うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

会津戦争全史

2014年02月24日 | ほか作家、アンソロジーなど
星 亮一

 2005年10月発行

 白虎隊、斗南藩の「悲劇」はなぜ起こったか仮借ない攻撃と略奪に明け暮れる薩長軍。前近代的な戦術の下、非戦闘員も動員し藩を挙げて玉砕した会津軍。正義なき内戦の真実を、膨大な史料から第一人者が詳述。

第1章 鳥羽伏見の戦い
第2章 戦火東北に迫る
第3章 奥羽鎮撫総督
第4章 白河大戦争
第5章 越後、磐城に戦火拡大
第6章 会津国境破れる
第7章 会津鶴ヶ城攻防戦
第8章 白旗をかかげて降参
終 章 会津戦争の意味

 会津戦争は「新政府軍と旧幕府軍の戦い」ではない。非寛容の精神で残虐行為に走る薩長軍に対して、正面から戦闘を挑んだのだ。戦略なき会津軍は「武士道」のもと非戦闘員をも動員し、悲劇へと突き進むー。幕末の会津藩を追い続けた著者が描く一大戦記。
 実際に会津戦争を体験した、柴五郎始め、女性や農民など多岐に渡る人々の実存する手記や証言も掲載され、余り知られていなかった事実がここに浮かび上がる。
 多くの悲劇をもたらした戊辰戦争に、意味はあったのかを問い掛ける。
 官軍の名の下に行われた、目を覆いたくなるような虐殺。普通の人が戦場といった特殊な場で、ここまで代われるのか…。
 白虎隊の悲劇を知らない日本人は居ないだろう。だが、真実は白虎隊以上に壮絶だった。
 そんな戊辰戦争を踏み台にして誕生した、新政国家。我々が生きる時代の幕開けに犠牲になった人々を忘れてはならない。そう思わずにはいられない。
 是非とも読んでいただきたい一冊。
 薩長側の方、西郷隆盛、桂小五郎など明治の偉人と言われる人への思慕が払拭されますよ。
 余談ではあるが、当方は、新政府側でもなければ、幕府側でもないが、戊辰戦争は、江戸城開城にて終結させるべきであり、会津攻めは、日本人独特の単なる遺恨・妬みといった短絡な感情であったと考える。
 そして、歴史上、一番嫌いな徳川慶喜。彼が腹を切れば、いったい何万人の人命が救われたのだろうか…。その前に、当時の将軍が彼でなければ…歴史にもしもはないが、そう思わずにはいられない。


書評・レビュー ブログランキングへ



にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

江戸人のしきたり

2014年02月24日 | ほか作家、アンソロジーなど
北嶋広敏

 2007年5月発行

 副題
 日本橋、天麩羅、三社札
 寺子屋、歌舞伎、吉原…
 日本人の知恵と元気の源泉

 100万人が暮らす、当時、世界最大の経済・リサイクル都市であった江戸の衣食住、娯楽、規律など、00年前の日本人が生活するための知恵を紹介。

第1章 大江戸の春夏秋冬
 江戸っ子の初詣ー方角を重視した理由
 江戸名物の桜餅、その誕生秘話 ほか
第2章 江戸っ子の生活模様
 家財は湯沸かしだけ、一年中、質屋に通う
 長屋の家賃は月1万7000円 ほか
第3章 江戸っ子の教育と豊かな文化
 江戸っ子が好んだ「粋」とは?
 時刻を知らせる鐘はどこで撞いたのか ほか
第4章 恋と情事と吉原と
 銭湯に備えつけの石ーその使用目的は何か
 江戸のソープランド、「湯女風呂」の繁盛ぶりとは?  ほか
第5章 将軍と鬼平
 江戸のシンボル、「日本橋」の由来とは?
 将軍はどんな一日を過ごしていたのか ほか

 将軍から庶民まで、江戸人の暮らしや疑問が一挙に分かる。







書評・レビュー ブログランキングへ



にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大江戸事件帖お散歩マップ

2014年02月24日 | ほか作家、アンソロジーなど
お江戸歴史探訪研究会


 2011年9月発売

 大江戸八百八町を揺るがした14の騒動。歴史に名を残す(?)あの人は、どこで、どのように生きていたのか…。事件はどこで起きたのか。
 あの有名人(?)の足跡を古地図と現代地図たどる。

八百屋お七 
 恋に焦がれて火を付けた15歳の美少女
絵島
 門限破りで実兄の首を刎ねられた大奥女中
白子屋お熊
 不細工な夫を殺し損ねた美人妻
平井権八
 遊女が愛した同僚殺しのイケメン剣客
鬼坊主清吉
 いつのまにか神になった荒稼ぎの色男
鼠小僧次郎吉
 武家屋敷専門「たぶん3千両」盗んだ大泥棒
松平外記
 同僚3人を殿中で斬殺した剛毅の旗本
河内山宗春
 水戸藩を強請って獄死したチョイ悪直参坊主
め組の辰五郎
 力士と喧嘩して羽子板になった火消の頭領
天一坊
 案外真実だったかもしれない将軍の「ご落胤」蔦屋重三郎・山東京伝
 松平定信に弾圧された江戸の出版人
由井正雪・丸橋忠弥
 同時多発テロをしくじった江戸の革命家
関鉄之介
 大老暗殺後、1年半逃げ回った幕末の志士
大石良雄
 リーダーとして仕事を果たした昼行燈親父
大江戸グロッサリー 

 史実としては知っていた事件ではあるが、地図や史跡を視覚的に目にすることで、分かり易く、かつ「ここで生活したり、歩いていたのか」と思うと、自身が足を運んだことのある場所を、改めて感慨深い。




書評・レビュー ブログランキングへ



にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする