うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

荒神 (KOU JIN)

2014年09月07日 | 宮部みゆき
 2014年8月発行

 元禄太平の世の半ば、一夜にして壊滅状態となった東北の小藩の山村の謎を追う、長編ミステリー時代小説。

序   夜の森
第一章 逃散(ちょうさん)
第二章 降魔
第三章 襲来
第四章 死闘
第五章  荒神
結   春の森 長編

 大平良山、小平良山を挟んで反目を続ける永津野藩と香山藩。そんなある夜、一夜にして香山藩本庄村の村民が消える。
 唯一の生き残りである蓑吉は、永津野藩名賀村の朱音の元で匿われるが、この出来事を巡り次第に明らかになる山に住まう化物の存在。
 御家騒動、奇異な風土病など様々な事情の交錯する中、その化物の正体とは、対峙していく面々が背負った宿命とは。

 読み応えがあったと言うか、導入部分での登場人物の把握がひと苦労。とにかく登場人物が多く、また、朱音の視線、蓑吉視線、曽谷弾正の視線…と場面が展開していくので、少しずつ頭を整理して読まないことには、物語においていかれる。
 また登場人物の背景も細かく描かれているので、ひとりひとりを突き詰めていっても最初は混乱してしまう。
 ミステリー、サスペンス好きには十分に読み応えがあるだろう。
 ラストはほろ苦い切なさが描かれるが、メランコリックではなく、後味は良い。
 ただ、私的には、登場人物の把握に手間取ったため、映像で観たかった。

主要登場人物
 朱音...永津野藩名賀村の溜家に住まう小台様
 曽谷弾正...永津野藩竜崎家藩主の側近。御筆頭様。朱音の双子の兄
 榊田宗栄...溜家に住まう用心棒(浪人)
 小日向直弥...香山藩瓜生家の小姓
 蓑吉...香山藩本庄村の鉄砲討ち・源一の孫
 おせん...朱音付き女中
 志野達之助...直弥の幼馴染み
 やじ...志野家の使用人







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