですが…。

☆スマートフォン
    だましだましでもう少し
       正直修理は面倒やしなあ
【詞書】じわじわとまたしてもコロナが蔓延の兆しを見せています。疫神退散!!
  …山や鉾に集められた疫神はそれぞれの
町へ帰って解体される事で
  消えるんだそうです。しかし
祇園祭って厳かなようで賑やかで、煌びやかで
  華やかで
めっちゃゴージャスで大掛かりな、伝統ある“お祓い”なんですね。
  アクシデントは置いといて、びっくりした
ことの一つに、郭巨山(だったかと)
  の“今回最年少”の、
“くじ改め”で奉行役の市長さんに順番を書いた(だったと
  思います)紙を渡す役の子(6歳)の家がその役を代々務めてて今回のその子が
  「5代目」なんだとか。…(他人で回ったり、
兄弟で…とか色々なパターンが…)
  凄い…。これもまた伝統と
言うかこの場合は“伝承”ですね。
☆山鉾は疫神集め町を往く
      神輿が通る道を清めて
【詞書】「円山応挙が下絵を描いた刺繍」とか、加山又造さんの絵とか、ある山の
  左右の胴懸に上村松篁、淳之さんの親子共演と
かがあるかと思えば(他にも
  凄い画家や絵師が関わった物も)、
16~18世紀のベルギーやフランス製の
  織物も有りーの(今は
精巧な複製が懸けられているかと)、彫刻も左甚五郎作
  のが
(鯉山とか他にも)有りーの…。凄い!ご神体(山など上に乗っている
  人形)も、(芦刈山だったかの)装束は天正年間に
寄贈されたもの。今回からは
  新調されたものが使われた
そうです。このように新しくなった物と古くから
  使い続けられ
ている物を入れ替えたりもしつつ、30年以上なかった室町時代
  や最近の、コロナで巡行などが無かったりした事などはあったものの、大昔
  からずっと受け継がれている一ヶ月に渡るこの祭は、
もと大阪者の私でも、
  間違いなく日本の遺産だなあと改めて
思いました。(世界遺産になってたと
  思いますが)もちろん
懸装品(けそうひん)だけでなく、囃子方や山鉾を動かす
  人達、
共に歩く方々、それぞれの鉾町などで“ちまき”や御守りなどを売る
  子供達や女性たち…懸装品などを修復する人、新調する物に
携わる人…etc.。
  山鉾巡行だけでも数え切れない人々が関わって
います。その方々が一年
  息災で過ごせますように…。

☆山鉾はさながら“動く美術館”
         繋ぐ町衆努力が輝く
                         ちがやねこさん
【解説】
 祇園祭の前祭(さきまつり)の山鉾巡行の際の「鶏鉾の車輪のアクシデント」に
 ついての解説を頂きありがとうございました。
 本件の解説は【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】へ作者からの「紹介」
 として掲載させて頂きました。

 前祭の成功に向けて祭りに関わる多くの方たちの協力と、尽力によって大過
 なくアクシデントは乗り越えられたと想っています。

 これこそ、「京町衆」の伝統に裏打ちされた心意気と感じました。
 二首目の歌は、力強く、印象的な一首です。「山鉾は」 という初句で、
 夏の京都の祇園祭の山鉾巡行を鮮やかに描き出しています。
 山鉾は巨大で豪華絢爛であり、まさに疫神を祓い町を清めるのにふさわしい
 存在です。「神輿が通る道を清めて」 という結句で、
山鉾巡行の目的は町の
 人々の安全を守るための大切な儀式である
こと表現しています。なお、
 この歌は夏の京都の活気と、疫病に
対する人々の祈りをも力強く表現した
 一首と考えます。

 三首目の「動く美術館」との表現は、まさに詠われている通りですね。
 1000年以上の歴史を持つ祇園祭ですが、室町時代に町衆たちの寄付によって
 豪華な山鉾が制作されるようになりました。山鉾巡行は、
町衆たちの力を
 誇示する場としても機能し、現在まで継承されてきたと
考えます。
 なお、祇園祭は、作者もおっしゃる様にユネスコ無形文化遺産にも登録
 されて
いますね。

     「咲き初める ノウゼンカズラ」

【詞書】ハスの花の観賞での3首です。
☆煩悩の焔(ほむら)鎮めて咲く蓮の水面に白き雲流れゆく
☆境内にすっくと立ちて花蓮は合掌するよにゆるり開きぬ
☆梅雨の朝けなげにひらく白蓮は雨の重さに花びら伏せて
                         夕庵さん
【解説】
 ブログを拝見させて頂きました。ご友人と共に宇治植物園を訪れた際、
 その苑に咲く蓮の花をテーマに詠われていますね。この宇治植物園には
 小椋蓮や、2000年前の蓮の種から育てられた大賀ハスが咲いている
 とのことですね。
 一首目の歌、「煩悩の焔」という力強い句が印象的です。燃え盛る炎にも
 似た煩悩を克服したかのように、静寂をまとい凛と咲く
蓮の花。
 その花が咲く水面に夏雲が映っている…と、洗練された
言葉遣いで静かで
 美しい空間が描写されています。

 なお、「煩悩の焔」という言葉と、「鎮めて」という言葉の対比によって、
 蓮の花に仮託しながら、煩悩を克服し清らかな心境に到達
した作者の、
 現在の想いが詠われていると拝察いたしました。

 三首目の「雨の重さに花びら伏せて」の表現もいいですね。

☆突然の 電話相談 深夜での 人生相談 寝不足も愉し
                         時の関守さん
【解説】
 作者のブログを拝見し、スピリチュアル等の観点からの御説に多くの事柄を
 学ばせて頂いています。
 今回の歌、深夜「突然の電話相談」は通常であれば「迷惑」との想いに
 なりますが、「寝不足も愉し」と鷹揚に受け入れ、しかも
相談に応じる
 作者の人柄が淡々と表現されています。

 ここで「愉し」の語に少し触れたいと思います。これは「楽し」の語とは、
 若干趣きが異なり、何かを心から喜び、嬉しく感じるという
意味を持ち、
 豊かな心情や精神的な満足感を強調する語と理解して
います。この語を
 使うことによって作者の「人生相談」に真向かう
想いの深さが偲ばれます。

【詞書】YouTube短歌:冨田勲 展覧会の絵 ビドロ
☆苦しい・・・
 でも歩かなくては
 軛の道の遠く
   先の見えない
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 曲を聴いたイメージだけで短歌を作っていますが、後で調べると、
 ビドロは、牛車らしいです。ムソルグスキーの曲の通りそれらしく
 聞こえました。
 小生は、糖尿病歴四半世紀を過ぎました。
 甘い物の摂取を抑え、ひたすら運動して、もう、薬、インシュリン
 注射と続いています。これが死ぬまで続く先の見えない治療。
 牛が見えない鞭に打たれる軛(くびき)にも似ています。現状維持を
 するのがやっとで、改善する希望が一切ありません。全国には、
 同じ病気で、この暑さの中でも、同じ様に頑張っている方が
 数百万人います。
 下記URLに展覧会の絵を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/430a576c976fc8dd251f1715cfc72be4
                         自閑さん
【解説】
 ムソルグスキー作曲「展覧会の絵 ビドロ」の「ビドロ」は、当初
 ポーランド語で「牛の集団」を意味する「ブイドロ」であったと
 言われています。
 終始重々しく、暗い曲調で統一されたこの曲を視聴しますと、これが単なる
 「牛の集団」の描写でないことに気付きます。この言葉には「家畜のように
 虐げられた(ポーランドの)人々」という意味があり、この曲は
 「虐げられた人々」への同情と、人々の暗く激しい感情を表現しているかに
 感じます。当時のロマノフ朝政治に対する作曲者の批判的精神の
表現で
 あったかも知れません。現在もそうであるように、当時のロシア
でも批判は
 タブーであり、題名を書き直し「牛車」とした経緯があるようです。

 これらの事柄を踏まえて、作者の歌を鑑賞しますと・・・、
 「軛の道の遠く先の見えない」、苦しくても「でも歩かなくては」は
 冨田勲の曲も踏まえ、曲のイメージを的確に把握し歌で表現仕切って
 いると感じます。
 原曲、編曲、短歌それぞれの表現を一つの線で結びつける新たな試みを
 続けておられる作者の挑戦に、改めて学ばせて頂きました。
 なお、慢性病との付き合いは「今より悪化させない」ための治療と伺い
 ました。くれぐれもご自愛の程をお祈り申し上げます。

☆咲き初める むくげの花に黒揚羽 短きいのち ともにいだくや
                         ポエット・M
【解説】
 梅雨明けと共に、底紅をまとう宗旦槿の花が咲き初めています。その花に
 黒揚羽蝶が止まり、静かに羽根を休めています。ひと日花でもある槿と、
 成虫になってから僅か1週間から2週間程度と言われる黒揚羽蝶の命を期限を
 考えると、その命の儚さに心が痛みます。
 「神は儚いもののみ美しく創ったと」との言葉がありますが、その儚い命を
 懸命に、健気に燃やす花と蝶に愛おしさが湧きます。そんな想いを込めて

 詠ってみました。

 
      「黒揚羽蝶と むくげの花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(49)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
30.「短歌の章」 済州島日韓会議(2)

   韓国人の対日不信は尚残る
           それを肯ひて我は答へぬ
           
   カムサハムニダ(ありがたう)と言へばホテルの
           ウエートレスにこやかに 我にも笑み返すなり

   会議終へて一杯(ひとつき)の酒に酔はむとす
                円かなる月光に島濡るる時

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 「ちがやねこさん」からの祇園祭の前祭(さきまつり)の紹介です。

 7月17日、8時半から放送されている祇園祭の前祭(さきまつり)の
 山鉾巡行の生中継試聴なう、です。
 先ほど、9番目を行く鶏鉾の車輪にアクシデントがありました。車輪の
 一部が外れたようで、どうするかの協議もあったようですが、後ろで
 待っていた山や鉾を先に通そうとなったかで、すぐ後ろとその次は、
 人が担ぐ“山”なのでまあすんなりと鶏鉾の横を通り過ぎて行け
 ました。が、その次が鉾全体で最重量の月鉾(高さも最高の27メートル!)
 だもんだから、どうなることかと思いましたが曳き手の人達、屋根の
 上の屋根方、車輪に付いて動きを助ける車方(くるまかた)…全ての
 方々の努力の結果、10センチかそれ以内かぐらいのすき間を空けて
 二基の鉾がすれ違いました。(心なしか囃子方のお囃子の音も
 「頑張れ!」って言ってるみたいに力強く聞こえました)普通なら
 斜めに動かない四条通で、皆が手で押して車輪(前後にしか動かない)を
 動かし、屋根方の方達はお互いの屋根を足で押し合い(一瞬だけ月鉾の
 人が他所の鉾、鶏鉾に乗った!これも珍しいことかと)、曳き手の人達も
 息を合わせてゆっくり動かし、音頭取りの方々も力強く掛け声を
 掛けて…互いの屋根がぎりぎりで通り過ぎる時は見物の人達から
 声援や拍手が起こったり…。何より、四条通で鉾が(鉾と山も)2基
 並ぶと言うのが珍しい光景でした。

 後に通り過ぎた放下鉾は月鉾より多少小ぶりなのかすき間にちょっと
 余裕があったような…。放下鉾が通り過ぎた時、屋根方の人達同士で
 「お先に失礼します」「がんばれよ!」みたいに手を振り合っているのが
 素敵でした。(菊水鉾も、だと思うんですが見逃した…)山鉾巡行は、
 必ずその順番で往く“くじ取らず(先頭の長刀鉾など数基)”以外の
 山や鉾は毎年事前に“くじ”を引いて(市議会の会議場で!皆さん
 紋付き袴姿で!)順番を決めて巡行します。その理由は昔は山や鉾が
 追い越したり越されたりで争いが起きたりしたから“くじ”で順番を
 決め、それを守るようになった…なんだそうです。

 が、今回は後ろの鉾や山に「どうぞお先に」と先を譲ったとは言え、
 山や鉾が鉾を(粛々と)追い越していく…という、なかなか見られない
 光景が!結果的に鶏鉾は車輪に応急処置を施して四条通をバックし
 (囃子方の皆さんは鉾を降りていました)、室町通の鶏鉾町へ帰るとの
 ことでした。毎年放送席で解説してはる佛教大の八木先生(綾傘鉾町の
 方らしく毎年綾傘鉾町の浴衣を着られてます)も「見たことない」と
 仰ってました。天気は持ったけどえらいアクシデントも起きた今回の
 前(さき)祭。後から放送席に来られた、今年初めて「くじ改め」の
 奉行役を務められた京都市長の松井さんは「怪我人が出なくて
 良かった」と言ってはりました。確かに、屋根方の方達とか見ていて
 ハラハラしました。アクシデントか有り、中継の放送予定も少し変更が
 あったみたいだけど、取りあえず大変な事故も雨もなくて良かったです。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (15)
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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その142)ネット歌会

2024年07月24日 05時00分29秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その142)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き初める 高砂百合」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆朝方に雨の音にて目が覚める 外を見るなり瀑布のごとく
                         西BOOさん
★蝉の声目覚まし時計のごとく聞き 今日一日を共に過ごさむ
                         夕庵さん
★この夏は蚊を見ず蝉の声聞かず 異常気象か不可思議極む
                         西BOOさん
★十一波のコロナ患者も増えてきて 地球生態 危機感迫る
                         夕庵さん

☆夜も更けてゴツンと窓にカナブンが 死んでないかと外覗き込む
                         西BOOさん
★カナブンも家の灯りが恋しいか 家族の語らう声に誘われ
                         夕庵さん
★網戸にてとまる大きなカブトムシ 小学生の頃の思い出
                         西BOOさん

☆巡行を待つ宵山の山鉾の コンチキチンの音は涼やか
                         西BOOさん
★コンチキチン祇園祭も華やぎて 世界の祭りと外貨を稼ぐ
                         夕庵さん
★遊園地 外国語だけ聞こえゆる 日本人は何処にも見えぬ
                         西BOOさん
★夏休み 隣の子らは声上げて ビニールプールで大はしゃぎする
                         夕庵さん

☆マラソンの色とりどりのボトル瓶 走者を待ちて並ぶ片陰
                         みっちっちさん
★酷暑には水分補給が大切と 冷蔵庫にはボトルの整列
                         夕庵さん
★ミネラルも必須なるやと塩飴を 配ってくれし仲間の協力
                         みっちっちさん
★薄味がよいと解るもこの暑さ パンチの効いたカレーが食べたし
                         夕庵さん

     「咲き初める ノウゼンカズラ」

☆炎天の工事の漢ら 汗ぬぐひ 昼休憩のビルの片陰
                         みっちっちさん
★黙々とし仕事の汗のしたたるを酷暑に見るは逞しきかな
                         夕庵さん
★炎天の労働者らの逞しさ 一致団結の仕事をこなす
                         みっちっちさん
★真夏日の勤務も休みが必要と 声上ぐ人の少ない日本
                         夕庵さん
★勤勉は美徳なりとふ日本人 子供の休みは長くあるのに
                         みっちっちさん
★転職はありと納得する事も 趣味と実益一致となれば
                         夕庵さん
★実益と趣味が一致の仕事とは なんと幸せな職場であろふ
                         みっちっちさん
★大谷翔平(しょうへい)は幼き夢の野球道 極め巨大な富を築きし
                         夕庵さん
★大ひなる二刀流への夢極め 日本の宝なる若者よ
                         みっちっちさん
★左手で大豆を運ぶ競争に 二刀流なる人の手さばき
                         夕庵さん

☆大ひなる片陰とテープ引き連れて クルーズ船の出航の銅鑼
                         みっちっちさん
★船便の世界一周は諦めて その豪華さをテレビに見入る
                         夕庵さん
★クルーズの世界一周諦めてせめて日本を回ろうかとも
                         みっちっちさん

☆かんかんと遮断機降りて 佇めば 空に一閃夏のつばめよ
                         みっちっちさん
★スーパーの軒に巣を成す夏燕 商店街の空を一閃
                         ちがやねこさん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き初める 百日紅」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その141)

2024年07月17日 05時57分51秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その141) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され依然として避難を余儀なくされている皆様に
     お見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「今年初めて咲いた 月下美人」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏
  物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や
  自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から
  2首、紫式部集より1首の計3首提出します。
註)源氏物語巻名歌・26横笛(よこぶえ)
  歌の背景
   光源氏四十九歳。夕霧の一周忌の供養も終わり、御息所(落葉宮の母)
   は、柏木の遺愛の笛を夕霧に贈る。
〇露しげき むぐらの宿に いにしへの 秋に変はらぬ 虫の声かな
 と、聞こえ出だしたまへり 一条後息所
〇横笛の 調べはことに変はらぬを むなしくなりし音こそ尽きせね  夕霧
(返歌)
☆荒れた家 秋と変わらぬ 虫の音は 持ち主しのぶ 悲しみの声
☆柏木を しのぶものの 泣き声は 尽きせぬものか 横笛の調べ
註)紫式部集・26
〇小塩山 松の上葉(うわば)に 今日やさは 峯のうす雪 花と見ゆらむ
(返歌)
☆暦には 初雪降ると あるのなら 雪が積もって 峰にうっすらと
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 一首目、落葉宮の母の歌は「涙にくれて暮らすこの荒れた家で、昔に
 変わらぬ笛の音を聞かせていただきました」と意訳できますし、それに
 答えた二首目、夕霧の歌は「横笛の調べは昔と変わっていませんが、
 亡くなった人を偲んで泣く声は尽きません」と詠っています。
 この二首の歌への作者の返歌は、何れもそれぞれの方の哀しみに寄り添い
 それを肯定する返歌となっています。二首目の「横笛の調べ」と泣き声の
 関連性をすこし強めて詠ってみましたが、いかがでしょうか。
 【ご参考】
 ★亡き人を偲ぶ笛の音変わらねど いまだ尽きせぬ泣き声のある
 三首目の歌は、紫式部の身近に仕えていた侍女の詠んだ歌と推察できますが、
 「小塩山の松の上葉に今日はおっしゃるように初雪が降って峯の薄雪は
  花が咲いたようでしょう」と意訳できますね。作者の返歌も、初雪の
 降った様を元歌に沿って、花のように「峰にうっすらと」積もる様子を
 詠っていますが、もう一歩進めて詠んでみました。
 【ご参考】
 ★小塩山 松の上葉の初雪は 峯を包みて花のごと見ゆ 

【詞書】夏燕、夏のつばめで三首詠みました。爽やかな気持ちいい夏の
  季語です。
☆万緑に埋もるる小歩危 大歩危の天と地かすめ夏燕すい
☆かんかんと遮断機降りて 佇めば 空に一閃夏のつばめよ
☆清水の舞台をかすめ 青空を斬り閃光のごと夏燕
                         みっちっちさん
【解説】
 季語「夏燕」を用いて、夏らしさが感じられる歌三首を爽やかに詠んで
 頂きました。

 特に一首目の歌は、力強く雄大な自然の風景と、そこに飛び交う燕の
 軽快な動きが鮮やかに描かれた一首です。また、「万緑」と
いう言葉に
 よって、緑の質量が強調され、「小歩危」「大歩危」
という地名を
 並べることで、吉野川の渓谷の険しさと壮大さが
表現されています。
 さらに、結句の「すい」という擬音語によって、燕の軽快な動きが
 生き生きと描写されて、作者の感性と表現力が見事に光る歌になって
 いると感じます。
 二首目の「空に一閃」の表現も見事です。

【詞書】買い物をしたことで、二首出詠させて頂きたいと思います。
☆節電のためと購入 冷風機 冷房 弱も 製氷MAX
☆病院の帰りに龍田大社寄る 五色の念珠揃いて購入
                         西BOOさん
【解説】
 一首目、詠まれている冷風機は、冷蔵庫の製氷機と同じ原理で動作
 しますが、冷蔵庫内で循環する冷気を利用して水を氷に変え、
冷たい
 空気を送り出しますね。下の句の「弱」と「MAX」の対の表現に
独特の
 ユーモアが感じられます。

 二首目の歌、龍田大社は、奈良県生駒郡三郷町にある神社で、風の神
 (風神)として古くから信仰を集めています。なお、創建は

 約2100年前とのこと。「五色の念珠」は奥様の回復を願ってのものと
 考えますが、この願いと、祈りが「白龍」の神に届きますよう
私達も
 祈念したいと思います。

【詞書】数年前の娘からの贈り物紫陽花は鉢植えから地面に植え
  替えると、毎年枝を広げ美しく咲きます。名前は「コンペイトウ」
  という額紫陽花です。
☆母の日の娘(こ)の贈り物紫陽花は年ごと彩を深めて咲きぬ
☆スーパーに和毛ふるえる白桃の少女のようなはにかみに合う
☆忽然と逝きし人恋う夏盛り白桃すすりぬ雫に濡れて
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の歌、お嬢さまから母の日に贈られた額紫陽花が庭に移された
 ことによって、年ごとに繁茂し藍色を深め美しく咲き誇っている、
 その様子が趣き深く詠われています。
 「こんぺいとう」と言う名の紫陽花は、白覆輪の八重咲きとなる金平糖の
 ような可愛い花が特徴とのこと。鬱々とした年々の梅雨の季節に
温かな
 お嬢様の心遣いが心に沁みますね。

 二首目の歌、「和毛(にこげ)」という言葉を使うことで、白桃の繊細な
 産毛を表現し、「ふるえる」という動詞を用いることで、
白桃の瑞々しさ
 と生命感を鮮やかに描き出しています。

 日常的な風景の中に、繊細な感性と美しいイメージを織り込んだ、印象的な
 歌と考えます。

 三首目の歌、「雫に濡れて」では、白桃の滴る果汁と、涙とが混ざって
 いるようにも感じら悲しみに暮れる作者の姿が浮かんで
きます。
 また、亡くなった人を偲ぶ気持ちが繊細な言葉で表現
されていて、深い
 共感を呼び起こす歌と感じます。


     「咲き初める オリエンタルリリー」

【詞書】YouTube短歌:富田勲 展覧会の絵 チュイルリーの庭
☆皆で駆け巡れ!あらゆる場所に
     新たな発見が。

  今の道を迷ふな!
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 チュイルリーの庭の前にプロムナードがあるのですが、イメージが
 尽きたのか?出来ず、次のチュイルリーの庭を出詠します。後に
 出来ましたら、前後しますが、出詠したいと思います。
 富田勲のシンセサイザーの展覧会の絵は、1975年2月に発売された。
 前作の月光に次いで、7ヶ月で完成したそうです。1975年8月16日
 付けのビルボード・キャッシュボックスの全米クラシックチャートの
 第1位を獲得し、1975年NARM同部門最優秀レコード2年連続受賞、
 1975年度日本レコード大賞・企画賞を受賞しました。
 チュイルリーの庭は、 遊びの後の子供たちの口げんかと副題が
 付いている。フランスのテュルイリー宮殿の庭で遊んだ後に喧嘩を
 する子供たちの様子が表現されています。
 下記URLに展覧会の絵を貼付しておりますので、御覧戴ければ
 幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/1fc6e5cf5c1017f003f7802b8e7f2bab
                         自閑さん
【解説】
 「短歌説明」にも記されていますが、「チュイルリーの庭」の曲は軽快で
 明るいメロディーが特徴で、子供たちが遊びながら口げんかをしている
 様子が音楽で表現されていますね。チュイルリー公園は、ルーブル美術館
 の隣に位置し、パリ市民の憩いの場として知られています。
 また、富田勲の曲は、ムソルグスキーの原曲に現代的な解釈を加え、
 シンセサイザーの多彩な音色を駆使して新たな魅力を引き出していますね。
 作曲による「本歌取り」とも言えますが、原曲を超える水準故に世界的な
 評価も頷けます。そんな曲のイメージから歌を紡ぐ営みは、やはり
 相当にしんどいものと拝察いたします。しかし「今の道を迷ふな!」の
 下の句は、「チュイルリーの庭」のイメージを表現するのみでなく、
 人生の指針として、自らにも言い聞かせる内容も含まれていると拝察
 させて頂きました。
 YouTube短歌の神髄とも言える、曲のイメージを膨らませ言葉に凝縮
 させる技を、改めて学ばせて頂きました。

【詞書】6月あたまだったか5月の終わりかに、朝日新聞土曜日の
  書評ページに紹介されていたのに興味をもって、書店に注文して
  6/28に買った「呪文よ世界を覆せ」という講談社のコミックの第1巻。
  イマイチ売れない芸人の青年(相方はブレイクして、ピン芸人の賞
  レースで優勝して、主人公にはまだ言っていないが、ピンでやりたい
  と思っている)が、なかなか売れないウケない、同棲していた彼女は
  他の男と居た上に、そいつにボコボコにされた、舞台はボロボロで
  相方に冷たい言葉を投げられ…で、劇場の裏で落ち込んでつぶやいた
  ひと言が、5・7・5・7・7になっていて、たまたま聞いた(劇場の上で歌会
  をやっていて帰るところだった)女性が「今の 短歌でしたね」と
  話しかけ…。という“短歌が繋ぐBoy meets Girl”から始まる物語
  です。作者はニコ・ニコルソン(日本の方やと思います)という女性で、
  この作品以前にも作品はあるんですが、失礼ながら全く初めての方
  でした。(月マガ系はあまり買わんし…)主人公の関西弁(私が長年
  住んでた堺市出身)も割と自然やし…。「世界ぜんぶ歌になるやんけ」
  と“気付いた”シーンは「うん…!」って共感しましたし…。
  (その前のシーンも良いです。…いくらか前のページで一カ所
  「うっ…」と刺さるところも…)ともかく“短歌”を扱うマンガも
  そんなにありませんが、買って良かった。面白いです。河野裕子さん
  (私でもお名前は存じております)の歌など実在の歌も作中で紹介
  されています。
  新聞の歌壇などとはまた違う、短歌へのアプローチとして、純粋に
  「どないなるんやろ?」と楽しみにして次巻を待ちます。
  (とはいえ…これ以上新しい作者の作品は増やさん方がええんです
  よね…。多分マンガの冊数軽く2000は越えてるやろうし…)
☆久々に買った新しいマンガ
        短歌に出逢った青年の話
【詞書】7/14(日)に、京阪宇治駅そばの公園(「茶づな」という施設が
  あります)に、京都アニメーションの放火殺人事件によって亡く
  なった36名を悼み、また遺族の方々、京アニに携わる人々、ファンの
  人達、宇治に訪れる人々の心を繋ぎ、想いを、志(こころざし)を繋ぐ
  為の象徴とし建立された碑、「志を繋ぐ碑」が完成しました。私は
  まだ行ってませんが、京アニの社員の方々がデザインをされたと
  いう、テレビで見たその碑は絵を描く紙のように白く、羽ばたく
  鳥達は天に向かって人々の心を届けてくれるかのように力強く
  羽ばたいている…関係者の気持ちにもファンの気持ちにも寄り
  添うような素敵なデザインでした。
  六地蔵の第一スタジオ跡には非公開の慰霊碑が建つそうです。
  「“慰霊碑”ではない」という「志を繋ぐ碑」はファンが京アニに、
  あの事件で亡くなった方々に心を寄せる新たな場所となることと
  思います。碑の正面に立った真っ直ぐ向こうを辿ると第一スタジオ
  跡なんだそうです。
  (まだ工事中のは見ました。この間「茶づな」でやってる“大河
  ドラマ展”を見に行った時に…。ポケモンのマンホールの蓋も
  すぐそばです…余談まで)
☆失われた命表す白き鳥
      36羽に祈りを託して
【詞書】昨日(7/15)の大阪の朝日放送の夕方のニュースワイド
  「newsおかえり」のお天気のコーナーで祇園祭宵々山の様子を
  やっていましたが、番組後半では気象予報士さんが“菊水鉾”
  に登って中継してました。その際、ずっと演奏している囃子方の
  人達を写したんですがその中に今年初めてお囃子に参加した
  という小学2年生(だった…と)の男の子がいました。後ろから
  お父さんらしき男性が鉦を叩く“ばち”を持った男の子の手を
  包むように手を添えて鉦を叩かせていたんですね。人手に関しては
  他の祭りも大変なところがあるかと思います。伝統ある祭を担う
  人材を育てるのも今携わる人達の大切な事なんでしょうね。手を
  添えられて鉦を叩いていた男の子が本番を無事にこなし、将来
  また後輩達を教え、伝統を伝えていけるといいなあと思います。
  …明日は山鉾巡行。願わくは雨よ降るなあっ!!
☆父が手を添えし子の目は鉦(かね)見据え
            祇園囃子に音は溶け込む
                         ちがやねこさん
【解説】
 「講談社のコミックの第1巻」「志を繋ぐ碑」「祇園囃子」と、今回も最新の
 事象をテーマ毎に作者の視点からじっくり掘り下げて
詠って頂きました。
 一首目のテーマ、「呪文よ世界を覆せ」は、少し目を通しましたが短歌を
 題材にした斬新なギャグ漫画ですね。ここで詠われている短歌はユーモアと
 感動に満ちており、心温まる物語と感じます。
 おっしゃるように「短歌へのアプローチ」の一つとしてもお薦めの書ですね。
 なお、2000冊のコミック誌とは壮観で、凄いですね。

 二首目の歌、京アニメの社員の方々がデザインをされたという「志を繋ぐ碑」
 は、詠われているように、あの事件で亡くなった方々に
心を寄せる新たな
 場所となるとともに、文字通り志を次の世代に
伝える出発を誓う場になって
 いくものと思います。また、上の句の表現がすっきりとしていて秀逸です。
 三首目の歌、伝統を守り次の世代に継承することの難しさが最近とみに
 言われていますが、祇園囃子の継承の様子が温かな眼差しをもって具体的に
 詠われています。このような視点こそ歌の命と思います。
 上の句を詞書を踏まえて少し整理させて頂きましたが、いかがでしょうか。

【ご参考】
 ★父が子に手を添え叩く鉦(かね)の音よ
            祇園囃子に溶け込みてゆく

☆梅雨晴れの花野行き交う人はみな 会釈かわして笑みも浮かべて
                         ポエット・M
【解説】
 梅雨は未だ開けませんが、梅雨の合間の晴れの日に、観音崎公園の
 「花の広場」に散策に出かけてみました。鬱々の日々の中でひと時、
 爽やかさを求めて花野を訪れる方が少なからずおられ、顔なじみの方も
 結構おられます。会釈し、笑みを交わし合うのみの間柄ですがお互いに
 安らぎも感じられ、このような淡い交流も又良いものと感じます。
 それは、緑に覆われた草原と、季節の花に溢れた花野という環境に
 よるところが大きいと感じます。
 人には色々な側面がありますが、このような穏やかな環境の中で人は心から
 優しくなれ、それを反映するかのように表情も和やかに見えます。

 世知辛い世情の中で、例えひと時でもそんな状況の中に身を置きたいものと
 感じ、詠んでみました。

 
     「咲き初める むくげの花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(48)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
29.「短歌の章」 済州島日韓会議(1)

   夾竹桃の花咲き盛る島にして
           低き家並みの家居貧しき
           
   家毎に石積みて垣を囲らせり
           昨日も今日も風吹く島は

   海女潜く海は緑に耀よひて
           島めぐり行く風亘るなり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛致します。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その141)ネット歌会

2024年07月17日 05時35分11秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その141)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「今年初めて咲いた 月下美人」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆節電のためと購入 冷風機 冷房弱も 製氷MAX
                         西BOOさん
★夏祭りイチゴミルクのかき氷 浴衣の金魚も跳ねて道連れ
                         夕庵さん
★夏祭り 昔踊った盆踊り 今は打ち上げ花火に変わる
                         西BOOさん
★陸橋より仰いだ空に遠花火 弾ける音を君よ 聞いたか
                         夕庵さん

☆母の日の娘(こ)の贈り物紫陽花は年ごと彩を深めて咲きぬ
                         夕庵さん
★誕生日 娘からのプレゼント Ā5黒毛は喉を通らぬ
                         西BOOさん

☆万緑に埋もるる小歩危大歩危の天と地かずめ夏燕すい
                         みっちっちさん
★流線に飛び交う鳥の素早さに あれがツバメと孫(こ)に教えたり
                         夕庵さん
★原っぱにキャッチボールの少年を かすめ燕の飛び交ふ速さ
                         みっちっちさん

☆スーパーに和毛ふるえる白桃の少女のようなはにかみに合う
                         夕庵さん
★手のひらを桃の形に包めども 痛みし桃よ 少女のやうに
                         みっちっちさん
★傷ついた言葉は今も忘れない 少女の頃の教師の言い草
                         夕庵さん
★傷つきし心はずつと 教師らよ 子らのこころを育むことを
                         みっちっちさん

     「咲き盛る 西洋アサガオ」 

☆かんかんと遮断機降りて 佇めば 空に一閃夏のつばめよ
                         みっちっちさん
★真夏日の線路も揺れる踏切に チガヤは穂綿を白く飛ばしぬ
                         夕庵さん
★踏切の向かうに友の家があり 別れし友の背の揺れし夏
                         みっちっちさん
★二十年ぶり 偶然友との再会に 奇跡の時間は一閃のごと
                         夕庵さん
★同窓会 初恋の人は歳とれど 優しき瞳だけは変はらず
                         みっちっちさん
★肩組みて校歌を歌う同窓会 きみは今でもベストフレンド
                         夕庵さん
★肩組みてキャンプファイアー 頬染めて炎を見つめ歌ひし夜よ
                         みっちっちさん
★ソロキャンプ焚き火の焔を見守りつ 纏うしがらみ解きゆくのか
                         夕庵さん
★じつと見し炎に何を考える 人の深淵 いかに生くるや
                         みっちっちさん
★気炎吐くきみの主張は唐突で 聞き流すこつ いつか身につく
                         夕庵さん
★若き日にただ聞き流す勉強が 大切なると思ふ今なり
                         みっちっちさん
★深夜便 アナウンサーの囁きに心足らいて眠りにつきぬ 
                         夕庵さん
★今日の日も出来うる限り頑張った 自己満足の眠りにつきぬ
                         みっちっちさん
★酷暑なら抵抗せずに身を守り 昼寝が日課となってしまいぬ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き競う ゼフィランサス」

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 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その140)

2024年07月10日 05時55分47秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その140) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され依然として避難を余儀なくされている皆様に
     お見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める ハマボウ」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏
  物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や
  自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から
  2首、紫式部集より1首の計3首提出します。
註)源氏物語巻名歌・25柏木(かしはぎ)
  歌の背景
  光源氏四十八歳。亡き柏木への思いにしずむ落葉宮を見舞う夕霧は
  その様に心をうたれ思わず歌を贈る。しかし、夫を偲ぶ落葉宮は
  その気持ちを拒む。
〇ことならば 馴らしの枝に ならさなむ 葉守の神の 許しありきと 夕霧
〇柏木に 葉守の神は まさずとも 人ならすべき 宿の梢か」    落葉宮
(返歌)
☆枝先が 一つになって 宿縁も 葉守の神の お許しこそが
☆突然の お言葉にこそ 驚いて 心の浅い 方のようにと
註)紫式部集・25
〇ここにかく 日野の杉むら 埋(うず)む雪 
             小塩(おしお)の松に 今日やまがへる
(返歌)
☆日野山の 埋む雪見て ふるさとは 都懐かしむ 小塩山の松
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 今回は、夕霧、落葉宮、紫式部の歌、それぞれへの返歌を詠んで頂きました。
 一首目、夕霧の歌は、「同じことなら、この連理の枝のように、親しくして
 頂きたい。葉守の神(柏木)の許しがあったと思われて」と意訳できます。
 それに対して二首目、落葉宮の歌は、「柏木に葉守の神はおられなくても、
 他の人を近づけてよい宿の梢でしょうか」と意訳でき、夕霧の想いへ
 「だめですよ」と答えていますね。作者の返歌は、何れもこれらを踏まえ
 優しい想いのこもった歌となっています。
 夕霧の想いを、もう一歩進めて詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★柏木の連理の枝のことわりに 君と吾への神の許しも 
 三首目の紫式部の歌は「暦に、初雪降ると書いてある日、見た目には近い
 日野岳という山の雪が、とても深々と積もっているように見えたので、
 今日は都の小塩山の松に降り積もっているだろう雪と見紛うばかりだ」と
 意訳できます。これを踏まえると作者の返歌は紫式部の想いをなぞる歌と
 考えます。作者の返歌で「ふるさとは」「都」を少し整理してみました。
【ご参考】
 ★日野の杉 うずむ雪見て 都なる小塩の松の雪懐かしむ

【詞書】「七月」の季語で三首詠みました。
☆七月の神戸の空にリニューアル ポートタワーの悠然と赤
☆七月の空にドクターイエローのラスト三年(みとせ)の勇姿疾走
☆七月の湖面を渡る比良の風 さざなみ淡く浮舟ひとつ
                         みっちっちさん
【解説】
 今年の「七月」は例年以上に異常な暑い月になりそうですが、この月を
 題材に爽やかに三首詠んで頂きました。
 特に、二首目の歌。ドクターイエローの最後の3年を疾走する姿を詠って
 いますが、旅人が草枕を探す楽しささえ感じさせる歌とも言えます。
 ドクターイエローは、老朽化などを理由に、JR東海の車両は2025年1月、
 JR西日本の車両は2027年をめどに運行を終えることが正式に発表されて
 います。この歌は、その終焉を讃えるものとして、感慨深い歌ですが、
 歴史を刻む歌ともなりますね。
 ちなみに、ドクターイエローは、東海道新幹線・山陽新幹線区間に
 おいて使われる点検用新幹線車両の愛称です。車体が黄色いことから、
 こう呼ばれています。
 三首目の歌で「さざなみ淡く」との表現がありますが、違和感を抱く
 方もおられるかと思いますが、「さざなみ淡く」という表現は、
 風によって水面にできる波が小さく、色が薄く見えるさまを的確に
 表現していると考えます。
 ちなみに、「淡く」のほかに、「かすかに」「微かに」「ほのかに」
 などの言葉もありますが、どの言葉を使うかは表現したいイメージに
 よって異なると考えます。この場合、風が弱い日で「さざなみ淡く」
 は適切な表現と考えます。

【詞書】先月、孫と生駒山上遊園地に行ったことから二首詠まさせて
  頂きたいと思います。
☆孫二人 アトラクションに乗りに行き 降りて瞬時に「もう一回乗る~」
☆ひきつけが治りし孫も もう三才 絶叫マシンにゲラゲラはしゃぐ
                         西BOOさん
【解説】
 お孫さんと生駒山上遊園地に行かれた際の、お孫さんの様子を愛情を
 込めて詠まれた二首の歌。何れもお孫さんが身体いっぱいに楽しさを
 爆発させる様子を、素直に詠われ微笑ましさが伝わる良い歌と考えます。
 なお、一首目の「もう一回乗る~」、二首に目の「ゲラゲラはしゃぐ」
 との言葉、事象の表現は、歌のリアリティーを増し取り入れたい技でも
 あります。
 なお、二人のお孫さんと遊園地で遊ぶのは楽しい反面、かなりの体力と
 気遣いも必要となり、結構お疲れだったことと思います。孫の為ならばと
 張り切る作者の、少年のような表情が歌から目に浮かび、私達世代の
 共感を呼ぶ歌でもあります。体調はいかがでしょうか。くれぐれも
 ご自愛ください。

【詞書】季節の花 3首です。
☆山法師 頭巾の形に花びらは 荒みし心にやさしさを説く
☆雨の日に化粧(けわい)したのか半夏生 雨滴は涙か零す手の上
☆二つ三つ今年も咲きぬ朝顔は かの絵日記の彩そのままに
                         夕庵さん
【解説】
 今の季節を彩る「山法師」「半夏生」「朝顔」を題材に抒情豊かに
 詠って頂きました。
 一首目の歌は、冒頭の「山法師 頭巾の形に花びらは」という表現が
 印象的です。山法師の花は、白い四片の総苞がまるで頭巾をかぶった
 法師のように見えることから名付けられたと言われています。作者は
 この花の特徴をよく捉え、簡潔な言葉で描写しています。
 なお、「荒みし心にやさしさを説く」という表現によって、山法師の
 花が持つ楚々とした美しさと優しさが伝わってきます。「荒みし心」と
 いう表現は、私達の心に訴えかける力があります。
 全体として、この歌は山法師の花の静寂さ、美しさと優しさを、視覚的、
 感覚的に表現し深い余韻を残す歌だと感じます。
 二首目の「雨滴は涙か零す手の上」の表現が秀逸です。


     「山法師の花」

【詞書】YouTube短歌:冨田勲 展覧会の絵 古城
☆老ひぬるか
   まだ生きるか
  歩けるうちは幸せだ と

   鐘だけ鳴り響く
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 展覧会の絵シリーズの古城です。曲のイメージからのみで作歌しています。
 この短歌は、水曜サロンに、ボケて投稿し損なった時、自分の老いを
 感じていました。ポエット・M様には、ご迷惑をお掛けしました。
 まあ、歩けるうちは歩く、短歌が出来るうちは投稿するとしていきたいです。
 下記URLに展覧会の絵を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d55ec7a149b2459a52295e3e7256c536
                         自閑さん
【解説】
 ムソルグスキーの原曲「展覧会の絵」には、5つの「プロムナード」が
 ありますが、詞書でのテーマの「古城」は、その2つ目にあたります。
 優しげな「プロムナード」を挟んでから、場面は中世の幻想へと変わり、
 題名の通り「古城」の前で、吟遊詩人がリュートを奏でながら歌っている
 情景が表現されています。
 この曲の哀愁ただようイメージから紡がれた歌は「老い」を意識しながらも
 「まだ生きるか 歩けるうちは幸せだ と」の言葉通り、前向きに歩む
 作者の心意気、さらに決意がうかがわれます。私達世代が直面する老いの
 現実に対して、ひるむことなく前を向く秘められた潔さも歌に滲んでいます。
 「鳴り響く」鐘をエールに変えるエネルギーも感じられる歌と感じます。

【詞書】イギリスの首相が替わりましたね。労働党が保守より議席が上回り、
  労働党が第一党になり、党首のキア・スターマー氏が新しいイギリスの
  首相となりました。イギリスの低迷する経済を立て直し、さまざまな
  社会問題にどう向き合って解決に導くのか、その手腕が問われます。
  …私は、昔見た「モンティ・パイソン」の“スーパーマン達の国の自転車
  修理マン”のネタが頭にこびりついているんですが、近世近代の
イギリスは
  やはり労働者階級の人々が支えてきた、というイメージが
あるんですよね。
  (古いイメージかもですが)現代は、「とにかく一般
庶民の底力が試される」
  感があります。

  さて、ダウニング街10番地の首相官邸を前首相か退去し、新首相がその前で
  会見し、中に入るというのはよく見ますが、そういうニュース
を見ていて
  「…猫、おるやんなあ…」と思ってたら、ちゃんと写して
くれていました。
  「猫 ラリー君」御年17歳!!とてとてとてとドアの前に
来て座り、開けて
  もらうのを待っていました。我関せずみたいな
佇まい!!ちゃんと“ネズミ
  捕り部長”という役職についているとか。
こういうところ好きよ
  イギリスって…。(平安期の宇多天皇だったかも
そんな話があったような…)
☆住人が替われど猫はマイペース
        ダウニング街10番地にて
【詞書】7月8日(月)の朝4時過ぎでした。北北西辺りから見え出す(3時59分)
  ISS(国際宇宙ステーション)を見に行ったんですが、
(つくづく端から見たら
  不審者やわ…)ずーっと目で追って、スマホで
情報も見つつ、明るくなりつつ
  ある東の空を見渡せる所に移動して、
「あー、明け方に火星は初めて見たなあ。
  お、真東に出てるやん。
(ISSは)あれを過ぎたら消えるな」なんて言ってたら、
  火星に
“ぶつかりそう”になって、一瞬重なって(そう見えたんです!)、
  …通り過ぎた…。「え゙~っ!!こういうの星や月の“衝(しょう)”とか“合(ごう)”
  みたいやん!!」と一人で明け方にテンション爆上がりに
なってました。
  (あくまで小声か心の声です。マジの不審者になったら
あきませんので)
  うわあ~、ISSの人達から見えてるんやろか?とか、
画像か映像撮った人は…
  と思いましたが、それは見つかりません
でした。(以前のはありました。
  そのうち出るかもですが)でも、見に
行って良かった!
☆真東に明けの星のごと輝ける
         火星を横切るISSよ
【詞書】今日の「ゴゴスマ」で言ってました。今月に愛知県の東山動物園に来て、
  来月には展示の予定とか。…迫力あるやろなあ…。餌が凄そう
ですが…。
  …日本の動物園はドコモ…いや、どこも飼育してなかったん
ですね。…大変
  そうですがテレビとかで見るのが楽しみです。

☆ドラゴンズのお膝元へとやってくる
         コモドドラゴン迫力凄し!
                         ちがやねこさん
【解説】
 「猫のラリー君」「火星を横切るISS」「コモドドラゴン」と今回も、
 今日的な新鮮なテーマを作者らしい視点で活き活きと詠んで頂きました。
 一首目の歌、イギリスの総選挙で、最大野党・労働党が議会下院の650議席の
 うち400議席を超える大勝を収め、14年ぶりとなる政権
交代が決まりました。
 労働党のスターマー党首が5日、ロンドンの
バッキンガム宮殿でチャールズ
 国王に任命され、首相に就任し、
ロンドンで支持者を前に勝利演説を行い
 ました。その演説で
「変革はいま始まる」と述べ、国のために尽くす政治を
 行うと
強調しましたね。猫のラリー君は老齢ながら詠まれているように
 前職を全うされることと思いますし、皆さんで応援したいですね。
 ちなみに、平安時代前期の天皇である宇多天皇は、日本で最古の猫の飼育
 記録を記したと言われており、彼は飼っていた黒猫を
溺愛して、その猫日記
 「寛平御記」には詳細な記述を残しています。

 二首目の歌、明け方に火星とISSとが交差した瞬間を詠まれた歌は作者の
 感動がそのまま表現され、ワクワク感が歌に溢れています。

 歌は、このような感動を凝縮し記録する媒体として最適なものと改めて
 感じました。朝の眠気に打ち勝った成果でもありますね。

 三首目の歌、コモドドラゴン(正式な和名は「コモドオオトカゲ」)は、
 大型なトカゲの一種とのことで、毒を持っており、噛み
付かれた獲物は
 敗血症を発症して死亡することがある結構怖い
トカゲですね。詠われて
 いるように「ドラゴンズのお膝元」に
来て、守り神になる可能性もあり
 ますね。フアンの方としては期待
したいですね。

☆木漏れ日に はにかみ咲くや山法師 笑みに隠せる哀しみも知る
                         ポエット・M
【解説】
 「山法師」の花は、一見するとそれほど艶やかに咲くわけでもなく、
 楚々とした印象の花でもあります。しかし、木漏れ日に照らされて白く
 浮き立つ様子には清楚な印象が際立ち、息を吞むほどの美しさを感じる
 ことがあります。
 しかし、その清楚さ故でしょうか、花に秘められた哀しみを感じてしまう
 ことがあります。これは宗旦むくげのひと日花にも感じるものですが、
 白く穢れを寄せ付けない花のまとう孤高さ故かも知れません。
 なお、遠い青春の日、山法師の花が好きなその友が、悲しみを笑みに
 隠して凌いでいたことを思い出します。山法師を見ると、そんな想いも
 浮かび詠ってみました。
 また、「笑みに隠せる哀しみも知る」という表現で「擬人法」という
 表現技法にも挑戦してみました。

 
     「百合 カサブランカ」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(47)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
28.「短歌の章」 わが書斎(1)

   《書物は死の花》《思想の墓処》と言える詩人あり
              さはれ われまた《死の花》に埋もれる
           
   二人静庭に手折りて瓶にさし
           書斎に春の光を移す

   しょうまの花白きを活けて雨の夜の
           書斎すがすがと物書き続く
 
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛致します。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その140)ネット歌会

2024年07月10日 05時43分49秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その140)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き初める ハマボウ」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆孫二人 アトラクションに乗りに行き 降りて瞬時に「もう一回乗る~」
                         西BOOさん
★大好きも飽きるも早い孫たちよ 追いかけ追われて大きくなあれ
                         夕庵さん
★プリキュアも今年でシリーズ三作目 卒園もしてそろそろ卒業
                         西BOOさん

☆ひきつけが治りし孫も もう三才 絶叫マシンにゲラゲラはしゃぐ
                         西BOOさん
★遊園地のメリーゴーランドは夢の国へ 白馬の王子が道案内す
                         夕庵さん
★ディズニーのラプンツェルを思い出し メリーゴーランドの白馬へダッシュ
                         西BOOさん
★王子待つお城へ白馬と駆けてゆく きみはいつでも夢見る少女
                         夕庵さん

☆七月の湖面を渡る比良の風 さざなみ淡く浮舟ひとつ
                         みっちっちさん
★ボート部の十二の御霊眠らむか 夕焼け染まる滋賀の湖
                         夕庵さん
★七月の空へと昇りし たましひよ 京都アニメの御霊やすらに
                         みっちっちさん

山法師 頭巾の形に花びらは 荒れし心にやさしさを説く
                         夕庵さん
★地震(なゐ)の地の瓦礫の隅の 山法師 白き花びら ほのとやさしき
                         みっちっちさん
★再生のひまわり大きく花開き 仮設の空き地に友垣生まれ
                         夕庵さん
★遠き日のひまわり畑に 友垣と 背比べして遊びし頃よ
                         みっちっちさん
★歳重ね低くなりゆく身の丈に スカート丈を短めにする 
                         夕庵さん
★炎天の体育館に卓球す ショートパンツに脚さらせど汗
                         みっちっちさん

    「桔梗 白色」

☆七月の神戸の空にリニューアル ポートタワーの悠然と赤
                         みっちっちさん
★七月のなにわの空に通天閣 ビリケンさんはしあわせの神
                         夕庵さん
★七月の空に二重の虹立ちて 君と祈りし しあわせの未来
                         みっちっちさん
★きみたちは腹を満たしてしあわせか 今日を怯ゆるスーダンの子ら
                         夕庵さん
★平生の腹は満たせど 内乱のニュースに心痛みゐるのみ
                         みっちっちさん
★戦争の犠牲はいつも子どもらに 澄んだ瞳は恐怖の涙
                         夕庵さん
★寄りて来る 長き睫毛の奈良の鹿 黒く澄みたる目に癒さるる
                         みっちっちさん
★放映の地獄のガザの母親は 涙も枯れて 乞う停戦を
                         夕庵さん
★世の中のすべての戦争なくなれと 七夕の日に幾たび祈らむ
                         みっちっちさん
★笹の葉の願い事とて消え失せて あなたの星が遠くなりゆく
                         夕庵さん
★七夕の祈りは空へ昇りゆき 満天の星よ 願ひ叶へよ
                         みっちっちさん
★帰り来ぬ人の無念を祈るとき わが生でさえ罪と思わむ
                         夕庵さん
★生くるのが罪と思へば 戦争を 始める心こそが大罪
                         みっちっちさん
★人類の歴史の汚点戦争は学びの甲斐なく滅びの道へ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き初める ノウゼンカズラ」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その139) 

2024年07月03日 05時44分49秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その139) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され依然として避難を余儀なくされている皆様に
     お見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「額紫陽花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏
  物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や
  自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から
  1首、紫式部集より1首の計2首提出します。
註)源氏物語巻名歌・24若菜(わかな)
  歌の背景
   光源氏四十歳。今は髭黒の北方になっている玉鬘が、源氏の四十賀を
   祝って、若菜を捧げる。
〇小松原 末の齢に 引かれてや 野辺の若菜も 年を摘むべき 光源氏
(返歌)
☆算賀での 客のもてなし 飲食は 心ばかりの 若菜贈られ 
註)紫式部集・24
〇おいつ島 島守(も)る神や いさむらむ 波も騒がぬ わらはべの浦
(返歌)
☆百々(もも)神社 大蛇(おろち)のみたま祀るのは
                    静かなること海をいさめて

                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 一首目、「若菜」の巻は源氏物語中で最も長い巻の一つですが、「歌の背景」
 説明にもありますように、光源氏の40歳の祝いの席で、養女の玉鬘が若菜を
 差し出したことから名付けられています。
 光源氏は、玉鬘に若菜を献上されて詠んだ歌は「小松のように若いあなた達の
 末永い将来にあやかって野辺の若菜(私)も歳をかさねていけるでしょう」
 と意訳できますね。意中では「年齢のことなど考えたくもないと」と言い
 たかったかも知れませんが…。
 年齢のことなどはさておいて、私はもう一花咲かせましょうとの光源氏の
 本音を返歌として見ましたが如何でしょうか。
【ご参考】
 ★年積みて野辺の若菜を賜るも 君にあやかり花咲かすらん
 二首目は、「おいつ島を守る神様が諌めたのだろう。童の浦なのに波も静か
 なのは・・・」と意訳できますね。作者の返歌は「大蛇のみたまを祀る」
 神社なので、その神が海をいさめたのだろうと詠い、紫式部の想いを肯定
 しています。このような返歌も、時空を超えて作歌した紫式部の励ましと
 なると考えますし、密かな楽しみとなりますね。

【詞書】夏の野原は草の香に包まれて気持ちいい、夏の季語です。
  夏野で三首詠みましたので出詠させて頂きます。
☆のんびりと君と寝転ぶ夏野ごと ふはり抱きしめくるる太陽
☆父と子のキャッチボールは弧を描き 夏の野原を幾たび行き来
☆たてがみを靡かせ阿蘇の親子馬 風となるやにカルデラを駆く
                         みっちっちさん
【解説】
 夏の季語「夏野」をテーマに、爽やかで雄大な景観を連想させる三首を
 詠んで頂きました。
 特に三首目の歌は、リズム感があり、朗詠しても気持ち良い歌と感じます。
 阿蘇のカルデラを舞台とすることで、草原に吹き渡る風と共に雄大な景観と
 季節感を感じさせることに成功しています。
 作者は阿蘇で実際に馬が疾走する姿を見たことがあり、その印象詠んだ歌
 なのかもしれません。その感動が歌に込められているからこそ、このような
 力強い作品に仕上がっているとも感じます。
 二首目も、夏の野原で「父と子のキャッチボール」する姿が、明瞭に浮かぶ
 微笑ましい歌と感じます。子にとっても深奥に刻まれた父との鮮明な思い出
 として残ることと思います。

【詞書】雨を見上げながら詠ませて頂きました。
  石上(いそのかみ)は、「降る」の枕詞で、ただ、家の神棚に石上神宮を
  祀らせて頂いていることから、石上神宮のある「布留」の御利益と
  詠ませて頂きました。
☆石上降るとも雨を見上げれば 布留の御利益祈り給わん
【詞書】日頃を詠ませて頂きました。
☆起きもせず眠りもしない日頃かな 君の病が治癒するまでは
                         西BOOさん
【解説】
 一首目で詠まれた、石上神宮は、奈良県天理市布留町にある神社ですが、
 この神社は日本最古の神社の一つで、荘厳な雰囲気が漂っていますね。
 石上神宮の御祭神は「布都御魂大神」で、起死回生や除災招福などの
 ご利益があるとされています。奥様の介護の日々にあたって「回生」
 への切なる祈りも込めて詠まれた歌と感じました。
 二首目も、介護の日々を穏やかに詠まれています。淡々と日々介護に
 対応されている様子にエールを送りたいと思います。
 なお、「連理の枝」と言う言葉がありますが、皆さんもご存知のように
 夫婦仲が睦まじい様子を表す言葉ですが、作者の二首の歌から、そんな
 お二人の様子がほのぼのと浮かんできます。
 ちなみに、「連理の枝」の言葉の由来は中国の唐代の詩人である白居易の
 長恨歌とのことです。

     「金糸梅」

【詞書】竹の葉擦れの音は涼しさを呼び、いつまでも聞いていると
  歌のフレーズが浮かんでいます。
☆さやさやと竹吹く風の心地よさ 言霊きらり光りて降りぬ
☆水たたう棚田の畦に位置占めて 根付きいるらし枝豆の苗
☆雨の日のたったひとりの訪問者 訃報の葉書ポストに沈む
                         夕庵さん
【解説】
 「竹の葉擦れ」「水たたう棚田」「雨の日の」と、今の季節を調べを
 整えつつ詠って頂きました。
 一首目の歌は、風が竹を吹き抜ける音やその心地よさを表現していて、
 「さやさや」という擬音語が風の音を生き生きと伝えています。
 なお、「竹吹く風」は単に涼しいだけでなく、心身ともに癒される
 ような心地良さを感じさせる表現です。
 また、「言霊きらり光りて降りぬ」という部分は、竹の葉擦れの音に
 触発されて歌の言の葉が「降臨」するさまをドラマチックに詠い
 印象的です。
 三首目の「ポストに沈む」の表現が、「訃報の葉書」の内容の重さを暗に
 表現しています。このような表現方法にも学んでいきたいと思います。

【詞書】YouTube短歌:冨田勲 展覧会の絵 プロムナード2
☆やれやれ
  今日も歩いたわい
   もうじき日が暮れる

    さて結ぶ草を探すか
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 本歌 「新古今和歌集」 羇旅歌 鴨長明
  枕とていづれの草に契るらむ行くをかぎりの野べの夕暮
 短歌に、本歌取りをするのは、タブーですが、これをするのも個性と
 御容赦下さい。かの正岡子規も俳句で、
 春や昔十五万石の城下町で、伊勢物語(月やあらぬ春や昔の~)の
 本歌取りをしています。
 鴨長明の歌では、旅の心もとなさを歌ったが、もうそう言う旅も
 慣れて、野宿の場所を探す楽しさを味わうとしました。
 展覧会の絵には、絵と次の絵の間のに、プロムナードと題する曲が
 いくつか挿入されております。
 下記URLに展覧会の絵を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/cc492d37075db0a9ea01955f49a26ed6
                         自閑さん
【解説】
 鴨長明の、羇旅歌からの本歌取りとのこと。「短歌説明」では、野宿の
 場所を探す楽しさも味わっているとの説明で、旅の達人の域に達した
 鴨長明のゆとりと人となりに言及されています。ただ、この歌から旅人
 としての心情や孤独感も、微かに滲んているとも感じてしまいます。
 なお、「本歌取り」について説明して頂いていますが、名高い芭蕉の句
   〇ほととぎす啼(なく)や五尺の菖草(あやめぐさ) 芭蕉
 がありますが…、『古今和歌集』の作者不明の恋の歌
   〇ほととぎすなくや五月のあやめ草あやめもしらぬ恋もするかな
 の歌の上句の「五月」を「五尺」をしただけの、9割以上の本歌取りも
 あります。ちなみに、この古今和歌集の歌で表現したかったのは
 「理屈じゃないよ、恋は」との意味になりますが…。
 また、本歌取りは、元歌を上回るとの作者の意志と、潔さがあれば大いに
 挑戦されることを是としたいと思っています。
 冨田勲氏の「展覧会」については先週も触れましたので、省かせて頂き
 ますが、作者の歌は、鴨長明の歌を彷彿させつつも、孤独感を感じさせず
 旅慣れた人の、ゆとりとユーモアが感じられる歌となっていると考えます。
 旅人が草枕を探す楽しささえ感じさせる歌とも言えます。


     「クチナシの花」

【詞書】2015年4月から始まった、京都アニメーションの作品「響け!
  ユーフォニアム」のテレビアニメシリーズ、NHKのEテレで今年4月から
  始まった「~3」の最終回が放送され、悲しい事件もあったりしましたが、
  足かけ9年の物語が終了しました。作品は主人公黄前久美子の高校の
  吹奏楽部員として過ごした3年間の話ではあるんですが…。私自身、
  宇治川沿いにある観光センターにあるファンノートに事件の直後に
  書きましたが「時間がかかっても第3期が作られるのを信じて」いましたが、
  始まる時は嬉しかったけど、いざ終わってしまうと寂しいものです。
  「~3」は2017年頃なのですがラストにはあちこち風景の変わった現在の
  宇治が出て来て何か感動したりしてました。宇治にもたくさんの人が
  来てくださいました。(リピーターも大勢…)いろいろ楽しかった!
  京アニさん有難うございました。ひとまずお疲れさまでした…!!
☆シリーズの9年に及ぶ集大成
        心に響いた最終回よ
【詞書】ここ何年かずっと花の咲かないアガパンサスの鉢の、はみ出た
  株を取り除いてやった6月のある日、みよ~んと茎が伸びてきて、蕾を
  包んだものが出来て、今はいくつか花が咲いてるんです。…窮屈に
  していてごめん。咲いてくれて有難う…!!って感じです。
☆窮屈な株整理して花芽伸び
        お帰りなさいアガパンサスよ
【詞書】京都ら辺は6月末に“水無月”という三角に切った外郎に
  小豆が乗ったお菓子を食べる…みたいで、だいたいその頃スーパーに
  並ぶんで何か買ってしまって食べてます。(堺に居た頃にはあまり
  見た記憶のないお菓子です)が、「いつに何を食べる」というなら
  7月1日の半夏生(はんげしょう)には蛸を食べんとなあ…と思って
  居たのにすっかり忘れてた…と。ただそれだけの話です。験担ぎの
  食べ物って他の地域はどうなんでしょう?
☆6月の末に「水無月」食べて居り
       蛸食べそびれた7月1日(しちがつついたち)
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も、「京アニ」「アガパンサス」「半夏生」について、身近な
 題材をテーマに作者の想いを滲ませ三首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の歌、京都アニメーションは前代未聞の不幸な事件に遭遇
 しましたが、詠われていますように「響け!ユーフォニアム」の
 テレビアニメシリーズは足かけ9年の物語が終了しました。
 この最終シリーズ完成に向けて払われたアニメーターを始め、
 多くの関係者の筆舌に尽くしがたい奮闘と、尽力に改めて拍手を
 送ると共に、お疲れ様でしたと申しあげたいと思います。日本の
 アニメの現場の底力と技術を超えた心意気を讃えたいと思います。
 何よりも、北宇治高校吹奏楽部のコンクール出場を目指す青春
 ストーリーの爽やかさを感じていきたいと思っています。
 三首目の歌、日本には春秋の七草、土用の丑の日にウナギを等々
 季節ごとに特定の食物を食べる風習があります。詠われている
 ように7月1日の半夏生に蛸を食べる風習は、京都をはじめ関西
 地方を中心に、香川県や奈良県などでも見られますね。
 これは、旬を迎える蛸を食べることで、夏バテ防止になると考え
 られていたようですね。
 このように、歌に詠むことで季節を再確認することも一興ですね。

☆くだけ散る波のしぶきを浴びて咲く 青の紫陽花 藍を深めて
                         ポエット・M
【解説】
 度々紹介している観音崎の、海辺に咲く紫陽花の波飛沫に負けずに
 咲き続ける様子を詠んでみました。
 風向きによっては荒々しい波のしぶきを浴びることもある海辺の
 紫陽花は、それを受け止め枯れることなく、青から藍色へと彩りを
 深めています。そんな花の生命力を改めて見直しながら、花の矜持にも
 似た想いを感じて詠んでみました。
 なお、結句の「深めゆく」という表現で、紫陽花の色の変化が時間と
 ともにゆっくりと進んでいく様子を表現してみました。

 
     「藍深める 紫陽花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(46)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
27.「短歌の章」 喜寿となる日(2)

   筧の水細々と落ちて昼下り
           この静けさにわがいのちあり
            
   一杯(ひとつき)のにはあれどこの夕べ
           妻と二人のみの ほがひ酒くむ

   われと妻のよわひ重ぬれば151才
           珍しからずとも よろこびとせむ
 
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛致します。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その139)ネット歌会

2024年07月03日 05時23分05秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その139)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「ガクアジサイ」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆石上降るとも雨を見上げれば 布留のご利益祈り給わん
                         西BOOさん
★石上神社神宮(いそのかみ)の杉の木に鳴く尾長鶏
                  神の使いのひと声聞きたし
                         夕庵さん
★八尾市にて玉祖神社朝詣り 長鳴鶏が鶏舎で合唱
                         西BOOさん
★深碧の色の勾玉 神宿り 常に携え身の護りとす
                         夕庵さん

☆たてがみを靡かせ阿蘇の親子馬 風となるやにカルデラを駆く
                         みっちっちさん
★森鴎外(おうがい)は馬にまたがり社寺巡る「鷗外の門」奈良に残れり
                         夕庵さん

☆父と子のキャッチボールは弧を描き 夏の野原を幾たび行き来
                         みっちっちさん
★誰も居ぬ公園にぽつんとサッカーボール 助走をつけて蹴る恥ずかしさ
                         夕庵さん
★誰もゐぬ夜の園には 砂の城 姫とこびとのダンスパーティー
                         みっちっちさん
★砂丘には「砂の美術館」儚きよ 砂像で楽しむフランス旅行
                         夕庵さん
★はまなすのほのかに香る道ゆけば 砂丘の先に潮騒聞こゆ
                         みっちっちさん
★潮騒を聞きつつ君の詠む歌の ちさき千鳥の足跡たどる
                         夕庵さん
★鳥の声聞きつつ朝の散歩道 君への返歌考えながら
                         みっちっちさん
★リズムよく囀る鳥の声聞いて 鳥語で返事口笛吹いて 
                         夕庵さん
★高原にひとり口笛吹きそめば 歌を興せり卒業旅行
                         みっちっちさん
★懐かしき美ヶ原の白樺よ あの旅こそはわが青春譜
                         夕庵さん
★懐かしき京のやしろや仏閣よ 君と巡りし我が青春譜
                         みっちっちさん
★朱印帳 求めて巡るバス旅行 ガイドに頼み涼とる人ら
                         夕庵さん


     「スカシユリ」

☆雨の日のたったひとりの訪問者 訃報の葉書ポストに沈む
                         夕庵さん
★雨の日のたったひとりの訪問者 どこかの猫と会話楽しむ
                         みっちっちさん
★初対面の人と話すは苦手でも 話せば意外に馬の合う人
                         夕庵さん
★初めての人には笑顔で話しかけ 気の合ふ友となれば幸せ
                         みっちっちさん
★薬より人をやさしくする笑顔 白い歯のぞけばなおさらのこと
                         夕庵さん
★母親に抱かれし嬰(やや)へあやしかけ 笑顔に和むエレベーターなか
                         みっちっちさん
★久しくも聞かぬ赤子の泣き声に にわか若さの戻り来る町
                         夕庵さん
★産声を待ちたる暗き長椅子に 今ぞ一声 誕生の声
                         みっちっちさん
★元気よく産声上げし天使たち 背中の白い羽よ褪せるな
                         夕庵さん
★ステップは軽くこまやか バレリーナ その細き背は羽化するごとく
                         みっちっちさん
★ステップも軽々リードして踊る ホールの帝王 齢(よわい)九十
                         夕庵さん
★ひよいひよいと卓球の球打ち返す 九十歳の女(ひと)の笑顔よ
                         みっちっちさん

☆つがいかも ホタル舞う闇深くして 命をつなぐ営み妖し
                         ポエット・M
★ほうたるよ はかな恋なら怯まずに飛べよ飛べ飛べ燃え尽きるまで
                         夕庵さん
★闇に舞う蛍の恋は哀しくも 水辺の森に尾を引きてゆく
                         夕庵さん
★闇に舞う蛍の恋は艶やかに 燃える想いに我が身焦して
                         ポエット・M
★限られた命と宣告されたなら 何に燃やすか迫り来時間
                         夕庵さん
★告げられし命の期限半年と それでも吾はミモザを植える
                         ポエット・M
★残り世の僅かな命に灯を灯し それでも私は歌詠むだろう
                         夕庵さん
★巡り来るミモザの花の開くとき 風は囁く「あなたに会いに」
                         夕庵さん
【詞書】岸恵子著「わりなき恋」では、ミモザは象徴的な花 
★ミモザ咲く 「わりなき恋」の別れにも「今でもすき」と風にささやく
                         ポエット・M
★くちなしの妖しのかほりに逝きし人 わりなき別れに残る悔恨
                         夕庵さん
【詞書】川田 順の「墓場に近き老いらくの恋は怖るる何もなし」から
★「老いらくの恋は怖るることなし」も エネルギー不足で前へ進まぬ
                         夕庵さん
☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「紫陽花 墨田の花火」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その138)

2024年06月26日 06時06分17秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その138) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され依然として避難を余儀なくされている皆様に
     お見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「紫陽花 白色」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
  ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏
  物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や
  自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から
  2首、紫式部集より1首の計3首提出します。
註)源氏物語巻名歌・23藤裏葉(ふじのうらば)
  歌の背景
  光源氏三十九歳。藤の花の宴に内大臣が夕霧を招き、内大臣は夕霧と、
  またうちとけたいのだと、 心のうらを「藤の裏(うら)葉」に掛けて
  歌を詠む。
〇春日さす 藤の裏葉の うらとけて 君し思はば 我も頼まむ 内大臣
(返歌)
☆朧月 気持ちが分かる 藤の花 心がとけて 愛のあらわれ
註)紫式部集・23
〇知りぬらむ ゆききにならす塩津山 よにふる道は からきものぞと  
(返歌)
☆塩津山 お輿を担ぐ 男たち 一言ぼやく 難儀な道に
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 今回は、内大臣(頭中将)と紫式部の歌への返歌を詠んで頂きました。
 一首目、内大臣の歌は「春のうららかな日がさす藤の葉末のように、 
 もし、あなたがすっかり心を許してうちとけてくれるならば、私も
 あなたを信じて当てにしよう」と、夕霧に自らの想いを伝え、ようやく
 夕霧と雲居雁の結婚を認めました。
 内大臣の歌は、夕霧への深い愛情と和解の願いを、美しい言葉と繊細な
 表現で巧みに詠み、新たな関係を築き上げようとの想いが吐露されています。
 これに対して、作者の返歌は「心がとけて愛のあらわれ」と詠み、二人の
 わだかまりが解けたことを肯定し詠っています。さらに一歩進めて夕霧の
 想いを込めた返歌としてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★奥深く秘めた想いを解きほぐす 篤き言の葉こころ満たして
 二首目の紫式部の歌は「塩津山を行く人足よ、あなた達も人生の道は
 この峠のように険しいと知っているだろうに」と意訳できますが、
 作者の返歌は「難儀な道に一言ぼやく」と、人足の人たちに寄り添う歌に
 なっていて共感を呼びます。

【詞書】卯の花は夏の季語です。「夏は来ぬ」に「卯の花の匂う垣根に
  ほととぎす早も来鳴きて」と歌われますね。「卯の花」で二首、
  又先週の「虹」で一首出詠します。
☆卯の花の白咲き誇る ふるさとの 古寺の本堂 開け放たるる
☆奥山の秘湯へ通ふ 一葉舟(ひとはぶね) 岸辺に匂ふ 卯の花の白
☆むら雲は東へ移り 夕虹の その真ん中を君は帰り来(く)
                         みっちっちさん
【解説】
 三首それぞれに、物語性を秘めた完成度の高い短歌になっており改めて
 学ばせて頂きました。
 特に、二首目の歌の「一葉舟」と「卯の花」の対比は鮮やかで印象的です。
 一葉舟は小さく簡素な舟、卯の花は清楚でありながら華やかな花で、
 この対比によって、秘湯の静けさや神聖さがより強調されています。
 また、「匂ふ」という表現によって、卯の花の香りが想像の中に広がり、
 より一層臨場感のある歌になっていると考えます。
 三首目の歌から、映画のラストシーンとしたいような雄大な映像が明確に
 浮かんで来ます。むら雲は東へ移り、虹の輪の中に現れる君は、まさに
 幸せの使者のようです。そんな幸福感が歌に溢れています。


     「咲き初める 立ち葵」

【詞書】朝、庭に出てみるとカタツムリが紫陽花の葉の上に見つけました。
  陽の昇らぬうちにと移動しています。
  ゆっくりでも一生懸命に進んだ道を残しながら・・・
☆でで虫よ背中の荷物が重たかろう朝日にひかる銀のひとすじ
【詞書】タチアオイが咲く頃 梅雨に入りますが、今年の関西は宣言が
  遅いようです。上へ上へと上り詰める花の一途さに見とれて
☆旱天に上り詰め咲く立葵 梅雨入(ついり)知らせて垂直に立つ
【詞書】決意するのは男性に限ったものではありませんが、
  あまりの逞しさに惹かれました。
☆アマリリスは男の花よ たくましく赤は決意のごとく揺るがず
                         夕庵さん
【解説】
 「カタツムリと紫陽花」「タチアオイ」「アマリリス」と今の季節を
 彩る花をテーマに、
それぞれ梅雨の憂さを晴らす爽やかな歌を詩情を
 込めて詠んで
頂きました。
 一首目の歌、カタツムリの動いた跡が朝日に照らされて輝き、それを
 「銀のひとすじ」と詠まれています。さらに、背負う貝殻の重さを
 ユーモラスに表現し、センスと感性が光る印象的な歌となっています。
 また、健気に生きる「小さな命」に注がれる眼差し、その優しさが溢れ
 歌の深みが増しています。
 二首目、立葵は梅雨入りと同時に花が下から咲き上っていき、上まで
 咲くと梅雨明けとされています。梅雨入りの遅い今年の気象状況下で
 「梅雨入知らせて垂直に立つ」の、下の句の潔い表現がいいですね。
 なお、立葵は「気高く威厳に満ちた美」との花言葉を持っていますが、
 雨の多い季節に太陽を慕うように咲き続ける姿は、古来から賞美され
 紫陽花と共に、希望をつなぐ花でもありましたね。
 三首目の「決意のごとく」の比喩が、赤々と燃えるように咲くアマリリス
 の花姿を的確に表現
していると感じます。

【詞書】canon 90dを購入し、試し撮りをしたことを詠ませて
  いただきたいと思います。
☆90d 庭の花にて試し撮り もどりて妻はまだ昼寝中
【詞書】近頃の天候を詠ませて頂きました。「とゆれかくゆれ」は、
  昭和百人一首の、006の歌から頂戴しました。
☆梅雨入りと思えば日差し照りつける 雲の間に間にとゆれかくゆれ
                         西BOOさん
【解説】
 一首目は、カメラマンとしても活躍される作者の、機材へのこだわりも
 覗く詠歌となっています。Canon EOS90Dは3250万画素のAPS-Cセンサーを
 搭載したデジタル一眼レフカメラです。私達初心者には垂涎の機種ですが、
 作品を極めていく方には必要な機材でしょうね。「まだ昼寝中」の表現に
 奥様への思いやりと優しさが滲む良い歌と思います。
 二首目「とゆれかくゆれ」は、石榑千亦氏の詠歌の本歌取りとのことですが、
 原歌では「ゆらゆらと揺れながら飛ぶ」鷗の姿を表現する言葉として使われて
 います。作者は梅雨入りとは言え、雲の間から太陽が揺れながら照り付ける
 様子を詠っていると解釈しました。強烈な太陽光線ですが、このように詠う
 ことによってホットするから不思議ですね。言霊ゆえの力でしょうか。


     「赤々と燃えるように咲く アマリリス」

【詞書】YouTube短歌:冨田勲 展覧会の絵 グノーム
☆いろいろな物が弾け飛ぶ
 空間を飛び回って
   厄を振り蒔きつつ
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 展覧会の絵は、ムソルグスキーが、友人であった画家のヴィクトル・
 ハルトマンの遺作展を歩きながら、そこで見た10枚の絵の印象をピアノ曲に
 仕立てました。ラベルが管弦楽へと編曲し、有名になっています。
 グノームは、こびとの精霊の事で鉱山従事していると伝えられております。
 ムソルグスキーが、友人の10枚の絵からインスピレーションして作曲した
 との事で、私もこの冨田勲版の曲のイメージだけで愚詠を仕立てようと
 思っております。
 下記URLに展覧会の絵を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/a8a855159f2056e2879c7a5d2988ae8d
                         自閑さん
【解説】
 『展覧会の絵』は、冨田勲のシンセサイザー音楽としての2作目の
 アルバムで、1975年に発売されました。作者の説明にもありますように
 原曲はムソルグスキー作曲のピアノ組曲『展覧会の絵』です。
 冨田勲のこのアルバムは、前作『月の光』の成功を受けてリリースされ、
 ムソルグスキーの原曲を冨田勲自身の解釈で再構築したと言われる作品です。
 シンセサイザーの魅力を存分に活かし、テクノロジーと音楽の融合を極限
 まで追求している作品と感じます。
 作者のご案内で、冨田勲「展覧会の絵」のYouTubeを視聴させて頂きました。
 「こびと」の姿をユーモラスに描いた曲で、シンセサイザーの音色を
 駆使して、軽快でコミカルな曲調でありながら、奥深いメッセージ性を
 持つ作品と感じました。
 この曲のイメージから紡いだ短歌は、曲の中間部分で少し不気味な
 雰囲気も漂いますので、下の句の「厄を振り蒔きつつ」と響き合って
 いると感じました。
 冨田勲の曲を短歌で表現する。その挑戦に成功した一例と理解しました。

【詞書】6/22(土)は北米で“ストロベリームーン”と呼ばれる満月とか。
  ネイティブアメリカンの人々がイチゴの収穫期だからそう呼んだの
  だそうな。日本では最大が午前10時8分頃だということで、見るなら
  前日21日(夏至の日)の夜中、22日の0時頃がいいとどこかで読んだ
  ので、天気のぐずり具合も鑑みて、その辺りに見るのが良かろうと
  思い、夜中を待って雨も降ってないな…曇り具合はどうやろか?と
  心配でしたが、玄関から外に出て月を探すとだいたい南の空の
  あたりに、光ってた!満月や!やった“ストロベリームーン”を
  見られた!!と、いうことです。見られたからって何がどう…という
  わけではありませんが、何か元気になりそうな感じでした。…すごく
  微妙~に、うっすら雲がかかっていたような気がしますが、まあ
  ええか!☆(「土スタ」の公開生放送で宇治に柄本佑さんと一緒に
  来られてた吉高由里子さん。この日の満月の事をちらっと仰って
  たけど見はったかな?)
☆短夜(みじかよ)の南天にストロベリームーン
             満月になるちょっと手前の
【詞書】6月23日は1945年に沖縄に於いて、“日本軍の「組織的戦闘」”
  が終わった日とされ、この日に沖縄全戦没者追悼式が行われます。
  そして今年も…。
  原爆が落とされた広島と長崎、東京や大阪を始めとして各地に
  もたらされた空襲(私の父も少年時代に大阪で遭っています。手に
  火傷の跡があるそうですが、未だにどこにあるのか聞けない…)…
  それぞれに悲惨な被害が有り、人々の悲しみがあったのだとは
  思うのですが、日本に於いて唯一“地上戦”があった沖縄の歴史と
  その地続きである現在の状況には、今を生きる我々は思いを寄せ、
  何があったのかを知るべきなんだと、テレビで式典を見るたびに
  思わずにいられません。…どうか20万余の魂の安からんことを…と。
  (夜中にあったドキュメンタリーで、北海道出身の軍人さんが
  かなり沖縄で亡くなった、という事を知りました)
☆人々の慰霊と平和への祈り
        戦場となった沖縄の地に
【詞書】…ええ大人のやることか!!「違反ではない」って、今までそんな
  しょーもないこと誰もせんかったからいちいち「やっちゃいけません」
  ってなことは言ってなかっただけやと思うんです。
  何かもう情けないっていうか呆れたっていうか…。あれが“作戦”
  とか“戦略”とか言うのなら…あなた方選挙を何やと思ってるん
  ですか?!…って感じです。“自由”とか“権利”の意味を履き
  違えてるんとちゃうの?!…って。…東京だけで終わるといいん
  ですが……。
☆都知事選 傍若無人な掲示板
     ポスター貼る場所 売買するとは!
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も「ストロベリームーン」「慰霊の日」「都知事選ポスター」と、
 新鮮なテーマを、独自の視点から三首詠んで頂きました。
 一首目、作者の説明にもありますように、アメリカの農事暦では、
 月ごとの満月にそれぞれ名前がつけられているとのこと。アメリカ
 先住民が、満月に独自の名前をつけることで、季節の移り変わりを
 捉えていた伝統に由来するもので、6月は野いちごの収穫時期でも
 あり「ストロベリームーン」と名付けられたようです。歌と同様に
 「野いちごの収穫」とは、ホッとする由来ですね。
 二首目、先の大戦で唯一地上戦の地となり、沖縄県民の4人に1人が
 命を落とした凄惨な地上戦の戦闘が終わったとされる日。沖縄県内
 各地が平和への祈りに包まれたこの日。広島、長崎へと続く歴史を
 踏まえ、詠われているように「戦場となった」惨状に目を背ける
 ことなく、「再び戦前としない」ことを私たち自身も胸に刻んで
 参りたいと思います。
 三首目は、詠われている通りですね。まさに「傍若無人な」状態に
 なっていますが、選挙の掲示板を「ビジネス」対象にしていいはずは
 ないと考えます。選管として「仮執行」も含めて、法改正を待つ
 までもなく現行法を駆使して
毅然として対応し、このような暴挙を
 決して許してはならないと考えます。


☆つがいかも ホタル舞う闇深くして 命をつなぐ営み妖し
                         ポエット・M
【解説】
 ここ三浦半島でも蛍の住める河川の再生が、自治体や地域のボランティアの
 手で粛々と進められています。また、森に生息する貴重なゲンジボタルを
 観察してもらうため、期間限定で夜間も一般の方に人数制限を行いながら
 解放されています。既に、この期間は終了していますが…。
 この蛍が闇の中で舞う幻想的な情景。この舞は命を繋ぐの貴重な営みで
 あるとのこと。その事実を踏まえ、健気な命に寄り添って詠ってみました。


     「咲き競う がく紫陽花 汐音」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(45)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
26.「短歌の章」 喜寿となる日(1)

   枕辺に朝鳴く鳥の声すなり
           喜寿となる日を今日は迎えぬ
            
   朴の花今朝白々と空に向かひ
             大きな花弁を開きて咲きぬ

   春風無辺 かかる境地にいつの日か
           成ることもあれ 尚年積まば
 
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】先週に引き続き掲載致します。

 チョウキチさんからのコメントです。
  光源氏の歌は、「この篝火とともに立ちのぼる恋の煙こそは、
 いくつになっても燃え尽きることのない私の恋の炎だったのです」。
 玉鬘の歌は、
 「そんな煙のような恋ならば、空にあとかたもなく消し去って
 くださいませ」。
 幾つになっても成長しない光さんより、玉鬘の方が1枚も2枚も
 上手ですね。状況を理解しつつ見事な詠歌に私も感心です。

 ポエット・Mの返答
  光源氏と玉鬘との歌のやり取りは、二人の人柄と思惑が交錯し、
 読み応えのある物語になっていると考えます。
 玉鬘はかつて光源氏が思いを寄せた夕顔の娘でしたが、その娘を
 光源氏は養女とし、その娘に隙あらばセクハラまがいの行為を
 繰り返していました。その背景を踏まえてこれらの歌を味わうと
 別の想いも湧きますね。
 おっしゃる様に「玉鬘の方が1枚も2枚も上手」と感じますし、
 女性は幼くても男心をくすぐる術を身につけていると思わされ
 作者・紫式部の遊び心も覗いて見えます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その138)ネット歌会

2024年06月26日 05時08分56秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その138)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
     また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「ガクアジサイ 汐音」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆梅雨入りと思えば日差し照りつける 雲の間に間にとゆれかくゆれ
                         西BOOさん
★気まぐれな梅雨空見上げカレンダーと押し問答する予定危うし
                         夕庵さん
★南風 湿度が加わりムシムシに 溜まらず除湿ボタンをONす
                         西BOOさん
★梅雨時は除湿と冷房繰り返す 愛犬はやも舌だしあえぐ 
                         夕庵さん
★裏庭が涼しいのかな 野良猫が仰向けになり寝そべっている
                         西BOOさん
★青畳にうたた寝をする心地よさ 夢に清流の音聞きながら
                         夕庵さん

☆卯の花の白咲き誇る ふるさとの 古寺の本堂 開け放たるる
                         みっちっちさん
★旅の日の古寺は苔むし神さびて岩山背にして堂々とせり
                         夕庵さん
★旅の日の永平寺にて若僧の 修行に我の常をかんがみ
                         みっちっちさん

☆でで虫よ背中の荷物が重たかろ 朝日にひかる銀のひとすじ
                         夕庵さん
【詞書】昔は赤と黒だけでしたが、今はカラフルな色が朝日に光り、
  一年生も嬉しそうですね。
★ちさき背にランドセルとふ重くとも 好きなピンクやむらさき嬉し
                         みっちっちさん
★思い出の6年間と共にある ミニランドセルはわが手の上に
                         夕庵さん
★思ひ出のサルビア揺るる下校道 走り出す友 ランドセルゆらり
                         みっちっちさん
★お下がりのランドセル嫌と泣いた日の親の気持ちを解らぬものを
                         夕庵さん
★子を思ふ親の気持ちは 親になり初めて気づくいのちのサイクル
                         みっちっちさん


      「咲き初める夾竹桃 薄紅」

☆むら雲は東へ移り 夕虹のその真ん中を君は帰り来
                         みっちっちさん
★帰り来ぬ人を待つ身の切なさよ 空を見上げて星を数えぬ
                         夕庵さん
★帰り来ぬ考妣(ちちはは)は満天の星 我のこころに光もたらす
                         みっちっちさん  
★父母はすでに仏になり給い慈悲の眼で諭しくるるや
                         夕庵さん
★父母は吾(あ)の肩先に ふんはりと優しき笑みで吾を見守りぬ
                         みっちっちさん
★肩先に雨の吹きぶり容赦なし 梅雨入りなれど雨量は異常に
                         夕庵さん
★降りしきる雨に相合傘の下 君の肩先しとど濡れをり
                         みっちっちさん
★降り止まぬ雨につかの間雨宿り 傘持たぬ事反省しきり
                         夕庵さん
★降り止まぬ雨に古書肆で雨宿り 昼の灯ほのと匂ひ重たき
                         みっちっちさん
★くちなしの匂い這うよに流れ来る白き花びら雨に打たれて
                         夕庵さん
★駅前を出(いで)て くちなし匂ふ垣 遠まはりして君は帰り来
                         みっちっちさん
★駅前のスーパーに寄り半額の 惣菜買って子の待つ家へ 
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き競う デルフィニウム」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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